アメリカの北朝鮮戦略と中国・韓国の阻止力!
アメリカは今週の米中首脳会談に向けて、北朝鮮をテロ支援国家に再指定を求める超党派の法案を下院で可決した。これはアメリカが中国の経済制裁に期待している事を示している。トランプ政権は過去の「対話と圧力」の戦略的忍耐が誤りであり、「あらゆる選択肢をテーブルに乗せながら、外交的に解決していきたいと考えている」。選択肢としての軍事力を使う選択肢を示しながらアメリカが未だに「外交的解決」にこだわるところに、問題の困難さと複雑さがある。
北朝鮮は核・ミサイルだけでなく、毒ガスや化学兵器などの巨大な通常兵力を保持している。たとえアメリカ軍が先制攻撃で核・兵器工場やミサイル基地を第一撃で攻撃しても、なお北朝鮮は日本と韓国に報復の攻撃を実行する力があり、アメリカはそれを阻止できないと見られているのである。
しかも韓国の首都ソウル経済圏は、北朝鮮の砲撃が届く休戦ラインそばに位置している。したがってアメリカは軍事的選択肢を示しながら、中国が経済制裁で協力すれば、あるいは金王朝の解体に協力することができるかを追求している。しかし現状では中国の習近平はアメリカに2国間の「新型大国間関係」で中国の「核心的利益」を認めさせようとしており、これはアメリカの1極支配を突き崩すものであるので、北朝鮮問題との取引は難しいと見るべきである。
この上に、トランプ政権にとって障害となるのは中国の圧力によるパク・クネ追い落としの韓国政変で、次の大統領に最大野党の文在寅氏が確実視されていることだ。同氏は反米・反日、親中・親北であることはトランプ政権にとっては外交的障害となることは避けられない。文在寅氏はTHAAD(高高度ミサイル防衛)配備にも反対で、中国と韓国間の関係改善を掲げている。アメリカの北朝鮮攻撃に、韓国の新政権が賛成するはずがない。
つまり外交的解決が難しいが、米軍の北朝鮮武力行使も難しいのである。そこで考えられるのは中国も合意できる北朝鮮の政権の改造、あるいは政変が可能か?という点である。金正男暗殺はこれを北朝鮮が防止することであった。北朝鮮の金王朝には中国政府も手を焼いており、この点で米中の合意がありうるかもしれない。今週のトランプ・習会談に注目しなければならない。
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