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北朝鮮問題を放置できないアメリカのジレンマ!

北朝鮮の軍事大国化を導いたのは先代の金正日の「先軍政治」の結果である。しかしこの「先軍政治」の誤りは、軍事力は経済規模に規定されるということを理解していない点にある。今日のような総力戦の時代には先行する経済建設が、軍事力の規模を規定するのである。ところが北朝鮮の場合は万事軍優先のため経済が発展せず、したがって120万人の軍事力の通常兵器を更新できなくなっているのだ。

つまり北朝鮮の核・ミサイル開発は安上がりに国防を図る唯一の道なのである。従ってアメリカがいかに圧力をかけようと北朝鮮は核・ミサイル開発を止めることはない。止められないのである。かって北朝鮮は中国とソ連の支援で通常兵力で韓国を圧倒していた。しかし冷戦の崩壊で朝鮮半島の代理戦争の価値は喪失した。援助頼りの北朝鮮経済は危機に陥ったのである。おそらく北朝鮮の通常兵器は多くが劣化している状態なのだ。

体制の存続を目指す北朝鮮は国名の「社会主義」ではなく、奴隷制国家における大王としての金王朝であり、それゆえ後継をめぐり肉親間の暗殺が起きる、時代遅れの体制なのである。北朝鮮は油田があるわけではないので、アメリカは軍事的解決は引き合わない、と考えており、トランプの口先だけの強がりは、北朝鮮を一層大担にしている。

今年8月北朝鮮のナンバー2の金永南・最高人民会議常任委員会委員長がロシア経由でイランのテヘランを10日間訪問した。これまでも北朝鮮の核実験やミサイル実験にイランの軍事専門家が現場に招かれており、その事はCIAもつかんでいるという。この両者の関係は、北朝鮮は核弾頭製造技術をイランに提供し、イランは見返りに濃縮ウラン製造の遠心分離技術や、外貨を北朝鮮に提供する相互補完関係にあると言える。

だからイランと北朝鮮の潜水艦やミサイルは形が驚くほど似ているのである。つまりアメリカは北朝鮮の核・ミサイル開発を容認すれば、その技術はイランに渡り、イスラエルやサウジなどの親米国家が危機に直面することになる。

トランプ大統領は口では「イラン核合意破棄」を度々公言している。この発言は、北朝鮮とイランにはアメリカとの合意は意味がなく、何が何でも核・ミサイル(=核抑止力)を保持する決意を高めさせているのである。北朝鮮とイランの関係者はロシア経由で行き来しており、この両国の核・ミサイル開発の協力を分断することはアメリカにはできない。

中国もロシアも本気で北朝鮮への制裁をやる気はなく、今のアメリカは戦争する経済力がなく、ましてや2つの国を同時に攻撃することなどできない。ゆえにアメリカが北朝鮮の核・ミサイル開発が終わらぬうちに北朝鮮を攻撃し、核拡散を防止する可能性があると言える。問題は国内で支持率の低いトランプが戦争の犠牲の大きい北朝鮮への全面攻撃に踏み切るか?それとも核のボタンを握る人物の暗殺だけを行うか?いずれかを選択すると見られる。
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