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自衛隊は民主主義の擁護部隊となりえるか?

朝日新聞ネットニュースによると、防衛省が2020年2月に実施した記者向け勉強会で配布した資料に「予想される新たな戦いの様相」として、テロやサイバー攻撃とともに「反戦デモ」を例示していたことがわかった。
 資料は同省陸上幕僚監部が作成したもので、陸上自衛隊の取り組みを紹介する内容。反戦デモがテロなどとともに、武力攻撃に至らない手段で自らの主張を相手に強要する「グレーゾーン事態」に当たるとしていた。
記者から不適切との指摘を受け、同部は回収して「暴徒化したデモ」と修正。資料は公文書管理法に基づく行政文書だが、保存期間の1年以上を経過する前に修正前の資料は誤って廃棄していたという。

このネットニュースを見て、ロシアにおける反戦デモ参加者が酷い弾圧を受けていることと、重ね合わせた人も多いであろう。自衛隊においても反戦デモを敵視し、テロと同様に扱っていたことを知ると、日本においてもロシアと同様な国民へのファシスト的弾圧があり得るのだということを知り、危機感を持った人も多いと思う。特に問題の公文書が「誤って破棄していた」というのが、さらに大きな問題である。

最近自衛隊内部で虐めやパワハラで隊員が自殺する例が頻繁にみられるが、これは自衛隊内の旧軍隊の残滓なのか?それとも自衛隊内に反動的な体質があり、民主主義に反する隊風が生まれているのか?きちんと調査してもらいたい。民主主義の無い軍隊がいかに弱いか、以下にもろいかを関係者は自覚すべきであろう。

国民の中の少数意見は大切にしないと、その組織は柔軟性、多様性を失い、そのような自衛隊が国防で国民の支持など受けられるはずもない。自衛隊は腐敗した一部支配層の権益の保護者ではなく、真に国民と国土を守る国民の自衛隊であるべきだ。

自衛隊は少数精鋭の民主主義の守護者としての部隊であるためには、国民の諸権利を初めから敵視するようではいけない。上がそのようであれば、下でいじめが起き、組織が弱体化する。自衛隊内も腐敗が始まっていると見た方がいい。自戒せよ!反動的指導者は民主主義の防衛部隊とはなりえない。
#自衛隊の体質
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ウクライナ戦争がもたらす変化について

セルゲイ・エイゼンシュテイン監督の映画「戦艦ポチョムキン」は、帝政ロシア時代の1905年に起きた戦艦ポチョムキン兵士の反乱を描いた映画である。この映画の「オデッサの階段」と呼ばれるオデッサの市民を虐殺する場面は、映画史上有名なシーンの一つである。つまりオデッサのあるウクライナは昔ロシア領であった。

ロシア軍のウクライナ侵攻は、ロシア政府にすれば旧ソ連時代の同胞が裏切り、敵であるNATO加盟を阻止するという大義名分があり、したがってロシア軍は領土占領欲から侵攻しているのではない。ウクライナにはロシア人も住んでおり、同胞への攻撃を強めている極右政権への反撃、安全保障という大義名分がある。それゆえアメリカが企んだプーチン政権の打倒は難しいのである。独裁国家は情報戦に強いのである。

アメリカはプーチン政権をNATO加盟で挑発し、侵攻したロシア軍戦車部隊を、準備していた携帯ミサイルとドローンで攻撃、撃破することには成功したかもしれないが、それは今後ロシア軍の近代化への動機づけをしたに等しい。プーチンにすれば交渉でウクライナの中立を勝ち取れば目的は達成したわけであり、したがってプーチンの支持率は今後上がるであろう。ロシア軍のウクライナ侵攻は旧東欧諸国を震え上がらせたので、これら諸国はNATOの中距離核ミサイルの配備が出来なくなるであろう。

欧州諸国がNATOへの依存を強めたが、ロシアの中国依存も強化した。世界の分断は国際経済への打撃となる。世界の覇権争いから見れば中国が「漁夫の利」を得て、アラブ連合やインドやアルゼンチンや、多くのアジア・アフリカ諸国が、ロシア・中国・イラン連合の支持もしくは中立の立場を表明したことは、アメリカの戦略的失敗を意味している。

ロシア、中国、イラン陣営の方が資源を押さえているだけに戦争の長期化には強いのである。今後も原油高は続くであろう。世界経済の分裂はアメリカ側の戦略的後退を意味している。多極化は世界通貨のブロック化でもあり、ドル支配は後退を余儀なくされる。アメリカはアフガニスタンに続きウクライナを見捨てたことで、同盟国の信頼を失うこととなった。アメリカはウクライナに派兵する気がないなら、ウクライナを「捨て駒」のように扱うべきではなかった。

特にロシア軍は、対携帯ミサイル、対ドローン対策を今後強化するであろう。このロシア軍の近代化は中国軍にも波及するので、アジアは重大な戦略的変化に見舞われるであろう。対携帯ミサイル、対ドローン対策として電磁波兵器が急速に研究開発、普及するであろう。

アメリカのバイデン政権が中国重視といいながら、実はそうではなくユーロ圏のロシアへの拡大を阻止するのが、今回のロシア挑発の狙いであったことが今後はっきりしてくるであろう。バイデンの戦略観点の欠如が、今後アメリカの政界で問題となるであろう。今後アメリカの覇権を奪うために対峙するであろう中国は、プーチンとは比べようのない戦略的巧妙さを持ち合わせていることを指摘しておかねばならない。
#ウクライナ戦争

ウクライナ戦争を拡大するべきではない!

ロシアをNATO加盟で挑発したアメリカのプーチン打倒の画策が、ウクライナ侵攻を誘ったのであり、アメリカ製の携帯ミサイルやドローンで装備したウクライナ軍と極左民兵がロシア軍に打撃を与えたとはいえ、戦局は経済制裁をめぐる我慢比べになりつつある。

ウクライナ戦争が世界に与える戦略的変化は、戦争の世界大戦への拡大を導く可能性も秘めている。中東ではイスラム原理主義のサウジ攻撃が激化しつつある。ロシアへの経済制裁は欧米にとって「もろ刃の剣」であり、経済的打撃は双方向に向かう。欧州がロシアからの原油や天然ガスのルーブルでの代金支払いを拒絶すれば、ロシア政府がエネルギーを止める可能性も出てくる。政治や経済の対立が、さらなる対立を拡大し、戦争につながる例は歴史的に見て多いのである。つまり事態は予想もしない方向に、連鎖的に拡大するのである。

北朝鮮は25日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」を24日に発射したと明らかにした。防衛省は射程が米首都ワシントンを含む1万5千㌔㍍超に及ぶ可能性があると見ている。脅威を受けるアメリカは口では強く非難するが、ロシアのウクライナ侵攻への対応があるので動けない事情もある。金正恩(キム・ジョンウン)総書記が「米帝国主義との長期的対決を徹底準備する」と宣言した強気の背景には中国の支持が背景にある。これもウクライナ戦争の波及といえる。

アメリカの対ロシア経済制裁の目的がプーチンの失脚にその政治的狙いがあっても、制裁が招く事態は世界の新冷戦であり、市場の分割、経済のブロック化であり、ドル支配の縮小なのである。アメリカの戦略的打撃はロシアの比ではない。長期的にはアメリカや欧州の打撃が大きいのである。バイデンはプーチンを嵌めたつもりであろうが、実は自分で墓穴を掘りつつある。

バイデンは秋の中間選挙での苦戦があるので、ロシアを挑発したのだが、戦争の拡大はプーチン以上にバイデンの戦略的失点となりつつある。日本政府は対ロシア経済制裁は外交の幅を狭め、市場の損失となるばかりでなく、3正面を逃れるための戦略の幅を狭めるので、経済制裁はほどほどにとどめた方がいい。アメリカ政府は戦略的重点が中国との覇権争いにあるのに、事態は中国ではなく、ロシアを中国の側に追いやり、米中の覇権争いから見ると、中国優位の展開を見せていることを忘れてはいけない。

戦争とは、一時の戦術的成功が、戦略的優位につながる保証はないのである。一つの戦争が生み出す経済制裁が、予期せざる波及を見せて世界大戦に拡大する危険を指摘しなければならない。ウクライナ戦争はあくまでも局地戦で抑えるべきであり、戦略的対立に高めるべきではない。なぜならロシアのプーチンを打倒しても次の政権も、独裁政権にならざるを得ないからである。中国やロシアのような旧社会主義国が、官僚独裁に変化した国は、普通の民主的資本主義国には決してならないのである。バイデンはロシアが親米国になるとでも思っていたのであろうが、それは大きな間違いで、幻想に過ぎないのである。
#ウクライナ侵攻 #バイデンのプーチン政権打倒 #世界大戦

ウクライナ戦争の帰趨は我慢比べに!

