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トランプの手でアメリカの覇権が崩されつつある!

トランプ政権には世界支配の戦略がない。有るのは「アメリカ第一」の産業資本家的思考の保護貿易主義だ。TPPから抜け、北米自由貿易も再締結交渉でアメリカの同盟国との相互依存関係は崩れつつある。欧州連合は脱アメリカを志向し始めた。

金融国家のアメリカに、産業資本家の政策等もはや必要ないのだが、トランプは真面目に公約を実現しようとして金融大国としてのアメリカ経済を破壊している。彼のアメリカ人の雇用優先政策は他国からの優秀な人材を吸収するIT産業や大学の研究所が、外国から人材を受け入れることができなくなって、アメリカの先端産業界の打撃は将来深刻となる。もはやアメリカには最先端の研究に従事する優秀な人材はいないのに、この面でもトランプは「アメリカ第一」なのだ。

何よりもトランプの貿易黒字の削減策は、財務省証券(=国債)を貿易黒字国に売り付けることで貿易黒字国から対価なしに莫大な上前を撥ねる事を難しくする。つまりトランプの保護貿易主義の政策はアメリカのドル支配に攻撃を加えているのである。国際通貨としてのドル発行益と、貿易黒字国を搾取する仕組みが打撃を受ければ、アメリカは強力な軍隊を維持できなくなるであろう。

地球の陸地の3分の1をユーラシア大陸が占め、人口の7割がこの大陸にすむ。ゆえに世界覇権を狙う国はユーラシア大陸支配の戦略を持つ事を歴史は教えている。中国の「一帯一路」戦略はまさに世界覇権を睨んだ地政学的覇権を狙うものである。しかしトランプ政権の外交での関心は北朝鮮の核・ミサイル開発だけである。トランプに世界戦略的発想があれば、同盟国との経済相互依存関係を破壊する「アメリカ第一」の保護貿易主義は「百害あって一利なし」と分かるのだが、内政しか関心のないトランプにユーラシア戦略の重要性等理解出来ない事は明らかだ。

1党独裁の、新手の社会帝国主義=中国覇権主義にとってはトランプ政権は誠にありがたく、自己の軍事力増強とユーラシア経済圏構想を実行する貴重な時間的余裕を得ることとなった。安倍首相はアメリカを同盟国と言うなら世界戦略を持つことの必要性をトランプに教えた方がいい。

このままトランプが任期4年を務めるなら、アメリカの戦略上の打撃は計り知れないものになる。次期大統領選でトランプが敗北するにせよ、それまでに世界が多極世界の時代になることは避けられない。多極化の時代は合従連衡の時代である。日本は戦前の3国同盟の戦略的選択の誤り(新興の帝国主義を同盟相手に選んだ)を犯していけない。今後起きるであろう米中の覇権をめぐる軍事対立に巻き込まれないような外交が必要になる。しかも北にロシア、東に中国と言う2正面の愚を避ける戦略的外交が必要になるだろう。

トランプのアメリカがもはや安全保障の上で頼りにはならない事は明らかだ。日本は対米自立し、中国覇権主義の侵略に備えるため防衛力の強化を急がねばならない。時代は経済危機と戦争の時代を迎えつつあるのだ。
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