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政府は観光遊覧船の運行管理を全面的に見直せ!

北海道斜里町の知床半島沖で乗客・乗員26人が乗った観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が消息を絶ち多くの犠牲が出た事件は、報道を見る限り起こるべくして起きている。その原因の一つは専門職である船長などの乗組員が、費用価格を切り下げるために、賃金の安い期間雇用(非正規雇用)に置き換えられ、その結果運航する海域に不慣れなものが就航させ安全性が犠牲にされていることだ。これは2016年に長野県軽井沢町で15人が死亡したバス事故と共通している。また事故のKAZUⅠが40年前の船体であること、とりわけ波は穏やかな瀬戸内海用の船体で、外洋に使用していたこと、などは問題である。

さらに言えば事故を起こした運航会社「知床遊覧船」は無線アンテナが折れていて通信ができなかったこと、GPSが使えなかったこと、ゴムボートが備えられていなかったこと、船底に亀裂が入っていたことなど、多くの問題点が指摘されている。また荒天時の出港など運行管理面も問題が指摘されている。

観光船やレストラン船などを運航する「旅客不定期航路事業者」は、全国で560(2021年3月時点)にのぼる。これらすべてが同様の問題を内包しているのであるから、ことは重大である。重大な事故が起きるまで政府が何も手を打たなかったことも問題だ。とりわけ雇用の非正規化、期間雇用化は政府が推奨してきた結果であり責任は重大だ。

国土交通省は、観光船の運航会社への安全管理・運行管理・通信の確保を強化し、あわせてルールの厳格化と罰則強化、とりわけ船長は地元海域に精通した者にのみ就労させる義務を課すべきであり、期間雇用置き換えと、使い捨てを禁止すべきである。単に罰則を強化するだけで済む問題ではないことを指摘したい。
#知床遊覧船事故
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G20で明白になった欧米と中ロの力関係の逆転!

20~22日に開いた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁の会議は、共同声明を出せずに決裂して終わった。ロシアに対する各国の姿勢の違いから共同声明は採択されず、さらにロシア代表者の発言時には、米国のジャネット・イエレン財務長官をはじめ、カナダや英国、ウクライナの代表者が一時退席するなど欧米陣営とロシア中国陣営の対立が明白になった。

ウクライナ情勢について、参加国からは人道的危機および経済的影響に深い懸念が表明され、またウクライナのマルチェンコ財務相は「ロシアは世界経済の疾病だ」と、強い言葉でロシアを非難した。一方、中国の劉昆財政部長は「G20参加国は、世界経済を政治の道具として利用することを避けるべきだ」とし、欧米諸国の姿勢を非難した。

20カ国・地域(G20)のメンバー国ブラジルのフランサ外相は24日、ウクライナに侵攻したロシアをG20から排除する動きが出ていることについて、上院で「ブラジルは反対する」と述べていたため、ロシア排除はできなかった。

あらわになったのは、ロシア問題を巡る日米欧7カ国(G7)と新興国の分断だ。中国、ロシア、インドネシア、ブラジル、アルゼンチン、インドなど主要新興7カ国(E7)の経済力は、中ロ陣営となった中東産油国を含む「アラブ連合」などを加えると逆転する。G7とE7の分断は短期的には対ロ経済制裁の効果を弱め、エネルギーなど資源を握る中ロ陣営が優位となる。戦略的視点で見ても、アメリカと中国の覇権争いの力関係を大きく逆転させるものだ。バイデンの戦略的失敗は明らかだ。

これはアメリカの進めるウクライナ戦争の欺瞞的プロパガンダが、新興国に浸透していないことを示している。そこにはアメリカが2014年にウクライナのネオナチ勢力に金と傭兵を送り込み、グーデターでかいらい政権をでっちあげ、以後親ロシア派を弾圧してきたことが広く知られており、ロシアのプーチンは当時から怒りを表明してきたこと、つまり突然ロシア軍がウクライナを侵略したわけではないことが明らかであるからだ。

しかも欧米マスコミが、ロシア軍の悪逆非道を宣伝すればするほど、世界中で戦後アメリカが繰り広げてきた戦争で、多くの民衆を虐殺してきた戦争犯罪は問題にもされなかったことへの反発が浮上し拡大する。ウクライナの避難民が優遇されればされるほど、中東の戦争避難民が受けた冷遇が思い起こされ、欧米の欺瞞的二重基準が反発を呼ぶのである。

バイデン米大統領は、国内で高騰するガソリン価格で、支持率は相も変わらず低い。バイデンがいくら「ロシアが引き起こした物価高」を強調しても、アメリカ国民は2014年以後のウクライナで、バイデン親子が高額な利権を漁ったことは広く知られているのである。ゆえにバイデンは秋の中間選挙に向けて欧州での戦争を拡大、持続しなければならない。しかし欧米陣営と中ロ陣営の力関係はもはや逆転し、頼みの経済制裁も逆に欧州が甚大な打撃を受けることになる。

日本政府は、こうした経済的力関係の逆転が見えていないので、盛んにアメリカにゴマをすって対ロシア制裁に狂奔しているさまは、愚かとしか言いようがない。まるで第2次世界大戦前に、欧州の政治情勢を正しく分析できず、三国同盟で亡国の危機をまねいた時と同じに見えるのである。
#ウクライナ戦争が招いた戦略的変化

習近平ファシスト政権のソロモン軍事拠点化の狙い

南太平洋のガダルカナル島は、アメリカとオーストラリアを結ぶシーレーン(海上交通路)に位置する。つまりガダルカナルは地政学的要衝で、第二次世界大戦の太平洋戦線の勝敗の分岐点となった激戦地である。このソロモン諸島に世界支配をもくろむ中国が軍事拠点化をすすめている。

報道によると、ガダルカナル島に首都を置くソロモン諸島と中国が署名した安全保障協定はオーストラリアやニュージランド政府に衝撃を与えた。両国は安全保障協定の詳細を明らかにしていないが、3月にSNSに流出した草案とされる文書は、周辺国にとって衝撃的な内容だった。あたかもソロモン諸島が主権を中国に譲り渡すかのような権限を認めている内容だったからだ。

報道されている流出文書によると(1)中国はその必要に応じて、ソロモン諸島に艦船を寄港させ、補給を行うことができる。中国側の人員や事業の安全を守るために武力を行使できる(2)ソロモン諸島は、社会秩序の維持や人命・財産の保護などのために、中国側に警察や武装警察、軍人の派遣を要請できる(3)ソロモン諸島は中国側の任務のために情報・補給上の支援を行い、職員の裁判権免除を認める-などと規定している、と報じられている。

まるで前世紀の帝国主義の植民地主義のやり口を見るような内容だが、それが習近平ファシスト政権であれば、極めて真実性が高いのである。それはスリランカやパキスタン政府への「債務の罠」の悪質な手口での軍港確保の手口を見れば、この報道は真実と思わざるを得ないのである。

戦略的に見れば中国の海上覇権上の地政学的弱点は、日本列島からフィリピン、インドネシアの各海峡を封鎖されると、中国海軍は東シナ海と南シナ海に封じ込められ、太平洋とインド洋における軍事活動ができなくなることだ。中国海軍にとって、太平洋とインド洋の補給拠点はぜひとも確保しなければならないのである。

中国海軍は中期戦略目標として西太平洋からインド洋の海上覇権確立を目指しており、そのためにはアメリカの軍事拠点グアムを無力化しなければならない。また日本やオーストラリアの海上輸送海域を軍事封鎖するうえでも、ソロモンの補給拠点化は極めて重要な軍事的価値を持つと同時に、それは習近平の野心の大きさを示すものである。

アメリカ政府のアジア政策を統括する高官らが、最近南太平洋のソロモン諸島を訪れ、ソロモン諸島と中国が結んだ安全保障に関する協定について、直接、懸念を伝えるとともに、中国軍の恒久的な駐留などに向けた措置がとられた場合、しかるべき対応をとると警告したのはアメリカが戦略的重要性を認識しているからなのである。

重要なことは、世界覇権をめぐり米中超大国が戦略的軍事拠点づくりの局面に突入していることである。中国の中期戦略目標は、アメリカとの世界覇権の分有であり、戦争に至らないだけの核戦力と海軍力の整備である。台湾を含む経済成長著しいアジアの軍事覇権を確立することは、「中国の夢」である世界覇権につながる中期戦略目標なのである。太平洋諸国は、習近平の軍事拠点づくりに警戒しなければならない。
#世界覇権 #中国覇権主義

