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混迷の時代を、今こそ対米自立を!

 資本主義の不均等発展は、中国という個人独裁の巨大なファシスト国家を生み出した。またアメリカ国内の分裂と対立は、中国と覇権争いをする戦略さえ持てないほど混迷している。しばらくは世界は民主主義の指導国家なしで混迷が深まるのは避けられない。

 アメリカはアフガニスタンさえ守れなかった。コロナ・パンデミックは独裁国家が幅を利かす時代となった。中国やロシア、ベラルーシ、イラン、北朝鮮、ミヤンマーなどの独裁連合が反動的戦線を形成している。アメリカですら未だに黒人差別が続き、とても民主的とは言えない。

 安全保障面でのアメリカの衰退は、日本が自分の国は自分で守るほかないことを教えている。日本の周辺国は核保有国ばかりであり、アメリカが頼りにならない以上、日本は核を保有しなければ第2第3の広島・長崎が生まれるであろう。もはや核アレルギーを克服しなければ国家の存続も難しい時代なのである。核を持たなければ、核を使えない兵器にはできないことを知らねばならない。

 「憲法は日本の宝」という観念的平和主義を克服する時が来た。事実、憲法9条は対米従属を継続するためのものなのだ。日本は武装中立で二度と大国との戦争に巻き込まれてはいけない。そのためには対米自立し、武装中立を保つしかない。もはやアメリカは他国の防衛など保障する気も、力もないのである。

 日本の与党も野党も無責任な従属派ばかりで、防衛論議も行えない。このままでは米中戦争で使い捨てにされるだけなのだ。日本は対米自立し、反ファシスト統一戦線の民主国家の側に立つべきであり、中国の軍事的暴走を力で阻止し、強力な武力で平和を守ることを国是としなければならない。日本は戦争放棄の従属憲法と決別すべき時である。
#対米自立
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NATOの東方拡大阻止目指すプーチンの強気!

 ロシアのプーチン大統領は、21日、モスクワの国防省で開かれた会合で演説し.緊張が高まっているウクライナ情勢をめぐって、ウクライナがNATO=北大西洋条約機構に加盟しないことを法的に保証する協定が必要だと一方的に主張し、アメリカとの交渉のなかで、要求していく姿勢を強調した。

 さらにプーチンは、欧米諸国が攻撃的な路線を続けるのであれば、われわれは軍事的、技術的な対応をとり、非友好的な措置に対して厳しい対応をとる」と軍事的な行動も辞さない強気の姿勢を示した。

 DPA通信は、NATOが来年1月12日に「NATOロシア理事会」の会合を招集することを検討していると伝えた。緊迫するウクライナ情勢を協議するためだとみられる。、この会合で欧米がプーチンの要求であるウクライナのNATO加盟をあきらめるかが、注目される点である。もしウクライナのNATO加盟を認めると、ロシア軍のウクライナ侵攻は確実で、アメリカにとってはアフガンから撤退してまで進めた対中国重視の戦略転換も破たんすることになりかねない。

 タス通信によると、プーチン大統領は26日放映のロシア国営テレビの番組で、ロシアの要求が拒否された場合、「軍事専門家からの提案に基づき、ロシアはさまざまな対応を取る」と述べた。

 バイデン米大統領が24日、クリスマスイブに子どもたちと電話で話す公開イベントで、4人の子どもの父親という男性から「くたばれバイデン」を暗に意味する侮辱的なスローガンを浴びせられる一幕があった。バイデン氏は「同意する」と応じたが、米メディアは、意味を理解していたかどうかは不明だと伝えている。

 国内の対立と分裂の中でバイデンの支持率は急落しており、ウクライナ問題でもウクライナに米軍を派遣しないと断言しているだけに、アメリカがプーチンの強硬姿勢にどのような対応をとるか注目される。

 バイデン政権が本当に対中国戦略を重視しているなら、ウクライナ問題でロシアに譲歩し、ロシアと中国を分断する戦略をとるであろう。原油価格の高止まりで産油国のロシア経済は持ち直す可能性が高くなっており、プーチンの強気の外交は弱まりそうにない。

 NATOがプーチンの強気を読み間違うと、ウクライナ問題は第3次世界大戦の発火点となりかねないであろう。
#ウクライナ問題で強気のプーチン

中国を超大国にして世界支配目指す習近平の夢!

 中国が、世界で自由貿易の維持を強く主張しているのは、中国だけが(形骸化しているとはいえ)社会主義的所有(=生産手段の国有)で、価値法則が貫徹しない経済であるので、権力的に低賃金政策を維持し、世界の工場として、世界貿易で一人勝ちを持続できるからである。

 習近平政権は「中国製造2025計画」で「世界の製造強国の先頭グループ入り」を目指し、世界の科学者や技術者1000人を中国に招聘して、先端産業支配を目指している。また発展途上国に「債務の罠」戦略で、スリランカ、パキスタン、イラン、サウジ、南太平洋諸国、中南米諸国、アフリカ諸国に軍事拠点を獲得しつつある。

 習近平ファシスト政権が国内で独裁支配を強化し、外への侵略体制を強化するため、南シナ海に侵略拠点としての基地群を建設し、驚異的なスピードで艦船を建造している。空母や上陸強襲艦の大量建造は、西太平洋とインド洋の海上覇権を目指しているのである。中国を超大国にして世界を支配する夢に習近平は取りつかれているのだ。

 彼らが中国内の少数民族への容赦ない同化政策、すなわち民族浄化を進めているのは、外への侵略への体制整備なのである。習近平ファシスト政権は反動的中華民族主義であり、危険極まりない侵略勢力なのである。その「群狼外交」と評される報復・恫喝外交は、前世期の帝国主義の植民地支配の手法と何ら変わらない。

 米CNN(電子版)は23日、サウジアラビアが中国からの支援を受けて弾道ミサイルを製造していることが米情報機関の分析などから分かったと報じた。サウジには、ペルシャ湾をはさんで対峙(たいじ)するイランがミサイル技術を向上させていることに対抗する意図があるとみられる。米軍が撤退する空白状態の中で軍拡競争が加速し中東域内の不安定性が高まり、中国覇権主義が中東での影響力を強めいる危険を見逃してはいけない。
 世界の覇権を握るアメリカが、国内の分裂と対立の深まりで、対中国戦略を立てることができない中で、習近平ファシスト政権が軍事侵略体制を整えていることに危惧を表明しなければならない。

 G7諸国は、国内の民主と自由の無い、したがって公平な競争条件の無い中国を「世界の工場」とする誤りを修正し、中国に民主と自由を求め、それが出来ないなら「世界の工場」とする政策をやめるべきであろう。欧米や日本の多国籍企業は目先の利益に目がくらみ。とんどもない軍事モンスター侵略国を作り出しているのである。

 今日の世界がコロナ禍の中で、軍事強権国家がのさばる事態が生まれており、とりわけ習近平ファシスト政権は、世界を第3次世界大戦へと導きかねない軍事強国路線を進めている。世界のリーダー国不在は、世界を軍事力独裁国家がのさばる時代へと導いている。戦争になってから「反ファシズム統一戦線」を作るのでは遅いのである。世界の政治指導者は、ドイツ・ナチ政権の侵略を生み出した融和政策の誤りを繰り返してはいけない。世界の主要な矛盾を取り違えてはいけないのである。
#習近平ファシスト政権

文在寅の南北改善策は成功しない!