我々は、アメリカがクーデターで作ったウクライナのかいらい政権を使い、NATO加盟でロシアを挑発し、プーチンにウクライナの政権交代を決意させ、侵攻に誘い込んだのはプーチン政権の打倒が狙いであることを早くから指摘してきた。

それを示すかのようにバイデン米大統領は、3月26日、ロシアのウクライナ侵攻をめぐり、「非難されるべき人物は、ウラジーミル・プーチンだ」などと、ロシアのプーチン大統領を厳しく批判したうえで、「この男が権力の座にとどまり続けてはいけない」と語った。これは正にバイデンが本音を語ったものと理解すべきである。

バイデンのこの発言は、アメリカがプーチン政権の体制転換を目指していると受け取れるものであり、演説直後から欧州に波紋が広がった。ロシアのペスコフ大統領報道官は、ロイター通信の取材に対し、プーチン氏が権力の座にとどまり続けるかどうかについては「バイデン氏が決めることではない。ロシア大統領はロシア人によって選ばれる」と反発した。バイデンがこのこの発言を、あとで慌てて取り消したのは、この発言が戦争を欧州への全面戦争に拡大する危険があったゆえである。

ロシアは当初アメリカの狙いに気付かず、ウクライナ側の戦争準備も知らずに無防備に侵攻し、打撃を受けたが、現在は欧米の経済制裁と、ロシア側の経済的打撃の我慢比べの様相を呈してきているので、戦線を再構築していると見るべきであり、ウクライナ側が勝っているわけではない。ロシア軍の打撃も欧米マスコミの誇張されたものよりも軽微と思われる。しかしロシア軍が通信の盗聴と、対戦車携帯ミサイルやドローンの攻撃を想定していなかったのは事実であろう。

ロシア側の狙いはウクライナにロシア攻撃のNATOの基地を作らせなければ戦争目的は達成できる。事実ウクライナ政府は「中立の維持」で和平交渉しており、プーチンはウクライナの政権交代でなくともNATO加盟を阻止すれば目的を達成できる。プーチンはできればウクライナを分断して、緩衝地帯としての親ロシア政権を作れれば成功と考えており、アメリカが望むように早期にプーチン政権が崩壊する可能性は少ない。

むしろ戦争が長引けば、ロシアにエネルギーを依存している欧州経済の打撃の方が大きい。欧州はエネルギーを引き続き輸入するために経済制裁の対象からエネルギー取引銀行を外しており、ロシア経済が制裁に耐える可能性が強い。石油の価格決定権を握る中東がロシア・中国寄りとなり、原油の高騰が続くことは避けられず。ウクライナの戦争が長引き、国際経済が大不況となれば、バイデン政権が望んでいた秋の中間選挙での勝利も危うくなる。

つまり、ウクライナ戦争の行方は双方の経済が持つかという我慢比べとなっており、中国が、どの程度ロシアを支持するかで勝敗が決まりそうだ。中国政府にすれば、ここでロシアのプーチン政権が倒れ、ロシアに親米政権が生まれると、自国が包囲されるのであるから、全力でプーチンを支えるであろう。ゆえに新冷戦で世界経済がどのような打撃となるかが当面の焦点となってきたといえる。

世界戦略も持たず、バイデン政権の中間選挙対策で、アメリカが誘い込んだウクライナ侵攻だが、それがバイデン政権の打撃となる可能性が出てきたとみるべきであろう。バイデンにすれば、欧州がエネルギーのロシアからの輸入をすべて断てば、早期にプーチン政権を打倒できたはずであった。計算外れはプーチンの側だけではないのである。
#ウクライナ侵攻

北朝鮮のICBМ発射実験とその国際的意味

北朝鮮の朝鮮中央通信は25日、金正恩(キム・ジョンウン)総書記が23日に新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」の発射を命令したと伝えた。北朝鮮の最高指導者金正恩は「強大な軍事技術力を持ち、アメリカ帝国主義との長期的対決を徹底的に準備していく」と強弁した。ウクライナ支援で手いっぱいのアメリカの弱みを突いているのである。

林芳正外相は24日夜、北朝鮮による日本近海への弾道ミサイル発射を受け、ブリンケン米国務長官と電話で話し合い「国際社会への明白かつ深刻な挑戦だ」との認識で一致した、と明らかにした。

ロシアのウクライナ侵攻と西側の経済制裁で世界が分断しつつあり、米欧対中露の対立が深まる中なかで、北朝鮮が大陸間弾道弾開発のチャンスと判断したことは疑いないことである。注目すべきは、中国政府がこの北朝鮮のICBМ発射実験を批判しなかったことである。

中国の報道官は「朝鮮半島問題の政治解決のプロセスを進めるため、ともに尽力するよう希望する」と求めたが、2017年のICBМ発射実験の時は「深刻な懸念と反対」を表明したのとは対照的で、明らかに北朝鮮の大陸間弾道ミサイル保有を、中国の戦略的手駒と認識していると見た方がいい。

世界が二つに分断しつつある中で、アジアにおけるその波及の特徴的は、ウクライナ支持を表明したのが日本・韓国・シンガポールの3国だけで、多くのアジア諸国が中立の立場であることが特徴的である。アジアにおいてはどこもが3正面に敵を迎えることになり、態度表明に慎重になっている。インド政府ですら国連のロシア批判の決議に棄権した。

3正面の敵がすべて核保有国である点が、アジアにおける中国・ロシア・イラン・北朝鮮連合を戦略的優位にしていると見た方がいい。核兵器は保有していない国には使える兵器なのである。また世界のエネルギー戦略で見ると中国・ロシア連合の方がアラブ連合を引き付けているので、はるかに有利だ。

北朝鮮と同様に世界の反米独裁国家が次々と中国・ロシア連合に接近するであろう。中国がアフガニスタンに接近し、同国への投資を行うことを表明したのが特長的だ。世界の2分割を招いたのは、アメリカの画策によるウクライナのNATO加盟表明であり、ロシアへの挑発だった。バイデンの戦略観点の無さがアメリカの戦略的後退を招き、多極化、あるいは新たな冷戦を形成しつつある。中国の戦略的利益は正に「棚からぼた餅」なのである。
#北朝鮮のICBМ実験

多極化は、経済のブロック化と経済危機を招く!

南米アルゼンチンのフェルナンデス大統領が最近、米欧とウクライナ情勢で対峙するロシアや中国を歴訪して首脳会談を行い、アメリカ政府に衝撃を与えている。中国は首脳会談でイギリスのフォークランド諸島のアルゼンチンの領有権を支持したことで、イギリスは反発している。アルゼンチンのフェルナンデス大統領はロシア政府系メディアに「アメリカ依存をやめる」と公然と語った。米欧と露中の地政学的な対立が中南米にも拡大している。

中国政府は党内にロシア批判をしないように通達を出しており、中国、ロシア、イラン、それにアラブ連合(産油国を含む)もロシア、中国寄りとなった。キューバやべネズエラに加えて、アルゼンチンまでもがロシア、中国寄りを表明したわけで、世界の2分化が進み始めた。この傾向はアジアやアフリカにも今後及ぶ可能性がある。

バイデン米大統領が中間選挙対策として、ウクライナのかいらい政権を使いNATO加盟の脅しでロシアのプーチンを挑発したことが、世界の分割という事態へと進み始めたのである。これで冷戦崩壊後のグローバル市場は反転・分断されていく可能性が出てきた。世界はドル圏・ユーロ圏・元圏へとブロック化が進行していくのは避けられない。今後も資源、エネルギーの高騰が続き、コロナ後の世界経済は大不況に見舞われることになりつつある。

今後の注目点は、ウクライナの事態を長引かせずに、休戦・和平へとつなげられるか、それとも戦線が拡大していくかが注目点となる。アメリカのウクライナへの軍事援助は最新兵器のロシアへのプレゼントになる可能性がある。アフガン政府軍へのアメリカの膨大な軍事装備の支援が、イスラム原理主義のタリバンにすべてプレゼントされたように、今後ロシア軍はウクライナの極右政権交代まで戦う可能性が強いし、そのウクライナの装備兵器もロシアにわたることになる。

バイデン政権は未だに世界戦略を公表しておらず、戦略ないままに選挙戦略を優先する愚策を犯している。ロシアのウクライナ侵攻で、アジア諸国は安全保障上の3正面を余儀なくされることになった。バイデン政権がアフガニスタンとウクライナを「捨て駒」としたことで、アジア・アフリカ諸国は動揺し、アルゼンチンにならい自国の利益を計算して外交路線を決定することになる。

アメリカの覇権は今後急速に衰えることになるであろう。世界市場が分割され、ドル経済圏が狭まれば、巨額のドル発行益が支えたアメリカの巨大な軍事力を維持できなくなるであろう。世界は経済危機の中で軍拡競争に取り組むことになる。経済恐慌と第3次世界大戦が避けられなくなるかもしれない。
#多極化が招く経済危機と戦争

ゼレンスキーのプロパガンダに騙されるな!

