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混迷するアメリカ大統領選!

FBIがクリントン氏の私的メールアカウント問題の再捜査を発表したことで、最新の世論調査によると米大統領選でクリントンとトランプ氏の支持率の差が1%差に接近した。

元々アメリカの白人貧困層は格差社会に嫌気し、トランプの現状の変更を望み、有色人種層はリベラルなクリントンを支持している。既成のメデアはクリントン有利を報じ、インターネットの世界ではトランプの支持率が高かった。

アメリカでは非難合戦の大統領選に「嫌われ者同士の闘い」と言われ、投票率の低下が選挙結果を左右する可能性が強まっている。若者層のトランプ支持は本当に投票に結びつくのか分からない。まだまだ投票まで何が起きるか分からないのである。

重要なことはどちらが当選してもアメリカは当分非介入主義であり、TPPはクリントンもトランプも反対なので、日本でのTPPの国会審議も実は意味の無いこととなっている。現状ではアメリカはTPPの戦略的価値を論議できず。大統領候補の二人ともTPPを「雇用を奪うもの」としか捉えられない現実が有る。

いまやアメリカの覇権は投げ出されたに等しく、しかもオバマは「息継ぎの和平」の意義を理解しておらず、些細なことで同盟国のフィりピンを中国側に追いやり、ロシアも中国側に追いやり、戦略的利益を失うなど同盟国を引きつけることさえできず、中国拡張主義がオーストラリアを経済的に抱き込みつつあることさえ有効な対応ができていない。フィりピンの大統領は「ひもの付いた犬のように扱う」アメリカに反発しているのだ。

アメリカ大統領選でトランプの可能性が依然高い事を日本政府は見ておかねばならない。どちらが当選しても日本には厳しい大統領になる。日本は自国の防衛を他国に頼ることができない事態が生まれているのである。日本は対米自立し、早急に中国軍の侵攻への備えを強化しなければならない。アメリカの戦略的ふらつき・動揺は中国覇権主義に戦略的好機を提供しているのである。
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野党連合に反対する「連合」は誰の利益代表者か?

自民・公明の連合政権は議会の3分の2の圧倒的力を保持している。安倍政権が労働問題の規制緩和で野蛮な搾取を続け、労働者は非正規化と雇用不安の上に、労働条件の悪化の中でますます生活が苦しくなっている。しかも来年初めには安倍政権は衆院解散総選挙を行う可能性が高まっている。安倍首相にすれば先送りした消費税増税をやる前に総選挙をやりたいのである。

生活の党の小沢一郎氏が「野党がバラバラで闘っても自民党には勝てない」というので共産党の志位委員長と極秘会談を重ね、出てきたのが野党連合を呼び掛ける共産党の「国民連合政府」構想だった。戦争法の廃止と護憲の2点で野党の連合政府を実現しょうとするもので、これまで統一戦線的発想の無かった共産党には珍しく進歩的発想であった。

ところが野党第一党の民進党がこの野党協力にのれない。実はのりたいのだが支持基盤の「連合」が共産党嫌いなのでその反対に合っているのである。先の参院選では共産党が一人区で候補を出さない形で事実上の共闘が実現し、その効果が高いことが示された。民主党時代小沢一郎の手腕で政権を奪取することがあったことから、財界や安倍政権内には小沢氏の政治力を恐れ、ひそかに「連合」幹部に働きかけて、野党連合阻止に動いていることが明らかとなってきた。

元々新日鉄出身の神津連合会長は共産党嫌いで有名な人物だ。神津連合会長の共産党に対する認識は自民党と変わらないほど保守的だ、と言うより、「連合」がそもそも家畜労組の上層連合なので、本質的に独占資本家階級の手先であることから、野党の連合政権を作る気がないのである。先の衆院補選東京10区の選挙では「連合」幹部が共産党の選挙運動を嫌ったという。新潟知事選のように野党が連合すれば勝利できるのに、「連合」幹部はいったい誰の利益を代表しているのかと聞いてみたいのである。