 台湾外交部(外務省)は20日夜、韓国大統領直属の政策立案機関が16日に開催した会合で予定されていた唐鳳(オードリー・タン)政務委員(閣僚)の講演が突然キャンセルされ、韓国側に厳正に抗議したと発表した。「非礼な行為」に対し、外交ルートで「強烈な不満」を伝えたという。

 これは韓国側が中国に配慮したため起きた非礼であり、文在寅大統領の任期満了が迫り、北朝鮮との関係改善で成果(政治的遺産)作りにはやる文在寅(ムン・ジェイン)は、中国に北朝鮮との仲介を期待していると見られている。

 中韓両政府には23日、オンラインで外務次官級の戦略対話を4年半ぶりに開催する予定が入っていた。2022年2月の北京冬季五輪には中国政府が文大統領を開会式に招待しており、韓国側が対応を検討中であり、中国側が北朝鮮の金正恩との中介を設定できるかに関心が集まっている。

 北朝鮮はコロナウイルスの国内への侵入を警戒して現在国境を封鎖している。習近平政権の北朝鮮への影響力は限られている。北朝鮮のように奴隷制の封鎖的自給自足の経済は、開国すれば経済が崩壊する危険がある。徳川幕府が開国で、自給自足経済が崩壊し、幕藩体制を維持できなくなったように、開国すなわち南北関係改善は金正恩には死活的冒険となる。ゆえに文在寅の政治的遺産つくりは成功しない可能性が高い。

 ただし、北朝鮮経済が窮迫している場合、中国や韓国の経済支援次第では文在寅の関係改善に応じる振りをする可能性があるが、金正恩体制は核・ミサイル開発はやめないし、開国して崩壊を招くようなことはしないであろう。

 金正恩は人民内部の矛盾と敵対矛盾を区別できず、すべて銃殺で処理する独裁者特有の間違いを犯しているが、開国で政権崩壊を招くほど、そこまで愚かではないであろう。
 南北朝鮮は38度線の休戦ラインを挟んで、米中が双方の緩衝地帯として半島の分断固定化で一致している以上、韓国と北朝鮮双方が望んだとしても関係改善ができるわけではない。

 中国にとって北朝鮮は台湾進攻時における第2戦線構築のために必要で、半島の対立関係を改善するメリットはない。したがって文在寅の南北関係改善策は成功しそうもないのである。文在寅の政治的遺産つくりが成功しなければ、来年春の大統領選で与党が敗北する可能性が強まり、与党が敗北すると文在寅は逮捕される可能性がある。
#文在寅の南北関係改善

アメリカのアジア重視はまやかし!

 アメリカの民主党政権はオバマ時代から中国との関係が深い。オバマ時代にもアジア重視を言ったが、それは中国に進出しているアメリカ企業からの献金が狙いであり、また台湾や日本にアメリカ製兵器を売りこみ、思いやり予算も増額させられる。バイデン政権もアジア重視といいながら、いまだに対中国戦略を打ち出せない。

 アメリカが未だに対中戦略を打ち出せないのはNATOをめぐる戦略的激変が起きていることと関係がある。NATOの一角を占めるトルコがNATOを裏切り、ロシアやベラルーシと関係を強化しているからだ。

 このためNATOの東方への拡大が暗礁に乗り上げ、ウクライナのNATO加盟にロシアが軍事介入をしてでも阻止する決意を示していることから、ウクライナを軍事的に防衛できない事態になっている。黒海の出入り口をトルコが扼しており、地政学的にウクライナをロシア勢力圏から奪うのは軍事的に難しい状態になっている。それどころか中東へのロシアや中国の影響力が拡大しつつある。

 バイデン政権のアフガン政府を見殺しにし、タリバン政権の存在を許したことが、この地域でのアメリカへの不信感を増幅した。中央アジアや中東でのアメリカの影響力は失われつつある。石油の高騰を増産で抑えることすらできなくなっている。こうした戦略的変化がイラン外交に表れて、イランの強硬派政権が公然と核保有へと進み始めた。

 イスラエルがいつイランの核施設への空爆を行ってもおかしくない事態が生まれている。しかもNATOそのものが機能しない事態も予想される。欧州連合(EU)はロシアから天然ガスを購入し、その代金で機械などをロシアに売り込みたいのであるが、アメリカはEUのエネルギーのロシア依存に反対している。ロシアとベラルーシが中東の難民を欧州に送り込み、EUを揺さぶっている。難民問題は欧州を分裂に追い込みかねない事態が生まれている。

 第一次世界大戦も、第二次世界大戦も欧州から始まっていることから、現在の欧州と中東の経済危機と戦略的変化は、第三次世界大戦に発展してもおかしくないのである。ウクライナでの戦火は、中国にとって台湾や日本の西南諸島侵攻の好機となる。アメリカが対中国との覇権争いに対抗する戦略を具体化できない理由がここにある。

 バイデン政権の失敗は、ロシアを中国側に追いやり、2正面戦略を余儀なくされたことである。いまのアメリカに2正面戦略を維持する力はない。それを示したのがアフガニスタンでの拙劣な撤退に他ならない。

 ロシアからウクライナ問題を見れば、ウクライナは旧ソ連時代の勢力圏であり、ソチオリンピックの最中にCIAがウクライナでクーデターを起こし、NATO加盟を企んだのであり、支持率の低下しているプーチンは、ウクライナを取り戻すのに軍事力を使うことに躊躇しないであろう。

 中国と欧米日は経済の相互依存関係がある。しかしロシアとはクリミア半島の併合以後経済制裁で相互依存関係は絶たれている。事態は戦争の危機なのである。これは中国の習近平ファシスト政権にとって軍拡の時間を獲得できることを意味している。アメリカは対中国戦略どころではないのである。とりわけバイデン政権のチェンバレン化(対中融和政策)は日本にとって災厄となる危険がある
 
 日本政府は自分の力で自国を防衛する決意を持つべきで、本気で対米自立を目指す時が来ていることを知るべきだ。対等の日米同盟以外に、この危機は乗り越えられないのではないか?
#本格化した戦略的変化

香港議会選が示す中国独裁支配の愚劣!