アメリカの外人部隊が支えるウクライナ軍

4月24日付ネット記事によると、4月下旬にキーウ(キエフ)で朝日新聞の取材に、ウクライナで活動する外人部隊の「ジョージア部隊」の司令官マムカ・マムラシュウィリ氏が応じた。その記事によると「ジョージア部隊」は2014年4月22日からウクライナで活動してきたこと、2016年にウクライナ正規軍に組み込まれたという。「ジョージア部隊」は結成時はジョージア出身者の傭兵部隊だったが、ロシア侵攻後様々な外国人を受け入れ、ウクライナで最大の外人部隊となったという。一説によるとアメリカの傭兵会社の部隊が1万2000人ウクライナに派兵されているとの情報もある。

つまり2014年のウクライナでのクーデターは、当時からアメリカのCIAがドルを段ボールに詰めてウクライナの極右に送ったことが知られていたが、アメリカは傭兵も送り込んでいたのである。このクーデターで当時親ロシア派のヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領が失脚し、隣国ロシアへ亡命することになった。このクーデターは、ロシアの猛反発を招き、ウクライナ領のクリミア半島のロシアによる併合と親露派武装勢力によるドンバス地方に於ける戦争の勃発をはじめ、クリミア危機・ウクライナ東部紛争へとつながっていった。 つまりウクライナは2014年からアメリカのかいらい国だということだ。

報道によると、ウォレス英国防相は25日、ウクライナ侵攻後のロシア軍の戦死者が約1万5千人に上るとの見方を示した。英下院で報告した。少なくとも530台の戦車を含む2千台以上の装甲車を失い「目標のほぼ全てにおいてロシアは失敗している」と述べた。つまりロシア軍は情報戦にのせられてウクライナに侵攻し、待ち構えていたアメリカの傭兵部隊に携帯ミサイル「ジャべリン」でボコボコにされたということだ。

この戦争の、アメリカの戦略目標はプーチン大統領の失脚だが、プーチンは敗北を糊塗するためにウクライナ東部の「ドンバス解放」で戦争を終わらせようとしているように見える。アメリカや親米派諸国が軍事援助でプーチンの狙いを挫こうとしているのが現在の局面である。この戦争でアメリカは穀物、原油、天然ガス、武器が高値で飛ぶように売れ、経済が好況となり、バイデンの中間選挙での勝利もめどが立った。

しかしアメリカの計算違いはいくつかある。その一つがロシアはプーチンが倒れても、元官僚どもの別の独裁政権が生まれるだけで、普通の資本主義にはなりえないこと、その二つは、中東諸国が親ロシア・中国側に回り、原油などの資源の高騰が続くことである。またプーチン政権が倒れず、戦争が拡大する危険もある。

ロシアのラブロフ外相は、アメリカとソ連が核戦争の手前まで行ったとされる1962年の「キューバ危機」時は、米ソ指導部の間に対話のチャンネルが存在したが今はないと指摘し、第3次大戦が起きる可能性は「十分にあり、過小評価すべきではない」と述べている。また同外相は「(ロシアは)リスクを人工的にあおりたくないが、そうでない国も多い」と主張し、ウクライナに武器を支援し続ける欧米側を暗に批判した。プーチンは「経済制裁は宣戦布告とみなす」と語っている。ヨーロッパ全域に戦争が拡大する危険は増しているのである。

アメリカ経済は好況が約束されているが、欧米や日本、中国はコロナ禍とウクライナ戦争による物価高で大不況になる可能性がある。また発展途上国は穀物の値上がりで暴動が起きるほど内的矛盾が拡大している。戦争の火種は全世界に拡大しているのである。バイデンの「火遊び」とプーチンの「怒り」が第3次世界大戦の危険性を高めている。
#アメリカの傭兵「ジョージア部隊」

誰が第3次世界大戦を画策しているのか?

冷戦時代、旧ソ連がアメリカの「柔らかい下腹」に当たるキューバに核ミサイルを配備しようとしたとき、当時のケネディ大統領は軍事力でこれを阻止した。今回はそのアメリカがロシアの「柔らかい下腹」に当たるウクライナを北大西洋条約機構(NATO)に加盟させようとしてロシアを挑発し戦火に火をつけた。

ロシアによるウクライナ侵攻は北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大を巡る対立が一つの引き金になった。結果冷戦崩壊から30年あまりを経て、欧州で3度目の激しい戦争が続くこととなった。ロシアのウクライナ侵攻を誘い、欧州を戦乱に巻き込むことはバイデンの計算ずくであった。アメリカはウクライナ戦争で自国産の穀物、原油、天然ガス、兵器が約2倍の価格で飛ぶように売れ、空前の好景気となった。

バイデンのアメリカが今考えているのは秋の中間選挙までいかに欧州の戦争を持続させるのか?いかに戦乱を拡大するのか?ということだ。アメリカという国は欧州の大戦が起きるたびに経済大国となった。自国が戦場にならないのだから、自国の穀物、原油、天然ガス、そして何より軍需産業が潤う戦争は、アメリカにとって「福音」なのである。
アメリカのブリンケン国務長官とオースティン国防長官が24日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を訪れ、ゼレンスキー大統領と会談したのは、戦争を長引かせるための軍事援助が目的なのだ。

ウクライナの戦争の余波で、スエーデンやフィンランドにNATO加盟を促しているが、これは欧州に戦乱を拡大するためである。NATOの基地をロシアは隣国に認めないであろう。アメリカのかいらいであるゼレンスキー大統領が「ウクライナは始まりに過ぎない、ロシアは次の侵略を考えている」と語っている。アメリカが欧州の戦乱を拡大しようと画策していることは疑いないことだ。

アメリカが欧州の平和を維持しようとするなら、ロシアと国境を接する緩衝地帯を維持すべきだ。中国との間に北朝鮮という緩衝地帯を維持したように、戦略的にロシアを追い詰めると第3次世界大戦を招くことになりかねない。スエーデンやフィンランドやウクライナは中間地帯(=緩衝地帯)として中立を維持したほうがいい。しかし欧州に戦乱を招きたいアメリカはあくまでもロシアを追い詰め、挑発している。危険この上ないことだ。

バイデンの最大の誤算は、産油国を含む中東全体がロシア、中国連合の方に付いたことだ。資源輸出国の大半が反欧米陣営の側に回ったことは、戦略的にはアメリカが不利になったことを示している。アラブの人たちは「今ウクライナで起きていることは中東でこれまで起きたことではないか、アメリカの戦争犯罪は裁かれないのか?」と問いかけているのである。

アジアの諸国はバイデンの愚策で3正面に敵を持つことになった。反中国のインドまでロシアの側に追いやることになった。とりわけ日本の安全保障は危機に直面することになった。自民党は防衛予算を5年間で二倍にする方針を決めたが、問題は日本の防衛をアメリカに頼る危険である。軍需産業国家のアメリカは、自国の経済的利益のために同盟国のウクライナを「捨て駒」にしたように、日本も「捨て駒」にされる可能性がある。対米自立で武装中立が正しい国防戦略ではないのか?自公の国防のアメリカ依存は「亡国の道」ではないのか?全国民が考える時が来ている。
#日本の国防戦略

自民党安全保障調査会のお粗末な議論!