10月26日に、生活の党の小沢一郎氏が「連合は応援団であり、政党ではない。支援者がいろいろ言うのはいいが、判断するのは政党だ」と発言したのは、「連合」幹部の反対で野党連合に向けて動けない民進党に政党としての決断を求めたものである。今日の労働者階級のおかれた無残な状態を考えると、企業内組合の上層の「連合」幹部が、野党連合政権支持で野蛮な搾取と戦争の道から労働者を解放することに反対するのは、階級的裏切りと言ってもよいのである。

既に「連合」幹部は、家畜労組の上層連合として労働者大衆の支持を失っており、「連合」幹部が投票を呼び掛けても下層の組合員はわずかしか統制に従わない現実が有る。民進党執行部の日和見は広範な労働者大衆を信じられないその体質からきている。家畜労組=「連合」の幹部たちはいつまで自公政権に労働分野の規制緩和をやらせ、野蛮な搾取を行わせるつもりなのか?生活の党の小沢一郎にこそ野党第一党の党首をやらせたい、と言うのが労働者の正直な気持ちなのである。「連合」幹部は野党連合を妨害することをやめるべきである。
新世紀ユニオン執行委員長 角野 守(かどのまもる)

中国社会帝国主義の危険性について!

アメリカのオバマ政権や欧州諸国(EU)の中国への対応を見ていると中国社会帝国主義の危険性についての認識がないか、軽視しているとしか思われない。

普通社会主義国は侵略しないものである。しかし中国共産党は走資派指導部が実験を握る官僚独裁の社会帝国主義に転化しており、名目的には社会主義、実際の独裁的国家資本主義は、国家の資産を一握りの党官僚が私物化している点で人民の批判を招き、内的脆弱性を持っている。

中国の走資派指導部は習派・江沢民派・共青団派・太子党派などの派閥が有り、激しい利権争いを繰り広げている。彼らは広範な中国人民から国家財産の横領に付いて厳しい批判にさらされている。中国は路線闘争では右から左への移行期にあたっており、走資派指導部は左の風を最も恐れているのである。

中国は経済危機であるのに過剰な生産設備をリストラできない。何故なら国営企業は彼らの利権であり、それを切り捨てることなどできないのである。過剰生産危機を切り抜けるために一大消費としての戦争ですら必要なら起こすであろう。事実中国政府は過剰な生産設備を軍需生産で人為的に需要の穴埋めを行っている。

つまり中国の内的脆弱性は、経済危機であり、利権争いであり、大衆の反腐敗の闘いであり、少数民族の自決権をめぐる闘いである。内的脆弱性が外への凶暴性として現象することを軽視してはいけないのである。中国政府が戦後の日本の戦後改革(=民主化)に触れず、あたかも今も日本軍国主義が存在するかのキャンペーンで抗日・反日の宣伝に努めているのは、内的危機を外的危機にすり替える戦略方針を持っているからに他ならない。

中国拡張主義が地球上で最も危険な侵略勢力になっていることを世界の指導者は認識しておくべきである。ところが南シナ海や東シナ海では中国拡張主義が思いのまま侵略のための軍事拠点化を進めている。世界の指導者はまるでナチスの東方侵攻を容認したチェンバレン英首相のように、中国の海洋進出を容認し、経済的買収でオーストラリアやフィりピンの属国化を容認している。

日本は中国覇権主義の矛先を真っ先に受ける地政学的位置にあることを日本の政治家は絶対に忘れてはいけない。日本の戦略的な安全保障上の第一の敵は中国拡張主義であることを明確にして、その侵攻に急ぎ備えるべきである。アメリカは戦略を論議することもできない内政重視の普通の国になった。日本は自立して自分の力で日本の防衛を行わねばならいのである。

フィリピン問題に見るオバマ外交の誤りを指摘せよ!