 香港立法会(議会、定数90)選挙の投開票が行われ、親中派が議席をほぼ独占した。習近平ファシスト政権が、選挙から民主派を排除した結果である。まやかしの選挙というほかない。投票率は投票ボイコットで、5年前の前回選挙からおよそ28ポイントも下がり、過去最低の30、2%となった。約7割の香港有権者が選挙をボイコットしたのであるから、民意は不信任というべきだ。

 ふつう議会は諸階級間の利害調整の場である。それなのに反対派(=民主派)を議会から排除しては、議会の機能を果たせないではないか?。これでは香港議会は習近平ファシスト独裁政権の施策を追認するだけの機能ということになる。もちろん1党支配の中国ではこれが当たり前なのであろうが、国際社会では通じない。

 理解しがたいのは、香港の独裁支配への転換で、習近平の「一国2制度」の国際公約が反故になり、台湾の平和的統一も不可能になったことだ。香港の独裁支配への転換は完全な外交的失敗であるのは明らかである。

 中国国内では共産党幹部の腐敗が進み、だれも共産党を信じない事態が生まれており、習近平は「反腐敗」のスローガンを下すことができない。香港の民主化運動を放置しては中国国内の治安が悪化する可能性が高く、「一国2制度」の国際公約にかまっていられなかったのである。つまり香港の独裁への移行は習近平ファシスト政権の弱さの表れというべきなのである。

 習近平ファシスト政権は、世界支配の「中国の夢」を掲げ、超大国になりたいゆえに「群狼外交」を強権的に展開し、4000年の歴史で一度支配した地域、それはシベリアから朝鮮半島、ベトナム、中央アジア、日本の沖縄まで自分たちの領土と考えて、拡張主義を実行している。

 その強軍路線はかってのヒトラーを超える大軍拡であり、現在の世界で最大の戦争勢力となっている。彼らは中国の独裁支配が、中国流の民主だと強弁しており、またチベット族やモンゴル族、ウイグル族は皆中華民族だと強弁し、反動的同化政策を追求している。
 強権的に低賃金政策をとっているので、国際交易で中国は一人勝ちとなり、豊かな富で巨大な軍事力を保持しつつある。自由と民主の無い独裁国家との公平な交易はあり得ず、「自由貿易」は危険な個人独裁のファシスト政権を生み出したのである。

 中国の独裁政権の内的もろさは、外への軍事的凶暴性としてすでに表れている。独裁政権との平等な交易はあり得ないことを世界は知るべきであり、労働力が安いからと中国を「世界の工場」と位置付けた誤りを指摘しなければならない。世界は習近平ファシスト政権の軍事的暴走に備えなければならない。
#習近平ファシスト政権

政治不信と雇用不安が貯金の膨張を招く!

 日本銀行が20日発表した資金循環統計(速報)によると、今年9月末時点の家計の金融資産が前年同期比5・7%増の1999兆8千億円で過去最高となり、2千兆円に迫っている。最高を更新したのは5四半期連続。新型コロナウイルス対策のために政府が配った給付金や株価上昇などにより、個人マネーが急速に膨らんでいる。

 報道によると、コロナ禍での金融の異次元緩和で株価が上昇したこと、また外出が抑制され、消費を手控える傾向があることも資産残高を伸ばす一因になっている。家計の金融資産の内訳をみると、現金・預金1072兆円▽保険など539兆円▽証券335兆円▽そのほか54兆円である。

 1700兆円台から1800兆円突破、1800兆円台から1900兆円突破までは、それぞれ3年以上かかっていた。1900兆円台からは、2020年12月末から21年9月末までのわずか9カ月で2千兆円に迫っている。この消費控えはコロナだけでなく、政治への不信や、職場のパワハラ、退職強要の増加などから雇用不安が高まっていることが影響している。

 資金循環統計は家計・企業・銀行など経済主体のお金の流れや残高を集計した統計。日本銀行が3カ月ごとに公表する。注目される指標の一つが家計の金融資産の残高で、正確性が高いとされている。

 コロナ禍で実体経済が悪いのに、金融を緩和して株価を釣り上げる自公政府の施策がバブル状態を形成しており、また職場ではパワハラと嫌がらせが横行しており、雇用不安は高くなるばかりなのだ。政府の労組敵視で、30年間も労働者の実質賃金が上がらない、しかもリストラばかりなのだから、コロナ禍で消費を控え、貯金を殖やそうとするのは当然だ。

 強欲の資本主義の政策が長期の経済停滞を招いており、職場ではリストラがらみのパワハラが横行しており、うつ病患者は激増し、労働者の雇用不安は70%近くまで上がっている。いつ失業するかわからないのであるから、無駄な消費は控えざるを得ない。個人金融資産の増加は一見豊かさのように見えるが、日本における貧富の格差は拡大しており、実は労働者の貧困と雇用不安の反映でもあるのだ。
#貯金の増加は雇用不安の反映

「日本病」回避に動く米欧中央銀行に学べ!

 日本銀行は17日に開いた金融政策決定会合で、現在おこなっている大規模な金融緩和を当面継続する、と決めた。米欧の中央銀行はこぞって金融緩和の縮小や利上げに動いており、世界の主要中央銀行のなかで再び日銀だけが「金融緩和の罠」に取り残されることがはっきりしてきている。

 安倍政権から続いている日銀の異次元金融緩和は、いわば「強欲の資本主義」が行き過ぎて、国民経済が停滞社会になり、実体経済は停滞でも、金融緩和で株価だけ上げる政策は、「日本病」として欧米諸国を非常に警戒させている。
 
 米欧の政策当局はゼロ成長・ゼロ金利・経済停滞が30年も続く、いわゆる「日本病」を恐れて利上げに動いている。コロナ下で始まった超金融緩和を早期に収束させて政策の正常化を進めることで、デフレの「日本病」回避を目指しているのである。

 報道によると、日銀の金融政策決定会合は年8回開催され、メンバーは総裁、副総裁、審議委員の合計9人。近年の会合と同様、今回も8人が現行の緩和継続に賛成、1人が緩和拡大を求めて反対した。驚くべきことに金融緩和に反対する審議委員が一人もいないのである。

 全メンバーが第2次安倍政権以降の人事で採用された顔ぶれになった4年前から、緩和縮小を求める意見は一切なくなっているという。つまり資本主義経済が分かる人間が一人もいないのである。欧米では、しばしば金融緩和継続の賛否が分かれることと比べ異常というほかない。偏った人選では政策選択で間違うのは当然だ。