2014年にアメリカが起こしたクーデターによる政権転覆後、ウクライナはアメリカが軍事訓練して育てたロシア敵視の極右民兵団が主導し、ウクライナのロシア系住民を殺して反動的民族主義を煽り、ロシア人居住区への攻撃を続けてきた。プーチンがこれを長く座視してきたのは、アメリカの挑発と警戒したためであった。

しかし最近になり、アフガ二スタン政府をアメリカが見捨てたように、アメリカの衰退が明らかになり、プーチンはゼレンスキーのNATO加盟発言を無視できなくなったようだ。ウクライナでロシア軍の進撃が停滞しているのは、プーチンがウクライナの市民や都市を破壊しないようにし、ロシア軍を攻撃してくる敵方の極右民兵団だけを攻撃せよと軍に対し命じたゆえである。ロシアが領土拡張目的で侵攻しているのではない、自国を攻撃するNATOの基地建設を阻止するというのがプーチンの大義なのである。ゆえに目的を達成したらプーチンの支持率は高まるであろう。

もちろんアメリカがロシアの無線傍受で情報をウクライナ側に提供しているので、ロシア軍がアメリカ製の携帯ミサイルの餌食になっているのも事実だが、抵抗勢力のみ攻撃せよというプーチンの命令がロシア軍の犠牲を増やしてもいる。しかしロシア軍はすでに都市に立てこもるウクライナ側の極右民兵団を包囲し、補給路を断っている。つまり極右軍はロシア軍に包囲された状態で、住民を「人間の盾」にして立てこもっている。プーチンの極右軍のみ攻撃せよとの指示がいつまでも続くはずがない。

困ったゼレンスキーがマスコミに登場してロシア軍の残虐性を宣伝しているが、これに西側諸国が乗せられて、対ロシア経済制裁をやりすぎると第3次世界大戦の可能性が強まるだけでなく、経済制裁で不利になるのはエネルギー供給面の弱点を持つ欧米側なのだ。また世界市場を分断すれば経済のブロック化が一層進行する。

地政学的にNATOにはウクライナを守る力はない。最近になりゼレンスキーは自分がアメリカに「捨て駒」にされていることに気付いた、それゆえ対ロシアとの交渉に期待し始めている。ウクライナのゼレンスキー政権への武器支援は、ロシアに最新式の兵器をプレゼントするようなもので止めた方がいい。欧米日のマスコミの宣伝に騙されてはいけない、ゼレンスキーは英雄では決してない、彼は自国を亡国に導いたダメ指導者の烙印を押される運命にある。

アメリカのバイデン政権は支持層へのバラマキ法案が議会を通過できなくなり、今年秋の中間選挙が敗北濃厚となり、ゆえに挽回のためにウクライナに挑発させ侵攻を仕掛けたと見るべきである。アメリカのウクライナのゼレンスキーを利用したプロパガンダに乗せられて、対ロシア経済制裁を本気で行えば、日本は外交的、また経済的利権を失い、損失を被ることになる。

それだけではない、バイデンのロシアを中国側に追いやる戦略的ミスで、日本は3正面に敵を持つことになった。バイデンの選挙戦術のために同盟国を危機にさらすアメリカを信用してはいけない。日本は対米自立し、戦略的抑止力を保持したうえで中立の立場を表明すべきである。
#ロシア軍のウクライナ侵攻

ロシアのウクライナ侵攻で分かったこと

ロシアのウクライナ侵攻で以下の事が分かった。
①ロシアのプーチン政権がNATOの今以上の拡大を許さない決意を固めていること
②以外にロシア機甲部隊が脆弱であること、ロシア軍が得た教訓の多さは無視できない
③バイデン政権の戦略観点の欠如
④ウクライナをアメリカが見捨てたことでNATO加盟阻止でロシアは目的を達成する
⑤今後世界経済が経済制裁で打撃を免れないこと
⑥アフガニスタン、ウクライナと同盟国を見捨てた米の戦略的打撃が大きいこと
⑦中国が戦略的に「漁夫の利」を得たこと
⑧経済のブロック化が進行すること
⑨世界の多極化が今後一層進行すること
⑩各国の大軍拡競争が進行すること

以上のことが、今後世界の合従連衡を促し、世界情勢が一層流動化することは避けられない。第一次、第ニ次世界大戦が欧州で始まったように、第三次世界大戦も欧州から始まる可能性が強い。

日本は観念的平和主義を克服し、早期に防衛力を強化して、自分の国は自分の力で防衛できるようにしなければならない。自衛隊は攻撃兵器を持たない状態では平和を守れない時代である。アメリカが同盟国を守る気がないことは明らかであり、日本は対米自立のための戦略的抑止力を保持しなければいけない。平和と中立は強力な武装力なしにはあり得ない。非武装中立などというおめでたい観念論は亡国を招くことになるであろう。
#多極化の時代

冷戦は新たなたかり・ゆすり国家を生む

朝鮮半島の38度線で東西両陣営が武器支援を行ったことを我々は知っている。北朝鮮は東側が、韓国はアメリカが支援した。韓国が歴史を歪曲してまで日本へのたかり・ゆすり外交を行うまでになったのは冷戦のせいである。冷戦は新たなたかり・ゆすり国家を生む。

ウクライナのゼレンスキー大統領は20日、イスラエル国会でオンライン演説し「なぜあなた方から武器を受け取れないのか」と武器供与を求めた。
ゼレンスキー氏は、イスラエルのミサイル防衛システムが「非常に強力だ」とし「あなた方はウクライナ人、ウクライナのユダヤ人を守ることができる」と強調した。実戦経験が豊富なイスラエルの迎撃システム「アイアンドーム」が念頭にある。「なぜイスラエルはロシアに強力な制裁を科さないのか」とも問いかけた。まるでたかりゆすりだ。

イスラエル側にすれば、旧ソ連領のウクライナがアメリカのテコ入れでクーデターを行い、ロシア攻撃のためにNATO加盟を表明し挑発すれば、ロシアが防衛的軍事行動を起こすことは当然で、しかも中東は、今はロシア・イラン連合の主導権下にある。ロシアを怒らせることをすれば、イスラエルは安全保障上の危機に陥る。ウクライナのゼレンスキー大統領はこのようなことすら理解できないのである。映画俳優が大統領になって招いた亡国の危機というべきだ。

アメリカは東欧のNATO加盟国がウクライナの状況を見て動揺し始めたので、米兵を増派するだけでなくバイデンがポーランドを訪問するほどだ。アメリカがシャベリンなどの携帯ミサイルを援助すればするほど、ウクライナの事態が悪化し犠牲が増える。ロシアはウクライナにNATO軍の基地を作らさないためには大量破壊兵器の使用も辞さないであろう。ゼレンスキー大統領はたかりゆすりで兵器をねだっているが、それが事態を悪化させていることを理解できない人物なのだ。

アメリカのバイデンがロシアのプーチンを「戦争犯罪人だ」と語ったがあきれる。アメリカこそ戦後世界各地で戦争を行ってきた張本人なのである。朝鮮、ベトナムやグレナダ、パナマ、イラク、アフガニスタンと、侵略戦争の数はロシアの比ではない。世界の人々はアメリカが戦争犯罪人であることを誰もが知っている。

ウクライナの事もアメリカが挑発した結果なのである。ウクライナは展望のないアメリカの代理戦争をやめた方がいい。このままでは中国が「棚からぼた餅」で戦略的優位を手にするだけなのだ。ロシアは旧ソ連圏のウクライナは、「国内の一部の裏切り問題」と思っているのだ。現状変更はNATOの方だとプーチンは考えている。
#ウクライナ問題

政府は物価抑制を行い年金削減を中止せよ!