中国が大規模な経済援助でフィリピンのドゥテルテ大統領を取り込みつつある。フィリピンの経済発展のためには治安の回復がカギであることは明らかで、彼は麻薬対策として犯罪者を裁判もなしに射殺する方針を取り、これが国民の広範な支持を獲得する理由である。

この裁判なしに約4000人を射殺した行為をアメリカ政府が批判したことから、彼の反米的暴言が始まった。中国訪問時に「軍事的にも経済的にも米国と決別する」とまで語った。アメリカと違い中国は彼の麻薬犯との闘いを評価した。

この結果、中国拡張主義を第一列島線で封じこめるという、アメリカや日本の戦略は破綻しつつある。アメリカは、中国のウイグル族やチベット族への弾圧に口を閉ざし、中国人民への強権的支配を黙認している。それならフィリピンのドゥテルテ大統領の怒りを買う必要は無かったのではないか?

ウクライナでもわざわざソチのオリンピックの隙をついてクーデターを仕掛け、逆にロシアに戦略的に重要なクリミヤ半島の併合を招いた例があげられる。オバマ外交は戦略的に重要な失点を些細なことで招く傾向が有る。戦術的な課題を指摘して、戦略的損失を招く誤りを安倍首相は是非指摘してほしい。

その国にはその国の内政のやり方が有る。アメリカも昔インデアンやギャングに銃を乱射して弾圧した歴史が有るではないか?内政不干渉をアメリカは少しは自覚した方がいい。ましてやアジアの同盟国であるフィリピンをわざわざ中国側に追いやり、アジア戦略を破綻させる愚を指摘しなければならない。

オバマが、戦略的に不介入政策で同盟国を安全保障上の危機に追いやりながら、些細な国内問題を批判して宗主国的に振る舞うのは止めた方がいい。オバマの外交がこんなにも拙劣なら、早晩オーストラリアも中国側に奪われるであろう。中国は経済援助や経済進出でオーストラリアに戦略を持ち政治家から財界人まで抱き込みつつあるのだ。

アメリカが経済的理由で「息継ぎの和平」の戦略を取るなら、アメリカは非軍事手段で同盟国の困難に配慮すべきであろう。ロシアやフィリピンを中国側に追いやる愚策を、アメリカ政府は改めるべきであろう。オバマの外交にはアジア重視がまるで見られないのである。安倍首相はオバマにキチンと忠告すべきである。

中国の戦略に取り込まれるオーストラリア!

世界最大の資源受け入れ国の中国が、世界最大の資源輸出国のオーストラリアを経済的に取り込みつつある。タンブール・オーストラリア首相は中国ビジネスで成功した人物で、中国寄りの姿勢が目立つという。

中国政府は、オーストラリア北部などで巨費を投じてインフラ整備計画を進め、アメリカ海兵隊が拠点を置くダーウィンの港湾権益を昨年中国企業が落札した。これは明らかにアメリカの戦略配置を崩す狙いを秘めている。

南シナ海の軍事拠点化を進める中国が、オーストラリアのアメリカの軍事拠点化を阻止すれば、インド洋や西太平洋の管轄権を打ち立てる上で中国海軍は優位になる。中国系の個人や企業からオーストラリアの2大政党への政治献金が外国関係では飛び抜けて多くなっており、同国の多くの政治家が中国の招待で訪中して豪華な接待を受けているといわれる。

中国の経済的投資はオーストラリアだけでなく、シンガポールやインドネシアに今年第一四半期に前年同期比4割増の約36億ドル(約3700億円)を投資した。アメリカが内政重視で世界戦略を展開できない内に、中国が「一帯一路」構想という世界戦略を着々と進めている。つまりオーストラリア政府は今や経済力で中国に戦略的に取り込まれつつあるのだ。

中国政府が莫大な経済協力でフィリピンを取り込み、フィリピンとアメリカの軍事同盟さえ危うくなっている事と照らし合わせると、アメリカはオーストラリアと言う最大の戦略的同盟国をも、むしり取られつつあると言える。誰が考えても経済的利益をもたらす方へ靡くことは道理なのである。