 労組を家畜化し、30年間も労働者の実質賃金を上げず、そのうえ消費税を上げるのだから個人消費は増えず、経済は縮小し、したがって需要は拡大しない。それゆえ設備投資は起こらず。長時間労働や残業代を払わない強欲の資本主義でブラック企業だけがもうかる社会となった。ゼロ金利・ゼロ成長を維持しても国民経済は成長しないのがわかっているのに、いつまでも強欲の資本主義を続け、金融緩和で株価を上げることだけを目指すのが日本の愚劣極まる経済政策だ。

 労組の家畜化や闘う労組つぶしで国民経済を停滞させ、賃上げを抑制し続け、金融緩和で株価だけ上げる政策は、インフレによる国民大収奪であり、日本のGDPは10年で中国の3分の1にまで縮小した。ゼロ金利・ゼロ成長・経済停滞をやめて、今こそ欧米諸国に学び、日本経済を成長軌道へと舵を切るべきであろう。
#日本病

議会は対中国シフトだがバイデンは「融和政策」?

 新聞報道によると、米上院は15日、2022会計年度(21年10月~22年9月)の国防予算の枠組みを定める国防権限法案を賛成多数で可決した。総額は約7777億ドル(約88兆円)で、前年度より5%増加した。中国に対抗して米軍の態勢を強化する基金「太平洋抑止イニシアチブ(PDI)」には前年度の3倍超となる71億ドルが計上され、中国との競争を重視する姿勢が鮮明となった。

 米国の国防予算は、政府が提案する予算教書を元に、議会が国防権限法として毎年可決する。下院もすでに可決しており、近くバイデン米大統領が署名して成立する。
インド太平洋地域の増強に使途を絞った基金であるPDIには、バイデン政権が5月の予算教書で求めていた額よりも20億ドル多い約71億ドルが充てられた。

 国防総省はPDIを活用して、ロシアとの中距離核戦力(INF)全廃条約が19年に失効したのを受けて配備可能になった地上配備型中距離ミサイルや、極超音速兵器の開発などを進めるとしており、議会としてもこれを強く後押しする予算になっている。

 このほかにも、中国が人工知能(AI)やサイバー戦能力の強化を進めていることなどを念頭に、先端技術の研究・開発予算としてバイデン政権の要求額に大幅な上乗せを認めると強調。政権側に先端技術分野への投資を強化するよう促した。

 一方で、バイデン政権が8月に駐留米軍の撤収を完了させたアフガニスタンについては、約20年に及んだ戦争を検証する独立員会を設置するよう求めた。バイデン政権が対中国戦略を具体化できない中で、アメリカ議会がインド太平洋地域の軍備増強に政権の要求以上に予算を充てたことが注目される。

 バイデン政権は思いのほか対中国シフトに消極的で、アメリカ議会の国防権限法にみられる強硬策と対照的である。それは口先ではアジア重視・日米同盟重視といいながら、岸田首相の訪米と首脳会談を拒み続けている点にも表れている。

 バイデン大統領はウクライナ問題でもロシアの軍事強硬策に、経済制裁しか対抗策を示せなかった。またトルコのNATOへの裏切りと、ロシアおよびベラルーシへの接近を阻止できず、放置し、アフガニスタンでは政府軍を見捨てた。このため米軍特殊部隊が訓練した旧アフガニスタン政府軍の精鋭部隊がイスラム過激派組織「イスラム国」(IS)に合流するなど不手際が多い。

 またバイデン政権はロシアを中国側に追いやることで戦略的に不利な状況を作り、いまだ対中国戦略を具体化できない事態となっている。バイデン政権の外交が北京オリンピックの外交的ボイコット以外見るべき成果がない点は、アメリカの求心力の低下を示すものである。アメリカは中国戦狼外交に押されぱなしで、アジア諸国は中国の経済力になびいているのが現実だ。

 アメリカ国内で、優柔不断なバイデン外交を、ヒトラーの暴走を許した英国首相のチェンバレンの「融和政策」と批判する声が出ている点を指摘しなければならない。中国のファシスト的「戦狼外交」に融和的であることの危険を知るべきだ。

韓国、中国のTPP加盟方針で焦り、TPP加盟へ

 韓国政府は13日、環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟申請に向けた手続きを開始すると表明した。当初、TPPに反対してきた中国が加盟方針に転換したことを受け、巨大経済圏から取り残されることへの焦りから加盟申請へと転じた。

 洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政相が13日の対外経済閣僚会議で「TPP加盟を本格的に推進するため、多様な利害関係者と社会的議論を土台に、関連手続きを開始する」と表明した。洪氏は「中国と台湾のTPPの加盟申請など、アジア太平洋地域の経済秩序の変化が活発に進み、これ以上、政府内での論議だけにとどまることはできない」と語った。

 韓国の産業界や農業団体には高水準の市場開放が求められることへの懸念が強い。ただ中国と台湾が9月に相次ぎ加盟を申請したことで、巨大経済圏から韓国だけが外れることへの警戒感が浮上し、焦りから加盟へ踏み出した。TPPに加盟すると工業品を中心に無税品目は拡大するので、産業界や農業団体からの反発が予想され、加盟国との交渉も難航が予想される。

 アメリカのバイデン政権が国内の自動車労組などの反対で、TPPに加盟に踏み出せず、したがって未だに対中国戦略を打ち出せない中で、9月に中国と台湾が加盟の意思を表明したことで、中国の顔色を見つつTPPに加盟に消極的だった韓国も取り残されまいとして加盟申請に転じたのである。

 もともとTPPは中国封じ込めの経済戦略から、アメリカ政府が推進したのであるが、そのアメリカが資本主義の不均等発展の中で、雇用を奪われるとの労組側の反対でTPPに加盟できず。逆に中国が権力的価値規定を武器に、TPPを経済覇権戦略に利用しようとしている。アジア諸国の目が経済的利益から中国の方ばかり見る事態が生まれている。

 バイデン政権が対中国戦略を未だ具体化できず。米民主党の支持基盤である全米自動車労組の反対でTPPを対中国戦略に利用できないばかりか、逆に中国政府に加盟申請されたことで、その対中国戦略をますます打ち出しにくい事態となった。韓国政府が今回TPPに加盟に踏み出したのは、中国政府の加盟申請を受けてのことで、韓国の中国への経済的依存の深まりからの加盟申請への動きとなった。

 アメリカ国内の分裂と対立による求心力の低下は、アジアで経済的影響力を強める中国の経済戦略に有効に対抗できない事態が生まれていることに注目しなければならない。バイデンは、日米同盟の強化を言いながら岸田首相の求める訪米=日米首脳会談にも応じることができない。戦略方針が打ち出せないのだから、日米首脳会談さえ行えないのであるから酷い話だ。その間隙をついて中国の経済戦略が得点を稼いでいる。

 バイデン政権はウクライナ問題を解決できず。NATO加盟のトルコのロシア接近も阻止できず、ロシアと中国の分断戦略も打ち出せない。せっかくアフガニスタンから撤退したのに、米戦略のアジアシフトも、肝心の対中国戦略を打ち出せないほどのお粗末ぶりなのである。これでは日米同盟も危ういというしかない。
#韓国のTPPに加盟

習近平の「国情に合った人権」論の狙い!