日銀は18日の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の維持を決めた。この政策は誤りである、何故なら日本経済は資金不足で設備投資が進まないのではなく、需要不足であることが長期経済停滞の原因であるからだ。実体経済が悪いのに資金をしゃぶしゃぶにして高株価を維持しても物価が上がるだけで意味がない。

2月の輸入物価の上昇率はドル建てなど契約通貨ベースでは前年同月比25.7%だったが、円換算すると34.0%に上昇している。米連邦準備理事会(FRB)が利上げに動いたことで日米金利差の拡大観測が強まり、円売り・ドル買いが進んでいる。今週に入り外国為替市場では円相場が一時、1ドル=119円台と約6年ぶりの水準まで下落した。円安による燃料費や食品などの輸入価格の高騰がますます進むことになる。政府は金利を上げて円安にブレーキをかけることこそ必要なことである。

円安で企業の海外での利益は膨れ上がるが、しかし国民の生活は物価上昇で窮迫しており、政府の物価対策の無策は話にならないほどの愚策である。しかも4月からの年金は労働者の実質賃金下げに合わせて切り下げられる。物価上昇の中での年金の切り下げはやめるべきであろう。円安による物価上昇は金利を少し上げるだけで緩和できるのであるからすぐさま行うべきであろう。経済停滞の中で政府の無策だけが続いて、国民生活の窮迫を招いている。

労働者の実質賃金は長期に低下が続いており、日本経済は需要の減少で長期停滞が続いており、賃金は民主的な労働運動が保障されていれば、放置しておいても経済は成長する。労組の家畜化と闘う労組つぶしが経済停滞の原因であることは明らかだ。労組のストライキによる賃上げが経済成長路線の起動力であることを理解しない強欲が国民経済を縮小再生産に追い込んでいることを知るべきだ。自民党と財界は戦後改革が国民経済の成長路線に果たした役割を学びなおした方がいい。民主的経済ルールこそ経済成長の原動力なのである。
#高物価の中の年金削減

経済危機と戦略的劣勢を招いた米の愚策!

国際通貨基金(IMF)は15日、ロシアのウクライナ軍事侵攻は成長鈍化とインフレ高進という形で世界経済全体に影響を与えるとし、長期的には世界経済の秩序を根本的に変える可能性があるとの見方を示している。

IMFはウェブサイトに掲載した声明で、今回の危機は人的被害や歴史的水準の難民に加え、食糧やエネルギーの価格を押し上げ、物価上昇や所得減少を引き起こし、ウクライナ周辺国の貿易やサプライチェーン(供給網)、資金のやり取りを混乱させていると指摘した。「この紛争は世界経済への大きな打撃であり、成長を阻害し、物価を上昇させる」と懸念を示した。

コロナ後の経済の活性化の影響で資源価格の高騰が続いていたところに、対ロシア経済制裁が影響して、エネルギーや資源価格は高騰している。世界経済への打撃は対ロシア経済制裁で増幅されている。欧州連合は天然ガスの約4割をロシアに依存している。天然ガスの価格は1年前の約8倍を超えるまでに上昇をしており、欧州経済の失速は避けられない状況になっている。

アメリカは経済制裁でロシア排除を進めている。ロシアに進出していた事業の引き上げも進めている。しかしドイツなどはロシアからの天然ガス輸入を続ける方針であり、ウクライナにNATOに加入させないことを伝えている。欧州はロシアからの天然ガス輸入をやめることはできず。したがってウクライナ政府の求めていた、ウクライナ上空の飛行制限や、航空機の供与などを拒否している。かって日本はイランの油田の権益をアメリカに放棄させられたが、その油田は今中国が手に入れている。日本はサハリン沖の天然ガス田の権益を放棄すべきではなく、またロシアからの資源輸入をやめるべきではない。

アメリカの対ロシア経済制裁はまるで中国に「漁夫の利」を与えるだけで、戦略的にはマイナスなだけである。とりわけアジアにおいては中国・ロシア・北朝鮮の核保有国を敵にする3正面の愚はできるだけ避けなければならない。バイデンの戦略なきロシア排除は愚策であり、日本はボケ老人の戦略なき愚策に追随しては安全保障は成り立たない。

ウクライナ政府は、NATOに見捨てられ、中立化と非武装の和解案でロシアと交渉を進めるほかなくなっている。アメリカはアフガンとイラク戦争で、帰還兵の多くが精神症となり、巨額の医療保証が必要となり、今は戦争できない状況にある。世論もウクライナ参戦に反対している。

バイデン大統領は守る気もないのに、ウクライナにNATO加盟を宣言させてロシアを挑発し、ウクライナに侵攻させた。その狙いはプーチン政権の打倒にあったが、逆にロシアを中国の方に追いやり、戦略的にアメリカは劣勢に追い込まれ、中国・ロシア・イラン連合が戦略的優位を確立しつつある。プーチンはNATOの拡大を阻止したとして、国民の支持率は高まるであろう。

バイデンがかってのチェンバレン英首相以上の融和策を行ったことは明らかだ。世界の主敵はファシスト政権の中国なのだ。バイデンは親中であり、これに外交で追随する愚は避けるべきであろう。ドイツ政府がアメリカ依存の防衛をあきらめ、国防費を2倍以上にする決意をしたのは正しい。日本も対米自立すべき時である。
#米のウクライナ政策は融和策

国際通貨の多極化招いた制裁は米の失敗!

アフガニスタンへのロシア軍の侵攻に伴う、アメリカ・欧州などの経済制裁で、ロシアの外貨の約半分が凍結された。これはアメリカとの覇権争いの相手国中国にとっては、戦略的優位であり、同時に貿易のドル建て取引の危険性を強く認識させた。

米紙ウォールストリート・ジャーナル電子版は15日、サウジアラビアと中国が人民元建ての石油売買を交渉していると報じた。石油取引は現在は米ドル建てが支配的で、人民元建てが実現すればドルの国際的影響力が低下し、人民元の存在感が増し、この面での多極化が現実のものとなる。

報道によると、サウジはこれまでドル建てのみで石油取引をしてきたが、アフガニスタンからの米軍撤退やイラン核合意などを巡ってアメリカの対応に不満を募らせていることを背景に、中国との交渉を最近加速させた。中国は世界覇権を展望して強国路線を進めており、「人民元の国際化」を目標に掲げ、国際通貨としての地位向上を図っている。サウジ産石油の人民元建ての購入交渉もその一環とみられる。アラブ連盟と産油国のアメリカ離れは、世界経済からのロシアはずしと重なって世界の多極化が急速に進むこととなった。

アメリカはウクライナのNATO加盟表明でロシアを挑発し、ロシアを軍事的冒険に引きづりこむことに成功した。しかし歴史が教えているのは、戦術的成功が戦略的には重大な失敗である実例が非常に多いのである。欧州への新たな冷戦ラインを引き、ユーロやロシア経済に打撃を与え、NATOを延命できたとしても、ロシアのプーチン政権を中国の側に追いやり、経済制裁はむしろ欧米日の側に打撃となる。とりわけ国際通貨ドルの地位は弱体化し、通貨面でも多極化が進行することは避けられない。ドル圏・ユーロ圏・元圏と国際通貨のブロック化は、同時にドル支配の崩壊なのである。

戦略的に見れば、アメリカの覇権は中国の挑戦を受けているのであるから、アメリカはロシアと中国の間を分断するべきであった。ところがバイデン大統領は、副大大統領時代からウクライナを利権としてきたがために、ロシアを中国側に追いやる戦略的ミスを犯したのである。バイデンはロシアのプーチン政権を打倒した後で、中国を各個に撃破する作戦であったのだろうが、中国は全力でロシアを支えれば、覇権戦略でアメリカに優位に立つことができる。

アメリカが覇権を維持するためには、同盟国を大事に扱うべきであった。アフガニスタン政権を見捨て、ウクライナ政権を捨て駒とし、中東諸国をないがしろにして、バイデンはトランプとは別のやり方で孤立主義の道を歩いているように見える。アメリカが失った同盟国の信頼は、簡単には回復できそうもない。
#世界の多極化進めた経済制裁

対ロシア経済制裁は世界経済への打撃が甚大!

