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中国覇権主義が直面した初めての壁!

国際仲裁裁判所が南シナ海の9段線という中国の囲い込みを判決で否定したことで、中国は「南シナ海問題は2国間の話し合いで」「関係の無い日本は介入するな」として、南シナ海の実効支配に向け大規模な海軍艦船の軍事訓練を繰り返し行い、周辺国を軍事威嚇している。

アメリカとの軍事技術で相当の格差を自覚している中国は、核戦略抑止を確保するには南シナ海を「中国の核心的利益」として周辺国と孤立することを恐れず、南シナ海の内海化を推し進めている。中国政府が「自国の核心的利益」とこれまで位置付けたのは、チベット・新疆ウイグルの地球上最後の植民地と台湾のみであった。

習近平政権が中華思想に基づく中華民族主義を煽り、「中国の夢」を掲げ覇権戦略を持つようになったのは、江沢民派や共青団派との矛盾が激化していることが影響している。南シナ海や東シナ海での軍事的緊張状態は内的矛盾を解決する上で軍の支持を確保することにつながる。つまり中国の強硬な外交は進めている軍組織の改革と関連するだけでなく、党長老との融和を進めるうえでも必要な軍事的緊張状態なのである。

アメリカはこうした南シナ海での軍事的緊張状態を利用してアジアを巨大な軍事市場にした。中国覇権主義にとっての光明はアメリカ大統領選のトランプ候補の「アメリカ第一主義」であり、内向きのアメリカ、という同盟国放棄の外交が、中国覇権主義に大きなチャンスを見出させている。

中国の本来の戦略は、「アジアインフラ投資銀行」を通じてアジア諸国を買収し、経済的うま味をばら撒きながら、他方で軍事的恫喝でアジア諸国を従属化していくことであった。しかしアメリカ海軍が「航海の自由作戦」で中国の横暴を抑止する方向に動いたことで、従属化は今のところ阻止されている。

つまり中国は南シナ海で初めて自分に逆らうアメリカの抵抗を受け、壁にぶつかったのである。問題は夏の北載河の長老などの幹部の会議で中国の覇権戦略が変化するかどうかである。この点に今世界の注目が集まっている。
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