新聞報道によると、自民党の安全保障調査会(小野寺五典会長)は21日の会合で、防衛力強化に向けた政府への提言案を了承した。相手のミサイル発射拠点をたたく長距離ミサイル保持の「敵基地攻撃能力」について「物騒な印象を弱められる」として「反撃能力」へ改称したうえで、保有するよう提唱した。
反撃する対象は相手国の基地だけでなく「指揮統制機能」を含めるべきだと提起した。発射を指示する司令部などが想定される。従来の「敵基地攻撃能力」には「先制攻撃と誤解される」と公明党から懸念が示されていたことも影響した。

中国の軍事力増強やロシアによるウクライナ侵攻を踏まえ、国内総生産(GDP)比で1%ほどを目安にしてきた防衛費の増額も主張した。北大西洋条約機構(NATO)が加盟国に求める2%以上を目標に「5年以内に防衛力を抜本的に強化するために必要な予算水準の達成を目指す」としている。提言案は防衛計画の大綱をアメリカと同じ名称の「国家防衛戦略」に、中期防衛力整備計画(中期防)は「防衛力整備計画」へ名称変更するよう提案した。計画は安保環境の変化に応じて随時見直せるようにする、という。

あきれるのは自民党の安全保障調査会が、対米自立もしていないのに「国家防衛戦略」と名称変更したり、「敵基地攻撃能力」について「物騒」だというので「反撃能力」に名称を変えたことだ。まるで言葉の遊びだ。反撃する対象に敵国の「指揮統制機能」を含めるべき、というが、日本の敵は中国・ロシア・北朝鮮と核保有国ばかりだ。核兵器も持たない日本が敵国の「指揮統制機能」を攻撃できるわけがない。

防衛予算をGDP1%から2%(5兆円を10兆円に)5年で倍増するなら、核兵器を持つのが最も安上がりだ。核兵器は1兆円で1年で開発できる。核兵器は持たない相手には使える兵器であり、中国・ロシアが核兵器を持っているので、アメリカがウクライナを見捨てたように、日本防衛の義務を果たすとは思えない。

とりわけ日本の主敵となる習近平ファシスト政権は、自国国民に反日教育を行い、武力による世界支配を隠そうともしていない。自民党安全保障調査会の言葉の遊びが通じる相手ではない。日本が本気で敵国の「指揮統制機能」を攻撃するのなら核兵器を保持し、全国に地下セルターを作り、最先端兵器で武装し、侵略に備えなければならない。自民党の安全保障調査会の議論は、本音でアメリカに依存した甘えがあり、それゆえ「物騒な印象を弱められる」と名称を変えるお粗末極まりない議論がなされているのである。
#自民党の安全保障調査会

ロシア支持の広がりで裏目に出た経済制裁!

3月15日付けの米ウォール・ストリート・ジャーナルは「サウジアラビアと中国が石油取引の一部を人民元建てで行うことを協議している」と報じた。サウジアラビアはこの6年間、中国と人民元建ての石油取引について協議してきたが、今年に入り、同盟関係にあるアメリカへの安全保障面での不信感を背景に協議を加速しているという。これが実現すれば、世界の石油取引で支配的だった米ドルの影響力が低下することは間違いない。

ウォール・ストリート・ジャーナルは8日にも、サウジアラビアのムハンマド皇太子とアラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド皇太子はこの数週間、アメリカ政府から「バイデン大統領との会談を求められたが、いずれも拒否した」と報じていた。サウジアラビアとUAEの両皇太子はバイデン大統領との会談を拒否した後、ロシアのプーチン大統領と電話で会談している。

バイデン大統領は原油の増産を求めて両国の首脳との電話会談も模索したものの、実現しなかったという。アメリカ政府は8日にロシア産原油の輸入禁止を発表したのにもかかわらず、サウジアラビアとUAEはOPECプラス(OPECとロシアなどの大産油国で構成)での連携を維持すると強調している。

欧米の対ロシア経済制裁でロシアのドル資産が凍結されたことは、中東諸国にとってけっして他人事ではなく、産油国がドル依存からの脱却を図る動きを加速させている。欧米諸国は避難するウクライナ人に対して門戸を喜んで開放しているが、かつてシリアからの難民が流入した際、冷たい態度をとったことを中東の人々は覚えている。

中東地域の人々の間ではウクライナで起きていることはこれまで中東で起きたことと同じだ、との欧米のダブルスタンダードへの不満が生じている。「外国への侵攻」という意味では米軍のイラク侵攻も同じだが、「国際社会はアメリカに制裁を科したのか」、「侵攻された側を支援したのか」との強い怒りが、中東では湧き上がっているという。
ウクライナ戦争で「ロシアが国際的に孤立する」との論調が西側で強まっているが、ロシア支持は逆に広がりを見せている。中東、インド、アルゼンチンなどロシア・中国連合支持は資源国に圧倒的に多い。

サウジやアラブ首長国連邦は国連のロシア制裁や非難に棄権した。ムハマンド皇太子が、エジプトの大統領とイスラエルの首相と会談し、アメリカの進めるイラン核合意をつぶす話し合いをした、ことも報じられている。アメリカとサウジの関係は決定的で、サウジの皇太子がサウジ人記者の殺害を指示した事件でバイデンが「彼とは話をしない」としているため、アメリカはサウジとの関係を改善するすべがない。

つまりウクライナ問題での対ロシア経済制裁が長引けば、打撃を受けるのは欧州や日本などの方であり、世界の分割はバイデンの戦略的失敗であることが明らかとなっている。しかし秋の中間選挙対策としては、アメリカの穀物、原油、天然ガス、兵器市場の特需は大きく、バイデンはロシアをウクライナ侵攻に誘い込んだことで、国内的には成功したのである。
#対ロシア経済制裁

バイデンの世界の分割と戦争の拡大は危険!

バイデン政権は、ウクライナのかいらい政権を使い、情報戦でロシアをウクライナ侵攻に誘い込み、ヨーロッパに新たに対立を生み出した。これはユーロ圏がロシアにまで拡大することを阻止し、ドル支配を維持すること、さらには戦争特需を生み出す狙いがあった。アメリカ政府が圧力をかけて、欧州各国に中立を許さず、どちらの側につくのか迫っている。スエーデンやフィンランドにNATO加盟を促しているのは、ロシアを挑発し、戦争を拡大しようとしているのだ。

バイデン米政権がウクライナに侵攻したロシアへの制裁に加わらない中国やインドへの圧力を強めている。中印との間で運航したロシアの航空会社3社に罰則を科した。中国やインドの企業がこの3社を含むロシア行きの航空機に給油などのサービスを提供した場合、罰則を科すことも辞さない構えだ。

バイデン政権がウクライナ戦争を拡大しようとしているのは、秋の中間選挙までアメリカの戦争特需を維持するためである。つまり選挙対策なのだ。戦略的視点から見ればロシアを中国側に追いやることは、アメリカが戦略的に不利になることであるが、支持率の低下には我慢できなかったようだ。

アメリカの対ロシア経済制裁で打撃を受けるのは欧州と日本、発展途上国だけだ。アメリカは穀物、石油、天然ガス、武器が飛ぶように売れて、巨額の利益を上げている。資源が高く売れているロシアも打撃はあまり受けない。ウクライナとロシアは多くの犠牲を伴う消耗戦を強いられることになる。中国は棚からぼた餅で、戦略的優位を得た。理不尽な話だ。

自己の経済的利益のために戦争拡大を画策するアメリカは、超大国だけに始末に負えない。バイデンはボケが始まっているといわれているが、食えない「ボケ老人」なのだ。同盟国を「捨て駒」にするアメリカのバイデン政権に、日本の防衛を任せていいのか?という疑問がわいてくる。

世界は、グローバル化で平和と繁栄が続いていたのを、バイデンの陰謀がぶち壊したのである。世界を2分割したことで、今後世界は大軍拡競争が始まる。世界的な大不況が避けられない。下手をすると第3次世界大戦さえ起きるかもしれない。世界の分割は、アメリカの相対的弱体化に拍車をかけるであろう。世界を新しい冷戦に巻き込むことになりそうだ。
#米の戦争特需の持つ意味

誰がウクライナ戦争で利益を獲得したのか?

月刊誌「選択」4月号は「戦争でぼろ儲けの米国」副題を、「バイデンロシア制裁の本性」とするこの記事は、アメリカ産業界が戦争特需に沸いていることを報じている。

この記事によると、アメリカのテキサス州がシェールガス・オイル契機に沸き立っている。またオハイオ州など中西部の穀倉地帯も穀物輸出でウクライナ特需が生まれている。アメリカの液化天然ガス(GNG)の輸出は世界トップに躍り出た。

穀物やエネルギーだけではない。ウクライナ戦争でアメリカ製の武器、対戦車携帯ミサイル「シャベリン」や対空携帯ミサイル「ステンガー」の威力が示され、製造が間に合わないほど受注が増えている。つまりアメリカはウクライナ戦争で巨大な特需を獲得したのである。兵器のデジタル化で遅れているロシア製兵器の後進性がウクライナ戦争で暴露されたことで、世界の兵器市場を二分していたアメリカとロシアの兵器競争は、アメリカの全面勝利となった。

世界の穀物生産高の3割を占めるウクライナとロシアから穀物が世界市場に流れなくなったことで、今アメリカ産小麦や大豆の注文が世界中から殺到しているという。穀物の高騰で、前年の1.8倍の価格で飛ぶように売れるのであるからアメリカの穀物企業は「過去最高水準の利幅」だという。

