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トランプの対中関税が意味する米戦略!

第二次世界大戦後のアメリカは、超帝国主義国家とも言うべき覇権国であった。それを可能にしたのは米国債本位制とも言うべき「ドル支配」である。そのアメリカを先端技術で追い抜く力を持ち始めたのは中国だ。アメリカが進めたグローバルリズムが資本主義の不均等な発展を促した。アメリカ企業は労働力の安い海外へと展開し、アメリカ国内産業は空洞化していくことになった。

アメリカは当初中国が民主化を受け入れることを期待していたが、中国の走資派指導部は官僚独裁の国家権力を中国経済の成長にフルに動員した。国家権力が保障する中国市場は外国資本に取ってもっとも安心できる生産拠点と化した。つまりアメリカの進めたグロバル化は官僚独裁の中国企業に有利に作用したのである。こうして世界第2位の経済力を保持するに至った中国の習近平は「一帯一路」の戦略の下で「中国製造2025」の技術戦略で世界の覇権を握ることを「中国の夢」として不敵にも掲げるに至った。

こうした中国の経済的・軍事的台頭と米国内産業の空洞化に危機感を持つに至ったアメリカ産業資本はトランプ大統領を誕生させた。アメリカも国家権力でその経済覇権を維持しょうと動き始めた。つまりトランプの「アメリカファースト」はフローバル化が生みだした多極化を政治権力で阻止しようとするものであり、一種の逆流現象と言える。こうして米中の覇権争いが始まったのである。

米ソの冷戦と「米中の新冷戦」の違いは、同一の市場での経済的な相互依存関係の下での覇権争いであることだ。だからこの対立が長引くことは避けられないのである。トランプが中国の輸出品に25%の関税をかければ、アメリカ国内の製品の価格が上がるだけで、米企業の雇用拡大につながる保証はない。しかしハ―ウェイのようなハイテク企業の市場を権力的に奪い取ることで、アメリカのハイテク企業を5G分野で優位に立たせようとすることは可能かもしれない。つまりグローバル化は国家権力的なレベルでの力を背景にした競争の段階に突入したと言える。

トランプは独自の通貨ユーロを持つEUの防衛に欧州各国に高い負担を要求している。トランプの戦略は南北アメリカと日本、オーストラリア、インドなどの新しい勢力圏で中国とロシアに対坑する経済戦略のように見える。しかし日本にもアメリカは高い防衛費の負担を求めてくることは不可避だ。トランプ政権内で検討されている「コストプラス50」と呼ばれる案は、米軍の駐留経費の全額+50%を受け入れ国に求める案であり、アメリカへの従属路線を歩む安倍政権には非常に厳しい負担になる。対米自立が求められるようになるであろう。

問題は韓国であるが、北朝鮮の金正恩体制をクーデターで覆せば、米軍は韓国から撤兵する可能性が高い。北朝鮮の非核化は中国も条件付きで体制転覆を認める可能性が高く、非核化した半島の南北を米中の緩衝地帯とすることで米中が妥協する可能性は高い。問題は台湾の武力統一に習近平が永世指導者の地位を固めるためにのりだす可能性が強く、中国の軍事覇権主義を封じ込めれるかどうかが米日に試されることになるであろう。トランプの戦略は自分の再選が優先されるので、未だ不鮮明だが、おぼろげに戦略が見えてきたようである。

重要な事はこうしたトランプの戦略にも関わらず、アメリカの覇権は次第に多極化に席を譲ることになるであろう。それはトランプが隠れ多極主義であるからではなく、資本主義の不均等な発展がもたらす結果なのである。資本主義の不均等な発展は経済法則であり、政治家の恣意的な意志で世界の多極化が進むのではないのである。
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