 中国の習近平(シーチンピン)国家主席は8日、発展途上国を招いて北京で開いた「人権フォーラム」に祝電を寄せ、「中国共産党は常に人権を尊重、保障してきた」と強弁した。
 ウイグル族への民族浄化など中国の人権問題は、アメリカ・オーストラリア・カナダ・イギリスなどの諸国による冬季五輪の「外交ボイコット」に発展している。その中で開いたフォーラムに習近平はメッセージを寄せ、「各国人民は自ら選び、国情に合った人権発展の道を歩むべきだ」と主張。人権面でも米欧の基準が絶対ではないとの姿勢を示した。また、フォーラムで演説した黄坤明・共産党中央宣伝部長は「人民の幸福な生活を守ることが最大の人権だ」とも強調した。

 中国政府が香港を統括する香港マカオ事務弁公室の夏宝竜主任は6日、オンライン方式で演説し、「香港は過去に西側の民主主義を追求したことで、社会の悪化を招いた」と語った。香港では19日に民主派を実質的に排除した立法会(議会)選挙が予定されているが、中国による「愛国統治」と称する独裁を「社会の悪化」で正当化している。夏氏は習近平(シーチンピン)国家主席に近いとされ、浙江省トップも務めた。これまでも香港国家安全維持法(国安法)のもとでの統治方針などを示してきた。

 香港は今年、行政長官や立法会議員の選挙に関し、中国共産党の統治に批判的な民主派を立候補できなくする選挙制度に変更した。これについて、夏は「香港がどんな選挙制度を採り入れようと、中国の内政であり、外国勢力が干渉する権利はない」と主張。米欧を「彼らは民主の優等生ではないし、ましてや教師でもない」と述べ、中国の実情に根ざした民主主義、すなわち独裁に自信があると強弁した。

 以上のような、習近平とその側近たちの「国情に合った人権」論は、習近平個人独裁を民主主義であり、人権であるとする詭弁に近い主張である。習近平は中国のウイグルやチベット族もモンゴル族も漢民族と同じ中華民族だと語ったことがあり、ウイグル族への民族同化政策も人権を尊重したもので、国情に合った人権尊重だというのがその趣旨である。

 習近平はイギリスとの香港返還交渉に当たり「一国2制度」を長期に維持する約束をしていた。彼の「国情に合った人権」論はこの「一国2制度」を放棄したことを正当化しようとして持ち出したものである。中国は一党独裁の社会主義を名目にしつつ資本主義化を進めている。中国経済の、独裁は強権的低賃金政策により貿易面での一人勝ちを実現した。彼はこの優位性を今後も堅持するために中国式の「国情に合った人権」論を持ち出したのである。

 習近平が理解していないのは、自由と民主がない社会、すなわち私的所有でない(国営企業優位)の個人独裁の社会では資本主義の価値法則は貫徹せず、資本主義経済は発展しないということである。権力的価値規定は貿易では優位性を発揮しても、「双循環政策」いわゆる内需主導の経済は発展しないということだ。資本主義は国内の移動の自由、民主と自由・人権などがなければ経済成長できないのである。国内で計画経済、外国との貿易は権力的価値規定で優位性を保持するという、習近平の身勝手な政策を、自由経済を基本とするアメリカなどが認めるわけがない。

 このような中国式の「国情に合った人権」論では、欧米との相互依存経済は成り立たない。国内市場は計画経済で囲い込み、貿易では低賃金政策で一人勝ちという身勝手な政策は、世界の工場としての地位も縮小に向かわざるを得ないであろう。ゆえに習近平ファシスト政権の「双循環」政策は成功しないということは明らかである。今後中国経済の凋落が始まるであろう。
#中国の国情に合った人権

外交ボイコットに対抗措置で脅す中国の愚劣!

 中国の人権弾圧に抗議してアメリカ、オーストラリア、イギリス、カナダがすでに外交ボイコットを決めた。これに対し中国政府は報道官談話で「スポーツの政治問題化や、北京冬季五輪を妨害、破壊する誤った言動を直ちにやめるべきだ」と反発し、また「もともと招待していない」といいつつ「来ようが来るまいが、だれも気にしないし、北京冬季五輪に何らの影響もなく、成功裏に行われる」といいながら、外交ボイコットの諸国に「強烈な不満と断固とした反対」を表明し、対抗措置をとると高言している。

 中国政府は「スポーツの政治問題化に反対する」といいながら、台湾の国名でのオリンピック参加には反対し、台湾は「台北」の名で参加しているのは「スポーツの政治問題化」ではないというのだろうか?

 中国政府はオリンピックを開催することで国威を発揚しようとしているのだから、これはスポーツの政治利用である。ヒトラーがオリンピックを開催し、国威を発揚した後、侵略路線を猛進したことを見れば、習近平ファシスト政権も同様の事を考えているに違いない、と考えざるを得ないのである。

 中国政府は、台湾のオリンピック参加に反対し、ウイグル族やモンゴル族、チベット族への人権抑圧を隠蔽し、またテニスの女子選手への党幹部の性的強要事件を隠蔽しながら「スポーツの政治問題化や、北京冬季五輪を妨害、破壊する誤った言動を直ちにやめるべきだ」と反発した。また、「強烈な不満と断固とした反対」を表明し、反撃を行うことを表明しているのは、もはや正常な政府の言うことではない。「もともと招待していない」といいつつ「来ようが来るまいが、だれも気にしない」というなら、対抗措置など必要ないのではないか?

