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安倍首相のイラン訪問は成功するか?

軍事力でアメリカを上回ることを目指す中国は、第一段階の「劣勢の立場からでも米軍に対坑する」段階から、現在は「精密誘導兵器やサイバー戦争の技術面でアメリカとおおよそ対等な立場」を達成して第2段階の「周辺地域に対する優位性の確立」に進み、最後の第3の段階すなわち「軍事技術でアメリカを追い抜く」段階を目指している。(引用は「新アメリカ安全保障センター」報告書)

トランプ政権が昨年、これまでのテロ作戦から「大国間競争」へとじゅく足を移すよう国防総省に指示したのは、中国覇権主義の戦略的追い上げへの危機感からであった。

しかし、再選をなによりも優先するトランプ政権は、イランの核脅威に直面するイスラエル=ユダヤロビーの支持を固めなければならない。トランプのイラン核合意からの離脱は、それだけでなく、イラン=シーアー派の侵略に直面するサウジなど湾岸諸国の要請でもある。

安倍首相にしてみれば、ここでイラン戦争が始まれば、中国にとっては第二戦線が開かれるに等しく、台湾や日本が侵略の脅威にさらされる。安倍首相のアメリカとイランの仲裁外交は平和的にイランを屈服させたいトランプ政権の要請でもある。

しかし当のイランは、イラン革命の成果をイスラム勢力が奪うことで、古臭い政教一致のシーアー派政権となり、その権力構造さえ定かでない上に、最高指導者のハメネイ師が80歳と高齢で、しかもガンの不安で、後継者レースがすでに始まっている。

トランプ大統領のイランへの強硬姿勢は、この最高指導者がだれになるのかを考えて、政教分離の穏健派政権へと誘導することに狙いがあると見るべきであろう。報道では現在イランではイラクのシーアー派最高指導者のシスタニ師がキングメーカーとして注目を集めている(選択6月号「情報カプセル」)という。

このシスタニ師の孫娘を妻としているのが、イランの前最高指導者の孫のアリ・ホメイニ師(33歳)で、この人物を次期最高指導者に擁立する動きが出ている。シスタニ師がイラクで政教分離を実践しイランの聖職者の支持を集めているだけに、アリ・ホメイニ師が時期後継となれば、イランの地域覇権主義に変化が期待できるかもしれない。

このようにイランの次期指導者をめぐり穏健派と強硬派がせめぎ合っている中に、安倍首相が米・イラン仲裁外交を展開しても、成功する可能性は極めて低いのである。しかしトランプ政権にしてみれば話合いのル―トさえない状況なので、安倍首相が米・イランの話合いのきっかけを作れたら成功と言えるのかもしれない。
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コメント

No title

 トランプは強引すぎです。うまくいくとは思えません。
安倍さんの仲介もまずだめです。

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