2014年~15年にサウジとロシアが仕掛けた大増産で、アメリカのシェール企業が多く潰れたが、それが対ロシア制裁とコロナ後の経済復興で原油価格が1バーレル100ドルを超え、アメリカのシェール企業は息を吹く返し、欧州からの長期契約を次々獲得して、ぼろ儲けしているというのだ。

アメリカの油田・ガス田開発会社ベーカー・ヒューズ、ハリバートン、シュルンべルジェの3社は、ロシアで契約している事業を制裁下でも継続することをアメリカ政府は承認した。アメリカ政府が対ロシア制裁で欧州諸国にロシア産原油や天然ガスを買うなと圧力をかけているのは自分がぼろ儲けするためなのだ。
* * *
こう見てくると、アメリカが自らのかいらい政権であるウクライナ政府に「NATO加盟」でロシア政府を挑発させて、ロシア軍を侵攻させた狙いが見えてくる。プーチンはアメリカの陰謀にまんまと乗せられたのである。秋の中間選挙を前にウクライナを「捨て駒」にして、一気に経済を好転させたバイデン政権は、支持率低迷から一気に息を吹き返したといえる。

ウクライナ戦争は、ロシア軍のデジタル化の遅れ、航空機、戦車、歩兵、ミサイル部隊の総合運用面・戦術面での弱体が明らかになり、もはや第2次世界大戦時の闘い方が通用する時代でないことも明らかとなった。

バイデン政権は中間選挙勝利に向けて、アメリカの経済再建ではうまく特需を作り上げたが、欧州、特にフランスとドイツへのアメリカへの強い不信を抱かせた点は、戦略面でのマイナスであり、その影響は大きい。世界の多極化は止められそうもない。

戦争の時代には誰が最初に攻撃したかではなく、誰が何の目的で戦争を仕組んだかを見なければならないことを、世界の政治指導者は心得ておかねば、プーチンのように戦争の罠にはまることになる。
#アメリカの戦争特需

習近平禍で中国からの資本の引き上げの事態

中国は、秋に開催予定の党大会(中国共産党第20回大会)を控えており、習近平は3期目を目指している。通常、政治的に重要な年は経済運営面でなにより安定が重視されるのが中国だが、習近平は「ゼロ・コロナ」戦略による都市封鎖を図る強硬策をとっている。

2021年後半以降の中国の低成長は、一部の地域において新型コロナウイルスの感染が広がり、これを抑えるために政府が経済活動への制限を強化したことを反映している。中でも、1,300万人の人口を有する西安は12月23日から1ヵ月にわたって都市封鎖が実施され、天津、寧波、深圳といった主要都市においても、一部の工場や港湾施設の閉鎖が相次いだ。中国のゼロコロナ政策は、コロナ禍ではなく習近平禍と呼ばれる事態なのである。

長春は一カ月を超えるロックダウンが続き、上海も封鎖が続く。超大型工場を持つテスラから巨大リゾートを展開するディズニーまで、多くの多国籍企業が上海を拠点にしている。しかし、人口2600万人超の上海で、ロックダウンの措置を次々と実施し、ふだんは活気あふれる上海の金融センターが、停止状態に陥っている。

世界銀行が中国の今年の経済率成長の予想を4月5日の段階で5.4%から5%に引き下げたが、同時に、このまま新型コロナ感染の影響が継続すれば、これが4%代にまで低下する可能性にも言及した。

オランダのING銀行が4月頭に出したリポートでは、かりに上海で目下のような封鎖が4月中続いたとするとその経済損失は上海全体のGDPの6%、中国全体のGDPの2%に相当するとの予測を出している。上海市の半導体の工場は、封鎖管理方式と言う従業員を工場内から一歩も出さない形の稼働を継続している。しかしアメリカや日本、台湾の企業の工場が停止しており、当然輸出も止まっている。

今年1月の中国への直接投資額(FDI)は前年同期比11.6%増だが、前月比では2.7 %減の1022.8億元。別の金融機関が発表した2月のFDI前月比19.8%減と急激に減少している。中央国債登記所のデータによれば、2022年2月の国外投資者保有の中国国債は354億元減少し、2021年3月以来初めての減少に転じた。

国盛証券の株式市場流動性月報によれば、外国の機関投資家と個人投資家が購入した中国内企業株額は昨年12月は正味890億元だったのが、1月には168億元に減り、2月には40億減にまで減っている。ウォールストリートジャーナルによれば、3月1日から24日までの間で、外国投資家たちが投げ売りした中国国内企業株は95億ドルで、これは2020年3月以来、最大の外資流出月となった。

エネルギー、資源価格の値上がりも中国には打撃となる。中国政府の権力的価値規定で国内市場への値上げの全面波及が緩和されるとはいえ、それも限界がある。
今の中国経済はこうして習近平禍で需要の収縮と工場の停止の上にウクライナ戦争の経済制裁で中国経済の最大の貿易相手先が欧州であることから、先行きへの暗雲もあり外国資本の引き上げが始まっている。この中国からの資金流出は空前のものだが、それはウクライナ問題でロシアに協調していることへのリスクも影響している。

11月に人事の党大会を控える習近平には、コロナブーメランで都市封鎖の強硬措置が経済的打撃となり、資源価格の上昇もあり、外資の流出、経済の低迷は避けられなくなった。
#中国経済

ウクライナ戦争を拡大すべきではない!

アメリカが呼びかけている対ロシアへの経済制裁は、戦争を拡大する可能性を一段と強めている。プーチン大統領は10日、ロシアから撤退を決めた外国企業の資産国有化方針を了承した。プーチンは経済制裁は宣戦布告と同じだと語ったことがある。戦争プロパガンダに騙されて経済制裁に参加すれば報復を招くことが多いのである。

米ウォールストリート・ジャーナルは13日、ロシアの検察当局が現地に進出する欧米企業に対して、政権を批判する経営者の逮捕や、撤退した場合に資産没収を行うと警告していると報じている。既に米ファストフード大手マクドナルドを含む個別企業や経営者らにロシア当局が警告したとしている。

ウクライナには国軍と極右の二つの部隊がある。このうちの極右の部隊にはアメリカの傭兵会社が派遣している兵士が多数いるといわれている。ウクライナのキエフからロシア軍が撤退したあと、どちらの部隊が虐殺したのかもわからないのに、うかつに宣伝にのせられてはいけない。戦争プロパガンダに騙されてはいけないのである。

スウェーデンやフィンランドをNATOに加盟させようとしているが、これ以上NATO拡大をすればロシアを刺激するだけだ。また欧州に対立を持ち込み、欧州経済を破たんさせるというバイデンの狙いにのせられるだけなのだ。ウクライナ政府(=米のかいらい政権)のプロパガンダに騙されて、軍事援助を強化しプーチンを追い詰めすぎると、ロシアは得意の焦土戦術に出る可能性がある。独裁国家の戦前の日本が、アメリカの経済制裁で真珠湾攻撃に踏み込んだように、独裁国家のロシアがウクライナにNATOの基地を作らせないために核兵器を使用することもありうるのである。核兵器は保有していない相手には使える兵器なのだ。

アメリカの中央情報局(CIA)のバーンズ長官は14日、ウクライナ侵攻で苦戦するロシアが戦局を一変させるために戦術核や低出力核兵器を使用する可能性を「軽視すべきではない」と警告したのは、その可能性が高まっているからである。

欧州での戦争の拡大は、軍需産業の国アメリカには莫大な利益となる。それはアメリカの覇権の回復につながるかもしれない。とりわけ今年11月に中間選挙のあるアメリカのバイデン大統領には、ウクライナ戦争の長期化と拡大は、願ってもないことなのだ。それゆえアメリカはウクライナへの軍事援助を拡大している。バイデンの狙いはプーチンの失脚だが、それは危険な火遊びというべきである。戦争の拡大の陰謀を阻止すべきである。
日本政府はいつもアメリカ言いなりだが、戦争の拡大には反対であることをキチンと表明すべきである。
#ウクライナ侵攻

在日米軍経費が過去最大8242億円に!