オバマ政権のアジア重視は空虚で、実際の戦略的な動きな無きに等しい。戦略的には西太平洋とインド洋の主導権は中国が握りつつあると言える。オーストラリアで中国の地政学的野心に対し警戒感が高まっていることは、オーストラリアへの中国の経済的浸透が半端ではない事を示しているのである。

日本のそうりゅう型潜水艦のオーストラリアへの売り込みが破綻したのはこうした中国のオーストラリアの戦略的取り込みが浸透していた結果なのである。日本政府は戦略的に頼りにならないアメリカだけをいつまでも頼りにできない事態であることを自覚しなければならない。

日本は対米自立して、同時に対ロシア外交を戦略的なものとし、ロシアを取り込み中国覇権主義の侵略の野望への備えを強化しなければならない。自分の国は自分の力で守るほかないことの強い決意と共に、独自の戦略的外交を展開する時期が来ているのである。いまやアメリカ一辺倒は亡国への道であることを忘れてはいけない。アメリカは「アメリカ第一主義」の時代なのである。

権力闘争激化する中国6中総会の行方?

中国共産党の重要会議である第18期中央委員会第6回総会が24日北京で始まった。この会議が世界の注目を集めるのは、今年夏の北載河の会議の政変で習近平派が敗北し、習近平の後継者が失脚し、習近平総書記の政治局の過半数獲得が怪しくなり、また元総書記の江沢民が脳溢血で倒れたため共青団出身者(=団派)を支持基盤とする李克強首相の力が強くなる中で開かれることである。

来年秋の中国共産党大会では最高指導部のメンバーが入れ換わる人事が予定され、習近平総書記の再認か、それとも後継選出かが予定されており、それを睨んだ権力闘争が激しくなると見られており、中国の次期指導部をめぐる権力闘争が絡んでいるだけに6中総会の内容に注目が集まっている。

中国では10月に北京中心部の国防省前で元解放軍の兵士らが待遇改善を求め大規模なデモを行う等習近平政権に不満を表明したように、軍の改革・国営企業のリストラ等の計画に反発が表面化しており、これらが6中総会にどのように反映するか注目される。

習近平総書記が再選目指して巻き返すか、それとも団派の李克強首相が支持基盤を強化するのか、その権力争いが注目されるところである。来年秋の大会に向け、6中総会でどの派が政治局の過半数を握るのかが焦点と見てよいであろう。

習近平は自身は太子党(幹部の子弟)出身であるが太子党の支持を得られていない、これが総書記であるのに政治局の過半するを握れないこと、また「反腐敗」を口実に他派の幹部を追い落としてきたため敵が多いのが弱点なのである。6中総会の行方次第で習近平がレイムダック化するか、それとも巻き返すか?注目点である。

報道では、団派の李克強首相が次期総書記のポストに向け主導権を握りそうだが、中国共産党内の権力闘争は外部からは分かりにくく、習近平が総書記の権力を背景に巻き返す可能性も見ておくべきである。重要なことは経済改革が避けられないのに、国営企業が幹部の利権であるため、リストラが進まない中で経済危機が深刻化している事である。習近平はこの改革をやるために「中国の核心」としての独裁的地位を打ち立てようとしたのだが、北載河の会議の政変でそれが失敗したようなので権力闘争が激化するのが避けられないのである。

沖縄のカネ目当ての住民運動がそもそも間違い!