 米欧や日本の政府はロシアのウクライナ侵攻に対する経済制裁として、各国中銀などが預かるロシアの外貨準備を凍結している。
ロシアのシルアノフ財務相は13日、ロシアの中央銀行が保有する外貨準備と金のうち、約半分にあたる3千億ドル(約35兆4千億円)分が、米欧日などによる経済制裁で凍結されていると述べた。

 シルアノフ氏は国営テレビのインタビューで「保有する6400億ドル分のうち、約3千億ドル分が現在使えなくなっている」と述べた。同氏は「中国と協力を維持するだけでなく、拡大することができる」とも主張。経済制裁によって米欧諸国との貿易などが制限されるなか、中国との経済関係の強化が進むとの見通しも示した。

 米欧や日本が行っている経済制裁は「諸刃の剣」であり、ロシアよりも欧州や日本の方が経済的打撃となる。世界では今回のウクライナ侵攻に対し、中立の見解を持つ国が多くある。中国やアラブ連盟がそうであり、いまや中東産油国は非米化しており、アメリカよりもロシアや中国寄りである。ゆえに原油高は続くとみるべきだ。資源輸出国のロシアには経済制裁は効果が期待できない。また中国が必要な物資は供給するのでロシアは経済制裁に持ちこたえられる。

 アメリカは中国に対し、ロシア支援を断つように求めているが、中国はロシアを見殺しにすると、次は自国が包囲されるのだから、ロシアを見捨てることは絶対にできない。アメリカのEUとロシアの分断策が、中国の覇権戦略には大きな戦略的利益となるのであるから、中国は笑いが止まらない状態にある。中国の戦略的弱点は中東の原油を運ぶのにマラッカ海峡を通過する点にあった。今後はロシアからパイプラインでエネルギーが供給される。中国の戦略的利益は計り知れない。

 これに対し欧州はロシア産のエネルギーに依存しており、ロシアがこれを断つと欧州の経済は破たんしかねない。もちろんアメリカの隠された狙いは、今回のウクライナのNATO加盟挑発の狙いが、欧州(ユーロ圏)への経済的打撃にあるので、アメリカは狙いどうりだが、問題はロシアへの経済制裁による世界経済の分断が、西側資本主義国全体の経済に打撃となることだ。ロシアに続いて中国が貿易でドルによる取引がリスクがあると知ったのだから、今後ドルによる取引を縮小していくであろう。ドイツやフランスもロシアからのエネルギーに代わる供給先がない以上、今後ロシアへの妥協のスタンスへと変わるであろう。

 結果、アメリカと日本だけが貧乏くじを引くことになる。ドルの国際通貨の地位は低下し、世界通貨も多極化することは避けられない。日本と欧州はエネルギー価格の高騰で経済的打撃は計り知れない。ウクライナ危機はアメリカが画策したのだが、その打撃はドル支配が崩壊していくのであるから、まさに経済制裁は「諸刃の剣」なのである。

 こうしてウクライナはロシアの治安維持の軍事作戦が勝利しようと失敗しようと、世界の穀倉地帯であるウクライナが戦乱で荒れることになり、世界の食糧危機が深刻化するであろう。石油・天然ガス・小麦などの価格の高騰は長く続くことになる。アメリカが画策したNATO拡大のロシアへの挑発は、アメリカの戦略の失敗であり、世界の多極化がさらに進行することになり、習近平ファシスト政権の世界への脅威が一層強まるであろう。
 日本は、アメリカ追随をやめるべき時が来た、対米自立しなければアフガニスタンやウクライナのように、日本はアメリカの捨て駒とされるであろう。
#対ロシア経済制裁

アメリカは戦争の拡大を画策している

アメリカのニューヨークタイムスは、アメリカ軍がウクライナ西部の町リビウ周辺の基地に、武器の輸送をしていることを報じた。これを受けてロシア軍がウクライナ西部に戦線を拡大しし、米欧からウクライナ軍への武器流入を阻止しようとしている。このため北大西洋条約機構(NATO)に加盟するポーランドとの国境付近でロシア軍の攻撃が相次いでいる。

ウクライナ西部リビウの軍当局は13日、ロシア軍がリビウ北西にある演習場にミサイル攻撃を実施したと発表した。30発以上のミサイルが発射され、35人が死亡、134人が負傷した。ロシア軍は11日にもウクライナ西部で2カ所の空軍基地を攻撃した。ウクライナ北部と東部、南部からの3ルートでの地上侵攻に加え、西部でもミサイル攻撃を実施して戦線を全土に広げた。

報道によると露国防省は攻撃に伴う損失を一切明らかにしておらず、「作戦は順調だ」と強調している。だが、実際にはロシア軍は欧米の支援した対戦車携帯ミサイルによる被害が甚大で、1万人以上の戦死者を出しているとの報道もある。ウォレス英国防相は25日「ロシア軍は24日だけで450人を失った」との分析を公表した。アメリカ国防総省も、ロシア軍は予想以上の抵抗に遭っているとみている。またロシアのプーチン政権がウクライナに侵攻後、中国に対して軍装備品などの支援を要請している、との報道もある。

ウクライナに侵攻したロシア兵は、ウクライナに侵攻することを知らされていなかったとの報道もある。確かにウクライナに侵攻したロシア軍は道路上に連なっており、散会した戦闘態勢ではない。このためアメリカ製の対戦車ミサイルによる被害が増えているようだ。
ニューヨークタイムスの報道で、アメリカなどのウクライナへの武器供給ルートが攻撃を受けるようになったのは、アメリカがわざと戦線の拡大を画策した可能性が強い。ロシア軍の攻撃が武器をウクライナに輸送するルート=東欧諸国に向けられれば、NATO軍とロシア軍の偶発的衝突の可能性が強まる。戦争が欧州全域に拡大すれば軍需産業の国アメリカの経済は潤うことになる。

ロシア軍は、ウクライナが旧ソ連領であった関係で、国内の治安問題と考えている可能性が強く、したがって今は基地とウクライナ軍のみ攻撃しているが、今後はNATO軍の基地を作らせないために得意の焦土化作戦に転じる可能性が強く、毒ガス兵器や戦術核の使用もあり得る。それは東欧諸国への恫喝にもなる。ロシアがベラルーシに核兵器を配備しつつあるのは、東欧へのNATO軍のミサイル配備に対抗する動きであり、ウクライナ軍が抵抗すればするほど、戦争の拡大が不可避となりつつある。

ウクライナの現政権は、アメリカがクーデターで作った政権であり、バイデンとは以前から関係が深かった。ウクライナ政府がNATO加盟をやめるか、中立を宣言すれば、ロシア軍の侵攻を避けることができたのに、それをしなかったのは、ロシア軍の侵攻を想定して携帯ミサイルなどの配備や装備面で防衛体制が進んでいたからのようだ。つまりアメリカはロシア軍の侵攻は計算済みだったのであり、ロシアはウクライナ政府のNATO加盟の脅しで、罠に誘い込まれたとみるべきであろう。

ウクライナ政府軍への欧米の武器支援が東欧諸国を通じて行われているとすると、戦争の拡大が不可避に思えてくる。プーチンは核を使っても今以上のNATO拡大は許さないであろう。バイデン政権は秋の中間選挙に向け窮地なので、戦争を引き起こすことで局面の転換を図ったのであろうが、その火遊びが第3次世界大戦に拡大する可能性が強まりつつある。困ったことにウクライナ戦争で漁夫の利を得る国はあっても、実現可能な和平を仲介する国が一国もないことだ。
#ウクライナ侵攻

中国外交戦略の破たんとウクライナ戦争!