4月10日付しんぶん赤旗で、日本政府が2021年度に計上した在日米軍関係経費の総額が8242億円と過去最大になったことが報じられている。これは日本共産党の赤嶺国会議員の開示請求で、防衛省から提出された資料で明らかとなったという。

日米地位協定では米軍駐留経費について、土地の賃料などを除いて、すべての経費はアメリカが負担することとなっている。しかしアメリカの財政赤字を理由に1987年に特別協定を結び、日本ではこれを「思いやり予算」(アメリカ政府はこれを「米軍基地受入国負担」という)を結んでから次々と拡大した。今では日本の方が財政赤字がアメリカの2倍も深刻なのに、おかしな話である。

米軍訓練移転費から、在日米軍再編経費2044億円、SACO関係経費144億円など支払い義務がない負担が次々追加され、昨年度は8242億円に増え、今年1月には日米両政府は新たな思いやり予算特別協定に署名し、今後負担は1086億円増の1兆556億円に増えるという。

日本政府はアメリカ軍を国内において置けば他国から侵略されない、との理屈で「思いやり予算」を増やしているのだが、別の側面から見ると、これはアメリカ政府による日本の国家予算の分捕りでもある。アメリカ政府は米軍部隊をアメリカ本土に置いておくよりも安上がりなので、おいているだけであり、日本を防衛するためではない。

アメリカは最近アフガニスタン、ウクライナと同盟国を見殺しにした。アメリカが有事に日本から逃げ出す可能性は高いのである。年間1兆円もあてにならない在日米軍に負担するのなら、1兆円で核武装した方が安上がりだ。対米従属はすでに安上がり防衛ではなく、もはや高いものにつくのである。

日本は対米自立し、自分の国は自分の力で防衛しなければならない。他力本願や、「憲法9条は日本の宝」という観念的平和主義では国防は危うい時代なのである。ウクライナで戦争が起きていることの戦略的意味を深刻に理解すべきなのである。日本共産党は「思いやり予算」を批判するが、対米自立だけは言わない。武装中立、対米自立へと綱領を変えるべきであろう。非武装中立では無責任な亡国路線であり、政権を取れないことは明らかだ。
# 思いやり予算

中国からの空前の資金流出の理由

中国から投資マネーが流出する動きが出ている。2月には海外投資家による中国債券の保有残高が約3年ぶりに減少に転じ、世界の主要金融機関が加盟する国際組織が「規模と激しさから見て、空前の資金流出」と指摘した。

中国誌の財新(電子版)によると、2月末時点で海外の機関投資家が管理を委託する中国債権の残高は3兆6665億元(約71兆4000億円)で、1月末と比べて670億元(約1兆3000億円)減少した。中国の銀行間債券市場の証券決済機関である中央国債登記結算(CCDC)のデータによるもので、保有残高が前月比で減るのは2018年11月以降で初めてという。

米ブルームバーグ通信によると、国際金融協会(IIF)は3月24日に出したリポートで「規模と激しさから見て、中国の資金流出は空前のものだ」と異変を強調。中国以外の新興市場では見られない動きだという。財新は、3月も中国からの資金流出が続いたというデータを伝えている。

世界市場に新興・途上国の債務不履行(デフォルト)危機が忍び寄ってきた。新型コロナウイルス禍に加えて、ウクライナ危機の余波で資源と穀物価格が高騰し、米利上げと景気リスクが一気に強まり、世界銀行は12カ国前後が1年以内にデフォルトに陥る可能性があると警告している。デフォルトで打撃を受ける最大の貸し手国は中国なのだ。

ロシアのウクライナ侵攻に巻き込まれる形で、対ロシア経済制裁は「諸刃の剣」であり、中国の最大の貿易相手国が経済的打撃の大きい欧州であることも資金流出の理由であろう。またロシアとの関係が強い中国も、米欧の制裁対象となるリスクも警戒され、中国経済をめぐる先行きのリスクへの懸念材料となっている。

中国経済が景気停滞と物価高の二重苦に陥っていることもある。中国国家統計局が11日発表した3月の卸売物価指数(PPI)は前年同月比8.3%上昇し、中でも石炭や石油は約5割上昇した。電子機器の受託製造サービス(EMS)で世界2位の台湾・和碩聯合科技(ペガトロン)は12日、中国での新型コロナウイルス感染拡大を受け、同国の主力2工場の稼働を停止したと発表した。新型コロナウイルス対応の厳格な移動制限で中国景気は停滞感を強めている。ウクライナ情勢緊迫化に伴う資源高が、企業収益を一段と悪化させ、家計の節約志向も強めている。

ウクライナ情勢の緊迫化に伴う世界的な資源高をうけ、石油や石炭価格高騰が中国のPPIを押し上げた。また上海でのコロナによる都市封鎖の影響もあり、失業者も増えており、中国汽車工業協会が11日発表した3月の新車販売台数は、前年同月比11.7%減の223万台だった。物価上昇とコロナで中国国内経済の先行きも暗い。
11月に人事の党大会を控える習近平主席には困難な事態である。
#中国から空前の資金流出

ウクライナ侵攻に呼応する動きに警戒せよ!

北朝鮮の相次ぐ大陸間弾道弾の発射実験は、明らかにロシアのウクライナ侵攻に呼応するもので、近く核実験も行うとみられている。アメリカ海軍は日本海に5年ぶりに空母打撃群を入れて海上自衛隊と演習している。また日本の北方領土ではロシア軍の軍事演習も始まっている。

また4月12日午前、沖縄県の尖閣諸島の沖合で中国海警局の船4隻が日本の領海に侵入した。海上保安本部はただちに領海から出るよう警告を続けています。第11管区海上保安本部によると、日本の領海のすぐ外側にある接続水域を航行していた中国海警局の船4隻が、12日午前9時45分ごろから午前10時すぎまでに相次いで尖閣諸島の久場島の沖合から日本の領海に侵入した。午前10時20分現在、4隻は久場島の東およそ16キロから19キロの日本の領海内を航行しているという。

また報道によると、中国で「祖国統一法」制定を求める意見が出ている。これは台湾独立に反対するだけでなく、台湾統一のプロセスを促進するためであり、台湾独立を狙う蔡英文政権に対する圧力を強化し、侵攻する狙いがあるとみられる。ロシア軍のウクライナ侵攻を機に「中国も台湾への武力行使に踏み切るのではないか」との見方も出てくる。

中国は14か国に国境を接している。しかもそのほとんどと国境問題を抱えている。インド、ブータンには実際に軍事侵略している。ロシアのプーチン大統領はウクライナ侵攻直前の2月4日に中国を訪問し、習近平と共同声明に署名している。

この声明文の中にはプーチンが求めた「NATOのこれ以上の拡大に反対する」との文言が入れられ、また習近平が求めた「両国の友情に限界はなく、協力するうえで禁じられた分野はない」との文言も入っている。これは明らかに戦争を前にした戦略的同盟といえるものである。

ロシアと中国は戦略的同盟関係を結んだと見てよく、アメリカが中国の先端産業での競争相手として、覇権争いをしている最中にウクライナで戦争が起き、続いてアジアでの連携した動きは、明らかに呼応したものと見るべきであろう。
北朝鮮の挑発的ミサイル実験や、尖閣諸島での中国海警局公船4隻の日本領海侵犯は、ウクライナ戦争に呼応した動きであり、アジア諸国は警戒を強めるべきである。とりわけ台湾と日本は習近平ファシスト政権の巨大な軍事力に直面する。ちようどウクライナと同じ位置に相当する。

習近平ファシスト政権の侵略を阻止できるのは同盟関係ではなく、当事国の軍事力以外ありえないことは、ウクライナを見ればわかる。相手が核保有国であればアメリカは見殺しにするのである。今日本政府が行っている「敵基地攻撃能力」の名称を「自衛反撃能力」などと変更するような、のんきな検討ではなく、戦略的抑止力を保持することこそ侵攻を防ぐ力なのである。今すぐに習近平ファシスト政権の巨大な軍事力を単独で撃破できるだけの防衛力を備えなければならない。
#中ロ戦略同盟

誰がウクライナ戦争を仕組んだのか?!