へりパッドの建設に反対する沖縄の住民に機動隊が「土人」と発言してマスコミが騒いでいる。大阪の機動隊員が口が悪いのは今に始まったことではない。筆者も日中国交回復のデモで機動隊員に「チャンコロ」とののしられたものである。しかし誰もその暴言を問題視などしなかった。

沖縄県は米軍基地の返還を要求し、政府と米軍がこれを受け入れて返還土地に有るへりパッドを移転のために作ろうとすると、またこれに反対する。沖縄県は米軍基地の地代が年間850億円ほどある。だから実は基地を返還されると困るのである。ただカネが欲しいから「撤去」を口にしているだけなのだ。

普天間基地の移転では沖縄県は年3000億円の政府開発資金を受け入れた、これと引き換えに辺野古への移転を受け入れたのである。しかし知事が変わると辺野古の基地建設に反対し始める。これがいつもの沖縄の基地返還運動の、カネ狙いの欺瞞的住民運動である。

沖縄県の米軍北部演習場の半分返還は沖縄県の要請にこたえたものであるのに、その移転のためのへりパッド建設に反対する。沖縄は基地の地代がなくなるのは困るのである。運動の狙いは金である。本当に沖縄県が米軍基地の全面撤去を望むならなぜ対米自立の運動をしないのか?

沖縄のカネ目当ての欺瞞的基地返還運動と、それを真に受けて基地の移転を進め、また反対運動を招く、この愚劣のサイクルこそ問題なのである。特別法を作り米軍基地の用地を買い上げるか、本土の耕作放棄地を買い上げて沖縄の基地用地と等価交換するなどして根本的に解決した方がいい。

深刻なテレビ離れの原因はくだらない番組にあり!

最近は知人から「テレビを見なくなった」と言う話をよく聞く。新聞のテレビ番組のページを開いても見る気がしない番組ばかりだ。まるでこれが愚民化政策か?と思うばかりだ。

昔はコマーシャルも新しい商品情報があふれていた。コマーシャルまで面白くなくなった。やたらお笑い番組が増え、知識も教養もない、ぐだらない番組ばかりだ。

安倍政権がニュースにまで文句を付けるので、ニュース番組まで面白くなくなった。政府の「提灯持ち」のベンチャらニュースばかりだ。政府の欺瞞的政策の真の狙いを暴露する番組が一つぐらいあっても良いと思うのだが?

最近は新聞の記事にまで安倍政権が文句を付けるせいで、新聞まで提灯記事が増えて面白くない。実は新聞も辞めようか?と考えている。

10月3日からテレビの「新視聴率計測方式」が始まる。これはこれまで関東地区の600所帯の調査から300所帯増加し、またビデオを見る数も視聴率に組み込むことで、視聴率を上げようとの魂胆がある。そうでもしないと視聴率が低迷し、民放業界や広告代理店業界が儲からなくなったので、調査方法を変えて視聴率に「下駄を履かせる」と言うことらしい。

これは、やり方が間違っていると指摘しなければならない。大衆の深刻なテレビ離れの原因は、くだらない番組がやたら増えたからだ。面白い番組、面白いニュースを作ることが重要なのだ。政治の欺瞞を暴露し、政治家の愚劣を暴き、高い地位にある人々の腐敗を糾弾する番組を作れば視聴率は上がるであろう。

ドラマ一つ見ても韓国のドラマの方が明らかに技術的に高いし、面白い。安倍政権のマスコミへの不当な介入が、くだらない番組を増やし、大衆のメデア離れの原因であることを指摘しなければならない。政府がアメリカのように世論誘導ができにくくなることは、反面では良いことかもしれないが、文化的な遅れ・後退は日本社会の劣化と言うべきである。

アメリカ大統領選は引き続き拮抗している!

トランプの女性問題が暴露されても、トランプ候補の打撃は報道されているほど大きくはない。大手マスコミの世論調査はトランプが7%ほどリードしている。しかしアメリカの大手メデアは大企業が全て買収しており、大衆は信用しておらず、あまり参考にはならない。

来月に迫ったアメリカ大統領選の勝敗のカギを握るのはネバダ、ノースカロライナ、オハイヨの3州で、この重要3州うちネバダ、ノースカロライナではクリントンとオバマの支持率の差は1%~2%でトランプ氏の女性問題はほとんど影響していない。オハイヨでは逆にトランプがクリントンを4%上回っている。