中国の「一帯一路」構想の具体化である「真珠の首飾り」と呼ばれる戦略が破たんの危機にある。スリランカは中国に多額の借金をして国際空港と港を作った。工事費は港が17億ドル、空港が2億ドルで、「一帯一路」構想のモデル事業と言われていた。

国際空港や港湾建設は、近くに工業地帯や大都市がなければ、建設しても経済効果はない。スリランカの空港はコロンボから250キロも離れているため「世界一空っぽの空港」(米経済紙ホーブス)となり、港も役立たずで、中国企業「招商局港口」に99年間リースされることになった。これは前世紀のイギリス帝国主義の香港租借となんら変わらない。スリランカは中国政府の「債務の罠」にかかり、国民は窮乏生活を強いられることとなった。

同じような港を作った国がある。それはパキスタンである。中国の新彊ウイグル自治区からパキスタンのグワダル港まで3000キロを高速道路で結ぶ「中国パキスタン経済回廊」を建設する構想である。この計画は600億ドルもの費用が掛かるが、工事自体が第一期工事で進まなくなっている。港は一部完成しているが、周辺には何もなく、役に立たない港となっている。もともと中国国内からインド洋への出口が欲しくて立てた計画なので、パキスタンの経済成長とは関係がないので失敗した。

スリランカもパキスタンも計画自体が中国の都合で建てられたものであり、両国の経済成長に役立つ計画ではなかったことから失敗が避けられないものであった。パキスタン一国で600億ドルもの建設資金を都合できるはずもなかった。

このように中国の外交戦略「一帯一路」が破綻している中で、トランプ政権時にアメリカとの覇権争いと先端産業をめぐる対立が起きた。そこで中国政府はアメリカからの世界最大の農産物輸入を削減する計画を立てた。すなわち「食糧自給戦略」である。これは将来アメリカに封鎖された時のことを考えて建てたのである。習近平は中国が経済GDPでアメリカを抜き、将来アメリカの封鎖を受けても生き残る戦略として作られたのが「食糧自給戦略」である。しかしこれも中国北部の水不足と南部の洪水被害でうまくいっていないのである。

中国政府は農産物を主にアメリカとウクライナから買っている。ウクライナは親米国であるので、今回のロシアのウクライナ侵攻は、中国の食料安全保障上願ってもないことで、ウクライナからスエズ運河とボラポラス海峡を通らずに穀物を「中欧班列」と呼ばれる鉄道で中国国内に直接運ぶことができる。

中国人は長い歴史の中で、食料があるうちは人民は反乱を起こさないことを知っている。食料の確保という点でロシアがウクライナの穀倉地帯を占領することは、中国の習近平政権には非常に大きな戦略的価値がある。ロシアとウクライナで世界の穀物の3割が生産されている。ウクライナをロシアが占領することは中国には大きな戦略的価値がある。もちろんNATOとロシアの新冷戦は、「一帯一路」にとって大きな打撃なのであるが、中国の食料戦略にはロシアのウクライナ占領は大きな価値がある。

この点が、ウクライナ戦争が中国に戦略的な「漁夫の利」をもたらす意味である。アメリカが仕掛けたロシアのウクライナ侵攻が、いかに戦略的愚策かが分かるであろう。
# 一帯一路 #中国食糧戦略

戦争の本質を理解する上で重要なこと!

個々の戦争には必ず目的がある。桶狭間の戦いでの織田軍の目的は、今川義元の首を打ち取ることであった。相手の10分の一の戦力でそれを行うには奇襲しかなかった。すなわち戦略目的は戦術を規定するのである。

アメリカが第2次世界大戦に参戦することが議会の反対に合い、そこで日本に経済制裁をすることで挑発し、真珠湾攻撃をやらせることで、アメリカは第2次世界大戦への参戦を実現したのである。戦争を仕掛ける側には、その国が直面する政治目的が隠されているのである。

つまり、政治的に解決できないとき、戦争により軍事的に解決するのが戦争なのである。アメリカは、欧州が統一通貨・ユーロ圏を東へ拡大することが、ドル支配を維持するうえで障害となった。またNATOがソ連崩壊で存在意義がなくなりつつあった。そこでアメリカはウクライナでクーデターを行い、かいらい政権を使いNATO加入を主張させてロシアを挑発し、プーチンに軍事介入させた。ロシアには旧ソ連圏のNATO取り込みを阻止する戦争目的がある。アメリカはロシア軍をウクライナの泥沼にはまらせて欧州に新たな冷戦ラインを引き、プーチン体制を打倒したいのである。おそらくウクライナ政権にはアメリカの工作員が多数入っている。ゆえにアメリカはウクライナへの軍事援助を携帯ミサイルの供与に徹している。ここでも戦略目的が戦術を規定している。

つまり戦争で重要なのは、誰が最初に戦いを始めたかではなく、関係国の挑発や、その政治目的を分析しないと、その戦争の本質は理解できない。アメリカはロシアが共産党解散で、普通の資本主義国になると考えていたが、できた政権は、アメリカに屈しない旧党官僚の国家主義的な、軍事独裁政権であった。これはアメリカには受け入れられないことであった。

ウクライナ戦争で浮かび上がった重大な戦略的問題は、プーチンの危険性だけではなく、バイデンの戦略観点の無さである。覇権争いをしている中国の側にロシアやイランを追いやる戦略観点の無さは話にならない。アメリカ国内でもバイデンの中国への融和政策は批判されている。しかもアフガニスタンに続き、ウクライナを見殺しにしたことで同盟国の信頼を失った。アメリカは覇権国として、失ってはならないものを失ったことは、今後の多極世界での戦略的連携(=合従連衡)に影響する可能性がある。

ウクライナ問題の次の焦点は、プーチンがNATOの旧ソ連圏への拡大を断固阻止できるか?であり、アメリカはウクライナを泥沼にするために軍事援助でロシア軍を困らせようとしている。ロシア軍はウクライナ市民への攻撃を禁じられているので、進撃が困難になっているが、市民が都市から退去した後で、戦術核兵器を使う可能性がある。また経済制裁に対し、プーチンが宣戦布告だ、といっているので敵対的周辺国に攻撃を拡大する可能性もある。つまり双方の内どちらかが、戦争目的を実現できないときに戦争を欧州全体に拡大させる可能性がある。

いずれにせよ、ウクライナ戦争は世界の戦略関係を変えた。中国の習近平ファシスト政権が「漁夫の利」を得ることになる。中国だけが「棚からぼた餅」のように戦略的利益を手にすることになる。その反面、日本はロシア・北朝鮮・中国と三正面に核保有国の敵を持つこととなった。これは今のウクライナのような孤立である。日本が戦争での廃墟化を逃れるには、核保有し、対米自立して、中立を宣言するしかない。アメリカに従属し続ければいつかウクライナのように「捨て駒」にされるのである。現在日本が戦略的危機(=亡国の淵)にあることを指摘しなければならない。欧州の一角(ウクライナ)の戦争がアジアの戦略関係を変えていることに無関心ではいけないのである。
#ウクライナ戦争

秋の党大会に向け成長に腐心の中国全人代!

 習近平は秋の人事の大会で主席ポストに居座り続けるためには、経済成長を維持し、国民に「共同富裕」を実現して見せねばならない。ところが世界の経済情勢は①コロナ禍②資源価格の高止まり③ウクライナ情勢の混乱という三重苦で、中国が従来の成長を維持するには困難が多い。

 3月5日から始まった全人代では、2022年の実質経済成長率目標を「5.5%前後」とした。李克強首相は「速やかに持てる政策ツールを活用し、経済の安定成長を確保する」と述べた。その政策の中身は2兆5000億元に及ぶ企業へのテコ入れである。うち1兆5000億元は税金の還付で、企業の手元資金を増やして投資を促す計画だ。地方の公共投資の「インフラ債の発行枠」も3兆6500億元確保している。

 つまり企業への減税と公共事業で景気をてこ入れするもので、人民大衆の消費を拡大する農作物の価格政策の具体策はない。これでは内需拡大による「双循環」政策は限界がある。これと対照的なのが軍備増強で、国防費は7.1%も増えた。台湾統一に向けて軍備増強を進める姿勢を示している。

 政府活動報告は「住宅は住むものであって投機対象ではない」との文言を盛り込んだ。これは不動産バブルを規制するものであるが、同時に中低所得向け住宅開発のテコ入れを念頭にした「新たな成長モデルを模索する」と強調したのは、不動産業しか産業基盤がない地方の経済的テコ入れを考えたものであるようだ。不動産業への規制が地方経済を冷え込ませる可能性を見ているのであろう。

 中国の国防費は1兆4504億元(約26兆3000億円)とアメリカに続く世界第2位で、日本の防衛予算の4倍以上にもなった。これはファシスト国家特有の兵器生産による国有企業へのテコ入れなのである。兵器産業の肥大化は軍拡をとめどもなく続けることになり、やがてはロシアのように軍事侵略への暴走となることを見ておくべきであろう。その矛先が、日本の尖閣諸島と台湾、さらにはインド洋への出口を求めてインドなどが侵略の対象となるであろう。

 政府活動報告で「台湾問題解決の総合的な方策を貫徹する」と初めて書き込んだことは武力による台湾統一の強硬な方針を示唆するものである。これは香港での民主化運動弾圧で「一国二制度」政策の放棄が、台湾の平和的統一を困難にした結果である。「一国二制度」はイギリスに対する国際公約でもあったのだが、この放棄は当然にも武力による台湾統一を避けられないものにしている。

 今後注目すべき点は、ロシアのウクライナ侵攻長期化のもたらす影響である。これはエネルギー価格の高騰など、経済的な打撃がどのようなものになるのか?世界的不況になれば世界の工場の地位にある中国経済の打撃は大きなものになる。習近平政権の掲げる「共同富裕」の政策の成否にもかかわるだけでなく、秋の人事の党大会の成否にも影響する。中国経済の抱える先行の不透明感は政治的深刻さを内包しているのである。
#中国全人代

中国の強軍路線で日本の位置づけが変わった!