 中国政府は、ファシスト政権として覇権争いと侵略路線を強行する上で、国威の発揚のためオリンピックを政治利用しているから、他国の外交ボイコットに腹が立つのであろう。中国政府が武漢ウイルスを世界中に拡散しながら、世界中でマスクなどを買い占めしたことが示しているのは、犯罪的な「ウイルス兵器」の反人道的・反人類的実験を強行したということである。

 自身が、前世紀の帝国主義顔負けの「債務の罠」の蛮行(=外交)を行いながら、ことあるごとに批判に対し報復を行うなど、習近平ファシスト政権は、今や全人類共通の敵となっている。中国は、自身の自国人民への人権抑圧、少数民族撲滅を棚に上げて、また犯罪的な「武漢ウイルス兵器」の反人道的・反人類的実験を強行しながら、そのような国に行きたくない政治指導者の外交ボイコットに、いちいち報復を脅しに使う愚劣な国なのである。彼らはボイコットが広がることで超大国(中国)の権威が地に落ちることを怖れているのである。
#北京冬季オリンピック外交ボイコット

バイデン政権の対中国戦略は未だ出ず!

 バイデン政権は米日韓の軍事同盟を強化し、台湾防衛にもこれを拡大したいという希望を持っている。今年11月17日のワシントンでの米日韓外務次官協議で韓国政府が政権幹部を竹島に上陸させて、日韓が対立し共同記者会見が出来なかったように、韓国の反日はアメリカの反中包囲網に巻き込まれないための巧みな外交戦術だ。

 中国が韓国向け尿素水の輸出を止めて韓国に中国依存を思い出させたように、韓国経済はあまりにも中国に依存している。アメリカの北京冬季オリンピックへの外交ボイコットに対し、文在寅大統領は「外交ボイコットは検討していない」と表明した。つまり韓国は中国包囲網に加担する気は毛頭ない。

 中国政府はこれまで、日本への警戒感から日本は自立させずアメリカの従属国にしておく外交を基本としてきた。ところがアメリカとの覇権を巡る対立が激化すると、中国は対日外交を対米従属から、日米の同盟を認めつつも、米中のどちらにも組しない立場に置くことを目的とする外交に転換した。しかしアメリカは米日の同盟を対中戦略の柱にしている。つまり米中対立で日本の戦略的地位が極めて高くなっているのである。

 しかし韓国が中国への経済的依存を強めているので、米日韓の軍事同盟は対中包囲網には機能しない。ということは在韓国駐留米軍は国連軍の指揮下であるので、対中国、台湾防衛には動員できないことになる。かっての韓国軍はアメリカのベトナム戦争にも参戦した。しかし文在寅政権では台湾防衛に韓国軍は動員できない。ここにアメリカが未だに対中国戦略を具体化できない理由がある。

 インドは非同盟を貫き、オーストラリアは海軍力が弱体だ。アメリカの対中国戦略は米日の同盟を基本にしなければ、戦力を増強している中国に対抗できない。アメリカの民主党政権はオバマ政権以来、アジア重視を口では言いながら、実際には中国との経済の相互依存性を重視してきた。アメリカ企業は(日本もだが)未だ多くの企業が中国を生産拠点にしている。ここにアメリカが対中国戦略を具体化できない2つ目の理由がある。

 オバマ政権の副大統領を長く務めたバイデンは、トランプが批判していたように中国とは緊密な関係がある。習近平はバイデンを「古い友人」と呼ぶ関係だ。またバイデン政権になってからアフガンスタンの親米政権を見捨てた経緯から、アジア諸国のアメリカ外交への疑念、信頼性が低下している。この点もバイデン政権が対中国戦略を具体化できない理由である。

 バイデン政権が対中国覇権争いの戦略を出せない最大の理由は、アメリカの国内の分断・対立が激化し、議会のねじれもあり、バイデンの選挙公約であるバラマキ予算が議会を通らず、バイデン政権の支持率が30%台まで低下していることである。議会工作は副大統領の仕事だがハリス副大統領の支持率は20%台だ。つまりバイデン政権は国内政策が行き詰まり外交どころではないのである。

 こうしてアメリカの外交はすべて停滞している。ウクライナ問題ではロシアを押さえきれず。中東のイランの核問題では平和的解決が行き詰まっている。そのようなわけで世界は当分中国の「戦狼外交」が幅を利かすことになりそうだ。
#停滞するアメリカ外交

米のウクライナ問題はEUとロシアの分断策!

 ウクライナとロシアの国境にロシア軍が集結しつつある問題で、バイデン米大統領とロシアのプーチン大統領は7日、オンライン形式で2時間協議した。
焦点だったウクライナ情勢を巡り、バイデンはロシアが軍事侵攻すれば欧州の同盟国と「強力な経済措置で対抗する」と伝えた。

 ロシアから見れば、ウクライナ問題はソチオリンピックの最中に、アメリカがクーデターを行い、旧ソ連圏のウクライナを奪い取ったわけで、プーチンがクリミア半島を取り返した行為にロシア国民は拍手喝采した。プーチンの支持率が低下している中では、ロシアのウクライナ介入の可能性は極めて高い。

 米ロの首脳会談では、、プーチンロシア大統領は「北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大を排除する信頼ある法的に定められた保証」を求めた。ロシアはウクライナがNATOに加盟すれば、勢力圏を大きくそがれ、対立する米欧中心のNATO軍がロシアに接近して自国の安全保障が損なわれると懸念している。

 アメリカはクリミア半島の併合への経済制裁の一環としてロシアからドイツへのガスパイプライン「ノルドストリーム2」を稼働させないようドイツに迫っている。プーチンは逆にドイツにガスパイプラインの早期稼働を認めるよう求めている。つまりウクライナ問題は、アメリカが欧州のロシア経済の取り込みを阻止する口実でもある。

 バイデン大統領がロシアのウクライナ侵攻に「強力な経済措置で対抗する」と伝えたことは、軍事的に対抗しない、というメッセージであり、アメリカはロシアにウクライナを侵攻させたいのである。そうすればドイツなどのロシア市場の取り込みを阻止できるからである。

 EU市場は、以前は世界市場の30%を占めていたが、アジア経済の発展もあってEUの世界市場に占める比率は現在は15%に縮小している。EUはユーロ経済圏をロシアを含めた東欧諸国に拡大したいのである。アメリカはロシアにウクライナに侵攻させて、EUとロシアの経済的結びつきを、経済制裁を口実に阻止したいのである。地政学的に見てロシアのウクライナ侵攻を軍事的に阻止する力はアメリカにはない。

 バイデン政権が未だに対中国戦略を確立していないのは、EUの肥大化を阻止することを優先しているからに他ならない。対中国戦略を優先するなら、ロシアを中国側に追いやることはしないはずである。つまりバイデンはEUの東への拡大阻止を戦略的に重視しているのである。

 EUはポーランドなどの加盟国の安全保障のためには、ロシアのウクライナ侵攻を認めるわけにはいかない。しかしロシアからエネルギーを輸入し、その代金で工業製品をロシアに売リわたしてロシア市場を取り込みたい、という野心もある。アメリカはドル支配を維持するにはユーロ経済圏のロシアへの拡大を阻止したいのである。ゆえにアメリカはドイツのロシアとの海底パイプラインを閉鎖させたいのである。

 歴代のアメリカ民主党政権は親中であり、アジア重視は口先だけで、実際には欧州重視であった。バイデンのアメリカは覇権争いの2正面作戦を挑んでいるのである。危ういとしか言いようがない。アメリカと欧州・ロシアの三角関係で利益を受けるのは習近平ファシスト政権なのである。
# ウクライナ問題

流動化が避けられない世界情勢!


