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多極化の中での戦後の国際秩序の崩壊!

哲学的に言えば、あらゆるものに生成・発展・消滅の過程がある。それは第2次大戦後の国際秩序に置いても然りである。アメリカの巨大な経済力を背景にした一極体制の下での民主主義的国際秩序は、冷戦の終了と強欲の資本主義への移行の下で、急速に多極化への移行を早めた。

資本主義の不均等な発展がその変化の経済的基礎であり、一方でのアメリカ経済の衰退は、産業の空洞化と金融支配への移行であり、他方での1党支配の下での中国の経済的成長、さらには欧州の通貨統合などのブロック化が多極化を経済面から推進した。

アメリカのトランプ大統領が、現象的には「強いアメリカ」の政策で、アメリカが自らの1極支配を解体しているように見える現象は、金融支配のもとでアメリカの産業資本家たちの反動復古とも言える政治の一時的揺り戻しと言える後退現象なのである。これがアメリカの大統領が「戦後の国際秩序」を自ら解体するように見える奇妙な現象を生むこととなった。

欧州における移民問題をきっかけとするポピュリズム政党の排外主義的動きも、「戦後国際秩序」の後退的解体の現象と解するべきであろう。トランプ政権の北朝鮮と中国への融和的政策が北東アジアにおけるアメリカの覇権を解体するきっかけとなるであろう。

アメリカに変わって非民主主義国の絶対主義的一党支配の中国が、今世紀半ばまでに世界一流の軍事力を備えた「社会主義現代化強国」を建設する事は、中国の覇権主義的変化であり、習近平の「中国の夢」実現は戦争の時代への扉を開くことになるであろう。中国は間違いなく戦後の「民主主義的国際秩序」に敵対する一方の旗頭である。アメリカがトランプ政権を生み世界の警察官役を降りた事は、世界各地に独裁国家の地域覇権国を台頭させることになった。

旧ソ連圏のロシア・中東のイラン・アジアの中国という独裁国家が戦略的空白を埋め、将来反動復古から転換したアメリカとの間で覇権争奪が激化する可能性が高い。つまり世界は軍事力による対立の時代へと移行しているのである。このような時代背景の下で日本における護憲勢力による観念的平和主義の虚構も破綻の憂き目を見ることになる。戦後の国際秩序が今死滅しつつあるのだ。時代の変化に備えて日本は対米自立しなければ、国際的変化への備えとはならないであろう。
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