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EUのバルカン加入戦略が及ぼす欧州の危険!

9日に始まった、欧州連合首脳会議でバルカン諸国のEU加入戦略が明らかとなった。EU(欧州連合)はイギリスの離脱投票の可決や移民問題をめぐり欧州各国で排外主義勢力が台頭して、EU解体の危機が高まっている。EU首脳の狙いはこうした欧州解体の動きを阻止するため、「欧州の火薬庫」と呼ばれるバルカン諸国の民主的改革を進めることを条件に、EUの東への拡大戦略を打ち出したものである。

バルカン6カ国の内セルビア・モンテネグロに対しては2025年の加盟を目標とすることを明示してきたが、今回セルビア・モンテネグロ・アルバニア・マケドニア4カ国を「EU加盟候補国」とし、「潜在的な加盟候補国」としてボスニア・コソボの2カ国を挙げた。

この6カ国では近年ロシアや中国の影響力が強まっており、EUではバルカン諸国の取り込みを急ごうとの動きが強まっている。EUは冷戦終了後、主に旧ソ連圏を加盟させ、加盟国は15カ国から28カ国に増加させた。その中にはチェコ、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、ポーランド、スロヴァキア、スロヴェニア、ブルガリア、ルーマニアなどの旧東欧諸国が並んでいる。

新たな市場の取り込み戦略で求心力が弱まっているEUが、その統一市場としての同盟を強固に拡大できるかがかかっている。だがEUの東への拡大はそれが旧ソ連圏だけにロシアの反発を強めることになるであろう。とりわけスラブ民族のセルビア等は伝統的にロシアとの関係が強く、「欧州の火薬庫」と呼ばれるバルカンの取り込みは、即領土紛争に火を付ける可能性がある。特にセルビアとコソボは未だにコソボの独立をめぐり対立している。EU加盟国内でもキプロスやスペインなど国内に独立問題を抱える諸国5カ国がコソボの加入に今も反対している。

EUは、解体への動きに歯止めをかけようとバルカンの加入戦略をとれば、逆にEU内に分裂と対立を招く可能性があり、同時にウクライナの取り込みを狙ったクーデターを機にロシアを地政学に目覚めさせ、クリミア半島の併合を招いたように、ロシアを激怒させる可能性もある。

人類の歴史上2度の世界大戦は欧州から起きており、「2度あることは3度ある」ともいう、「欧州の火薬庫」と呼ばれるバルカンの取り込みは欧州の軍事情勢を流動化させる可能性が高いのである。欧州のこうした情勢の流動化が、アジアの中国の軍事的拡張主義を刺激する可能性を見ておかねばならない。世界は軍事力による国境線の変更、中小国の経済的囲い込みの動きを一気に強める可能性がある。
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