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トランプはなぜゴラン高原の領有を認めたのか?

アメリカのトランプ大統領は、3月21日イスラエルが占領しているゴラン高原をイスラエル領として認めるべきだと発言した。アラビ連盟は3月31日トランプのこの発言を中東の緊張を高めるとして非難した。中国は「事実を変える一方的な行動に反対する」と批判し、ロシアも一方的措置を批判した。トランプのこの発言はどのような意図で行われたのか、どうして国際社会がこの発言を批判しているのかを明らかにすることが重要である。

オバマ前大統領は、イスラエルのネタニヤフ首相がゴラン高原を手放すことはないと宣言した事について、2016年に国連安保理の懸念表明決議に賛成票を投じている。ところでトランプ大統領は就任以来オバマの政策をことごとく覆している。トランプの娘婿のクシュナー大統領上級顧問はユダヤ人であり、トランプが再選を勝ち取るにはユダヤロビーの支持がいるゆえである。

さらに重要な事は、軍事占領による国境線の変更=領土拡大を認めると、世界の火薬庫である中東の戦争が激化することになる。既にアメリカは世界一の産油国であり、中東での戦争は原油価格高騰でアメリカ経済は潤うことになる。国際世論がイスラエルのゴラン高原併合に反対しているのは、これを認めるとロシアのクリミア占領を認め、中国の南シナ海占領を認めることになり、韓国の竹島占領も認めることになる。つまり武力による国境線の変更は世界を戦乱に巻き込むゆえに国際世論が反対しているのである。日本の北方領土の主張も、北方領土が日本の固有の領土である故であり、武力による領土拡大を認めないのが戦後の国際的合意なのである。

トランプは中東を戦乱に巻き込むことで、中東を支払い能力あるアメリカの武器市場にしようとする野望もある。アメリカは中東の原油に依存していないからこそ取り得る政策なのである。武力併合は違法とする国際法の原則を崩せば、世界は戦乱のちまたとなるであろう。トランプの取る外交は、一方でアメリカの国際的介入を拒絶しながら、他方で世界を戦乱に巻き込みかねない危険な狙いがある。

ゴラン高原は、シリア南西部の約1200平方キロの高地で、シリアの首都ばダマスカスはここから東に60キロの位置にある。また西にはイスラエルを見下ろす軍事的要衝で、現在約30のユダヤ人入植地が建設されている。トランプの無神経な発言が世界を戦乱へと巻き込みかねない危険を含んでいるのである。安倍首相がこのトランプの無神経な発言に沈黙を守っている事は情けないことである。
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