<戦争プロパガンダに騙されてはいけない>
ロシア軍の虐殺がプロパガンダとしてさんざん宣伝されている。しかしロシア軍は極右民兵団を一掃するために派遣されており、テレビ報道を見ても事実一般市民には銃を向けていない。この選別的な軍幹部の指示がロシア軍の犠牲を増やすことになった。

しかも、虐殺の調査では、ロシアとウクライナから独立した中立な第三者組織の現地調査は行われていない。ロシア政府は「虐殺はウクライナ側が行ったもので、ロシアに濡れ衣を着せる歪曲話を、アメリカ側がロシア敵視のために使っている」と言っている。 ロシアは国連安保理で「ブチャの事態に関する話し合いを緊急に持つべきだ」と繰り返し提案した。だが、安保理の議長をつとめるイギリスは、ロシアの提案を却下している。

ロシア軍がキエフ郊外の住宅街ブチャから撤退したのが3月30日で、その後ブチャに乗り込んだウクライナの極右民兵団の部隊が白い腕章を付けた親ロシア派の人たちを殺した可能性が強いと見られている。彼らはそれをロシア軍の犯行に偽装した可能性がある。アメリカや欧州の戦争プロパガンダに騙されてはいけない。

テレビニュースで戦場カメラマンの渡部陽一氏が虐殺について聞かれて「世界各地で行われた戦争でいつも見られる現象だ。」と語っていたのが印象的だった。つまりアメリカが行った戦争の数々ベトナムやグレナダやパナマ、アフガン、イラクで虐殺は起きたことであり、今回が例外ではない。

戦争を見るうえで、重要なのは誰が最初に攻撃したかではなく、誰が裏で戦争を仕組んだかである。アメリカは情報操作し、ロシア軍をウクライナに誘い込んだ。早々と大使館を撤収し、アメリカは軍を派遣しないと表明し、ロシアを侵攻に誘導した。ウクライナに対戦車携帯ミサイルシャベリンを供給し、軍事的準備をしたうえで、ウクライナのゼレンスキー大統領にNATO加盟を表明させてロシアを挑発したのである。目的は欧州に分断を作り、ユーロの東への拡大を阻止し、NATOを存続させ、アメリカのドル支配を維持するためである。

アメリカが提唱する対ロシア経済制裁は「諸刃の剣」であり、資源産出国のロシアよりも欧州に打撃が深刻なのである。ウクライナのゼレンスキー大統領がフランスやドイツに天然ガスのロシアからの購入をやめるように要求しているが、欧州はエネルギーの半分をロシアに依存しており、天然ガスを止めれば欧州経済は破綻を免れないのである。初めからアメリカの狙いはユーロ経済圏に打撃を与えることなのだ。

バイデンは支持率が低迷し、秋の中間選挙が不利となりつつある中で、戦争を長引かせれば選挙に勝てるので、戦争プロパガンダに力を入れ、ロシア軍を泥沼に引き入れてプーチン政権を打倒しようとしている。しかし武器支援を強化しすぎると、ロシアが核兵器を使いかねないので、武器支援を調整しつつ泥沼化を演出しつつある。結果ウクライナの国民はたくさん死ぬことになる。

ウクライナのゼレンスキー大統領は英雄気取りでマイクの前に立っているが、出口のない戦争で祖国を廃墟にした張本人なのである。ウクライナはかってロシア領であった。プーチンにすれば仲間がNATOに寝返ったと見て治安維持の攻撃しているのであり、ロシア国内ではプーチンの支持率は高まっている。

世界経済を親米派と反米派に分断すればアラブ連合は反米派であり、資源国が反米派が多く、親米派は不利になる。エネルギーの高価格は続くであろう。戦略的に見ればバイデンは失敗している。焦点はロシアがウクライナ戦争を早く終わらせることができるかだが、アメリカは長期化させるであろう。
世界経済の先行きに暗雲が立ち込めている。
#ウクライナ戦争

ウクライナとコロナで中国経済に懸念拡大!

米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は18日までに、中国共産党の習近平総書記(国家主席)が今年後半の党大会で3期目入りを目指していることに対し、朱鎔基(しゅ・ようき)元首相ら引退した党幹部から反対意見が出ていると報じた。民間企業への抑圧など習近平の政策に対する疑問もあり、長期体制に党内から異論が出ている、と報じた。

習指導部が対米共闘の思惑から関係強化を進めてきたロシアがウクライナに軍事侵攻したことを受け、中国の最大の市場である欧州経済への悪影響も懸念されている。こうした新たな経済懸念が「習氏の不動の地位に疑問を生じさせている」と指摘しているのだ。習氏は、鄧小平が定めた党の集団指導体制を形骸化させて権力集中を進め、国有企業の強化と民間企業への統制を進めて、民間企業に打撃を与えている。朱鎔基は、1998年から2003年まで首相を務め、改革派として知られており、国営企業重視の習近平に批判的と見られている。

報道によると、中国政府の権力的新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)を続けている上海市で、9日に2万4943人の新規感染者を確認したと発表した。うち約96%の2万3937人が無症状。1日当たりの感染者数は、7日から2万人を超え、9日連続で過去最多を更新した。中国本土全体の新規感染者は2万6355人。無症状感染者の人数も公表している2020年3月末以来で最多となっている。都市封鎖を行っている上海などでは経済的打撃が拡大し、食料を求めるデモも起きている。中国から全世界に広がったコロナが、感染力を強めてブーメランのように中国経済に、いま打撃を与えているのだから皮肉な話である。

ウクライナ戦争で資源や食糧価格が値上がりし、コロナの感染拡大が中国経済への二重の打撃を拡大している。特に最大の貿易相手である欧州が、ウクライナ戦争で経済の先行きが見えないのが大きい。バイデンの親中国路線のおかげで、アメリカからの投資が急増しているが、中国では農民工などの失業者が拡大しており、ゼロコロナの独裁的手法が中国経済に打撃となっている。

アメリカの、ロシアを中国の側へ追いやる戦略的ミスで、戦略的には中国が「漁夫の利」を得るとはいえ、ウクライナ戦争と、コロナが習近平の「双循環政策」に困難をもたらしていることは疑いない事実である。秋の党大会で習近平の3期目の続投が決まるのか?注目される点である。
#中国経済に懸念強まる

岸田首相の新しい資本主義が意味不明な理由

岸田も当初は、「新しい資本主義」は分配重視だと言って、金融所得課税の強化を打ち出した。富裕層の金融所得からもっと税金を取り、貧困層へ分配しようという発想があった。ところが、この税制改革は首相就任直後に先送りされてしまった。

岸田は「分配なくして成長なし」「分配するためには成長してパイを増やす必要がある」「成長と分配の好循環」とも言う。それは30年間停滞する日本経済への危機感から出てきたスローガンであろう。「従業員に賃金の形で分配してはじめて、消費が拡大し、消費拡大によって需要が拡大すれば、企業収益が更に向上し、成長につながる」とも強調している。

こう見てくると岸田首相は、日本経済が30年間停滞していることに危機意識を持っているが、その原因が分かっていないのである。戦後の日本はGHQの「戦後改革」で、高度経済成長を成し遂げた。日本の成長に恐れを抱いたアメリカが、プラザ合意で円高誘導し、日本はバブル経済となり、バブルの破たんで日本企業はリストラ経営が行われるようになった。円高が資本の輸出を促し、産業の空洞化が進んだのである。

バブル崩壊後の資本の輸出で得た超過利潤の威粒が買収資金となり、労組の家畜化が進められ、以後30年間日本の実質賃金は増えていない。企業は残業代の不払いなどの違法な形で超過利潤を追い求め、結果ブラック企業を生み出し、結果国内の需要が縮小する社会では設備投資は起こらないのである。つまり冷戦崩壊後の「強欲の資本主義の政策」が日本経済の30年間の経済停滞の原因なのである。

安倍政権いらい日本の政治家は、経済界に賃上げを要請してきたが、これでは賃金は上がらず、したがって需要も拡大しないし、経済が成長路線に戻ることもない。賃金を上げるには戦後労働改革の原点に立ち戻るしかないのである。労組の民主的活動を保障し、賃上げのためのストライキを敵視することを止めることだ。民主的労組活動なしに資本主義は経済成長できないのである。労組の家畜化をやめ、闘う労組つぶしをやめれば賃金は放置していても上がるのである。賃金が継続して上がらねば需要は伸びず、したがって企業の設備投資もおこなわれなのである。

問題は経済政策(労働問題も含む)を一企業家の目線で行う間違いにある。国民経済の成長を促す政策は、一企業家の目先の利益を追い求める政策とは反比例するのである。日本経済を成長路線に復帰させるには、強欲の資本主義の政策から転換することが必要なのである。アメリカのように労組結成が活発化すれば、経済は成長するのである。戦後労働改革の原点とは、民主的労働運動がなければ経済成長も労働者への分配もあり得ないということである。

日本の労動組合法は民主的という点でよくできている。問題は労組の家畜化に30年間の失われた時間の真の原因があるのだ。賃金が上がらないと需要は伸びない、需要が拡大しないと設備投資は起こらないし、設備投資が起きないと生産性は上がらない、生産性が上がらないと経済成長はないのである。岸田首相にはぜひ理解してほしい点である。

対ロシア経済制裁巡り西側の対立が激化!