 アメリカ国内の分裂と対立は解消していない。バイデン政権が公約を進めつつあるバラマキ政策は、予算が議会を通らない。バイデン大統領の支持率は40%~30%後半でハリス副大統領に至っては支持率は20%台後半とどまっている。高齢のバイデン政権は一期で終わりそうである。バイデン政権は内政に手いっぱいで、中国との覇権争いの対中戦略も未だにはっきりと打ち出せない。次期大統領選をにらみ、共和党のトランプの大規模集会が毎月行われ、アメリカの覇権放棄、内政重視のトランプ政権が復活する可能性が高まっている。

 EUのブロック化でアメリカに対抗する経済力を目指した欧州統合は、「人・モノ・サービスの移動の自由」を看板に最初は順調だった。東欧からの安上がりの労働力は欧州の賃上げを抑制し、欧州企業は超過利潤にありついたが、中東やアフリカから豊かな生活を求める移民の大群が押し寄せたこと、さらには新型コロナの感染で、欧州連合の国家統合は挫折し、治安は悪化し、対立と分裂の危機にある。

 日本がアジア諸国に推し進めたインフラ投資の支援で、アジアだけが経済成長を続けているが、その余得にあずかるのは一人勝ちの中国経済である。欧米日の多国籍企業が中国を生産拠点にしたことで、中国経済は世界第2位の地位を手に入れ、習近平がのぼせ上がり世界覇権を目指しはじめ、米中の覇権をめぐる対立が激化し始めた。しかし米、欧州は国内の対立と分裂で外交に力が入らない。習近平ファシスト政権が急激な軍拡で世界の覇権をうかがうまでになり、世界情勢は第2次世界大戦後最大の流動的政治局面を迎えている。

 アメリカや欧州の国内的対立分裂は、冷戦崩壊後の「強欲の資本主義」がもたらしたものである。日本ほどではないにしても欧州やアメリカも「強欲の資本主義」によるデフレ傾向が出ているのは、安上がり労働力として移民労働力を利用した結果である。アメリカにおけるトランプ、欧州における右翼政党の台頭は、移民政策の破たんというべきものである。

 中国のファシスト政権が世界の覇権を握るのかというと、そうではない、中国の外への強権外交と内への独裁強化は、一党支配の脆弱性ゆえであり、中国もまた内に弱さを抱えた政権なのである。中国の「戦狼外交」と、発展途上国へのバラマキによる、債務の罠戦略は、覇権獲得には逆効果であるが、「超大国」を国民に印象付けることはできる。つまり中国の強国路線は国内支持のつなぎとめなのである。

 COP26で環境問題が前進するかに見えたが、コロナ禍からの経済復興が進み始めたとたんにエネルギー不足が表面化し、世界中で原油や石炭の争奪戦が始まった。中国では石炭の産地である山西省などが豪雨災害に見舞われて石炭不足から停電になり、中国政府は各地の産炭地に増産の大号令を出し、3か月で1年分を掘り出すほどの大増産となった。つまり世界は環境問題などそっちのけで化石燃料への依存と獲得競争を見せつけている。

 エネルギー不足であるのに産油国が増産を拒否し、原油価格が高騰している中で、アメリカが同盟国や中国に備蓄原油の放出を促したが、原油価格は高止まりで、このままではコロナ禍からの経済の復興も怪しくなりつつある。
 つまり世界情勢は移民問題・コロナ禍・「強欲の資本主義」の政策で、経済危機と内政面での対立と分裂を極限まで深めている。経済恐慌と戦争の危機が迫りつつあることを指摘しなければならない。世界が流動化し、指導者不在の国際情勢の危険が迫っているのである。

 デフレの克服が対立と分裂を克服するうえで必要なのだが、それを成し遂げた国が経済危機を克服して、世界で指導権を獲得することは疑いがない。デフレは「強欲の資本主義」の産物なので、賃上げと富の再分配で格差問題を解決できるかどうかが経済成長のカギとなる。アメリカと欧州、中国、ロシアの多極化の中で世界はかってなく混迷しているのである。
#混迷と流動化の世界

歴史決議で習の個人独裁固める前途に大経済危機!

 中国共産党の5中全会での「歴史決議」「戦狼外交」「共同富裕」「国営企業優先」を社会主義への回帰のように描く評論家が多い。しかし回帰論は間違いである。「歴史決議」は習近平の個人独裁強化のためのものであり、この独裁強化も習近平の統治の危機への対策なのである。

 中国経済はGDPで世界第2位の地位を得たが、その中心は外国企業である。しかも税収が整っていなかったため、国有の土地の使用権を入札にかけ、その代金を財政基盤としたため、不動産業だけが肥大化し、投機を促し、中国の貧富の格差は極限にまで拡大した。庶民までマンションを投機目的で購入した。習の「国営企業優先」は投機に走る民間企業を半官半民にして統制下に置こうとしている。

 習近平が恒大などの不動産企業を助けないのは、経済的歪みを正そうとしているのである。中国では金もうけに走る党幹部が人民に嫌悪されている。習近平の「反腐敗」「共同富裕」は共産党の権威を回復する統治策なのである。同様に「戦狼外交」は中国が超大国になったと国民を満足させ、党の権威回復目的で行われている統治策でもある。

 なぜ中国はこのように統治の強化(=独裁強化)を急ぎ進めるのか?それは目前に中国の深刻な経済危機が迫っているからである。不動産投機に走る恒大などの不動産企業をつぶすことは、鉄鋼・セメント・ガラス・石油化学・建設機械などの国営企業は経営危機に陥るし、失業は膨大な規模になる。

 しかも中国経済はアメリカとの先端産業をめぐる対立で、今後コロナの影響が軽減すれば東南アジア経済も復活し、中国の輸出は大きく減少する可能性が強い。ドイツのメルケルの引退で、ドイツの新政権は対中政策の見直しを進めつつある、欧州との経済関係も冷え込む可能性が強い。

 今後中国経済の社会主義回帰のような政策に反発する欧米や日本などの対中包囲網も激化するであろう。中国経済が北京冬季オリンピック後に迎える経済危機は相当な深刻さを持つことは避けられない。

