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アジアインフラ投資銀行の虚構!

中国福建省で不動産価格の下落の中で損失を小さくするため「売り抜け」の動きが出始めた。本格的なバブル崩壊に備える動きである。中国経済の成長率が低下し始めていたが中国特有の地方政府の粉飾で成長率は未だ7%と言われているが、実際にはマイナス成長の可能性もある。2007年以後中国の債務は7兆4000億ドルから27兆2000億ドルへと約4倍にも増えGDP比で負債が世界最大国の一つとなっている。

中国の不動産投資は「シャド―バンク」が負債を増加させ、しかも多くの投資が「新鬼城」と呼ばれるゴーストタウン化し、この開発の失敗で多額の負債は償還されるあてがない。中国の5大国有銀行の不良債権も去年より21%も増加した。中国の債務の半分が「シャド―バンク」である。中国政府は金融危機を招かないソフトランディングさせるつもりで融資規制を行ったが、これが逆に不動産市況を悪化させたのである。

中国は毛沢東の文革で集団化と全人民所有を推進した。この社会主義的改革で中国では沿海地方以外で工業都市を作ろうとしても失敗する。社会主義改革は資本主義に変質しても成果は無くならず。従って中国経済はアメリカや欧州が期待しても普通の資本主義になるわけがない。しょせん党官僚支配の国家資本主義であり、汚職の蔓延と腐敗構造は経済成長の足かせとなる。すなわち中国は社会主義的足かせと腐敗の足かせで経済成長の制約を受けているのである。

従って中国経済がアメリカを追い越すことなどなく、せいぜい中進国が限界なのである。これを回避するために、最大の債務国がアジアインフラ投資銀行を作りアジア諸国に金を貸すというのだからおかしな話ではある。中国は経済規模の大きい、したがって出資金の大きい、日本とアメリカを加入させて、他人の金で自国の過剰生産設備のはけ口にしようと企んだのである。中国はセメント・鋼材などの建材等が極度に過剰で、その上不動産バブルが起きつつある。

自国の経済危機を緩和するための戦略がアジアインフラ投資銀行であったのだが、日本とアメリカが参加しなかったのが誤算となった。巨額の債務国がアジアのインフラ建設に金を貸すという虚構に騙された欧州諸国は、中国経済の深刻さが理解できていないのである。中国はリーマンショック以降巨額の財政出動で経済を支えてきたが、そのような政策は財政的制約からいつまでも続くものではない。アジアインフラ投資銀行の虚構が露呈する日が迫っていることを指摘しなければならない。
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