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アメリカを再び偉大にするための予算案とは?

トランプ米政権は3月11日、2020会計年度の予算教書を公表した。その特徴はオバマ政権とは全く逆に、国務省(前年比23%減)環境保護局(同31%減)運輸省(同22%減)住宅都市開発(同16%減)など対外支援、環境、国民生活分野で大ナタを振るい、国防費は7500億ドル(約83,3兆円)を要求しました。この数字は前年度2019会計年度よりも4,7%の増です。

「アメリカ第一、アメリカを再び偉大にするための予算」をうたい文句にするこの軍事優先の予算案は、オバマ政権の逆を行くものであり、その特徴は一方で金持ちに減税しながら大幅な財政赤字を生みだしていることだ。財政赤字は1,1兆ドル(120兆円)で4年連続の1兆ドル超えだ。トランプ政権は中国との貿易戦争で世界経済に悪影響を与え、今また財政で赤字を垂れ流し、世界経済を危なくしている。世界一の大国が赤字をたれ流すと、米金利が上昇し、世界経済を揺さぶる事態が生まれかねない。

トランプの国防予算の特徴は、陸海空に次ぐ戦闘領域として、空軍省の下に新たに宇宙軍を創設すること、中国やロシアとの戦略的軍拡として、長距離精密打撃、極超音速ミサイル、ミサイル防衛等を重視する方針であり、また核兵器の維持・管理でも8,3%の予算増とした。これは低爆発力の核弾頭の開発を完了させ、米核戦力を比類なきものにするという政権の強い決意を示している。

民生費を大幅に削り、軍事予算を急増させる、この予算方針が議会の民主党の反発を呼び、民主党が多数の下院で拒絶されることは確実だ。トランプ政権は、このほか予算教書でメキシコ国境での壁建設費として86億ドル(9500億円)を計上している。これも民主党の反対を招くことは避けられないようだ。この予算教書を受けて民主党のぺロシ下院議長と、シュ―マー上院院内総務は共同声明を発表し「数100万人の国民を傷つけた政府機関閉鎖の教訓を学ぶべきことを希望する、と強調した。

トランプの大軍拡予算が、世界中に軍拡競争を招くことは避けられず、世界情勢はますますきな臭くなるであろう。トランプ外交の特徴は、自分で同盟国を離れさせ、アメリカの戦略的孤立を作り出していることだ。これではアメリカが少しばかり軍事力を増強しても、アメリカの戦略的力は減退することは避けられないであろう。世界はますます多極化するであろう。アメリカを再び偉大にするための予算案が、アメリカをますます戦略的に弱くすることがありうるであろう。
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コメント

戦略がすべてです。

 戦略がなければ、軍事力を強化しても、それは力にならないということですね。正しいと思います。

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