 習近平の統治の強化は、すなわち人権抑圧であるので、北京冬季オリンピックに「外交ボイコット」を検討しているバイデン米大統領などの動きも習近平は気にしている。つまり統治の強化策が、対外的には習近平ファシスト政権への包囲網形成を促す形になっている。

 習近平はアメリカの外交ボイコットを打破するにはアメリカの同盟国である日本の政治指導者を招待するしかない。北京冬季オリンピックに北朝鮮の金正恩を招待し、日本の首相との会談をセットすれば、岸田首相は招待に応じ、北京にいかざるを得ない。拉致被害者家族への約束もある。つまり偶然にせよ岸田首相に拉致問題解決の外交的好機が訪れている。

 問題は岸田首相がアメリカの圧力を無視して北京訪問をできるのか?ということになる。習近平にすれば、次期アメリカ大統領にトランプの可能性が高くなりつつあるので、「台湾有事は日本有事」と考える安倍の復活を阻止するには、岸田に拉致問題を解決させるほかない。習近平は金正恩への大規模な見返り援助を行っても、北京で岸田との会談を演出するであろう。オリンピック後に中国の経済危機深刻化が予想される事態では、中国は日本との関係改善を進めるほかないのである。幸い中国にとって大平元首相の宏池会系の岸田は、尊重すべき相手なのである。
 岸田首相が拉致問題で外交的成果を手に入れられば、長期政権への道が開けそうだ。
# 外交ボイコット

「台湾有事は日本有事」の安倍発言にかみついた中国

 安倍晋三元首相は1日、台湾で開かれたシンポジウムに、日本からオンライン参加し中台関係について以下のように述べた。「日本と台湾がこれから直面する環境は緊張をはらんだものとなる」と指摘し「尖閣諸島や与那国島は、台湾から離れていない。台湾への武力侵攻は日本に対する重大な危険を引き起こす。台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある。この点の認識を習近平主席は断じて見誤るべきではない」と語った。

 さらに、中国側が軍事的手段に訴えた場合、「世界経済に影響し、中国も深手を負う。私たちは経済力、軍事力を充実させて決意を示すと同時に、理性的に、中国が自国の国益を第一に考えるなら、中台関係には平和しかないと説かねばならない」と強調した。

 これに対し、中国外務省は安倍氏の発言について、「中国内政に乱暴に関与し、台湾独立勢力を強硬に支持した」として「断固とした反対」を表明し、「日本側が誤った道を進めば、危険な結果に陥るだろう」などとかみついた。

 アメリカ政府は台湾の防衛義務があるとしながらも、「アメリカは台湾の独立を支持したことはない」と「あいまい戦略」をとっている。そのアメリカと日本は日米安全保障条約を結んでいる。中国が現在の政権が誕生して一度も統治していない台湾を「中国の内政問題」と主張するのもおかしいのであるが、もし中国が台湾に侵攻すれば、沖縄の米軍が出動する。中国は当然沖縄を攻撃する。そうした意味では台湾有事が日本の有事に連動するであろう。しかし同時にアメリカが台湾を見捨てる可能性もある。その時には安倍の言う「台湾有事は日本有事」とはならない可能性もある点を指摘しておかねばならない。

 バイデン大統領は習近平から「古い友人」と呼ばれる関係でり、米中対立を「競争関係」と表現している。経済面ではアメリカと中国の相互依存は深いのであるから、安倍氏の「台湾有事は日本有事」との発言は、かなり希望的な一面的発言なのである。その証拠に安倍発言にバイデン政権は沈黙を守っている。

 アメリカの前政権のトランプは現在次期大統領選に備えて全米で活動を活発化し巻き返しを強めている。つまりバイデン政権は一期で終わり、次は共和党が政権を握る可能性が強まっている。そのトランプ前大統領は「同盟国を守りたくない」と語ったことがある。中国が日本に侵攻したときに、アメリカが日本を防衛するとは限らないのである。

 つまり多極化の中で、アメリカが覇権をいつまでも維持するとは限らず、したがって日本の防衛を確かなものにするには、対米自立しなければならなくなっている。安倍発言はどこまでも対米従属を前提にしているので、アメリカの覇権が揺らいでいる状況では広範な支持を受けることはないのではないかと思う。

 現在の習近平政権の内と外への軍事強権姿勢は、実は内政面の弱さの反映であり、「戦狼外交」と評される、南シナ海や台湾、尖閣などへの軍事恫喝外交は、国民に超大国の強さを見せつけることで、また内政では「共同富裕」と称し貧富の格差を是正することで、現政権への支持をつなぎとめようとしているに過ぎない。中国国内では人民大衆の腐敗した共産党幹部への反感が広がっており、習近平ファシスト政権は独裁強化以外には権力を維持できなくなっている。したがって中国の現政権が一政治家に過ぎない安倍発言に噛みつくのは、彼らの弱さの反映なのである。
#台湾有事は日本有事

租税回避地利用で世界の税損失は144兆円!

 多国籍企業と富裕者の租税回避地を利用した税金逃れで、どのぐらいの税収が失われているかを、国際NGOタックス・ジャステック・ネットワーク(TJN)などが試算している。(=赤旗11月25日報道)

 TJNによると直接的な税収の損失額は年4830億ドルで、法人税減税競争などの波及効果を含めると全世界で年1兆ドル(約114兆円)を超す税収損失が生じているという。国別に見るとアメリカが1135億ドル、日本は152億ドル(約1兆7000億円)の損失を被っている。

 イギリスの海外領土であるケイマン諸島・ジャージー諸島やシンガポール、香港、イギリス、スイス、ルクブルグ、オランダなどが主な租税回避地である。

 日本の財務省によると「企業・投資家の実質的な税負担を相当程度軽減」するために「実質的な経済活動とは関係のない第3国を導管のように経由する取引」が行われているという。

 バージン諸島は典型的な租税回避地であり、香港は中国とバージン諸島を結ぶ「導管国」だというわけだ。税逃れに責任がある国はイギリスなどだけではなく中国も加担していることを知っておくべきである。

 他国籍企業と大金持ちだけが国境を越えた資本移動を利用し、課税を逃れることができるというわけだ。これが新自由主義とか、グローバリズムとか呼ばれる体制の産物であり、他国籍企業と大金持ちだけが課税を逃れる好都合なシステムなのである。

 日本政府は、日本の多国籍企業や大金持ちから、1兆7000億円もの税金を取りはぐれている。これだけの税金があれば防衛力を強化できる。世界の租税回避地を利用した課税逃れにG7が何らかの対策をとるべきである。
#租税回避地を利用した税逃れ
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