 ロシアへの経済制裁をめぐり、フランスのマクロン大統領と、ポーランドのモラビエツキ首相が批判合戦を繰り広げている。ロシアとフランスの対話路線が成果を生んでいないとモラビエツキ氏から追及されたのだ。きっかけとなったのは、モラビエツキ氏の4日の記者会見だった。ウクライナの首都キーウ(キエフ)の近郊のブチャで住民が惨殺されたことが明らかになり、「ロシアへの制裁が効いていない」と発言。天然ガス輸入停止に慎重なフランスのマクロン氏にも怒りの矛先を向けた。マクロン氏は6日、「根拠に基づかない発言だ」などと反論した。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は7日、ソーシャルメディアに投稿し、バイデン米政権が発表したロシア最大手銀行ズベルバンクなどへの制裁について、「十分ではない」と不満を表明した。「ブチャで世界が目撃した『悪』と見合ったものとは言えない」と強調し、南東部マリウポリなどでもロシア軍の激しい攻撃が続いていると指摘した。
さらに「もしロシアに対して本当に打撃を与える制裁が科されないのであれば、もし我々が何度も求めている武器が供給されないのであれば、ロシアに対して許可を与えるようなものだ。さらに深く侵攻して良い、攻撃して良い、(東部)ドンバス地方で新たな血なまぐさい攻撃を始めても良い、と」と強い不満を表明した。

フランスやドイツはロシアからの天然ガス購入を経済制裁の対象にすると、自国の経済が破たんするので、天然ガスの輸入禁止に踏み込めない。またアメリカやフランス、ドイツはロシアのプーチンを追い詰めすぎると戦争が拡大し、核戦争まで進む可能性がある。プーチンに逃げ道を与えておかねば危険と考えている。

しかし旧東欧のポーランドやチェコ、バルト3国などは、自分たちもロシアの攻撃を受ける可能性があり、ウクライナのように「捨て駒」にされる可能性があるので、経済制裁が形だけだとの強い不満がある。これらの国はアメリカやフランス、ドイツの形だけの経済制裁はロシアに侵略を促している、と映るのである。チェコがウクライナに戦車を送ったのは欧米の形だけの支援に対する批判なのである。

アメリカのバイデン政権はプーチン体制を倒したいが、制裁をやりすぎると核戦争の危険がある。フランスやドイツは自国の経済破綻を招く天然ガス購入を経済制裁に含めることはできない。また戦争の拡大は避けたい。だから武器援助もウクライナが勝ちすぎても困るので、ロシアを消耗させる程度の援助にとどめている。

プーチンは天然ガスのみルーブルでの支払いを求めている。日本が購入している液化天然ガスはルーブルでの支払いを求めていないのは、フランスやドイツ(=欧州)のエネルギーのロシア依存率の高さという弱点を突いているのである。日本はエネルギーのロシア依存は9%ほどなので、エネルギを止められても致命的ではない、しかし天然ガスの半分をロシアに依存している欧州は、ロシアにガスを止められると経済が大打撃となる。つまり経済制裁は資源輸出国の方が有利なのである。

ウクライナのゼレンスキー大統領は自国がアメリカに「捨て駒」にされたことを理解し始めたようだ。対ロシア戦争の消耗戦=長期化は戦場となるウクライナだけが大きな被害を受ける。とはいえ和平交渉で領土の割譲は受け入れられない。ウクライナは八方ふさがりだ。自国の地政学的位置を考えに入れず、NATO加盟に固執し、ロシアを挑発した結果とはいえ、ゼレンスキー大統領の選択は最悪となった。
#ウクライナ侵攻

核兵器を使えなくするための核兵器保有の勧め

ウクライナは旧ソ連時代の核兵器を自ら放棄し、非核保有国となってロシアに侵略されたのである。ウクライナが旧ソ連時代の核兵器を保持していれば、ロシアは侵攻できなあったであろう。ウクライナが核放棄したときに、安全保障として、アメリカ、ロシア、イギリスが署名した「ブダペスト覚書」という文書があったが、侵略の阻止には何の力もなかった。

北朝鮮が大陸間弾頭弾の開発と核兵器の小型化に突然力を入れ始めたのは、ウクライナの深刻な教訓を、自国の防衛に生かそうとしているのである。この動きは今後世界的な動きになるであろう。小国は核兵器を持つことが最も安上がりな国防策となった。

核兵器は保持していない国には、今も使える兵器なのである。真に核兵器を廃絶するためには、核兵器を保持し、使えない兵器にするほかはない。日本の反核団体が観念的な核廃絶運動を続ける限り、第2の広島・長崎が生まれるであろうことは疑いないことである。つまり日本はロシア、中国、北朝鮮という核保有国の3正面に敵を持つことになったのである。

対米従属を国防の基本とする自民党などの従属派は、「アメリカの核の傘があるから大丈夫だ」という。しかしそのアメリカが同盟国であったアフガニスタンやウクライナを「捨て駒」のように見捨てた事実が示しているのは、アメリカが自国の核被害の危険を冒してまで、核兵器を日本の防衛に役立てるのか?という疑問を指摘しなければならない。

世界の多極化は、もはやアメリカの一極支配の時代ではない。今回のロシアを中国の側に追いやったことで、世界は分断へと進むことになる。これは通貨の多極化、経済のブロック化を意味しており、アメリカのドル支配は崩れるであろう。バイデンは戦術的にはプーチンを罠にはめたが、世界市場の分断化は、戦略的には大きな失敗をしているのである。

ウクライナでのロシア軍の残虐行為は、過去のアメリカが引き起こした戦争と同じであり、ロシアだけが特別なのではない。アフガ二スタンやイラクでアメリカ軍はウクライナの犠牲者の何十倍の民衆を殺している。したがってアメリカのバイデン政権の「プーチンは戦争犯罪人」とのキャンペーンは、自己の政治目的のための、ヨーロッパの戦争の拡大を狙いとしているに過ぎない。彼は秋の中間選挙での敗北を逃れるためにはプーチン政権の打倒が必要なのである。バイデンのアメリカがこれを追求すればするほど、世界は大経済恐慌と第3次世界大戦への道を進むことになる。

日本は核兵器を使えなくし、核兵器を廃絶するために、核兵器を開発・保有すべきである。敵なし論の観念的核廃絶論の危険を指摘しなければならない。今のまま対米従属を続ければ第2の広島・長崎を生むことになるであろう。日本は対米自立し、武装中立の平和主義を貫くには核兵器なしには不可能なのだ。いつまでも核アレルギーでは、亡国を招くであろう。中国の習近平ファシスト政権の軍事的暴走が始まる前に、日本は核保有を決断するべきなのである。
#核兵器保有の勧め

大国間の駆け引きがウクライナの命運を決める!

ウクライナのゼレンスキー大統領は3日のビデオ演説で、首都キーウ(キエフ)で起きた民間人殺害に関し、2008年にウクライナの北大西洋条約機構(NATO)入りをドイツとフランスが阻止したことがロシアの侵攻を招いたとして、独仏への怒りを示した。このゼレンスキーの発言が示しているのは、ドイツとフランスがウクライナのNATO加盟に反対したのは、ロシアを挑発するからに他ならないことを理解していたからであっり、ゼレンスキー大統領がそのことを全く理解していないことを、この発言は示しているのである。

その後も、ゼレンスキーがNATO加盟を目指す発言をし、アメリカがキエフから大使館を引き揚げ、アメリカ政府はウクライナに軍を派遣しないことを表明して、ロシアの侵攻を促したのである。アメリカ政府がウクライナに密かに対戦車携帯ミサイルや対空携帯ミサイルを援助し、ロシアの侵攻に軍事的に備えをしていたのに、ロシア軍はまんまとその罠にはまった。

バイデン米政権は4日、ロシア軍が撤退したウクライナのキーウ(キエフ)州で相次いで報告されている市民への残虐行為を「戦争犯罪」だと断じ、国際的な法廷でプーチン露大統領の責任を追及するべきだとの考えを明らかにした。バイデンは「プーチン氏に戦争犯罪の代償を支払わせるため」に同盟・パートナー諸国と協議するとの見通しを示した。

