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EUは分裂の危機を克服できるのか?

中東の独裁政権を打倒し、中東を政治的混乱に導く事は、欧米の利益になると思われた。アメリカは中東を武器市場にし、欧州は難民を吸収することで賃下げを実現し、小子化を克服できると都合よく考えた。東ドイツを統合したドイツが経済発展の原動力を得たように、移民は欧州経済を発展させると考えたのが甘かった。

より豊かな生活がしたいという移民の欧州への流入で、欧州は雇用不安と治安の悪化が起き、移民に反対する右派勢力の台頭を招くことになった。とりわけ「ゆりかごから墓場まで」といわれる福祉国家のイギリスに移民が殺到したことで、移民反対の声が高まり、移民を受け入れるEUから離脱の波が起きた。国民投票でまさか離脱派が勝利するとは思っていなかったことが起きた。

EUとイギリス政府の離脱交渉は、いいとこ取りを認めるとEU分裂が加速するので、イギりスの離脱交渉はうまく行かず、せっかくまとまった離脱案も反対が強く、議会の支持を得られず、イギリスのメイ首相は離脱案の修正の可能性を探るものの、EUは修正には応じない構えで、このままいけば「合意なき離脱」となり、イギリスと欧州は大混乱になる可能性がある。

深刻なのは移民問題が現政権を揺さぶっていることだ。フランス国内で反政府運動が「黄色いベスト運動」として全土に広がり、マクロン政権は政治危機に直面している。またドイツの長期政権を維持してきたメルケル首相が地方選で敗北し、政権を弱体化している。EU維持派のフランスとドイツが反政府派に押されぎみで、政権が弱体化しているのである。また秩序ある離脱を追求するイギリスのメイ政権も国内両派の反対で影響力を低下している。イギリス国民は今も離脱派と復帰派の対立が続いている。

話をややこしくしているのはイギリスの北アイルランド問題だ。EU加盟国のアイルランドとイギリス領の北アイルランドとの国境のモノの流れを自由にしたまま、モノの取引でイギリスをEUの規則に縛り付け、離脱でイギリスは発言力を失えば、今度はEU側が優位に立つことになる。AIやバイオテクノロジーでイギリス企業が革新的技術を開発してもイギリスは競争力を失うことになる。つまり秩序あるイギリスの離脱は非常に困難な状況に追い込まれているのだ。

移民反対のアメリカのトランプ政権は、グローバル化の逆転現象だが、欧州のEU離脱=移民受け入れ反対の政治的流れも、同じ逆転現象なのである。EUは東欧からの働き手の受け入れて経済的に潤っており、反移民を決めればEUは解体の危機を迎える。さりとて、このまま移民を受け入れ続けると、EU離脱の動きが台頭し、反政府闘争が激化する。EUの抱えるジレンマは深刻であり、イギリスの合意なき離脱は欧州経済を大混乱に導く可能性がある。EUが混乱すればEU発の経済恐慌もあり得るかもしれない。

重要な事は欧米の経済的混乱が世界的経済危機につながりかねない深刻な情勢であること、それなのに安倍政権は、欧米の政治的混乱の原因が移民受け入れにあるのに、外国人労働力の解禁を決めている。失敗が明らかな政策を、今から周回遅れで後追いする安倍政権の考えの無さを指摘しなければならない。労働力不足は女性労働力と老人パワーで、さらには省力化投資でロボット化・AI化で切り抜けなければならないのに、安上がりの外国人労働力の解禁に飛びつく愚劣を知るべきだ。
国際情勢は衆愚政治で抜き差しならない経済危機に向かっている。
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