中国の王毅の外相は7日、北京で開いた記者会見で、アメリカのインド太平洋戦略について「(アジア地域で)北大西洋条約機構(NATO)を構築しようとするものだ」と述べ,米中対立の下、国際社会のブロック化が進むなか、日本には「他人のために火中の栗を拾うべきではない」と、アメリカと距離を置くよう求めた。アメリカが「中国の核心な利益を絶えず攻撃している」として、「中国は主権国家として断固、自身の正当な利益を守る」と反発した。

中国は世界覇権をうかがい始めて以後、日本への戦略的対応を変えている。以前は、日本軍国主義復活を警戒して、アメリカに日本を押さえさせるという、日本の従属支配を容認していた。最近は日本がアメリカの世界支配を補完することを怖れて、対米自立を容認するスタンスを取り始めている。これはアメリカが将来対中国封じ込めに移行することを計算し、日本をアメリカから分断する方向に転換したことを示している。つまり世界の多極化によるブロック化は、日本の戦略的価値を高めているということだ。

とりわけ安倍政権以来、日本政府がアジア・インド洋戦略として米豪日印のクワッドをアジア版の軍事同盟として推し進めていることを、習近平ファシスト政権はとりわけ警戒している。王毅外相が、日本に対し「他人のために火中の栗を拾うべきではない」と警告したのは、日本がアメリカのために、中国封じ込めのアジア版NATO形成を狙っていると警戒しているのである。

中国が日米関係を分断する戦略に変えたということは、アメリカとの覇権争奪を考慮したことを表している。これに対し、アメリカがウクライナ問題で明らかとなったように、中国を孤立させるのではなく、ロシアを中国の側に追いやる戦略をとっていることと対照的なことであり、バイデンの戦略観点の無さは、アメリカの同盟国の不安を増大させている。

バイデン政権は、習近平政権の外需と内需の「双循環政策」を、自己の利益を獲得するチャンスとばかり、アメリカ金融資本が現在対中国投資を急増させている。バイデンの対中国戦略は、先端産業での競争のみであり、とても覇権戦略といえるものではない。トランプ前大統領が「バイデンは中国に買収されている」と言っていたことが事実に思えてくる。

こうしたバイデン政権の思惑と違い、習近平政権の「双循環政策」は成功しそうもない。中国の内陸部はその多くが自給自足経済であり、内需を拡大するには農作物の価格を権力的価値規定で、高く設定するほかない。しかしそれをやれば、中国企業の国際競争力は失われて行かざるを得ない。すなわち輸出(外需)と内需の「双循環」は成り立たず、反比例するのである。しかも生産手段が国有の中国では価値法則が貫徹ぜず、権力的価値規定で農作物の高価格政策は、都市部の労働者の生活を苦しくし、階級矛盾を拡大することになる。労働者へ賃上げを行えば競争力は失われていく。外資が逃避することは避けられない。

バイデン政権の対中国投資の増大は、まるで敵に塩を送る政策に等しく、習近平ファシスト政権に軍事強国建設の時間的余裕を与えることにしかならないであろう。まさにバイデンはかってのチェンバレンのヒトラーへの融和政策を繰り返しているのである。中国の側から見ればアメリカの矛先を中国ではなくロシアに向けることに成功したのである。

日本政府はドイツのように国防費を2倍以上にするか、もしくは核兵器保有に進むか選択の時が来ている。核兵器は保有していない国には今も使える兵器なのである。通常兵器で国防を強化するとなると5兆円の現行防衛費を10兆円以上に増やす必要がある。しかし核保有なら1兆円で足りる。国際情勢の多極化と軍事力による国境線変更の時代を迎え、日本の核保有表明の時が来たといえる。
#中国強軍路線

ウクライナ侵攻で戦略的利益を享受する中国の矛盾

中国は、軍事侵攻がウクライナの主権と領土の一体性の侵害と国連憲章違反にあたり、中国としては支持したくない、しかしNATOの東方拡大にロシアが寄せる懸念は理解できるとしている。
中国が提唱する広域経済圏「一帯一路」戦略の沿線国を結ぶ国際列車「中欧班列」は、2020年7月に中国・武漢からキエフに向かう定期直通列車が、さらに2021年9月にはキエフから中国・西安への直通列車がそれぞれ運行開始している。中国が最も友好的とみる欧州4カ国として、セルビア、ハンガリー、ギリシアとともにウクライナを挙げている。

つまりウクライナは地政学的に「一対一路」の戦略で重要な位置にある。それでも中国の論調がロシア寄りに傾斜しているのは、ロシアとの連携関係が中国の戦略上で極めて有利に働くことを計算しているからである。習近平指導部はロシアとウクライナの戦争では「どちらにもつかず距離を保ち、中間の立場をとる」ことで、戦略的に「漁夫の利」を得られると踏んだのである。

中国指導部は、アメリカからロシアに対する経済制裁への同調を求められても同意しないことをすでに決定している。バイデン大統領は先日の一般教書演説で、中国についてわずかしか言及しなかった。しかも、中国との経済競争だけを強調し、台湾を含めた安全保障問題には一切触れなかった。これは中国の習近平指導部にはバイデンが反ロシアであっても、反中国ではないことを確信したのである。

国連総会の緊急特別会合(3月1日)で採択されたロシアのウクライナ侵攻への非難決議について、インドが中国とともに棄権に回ったことも中国には重要なことであった。インドは日米政府の共通戦略「自由で開かれたインド太平洋」の中核的な位置にある。日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」の一角であり、アメリカと日本はインドの取り込みを最重要視してきた。インド太平洋地域における中国包囲網は、ウクライナのNATO加盟表明で、アメリカがロシアを中国の側に追いやる戦略で「クアッド」はその一角が崩れつつある。インド軍はロシア製兵器で武装しており、反ロシアのスタンスは取れないのである。

アメリカはロシアを挑発しウクライナに侵攻させたことで、NATO存続に成功し、ユーロ圏の拡大を阻止したが、戦略的にロシアを中国の側に追いやってしまう失敗を犯した。そしてウクライナを見殺しにすることで、覇権国としての信用を喪失した。ゆえにアメリカはウクライナが存続しているうちに停戦させたいところである。

しかし、ドイツのメルケル首相が引退した今、プーチンを説得できる人物はウクライナ問題で中立の立ち位置を確保している中国以外にはない。
ウクライナのクレバ外相が3月1日、中国の王毅外相との電話会談で、ロシアの侵攻を止めるため中国に停戦仲介への期待を表明したことで、中国は戦略的に優位な位置を手に入れていることが分かった。

しかしその中国は、同時にウクライナ問題で深刻な矛盾に直面している。中国政府はロシアのNATOの東方拡大阻止への理解を示したが、そのロシアがウクライナのロシア人居住区の独立を認め、その保護を名目にした軍事侵攻は、台湾の独立問題を警戒している中国政府には絶対に認めたくないことである。

つまり中国政府はウクライナ問題で戦略的に有利な立ち位置を手に入れたが、同時に台湾独立承認の実例を認めることになりかねない事態となった。ウクライナ問題での中国政府のロシア寄りのスタンスは、「もろ刃の剣」でもあるのだ。
#ウクライナ問題での中国の抱える矛盾

世界情勢の激変と危険な傾向について

ロシアのウクライナ侵攻で、対ロシア経済制裁が花盛りだ。そのくせ侵攻されているウクライナへの軍派兵はない。せいぜい携帯ミサイルの供与ぐらいだ。ウクライナを捨て駒にすることでアメリカはNATO加盟諸国をまとめられる。NATOは存在意義を失いつつあったが息を吹き返した。

ウクライナのNATO加盟でロシアを挑発し、侵攻を促したアメリカの陰謀はあまり語られない。アメリカがキューバへの核ミサイル配備を許さなかったように、ロシアも許すはずがなかった。