バイデン政権は秋に中間選挙を控えており、内政面での失敗で、この選挙に勝利するにはプーチン政権を打倒するか、それともヨーロッパの戦争を拡大しておかねばならない。そのためにバイデンは手先のゼレンスキーに軍事支援を強化して、ロシアを消耗戦に引きずり込もうとしているように見える。しかし消耗戦ではウクライナの民衆が多数犠牲になる。ゼレンスキー政権がロシアとの停戦交渉に期待するのは当然である。

中国の王毅外相はウクライナ側の求めで4日、ウクライナのクレバ外相と電話会談を行った。王毅外相は、ウクライナ問題について「中国の基本的な態度は、和解を呼び掛け、協議を促すことだ」と述べた。中国側の発表によると、クレバ氏は「中国が、引き続き停戦のため重要な役割を発揮することを望む」と訴えた。

王氏は「戦争は終わるだろう。肝心なのは、苦しみから教訓をくみ取り、欧州の永続的な安全をしっかりと守ることだ」と主張した。ロシア側が強調する「安全保障の不可分原則」に基づいて、バランスがとれた安全保障メカニズムを構築すべきだという考えを示した。つまり中国政府は、ロシアのプーチン政権を打倒するアメリカの狙いを阻止しようとしているのである。

欧州はアメリカの陰謀に乗せられるのではなく、ウクライナ戦争を拡大したくないのである。それゆえドイツはウクライナをNATOに加盟させないことを再度通告している。つまり欧州は早期停戦に賛成なのである。
バイデンのプーチン政権打倒が成功しなければ、彼は秋の中間選挙で大敗する可能性が高い。アメリカ国民は高いガソリンにうんざりしており、しかもバイデンの選挙公約であるバラマキ法案が議会を通過しないのであるから、追い詰められているのはプーチンではなく、バイデンの方なのである。

こうして大国間のウクライナ戦争終結をめぐり駆け引きが激化し、ウクライナの運命が決められつつある。戦略兵器を持たない小国が、いかに残酷な運命をたどるかの実例として、日本人はアメリカに追従する危険を肝に銘じなければならない。自分の国は自分の力で防衛しなければならず、ゼレンスキーのような他力本願は間違いなのである。
#ウクライナ戦争

世界中に経済危機と政情不安が拡大か!

ウクライナ政府は3日、ロシアによる黒海の港の封鎖で、3月の主な穀物の輸出量が前月の4分の1に急減したと表明した。黒海では外国船籍の100隻以上が足止めされているという。ウクライナ経済省は3日、3月のトウモロコシの輸出量が110万トン、小麦は30万9千トンに減ったとし「2月の4分の1だ」と強調した。世界の穀物価格の高騰は今後も続くとみられる。

石油輸出国機構(OPEC)にロシアなどを加えた「OPECプラス」が3月31日、アメリカ、欧州、日本などが求めた原油の追加増産に応じないと決めた。その直後、アメリカは石油備蓄の追加放出を発表し原油価格を抑える姿勢を鮮明にした。ロシアのウクライナ侵攻が原油高継続に拍車をかける中、消費国の原油高が長期継続する可能性が日事に増している。

サウジアラビアが支援金50億ドル(約6100億円)を原理主義を弾圧しているエジプトの中央銀行の口座に振り込んだ。アラブ諸国で最も人口が多く、ロシアによるウクライナ侵攻のあおりで揺らぐエジプト経済を下支えするためだ。サウジ国営通信は、この支援をエジプトを支える「たゆまぬ努力」の一環と位置付けた。2月下旬に始まったウクライナ侵攻と米欧による経済制裁でエジプトでは小麦、植物油、燃料の価格が急騰し、政情不安が強まっている。

ウクライナ戦争が今後も継続すれば、中東、アジア、アフリカの食料輸入国で、今後政情不安が拡大する可能性が強く、中東、中央アジア、北アフリカで、イスラム過激派が勢力を盛り返す可能性も強まっている。ウクライナとロシアは世界の穀物の3割を生産しており、この穀物が戦争と経済制裁で市場に出回らないということは、世界で穀物価格の高騰が続くことであり、食料輸入国は食料危機に揺さぶられることになる。

今回のロシア軍のウクライナ侵攻は、アメリカがウクライナのNATO加盟でロシアを挑発し、仕掛けたものだが、このロシアを中国、イランの側に追いやることで、中国・ロシア・イラン・アラブ連合の方が、戦略資源が豊かであり、戦争が長引けば、欧米日の側がエネルギーと食料価格高騰で経済・政治危機に陥る可能性が強まっている。

アメリカや欧州、日本にとって、経済制裁は「諸刃の剣」であり、対ロシア経済制裁は制裁をした方が打撃が大きいのである。プーチンもアメリカの罠にかかり軍事的打撃を受けたが、世界の分割で多極化が進み、アメリカの側もドル支配が後退しかねないのである。とりわけ秋の中間選挙を控えるバイデン米政権は、原油高で支持率が低迷しており、原油高が長引けば中間選挙で敗北し、政権のレイムダック化は避けられず、次期大統領選でトランプ復活の可能性も出てくるであろう。ロシア・ウクライナの和平交渉の早期和解を期待しているのは、むしろアメリカの側なのである。
#原油・穀物高騰

高年齢層の賃下げが「ジョブ型雇用」の狙いだ!

今、大企業で年功序列型賃金を「ジョブ型雇用」に変える動きがでている。年功序列型賃金だと高齢化で賃金負担が増える。今多くの企業の狙いは中高年社員のコストを下げることだ。ここでいうコスト削減とは賃下げの事である。

若い時は「賃金が低くても高年齢になれば賃金が上がる」となだめて働かせ、高年齢になれば「ジョブ型雇用」制度に変えて賃下げを行うのだから、これは詐欺的な制度変更だ。今年の春闘ではこの「ジョブ型雇用」が多くの企業から提案され議論が進んでいると報道されている。

そこで巧言を用いて「ジョブ型雇用」を宣伝する。「すべての社員が魅力的な仕事に挑戦でき、常に学び成長できる」(富士通)「ジョブ型雇用」を宣伝するこのような言葉を聞いた時は、サラリーマンは「巧言令色少なし仁」という言葉を思い出してほしい。「幹部社員の次の世代が、新しいジョブに挑戦できるようになった」と言うが、新しい仕事に代われば賃下げとなり、やる気を奪い、退職に追い込む手筈なのである。労働者は「ジョブ型雇用」制度の導入に騙されないようにしてほしい。

政府も「多様な正社員がこれからは必要になる」などといって「ジョブ型雇用」導入を検討している。厚生労働省の「多様化する労働契約のルールに関する検討会」は「ジョブ型雇用」導入を目指し、労働基準法などの法改正を目指している。

重要なことは、こうした雇用制度の変更を口実とした高年齢層への賃下げは、企業の費用価格を下げて超過利潤を一時的に拡大するが、問題は国規模でこのような賃下げを行うと、需要を縮小させて国民経済を縮小再生産へと向かわせることになる。つまり日本経済を長期停滞へと追い込むことになることだ。

資本主義経済は持続的な賃上げが続き、個人消費が継続して拡大しないと、企業の設備投資が進まず、国民経済の成長路線への復帰が出来なくなることだ。つまり労組の賃上げ活動の自由が経済成長には不可欠なのだが、日本はそうした成長の仕組みであった戦後労働改革の民主的労組活動を、労組の「家畜化」で放棄した。また闘う労組つぶしも執拗にやられた。その結果の日本経済の長期の停滞なのである。

つまり個別経営者レベルでの賃金の切り下げという姑息な政策が、国レベルで行き過ぎると、世界の経済学者が言うところの「強欲の資本主義の行き過ぎた結果の日本病」となる。海外投資で儲けるから、国内市場が縮小してもよい、と考えているとしたら完全に間違っている。民主的労働運動が保障されない社会では、賃金が上がらず、したがって成長路線に復帰できなくなることを知らねばならない。内需の縮小は将来国際競争力も失われることを知るべきである。

日本経済は、民主的労働運動なくして成長がないことを知らねばならない。戦後労働改革が高度経済成長を導いたことを忘れるべきではない。日本は強欲の資本主義の政策から決別すべき時であることを指摘したい。賃上げを抑制することは国民経済の成長を阻止することだと知るべきであろう。経済成長が失われれば、国防への備えも進まなくなる。行き過ぎた強欲の資本主義は亡国を招くことを知るべきである。
新世紀ユニオン執行委員長 角野 守
#ジョブ型雇用
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