嫌われ者の2人だが非大卒の白人層ではトランプが圧倒的に強く、非白人層ではクリントンが圧倒的に強い。経済と移民対策ではトランプに任せたいとする人が多い。全体として格差社会に反発し現状を変えたい層がトランプを支持しているので、トランプの女性問題は何も影響しておらず、トランプの勝利する可能性は依然として大きく残っている。

重要なことは、アメリカ社会が大手のマスコミによる世論誘導で動かなくなっていることだ。インターネットを通じた情報しか大衆は信用しなくなっているのである。大衆の現状変更の期待がトランプに集まる状況が今も続いており、アメリカ大統領選は今もどちらが勝利するか分からない状況が続いている。

日本政府はトランプが勝利することも考えておくべきである。トランプ勝利は日本の対米自立を大きく促すことになるであろう。たとえクリントンが勝利してもアメリカが覇権戦略にすぐに回帰できるわけではない。クリントンもTPPに反対を表明しており、雇用を破壊するものとして大衆がTPPを認識している以上、クリントン勝利でもアメリカが世界戦略に回帰できるわけではないのである。日本は対米自立目指し国防面での自立の準備を大担に進めていくべきである。

中国で重み増す解放軍の実力!

中国が最近有人宇宙船「神舟11号」の打ち上げに成功した。この打ち上げの指揮室には人民解放軍トップの范長竜中央軍事委員会副主席と並んで、宇宙の軍j利用を担うとされる「戦略支援部隊」の高津司令官が見守った。つまり中国の宇宙開発は解放軍主体で進められているのである。

中国解放軍は国軍では無く中国共産党の軍隊で、軍需工場まで持つ巨大な組織であり、利権集団でもある。南シナ海の埋め立ても、北朝鮮への支援も、インドへの侵略も解放軍が主導的に進めている。習近平は軍の改革でこの軍閥的組織を闘えば必ず勝利する近代的軍隊にしようと、現在30万人のリストラを進めている。

中国の「海洋強国」も、「宇宙強国」も解放軍の利権の拡大と結びついている。習近平の「中国の夢」とは中華思想に基盤を置く社会帝国主義の世界戦略に位置付けられている。それは親シルクロード構想であり、西太平洋からインド洋に至る管轄海域を支配する覇権戦略に基づくものであり、これを宇宙の軍事利用で支えるのが中国の宇宙開発の目的なのである。

北朝鮮の核開発とミサイル開発を支えるのも中国解放軍が独自に行っている事である。それゆえ中国政府の北朝鮮への経済制裁が軍の意向で尻抜けとなるのである。中国軍は朝鮮半島を台湾や東シナ海で軍事行動を起こす時の第2戦線と位置づけており、そこには中国の外交を事実上解放軍が決定することになるのである。

こう見れば中国の外交が露骨に軍事先行である理由が分かるであろう。カシミールやインド東部への侵攻だけでなく、南シナ海も東シナ海も、朝鮮半島も中国解放軍が主導的に軍事戦略を進めていることが理解できるであろう。1党独裁の官僚支配は、同時に党の軍隊である中国解放軍の拡張主義外交にならざるを得ない。それは内政面での少数民族支配、農民への抑圧、労働者への官僚独裁の支配をも解放軍無しに有り得ないのである。

習近平の「闘えば必ず勝つ解放軍の建設」は、走資派指導部の人民支配のカナメであり、内的矛盾を外的矛盾に転換するための拡張主義の担い手が解放軍なのである。つまりかつての人民解放の軍隊は、いまは官僚独裁の支配の道具となり、中国拡張主義の侵略の担い手なのである。

野党連合は対米自立を掲げよ!