ウクライナをめぐる情勢で注意しなければならないのは対ロシア経済制裁をやりすぎると世界の不況を招くだけでなく、核兵器の使用につながることである。戦前の日本軍国主義はアメリカの経済制裁で開戦(真珠湾攻撃)に突き進んだ。独裁的権威主義は、経済制裁を攻撃として受け止め理解する傾向がある。ウクライナでの侵攻が抵抗を受ければ受けるほどプーチンはかたくなになり、戦術核兵器の使用を決意する可能性がある。いまでも核兵器は核を持たない国には使える兵器なのである。

ドイツやポーランド、日本などは核攻撃の可能性を考えて経済制裁は控えめにした方がいい。ロシアを追い詰めることは二重の意味で危険なのである。一つは世界の主要な矛盾が世界と中国ファシスト政権の矛盾であり、対ロシア経済制裁は中国に漁夫の利をもたらすこと。二つ目はプーチンをいたずらに追い詰めることは欧州全域への戦争の拡大を招きかねないこと。

我々はウクライナ政府がNATO加盟をやめるか、もしくは中立を選択すればウクライナ問題は平和的に解決すると認識していた。しかしウクライナ政府はそのような柔軟性がなく、それが亡国を招いたといえる。ウクライナの抵抗は犠牲を増やすだけの効果しかない。地政学的にウクライナ派兵はどこの国であれ難しいのである。ロシアは長期化しようが作戦を断固追行するであろう。アメリカのミサイル基地を作らせないためにはそれしか選択枝がないと、プーチンは考えている。

戦争が長引けば長引くほど、ロシアは中国への依存を強める。アメリカがやるべき戦略外交はロシアと中国を分断することであった。アフガニスタンを守れなかったものが、ウクライナでクーデターを引き起こしたのが間違いであった。この両国を切り捨てたアメリカの権威はひどく傷ついている。もはや同盟国はアメリカを頼りにはできないのである。

アジアの各国は中国とロシアを同時に敵としなければならなくなった。インドは反中国だがロシアを中国の方へ追いやったアメリカの戦略への疑問を深めている。ドイツは軍事費を2倍以上にすることを決めた。もはやアメリカは頼りにならないと決断したことの意味は大きい。世界はこれまでになく流動化したといえる。
#世界情勢の流動化

バイデンの一般教書演説はお粗末だった!

「プーチン大統領はかつてないほど世界で孤立している。」「彼は戦場では利益を得るかもしれないが、長期的には高い代償を払い続けることになる」バイデン大統領はウクライナ問題でこのように語った。まるでロシアがウクライナを占領することを認めたかの発言だ。

バイデン大統領が一般教書演説で、ロシアの暴走を抑えられなかった点に触れず、ウクライナの制圧を許さない、と言えなかった点は極めて重要で、しかもウクライナの事態にも関わらず、アメリカが軍事予算を大幅にアップするなど戦争の危機への対応をしなかったこと、また焦点となっているエネルギー政策を変更しなかった点は、まるで世界の戦争への危機感を認識していないかのようだった。

バイデンのインフレ対策は「コストを下げて、賃金は下げない。米国で製造する自動車や半導体を増やす。米国のインフラと技術革新を拡大する」「気候変動と闘うことにより、各世帯のエネルギー費用を年間で平均500ドル削減する」これらの発言は誰でも嘘と分かる。バイデンの気候変動対策でエネルギー価格が上がることは誰でもが知っていることだ。

バイデンはインフラの整備を約束し、雇用の拡大も約束したが、アメリカ国民が期待していた戦争の危機の時代において、アメリカが世界でリーダーシップを発揮することについては何も語らなかった。
「企業や富裕層に相応の負担をしてもらおう」とか、新型コロナウイルス対策で「国民が薬局で検査を受け、陽性ならその場で錠剤タイプの抗ウイルス薬を無料で受け取ることができる新たな取り組みを開始する」とかの発言は、秋の中間選挙向けであろう。

バイデン大統領の一般教書演説は、世界がウクライナへのロシア軍の侵攻で戦争の危機にあるときに、軍事力増強をせず、強いアメリカを語らず、選挙受けすることばかり語ることは、世界の人々を残念に思わせるものであり、何よりも同盟国を失望させる。いつもの戦争の危機における強いアメリカの存在感が感じられない演説内容なのである。お粗末としか言いようがない。これではロシアのプーチンの暴走を止められそうもない。

アメリカ国民は自然災害をこうむり、高い物価で苦しみ、貧富の格差拡大で苦しんでいるときに、大統領が選挙向けの耳障りの良い演説しかせず。ロシアの攻撃の中、誰もウクライナを支援せず、アメリカさえもが見殺しにしておいて、強いアメリカを語れない状況はあまりにも情けない。

バイデン大統領は演説のまとめで、「私は今夜、合衆国の状態を報告するためここに来た。合衆国の状態は強固だ。米国民が強いためだ。われわれは1年前より強固だ。1年後には今よりさらに強くなっている」と語ったが、アメリカ国民はアフガニスタン政府を見殺しにし、今またウクライナを見殺しにし、大統領が強いアメリカではなく、見え透いた選挙向けの耳障りの良い嘘を語る姿は、いつもの覇権国アメリカの姿ではない、と感じている。

アメリカが覇権国としての権威を喪失している姿が、今後中国の習近平ファシスト政権の軍事的暴走を許すことにつながることを本気で心配しなければならない。
#バイデンの一般教書演説

ウクライナ侵攻が中国の戦略的優位を確立した!

ウクライナへの切り捨て策で、バイデン政権の欧州第一が明らかとなった。今後はロシア敵視、封じ込め、ウクライナでの消耗戦でプーチン政権の打倒へとアメリカは向かうであろう。欧州とロシアの間に対立の壁は作れても、当面欧米は対ロシア戦線に力を入れることになる。その分世界の覇権を争う中国は戦略的優位を維持できることになった。

王毅国務委員兼外相は26日、ドイツのベーアボック外相との電話会談で、「ロシアの正当な安全保障面の訴えは適切に解決されるべきだ」と表明した。
中国外務省の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は28日の記者会見で、ウクライナへ軍事侵攻を続けるロシアに対し,米欧や日本が、ロシアの金融機関を国際決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から排除する措置を決めたことに対し、「制裁という手段で問題を解決することには賛成しない」と批判。今後も中国はロシアと「正常な貿易協力を展開する」と表明した。

中国のロシア支持が明白になったことで、ウクライナ国内で中国人がウクライナ国民からつるし上げ、批判される事態が起きている。しかし世界的に見ればロシアのウクライナ侵攻は中国の戦略的優位を確立したといえる。例えば、欧米のロシアへの経済制裁が強まれば、ロシアは中国に頼るしかない。このことが、アジア地域での中ロ関係の戦略的強化につながるのは避けられない。

ロシアの侵攻に対するアメリカの対応が、ウクライナを早々と見捨てたことで、アジアの政治指導者は、アメリカの同盟国への安全保障への信頼に疑問を持つであろう。逆に中国の指導者は、アメリカとの戦略的な覇権争いへの自信を深めたと見られる。
アメリカがアフガニスタン政府を見捨て、今回はウクライナを見捨てたことは、同盟国の政治指導者の信頼を失うこととなった。安全保障面でアメリカに依存している国、中でも強い防衛力を持たない小国は、最悪の事態が起こったとき、アメリカは同盟国を見捨てるのではないか?と考えるのは確実だ。

ロシアのウクライナ侵攻をアメリカが許したことは台湾政府に衝撃を与えている。バイデン政権が台湾に代表団を送り込んだのは、台湾政府の動揺を抑えるのが目的であった。

日本は三正面に核保有国を持っことになった。これは戦略的窮地といえる事態である。安倍元首相が「核兵器の共同管理」を主張したのは、彼の動揺を示している。これまで彼自身が主張してきた非核三原則はどこへ行ったのか?

アメリカが覇権を争う中国の方へなぜロシアを追いやったのか?これは世界戦略から見れば明らかに融和政策としか見れない。覇権を争う中国とロシアを分断すべき時に、逆のことをやっている。バイデンには世界の主要な矛盾が見えていないのである。世界の主要な矛盾とは全世界の国・人民と習近平ファシスト政権の矛盾である。

このままでは日本は対中国との戦争で「捨て駒」にされることは避けられない。対米自立は目前の政治課題となったといえる。
#ウクライナ侵攻がもたらす戦略的激変
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