アメリカは世界の覇権を回復できるのか?
アメリカはその卓越した軍事力で今も世界の第1の大国で有ることは明らかだが、しかし財政危機の下でオバマ政権は非介入主義へと戦略転換した。現在闘われている大統領選を見ていると2人の候補ともTPPに反対で、トランプ候補に至ってはメキシコの国境に壁を作ると言っている。イスラム教徒の移民を認めないとも言っている。これではアメリカ経済の回復どころか世界恐慌になる可能性は高い。
トランプの政策だと「強いアメリカ」「雇用を守る」どころか、アメリカ経済が縮小再生産にはまり、軍事力を縮小せざるを得ないことになる。トランプの「TPPが雇用を破壊する」との認識に引きずられてクリントンでさえTPPに反対だ。これではアメリカは世界戦略を実行できないということになる。クリントンが勝利できたとしても数年はTPPは比準できないことは確実だ。
中国・イラン・ロシアの地域覇権国が連携しつつ多極化の戦略を展開して来る中で、アメリカが内政重視を続けることは、アメリカの同盟国である日本などは安全保障上の危機に直面することになる。TPPはアメリカの戦略であったのに、大統領選ではアメリカの労働者の雇用を奪うものとして認識され、アメリカ第一主義のトランプが勝利する可能性を高めていることは、アジア・中央アジア・中東の戦略的主導権をアメリカが失うことになることは避けられない。
アメリカの大統領選で戦略が論争されず、低俗なスキャンダルばかり非難し合う低俗な選挙戦は、アメリカが抱える困難が国内の格差拡大で世界の覇権を維持することさえかなわない実態を世界に見せつけた。EUはイギリスの離脱問題で揺れ、北米自由貿易圏はトランプの壁が破壊し、TPPは比準できない。その上ロシアへの経済制裁、中国のバブル崩壊で世界の貿易が大幅に縮小することは避けられず、世界大恐慌の可能性を高めている。
アメリカが世界の覇権を回復する道筋は見えないのが現状なのである。残された道はオバマ政権がTPPを議会に働きかけて任期内に比準する事であるが、レイムダック化した政権にそれができるとも思えないのである。わずかに残る可能性はトランプに反対する共和党の幹部たちが民主党に協力してTPPを比準してしまう事である。これができないと数年はアメリカの覇権回復は難しいと見た方がいい。日本は対米自立を目指した方がいいのである。
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