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戦争について!

プロイセンの軍事家であったクラウゼヴィッツは「戦争が他の手段を以ってする政治の延長」(戦争論)だとのべた。政治が相手国に外交的圧力で要求をのませられない時、政治の延長として戦争で要求を実現するのである。戦争という暴力の相互作用は限界が無くエスカレートする傾向をもつ。

現代では、北朝鮮に核・ミサイルの放棄を迫る限定的攻撃も、敵の全面的反撃を招き総力戦に発展する可能性がある。アメリカが半島の非核化が目的であり、金正恩体制を存続させることを表明しているのは、核・ミサイル関連施設のみの限定的攻撃で終わらせたいからである。

北朝鮮が全面反撃を表明しているのは、アメリカに限定的攻撃を思いとどまらせたいからである。北朝鮮が核開発に国防力をかけているのは、経済力が無く通常兵器の近代的兵器への更新ができないからである。

アメリカが半島の非核化を掲げているのは、覇権国として小国を従属化するために、核支配(=核独占)を維持しなければならないからである。特に中東におけるイスラエルの安全保障を考えるとイランの核開発を阻止しなければならない。イランや北朝鮮などの小国の非核化はアメリカにとって譲ることは出来ない帝国主義的課題である。

核保持と核独占の戦略のぶつかり合いは、外交で解決は出来ず、戦争は避けられない。重要なことは平和は、軍事力で守られているということである。平和が憲法9条で守られてきたと信じるのは勝手だが、それは間違いである。在日駐留米軍の存在が戦後の日本の70年間の平和を保障したのであり、世界1の軍事力の米軍が居座る日本に、どこも手出しできなかったにすぎない。憲法9条平和論は観念論である。北朝鮮のミサイルが飛んで来ればそれは明らかとなる。

クラウゼヴィッツは戦争の傾向を規定している要因について第1に敵意や憎悪の情念を伴う暴力という要素(これは国民に作用する)第2に、不可実性や蓋然性と伴う賭けの要素(これは軍隊に作用し戦果に反映される)第3に、政治のための手段と言う従属性(これは政治に関連)、これらの要素が一体として戦争に作用するという。

アメリカ経済が定期的に大きな戦争を必要としているのは、産軍情報複合体という経済構造基盤が存在しているゆえである。北朝鮮は高度に軍事化した王朝であるので、経済的にはぜい弱だが、長く東西冷戦下で外国の軍事支援を受けて軍事が奇形的に肥大化した国であり、冷戦が終わり、その通常兵器を更新できないので核開発にかけているのである。

日米同盟という平和的な同盟が戦争を準備し、非平和的な闘争の局面に転化する。日米同盟はまさにそうした局面にあることを知るべきであり、アメリカの従属国でいる限り、戦争は避けられないのである。トランプ大統領は「中国がやらなければ、我々と同盟国がやる」と、北朝鮮の核放棄がなければ戦争を日米の同盟が闘うことを表明している。従属同盟の平和と戦争への転化は、支配同盟の側(アメリカ)が決定するのである。戦争とは武力による政治の延長のことであるので、平和的同盟は、非平和的同盟(=戦争同盟)に転化するのである。日本人は平和ボケの観念論を克服しなければならない。
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