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マティス国防長官辞任が持つ戦略的意味!

トランプ政権のマティス国防長官が来年2月に辞任することになった。同長官が公開した辞表には「あなたには、もっと同じような見解を持つ国防長官を選ぶ権利がある。」と指摘されており、安全保障政策をめぐる意見の衝突が、辞任の理由だと明らかにしている。報道によればトランプ大統領がアメリカ軍のシリア撤退に反対したことが辞任の理由とされている。

トランプ政権は19日、アメリカ軍がシリアから撤退し始めたと発表した。トランプ大統領は「過激派組織イスラム国を打ちのめした」等と理由を説明した。しかし民兵組織「シリア民主軍」は20日声明で「テロとの闘いはまだ終わっていない」としたうえで「イスラム国を根絶やしにする努力を台なしにして、世界の平和に深刻な影響を与える。」とアメリカ軍のシリアからの撤退を批判している。

マティス国防長官がトランプ大統領のシリアからの撤退に反対したのは、アメリカ軍がシリアから撤退するとシリアの政府軍と駐留ロシア軍、およびイランが中東の主導権を握るだけでなく、イスラム国が復活する可能性もあると見ているからだ。ロシアのプーチン大統領はアメリカ軍の撤退について「正しい決定だ」と評価した。今後中東でロシアとイランの影響力が一層強まるのは避けられなくなった。トランプは単純に成果を誇示したかっただけだったのか?それともシリア・ロシア・イラン連合への新たな対立関係を考えてのことかは分からない。

問題は、トランプ大統領の暴走を止めることができると見られていた大物マティス国防長官の辞任が持つ意味だ。次期国防長官がトランプ盲従の人物となることが確実であるだけに、大物の辞任は深刻だ。しかし、世界の火薬庫である中東で、アメリカが戦略的に不利になる米軍のシリア撤退は、戦略が分かるマティス氏には認めるわけにいかなかったのであろう。

思考が戦略的でないトランプ大統領の外交は「アメリカ第一主義」の掛け声だけで、実際には同盟国を攻撃し、戦略的にアメリカを不利に追いやり、敵を有利にしているのだから、戦略が分かる者には耐えられないこととなる。マティス国防長官がトランプの暴走をとどめていたので、マティス氏は最近重要な政策決定から外されていたという。トランプの「アメリカ第一主義」がますます世界を混迷に導く可能性が強くなったことを見ておけねばならない。アメリカの戦略的後退は続くであろう。
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