FC2ブログ

オバマのロシアへの経済戦争は成功するか?

報道によれば、オバマ大統領は今年9月10日、サウジのアブドラ国王と電話協議し、イスラム過激派組織「イスラム国」を封じ込めるため、組織の資金源となっている石油価格引き下げを要請したという。欧州の経済停滞と中国経済の減速で、世界の石油需要が低下している中で、石油輸出国機構は原油の減産をせず、石油価格を意識的に下落させた。

ロシアは外貨収入の7割を石油・天然ガス輸出に依存している。原油価格が大幅に下落するに伴いロシアの通貨ルーブルは暴落し始めた。ロシア中央銀行は政策金利を10.5%から17%に大幅に引き上げたが、金利引き上げ後もルーブルの暴落は続いている。アメリカが意識的に仕掛けているのだから当然である。

オバマはロシアが冬季オリンピックに集中している隙に「ロシアの柔らかい下腹」にあたるウクライナの武装クーデターに成功した。これに激高したプーチンがクリミア半島を併合した。オバマの今回のロシアへの経済戦争はウクライナ経済圏をめぐる企てをプーチンに邪魔された腹いせのようなものである。

ルーブル暴落でロシアは輸入食品等が高騰しインフレとなり、同時に企業や金融機関がドル建ての債務を返済することが困難になる。プーチンがこうしたオバマの経済戦争に屈し、クリミア半島を返還し、工業地帯のウクライナ東部の分離独立派への支援をやめるとも思えない。プーチンの支持率はウクライナ問題で高まり現在80%を超えている。

ロシア国民は同じスラブ人のユーゴスラビアを欧米が分割し、国境線の書き換えをして自分達の勢力圏に組み込んだことを忘れてはいない。欧米のウクライナ取り込みを阻止したプーチンへの支持は強く、オバマのロシア敵視は中国拡張主義に軍事力増強の時間的余裕を与え、ロシアを中国側に押しやるだけであり、日本の国防にとっては戦略的に由々しき事態を生起している。

オバマは近く対ロ経済制裁の強化を可能にする法案に署名する意向だと言われている。この経済制裁がロシアの金融不安を増幅し、その影響が世界市場全体に波及する可能性がある。つまりアメリカのオバマが無分別に仕掛けた対ロシアへの経済戦争が、実はオバマに取って「もろ刃の剣」であることを指摘しておかねばならない。

ロシアには外貨準備がなお4000億ドルを超えている。ロシアの政府債務は国内総生産(GDP)比で10%台にとどまる。プーチンロシア大統領がすぐにも降参するわけがない。オバマの始めたロシアへの経済戦争が、逆に世界の金融不安を高め、世界市場に波及する可能性の方を心配しなければならない。

プダウダが報じたように「オバマはサウジにロシア経済の破壊を持ちかけた」のが事実であるなら、これは危険な冒険主義というしかない。オバマは自ら火を付けたウクライナ問題で、新しい冷戦構造を作り出すつもりなら、それは完全に間違っている。それは中国覇権主義を勇気づけ、ロシアを中国の側に押しやるだけであり、しかも原油価格の暴落はアメリカのシェールガス・シェール原油の採算割れを招くことになる。オバマの原油価格の暴落誘導によるロシアへの経済戦争は自分の上にも災いを招くことになるであろう。

オバマの戦略なき対ロ経済戦争は一層世界経済を混乱に引き込み、再び世界同時金融危機を引き起こしかねないのである。オバマの冒険主義は日本の対ロシア外交と捻じれを生み、アジアにおける日本の軍事的孤立を招く可能性が強い。当分の間アメリカは国内的対立で戦略を持てないまま漂流する。日本は対米自立し、自分の国は自分で守るため対ロシア外交を前進させなければならない。
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

SEO対策:政治