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経済学者は声を上げるべきだ!

安倍政権が、日本の経済がデフレになり物価が下がるので、通貨供給を増やしインフレで物価を上げる目標を出している。この場合「物価が下がる」という現象に対して対象療法をしているようなものである。インフルエンザウイルスに感染すると現象として発熱や寒気がする。アベノミクスはこの発熱に解熱剤を飲ませているようなものである。

現象は事物の外部連関をさす。事物の現象形態を研究し本質に迫るのが科学である。もし事物の現象形態と本質が一致するなら科学は必要ないであろう。なぜ物価が下がるのか?個人消費が縮小したことで商品が売れなくなる。売れなくなると値下げしてでも売らねばならない。市場の縮小の下で、資本主義の競争が値下げを呼ぶのである。

本質とは事物の内部連関を指している。なぜ個人消費が縮小したのか、政府が規制緩和を進め、非正規化が進んだことで賃金が下がったこと、労組の家畜化で労働運動が形骸化し賃上げ闘争がなくなったこと、労働者階級の力が減退すると賃金が低下し、分配率は下がることになる。生産拠点の海外への移転も国内産業の空洞化となり、個人消費の縮小となる。こうして個人消費が縮小すると消費財生産分野が打撃を受け、やがて生産財生産分野も縮小する。国民経済が活力を失い縮小することをデフレ経済という。

だからデフレ対策というなら、労働者階級への分配率を上げることが必要なことである。それをするには首相が経済界に賃上げを要請してもダメで、強い労組を必要とする。だからこそGHQ(=米占領軍)は戦後労働改革で、労組を合法化し、労働三権を保障し、不当労働行為を禁じたのである。ところが強欲な企業家は労組を家畜化した。その結果賃金が傾向的に低下した。これがデフレという現象の内部連関(=本質)である。

従ってアベノミクスが間違っていることは明白であるのに、経済学者が声を上げないのはどうしたことであろうか?経済学とは、国民経済の成長・発展を導く学問ではないのか?不思議なことである。権力を批判すると補助金が貰えないから誰も批判しないのなら、それは経済学者にとって自殺に等しいのではないか?科学とは現象から本質に近づき事物の内部連関を解明し、現象すなわち事物の外部連関を解決することであるのだから、経済学者が進んで政府の経済政策の間違いを、間違いであると指摘するべきであろう。

アベノミクスがデフレ対策であるかのように国民を欺瞞し、大企業の輸出分野の利益を増やす為に円安誘導をし、輸入品の値上げを招いているのなら経済学者や野党はアベノミクスの欺瞞を指摘するべきであろう。
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