安倍政権は参議院選挙に勝利して、しかも都知事選で都民の支持を受ける小池知事を安倍政権が取り込む方向で動いている。来年早々に衆院解散総選挙が噂される中で、野党は民進党が国民に総すかんされている元党首の野田が幹事長では勝てる選挙も勝てない。

安倍政権の困難は、頼りのアメリカの大統領選が2人とも反TPPであることで、本来はアメリカの戦略課題であったものが、TPPは今や国民の「雇用を奪う存在」となった。安倍首相の集団的自衛権も、アメリカが内政重視の非介入主義では腕の振るいようもない。つまり安倍政権の弱点は日米同盟が成り立たない点にある。

野党4党が新潟知事選で勝利したように、与党連合が自公政権を打倒する鍵となるのだが、その野党連合が政策でまとまれるのかが問われているのである。とりわけアメリカとの関係が安倍政権の弱点となっている。野党4党は総選挙に向け、対米自立による平和主義堅持で野党連合を成し遂げるべきである。

大統領選でいかにマスコミが反トランプで騒いでも、アメリカの市民が現状維持ではなく変化を望んでいる以上、なおトランプが大統領選で勝利する可能性は少なくないのである。ただ大企業がマスメデアを支配しているため反トランプの風が吹いているだけで、格差社会からの変化を求める大衆の声は衰えてはいないのである。

頼りにならない日米同盟から転換し、野党連合は対米自立を掲げるべき時が来ている。新潟知事選の勝利の流れを生かすには、いつまでもアメリカ頼みの安全保障では総選挙の勝利は望めないのである。

韓国経済が主力産業総崩れで深刻な事態に!

韓国の国内総生産の約20%を占めるサムスン電子と現代自動車が危機に有る。現代自動車はストライキで、サムスンはギャラクシーノート7の爆発燃焼で生産停止で危機に陥っている。韓進海運の破産も韓国政府は何もしなかった。

韓国のIT、鉄鋼、造船など20の大企業グループの中核企業の内、65%にあたる13社が昨年減収となり1兆ウオンを超える赤字を出した。鉄鋼大手のボスコは昨年最終赤字を創業以来初めて計上し、営業利益が前年度25%減となった。まさに韓国の主力産業総崩れの危機である。

昨年の営業損益、最終損益のいずれかが1兆ウオン以上の赤字だった企業は現代重工・斗山・斗山重工業・サムスン電子・大宇造船海洋・サムスンエンジニアリングの6社で、最終損失の合計は12兆ウオン(約1兆1300億円)を上回った。

韓国の輸出品の合計額が昨年は10%マイナス、今年1月にはマイナス21%に減った。この多くが中国向け輸出である。中国人が韓国から買う商品が減少しているのである。つまり韓国経済は中国の追い上げと、新産業(航空宇宙・バイオ・ロボット)を育成してこなかった付けが回ってきている。日本やアメリカ、欧州の先進国は航空宇宙・バイオ・ロボット等新成長分野に力を注いできた。

しかし韓国は、元々パクリ・模倣産業なので自分で親成長分野に力を注ぐ体質ではない。だから韓国の既存企業が中国に追いあげられると打つ手がない状況になる。特に韓国を代表する今回のサムスンのギャラクシーノート7の爆発・燃焼での生産停止や現代自動車のストライキでのつまずきは、すなわち韓国経済総崩れ状態となり、韓国マスコミは「韓国経済のリセット」強調するしかない状態で、韓国政府も韓国経済を立て直す方策を見出してはいないのである。

パク・クネ大統領の中国へのすり寄りが裏目に出て、対日関係の悪化で日本企業からの技術のパクリもうまくいかなくなった。韓国は新しい産業、新しい商品を自分で開発し作る段階になって、それまでのパクリ体質がアダとなり、自力で開発し、危機を切り抜ける力がないように見える。それにしても韓国政府の経済・産業政策の無能は深刻で、主体的に危機を切り抜ける方策を全く持ち合わせていないのである。韓国政府は日韓の通貨スワップを復活させるぐらいしか経済対策を見いだせないのであるから政治・政策面でも深刻な危機なのである。

アメリカは世界の覇権を回復できるのか?


