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中国海洋軍事戦略のカナメの南シナ海!

アメリカ海軍の「航行の自由作戦」は暗礁を埋め立てても領土とは認めないことの表明で、今後3カ月に2回の規模で中国海軍の埋め立て基地の12カイリ内を航行することになっている。

これに対し、中国政府は政治ショーだとして表面的には抗議表明にとどめているが、中国海軍は強く反発している。その表れが10月末の日本海でのアメリカの原子力空母「ロナルド・レーガン」に、中国海軍の攻撃型潜水艦が異常接近して挑発したことにしめされている。

南シナ海は中国海洋戦略にとって出撃基地として、また核抑止力としての核ミサイル原潜の安全活動海域として、太平洋・インド洋への進出の鍵となる海域なのである。中国軍の高官がアメリカの太平洋軍の高官に西太平洋の管轄権を中国が、東太平洋の管轄権をアメリカが管理するよう提案したように、中国軍は世界海洋戦略を立てている。

それは南シナ海からインド洋を経て中東・アフリカへの「海のシルクロード」構想であり、それを守るためのインド洋の「真珠の首飾り」と呼ばれる中国海軍艦艇の寄港地であり、中南米を睨んだ500億ドルを投入した「ニカラグア運河」の建設である。この中国海洋戦略はアメリカとの世界覇権の分有を意味しており、中国走資派指導部の野心は経済的現実とかい離して膨れ上がっている。経済がマイナス成長の中で運河建設費の調達も疑問符が付くのである。

この中国海洋戦略の出撃基地であり、核抑止の保証としての南シナ海の内海化なのである。これが中国の南シナ海における「9段線」による海域の囲い込みと基地建設の狙いなのである。もちろん南シナ海の海底油田・ガス田の開発も狙いの一つではあるが、中心は海洋戦略に有ることを見ておくべきである。東シナ海は水深が150メートル前後で比較的浅く、戦略原潜の安全活動海域にはできない。つまり南シナ海は中国海軍の戦略的生命線なのである。

アメリカが南シナ海の暗礁を埋め立てた中国海軍の軍事基地を認めない決意を示したのは、アメリカが覇権の維持を表明したということなのである。オバマ政権は中国との経済的関係を重視して「曖昧戦略」を取ってきたが、周辺国が中国の影響力になびきフインランド化(従属化)しつつある中で敵対の意思を明らかにしたということである。

今後中国政府とは別に中国海軍の反撃の意思がどのように表れるか注目される点である。習近平政権が軍を完全に掌握しているかどうかが分かるであろう。日本が対米従属を続ける限り、米中の覇権争いに巻き込まれる可能性が強まる諸関係ができているのである。
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