アメリカはその卓越した軍事力で今も世界の第1の大国で有ることは明らかだが、しかし財政危機の下でオバマ政権は非介入主義へと戦略転換した。現在闘われている大統領選を見ていると2人の候補ともTPPに反対で、トランプ候補に至ってはメキシコの国境に壁を作ると言っている。イスラム教徒の移民を認めないとも言っている。これではアメリカ経済の回復どころか世界恐慌になる可能性は高い。

トランプの政策だと「強いアメリカ」「雇用を守る」どころか、アメリカ経済が縮小再生産にはまり、軍事力を縮小せざるを得ないことになる。トランプの「TPPが雇用を破壊する」との認識に引きずられてクリントンでさえTPPに反対だ。これではアメリカは世界戦略を実行できないということになる。クリントンが勝利できたとしても数年はTPPは比準できないことは確実だ。

中国・イラン・ロシアの地域覇権国が連携しつつ多極化の戦略を展開して来る中で、アメリカが内政重視を続けることは、アメリカの同盟国である日本などは安全保障上の危機に直面することになる。TPPはアメリカの戦略であったのに、大統領選ではアメリカの労働者の雇用を奪うものとして認識され、アメリカ第一主義のトランプが勝利する可能性を高めていることは、アジア・中央アジア・中東の戦略的主導権をアメリカが失うことになることは避けられない。

アメリカの大統領選で戦略が論争されず、低俗なスキャンダルばかり非難し合う低俗な選挙戦は、アメリカが抱える困難が国内の格差拡大で世界の覇権を維持することさえかなわない実態を世界に見せつけた。EUはイギリスの離脱問題で揺れ、北米自由貿易圏はトランプの壁が破壊し、TPPは比準できない。その上ロシアへの経済制裁、中国のバブル崩壊で世界の貿易が大幅に縮小することは避けられず、世界大恐慌の可能性を高めている。

アメリカが世界の覇権を回復する道筋は見えないのが現状なのである。残された道はオバマ政権がTPPを議会に働きかけて任期内に比準する事であるが、レイムダック化した政権にそれができるとも思えないのである。わずかに残る可能性はトランプに反対する共和党の幹部たちが民主党に協力してTPPを比準してしまう事である。これができないと数年はアメリカの覇権回復は難しいと見た方がいい。日本は対米自立を目指した方がいいのである。

多重危機の中の、薄氷のアジアの平和!

東アジアは戦争の発火点がテンコ盛りだ。北朝鮮は書く・ミサイル開発に拍車をかけ、中国拡張主義は尖閣の占領に向け多数の公船で領海を侵犯し、着々と既成事実を積み上げる。南シナ海では岩礁を埋め立てて軍事基地が次々と建設された。フィりピンの近くのすかボロ―岩礁では中国が埋め立てをし始めた。これにより台湾は完全に包囲される。

朝鮮半島・台湾・尖閣諸島・南シナ海はいつでも仕掛け人が決意すれば戦争の発火点となる。その仕掛け人とは中国社会帝国主義の独裁者の習近平である。国内情勢が不穏な状況になれば、中国は内的矛盾を外的矛盾に転化することは確実なのである。だから意識的に戦争の発火点をいくつも作りあげた。

これに対しアメリカはオバマの非介入主義であり、次の大統領は候補の2人とも内政重視であり、大統領選では戦略論議は少しもなく、低レベルな批判合戦に終始している。アメリカの経済戦略であるTPPでさえ、「雇用を奪うもの」としてしか認識されていないのである。オバマのアジア重視は口先だけで、東アジアの4つの発火点では戦略的主導権は中国の側が握っている。

米日韓の軍事同盟は日韓関係の悪化で機能するとも思えず。アメリカの4つの発火点に対する軍事的対応は何もない。唯一戦略的な動きは安倍首相の対ロシア関係の改善の動きである。しかしこの動きもアメリカ政府が反対しており、北方領土と経済協力の2点で妥協できるのか、いや妥協しなければ日本は2正面を強いられることになる。

アジアにおける4つの発火点に日本は翻弄される可能性が有る。日露関係を戦略的に改善して、アメリカが傍観する可能性の中で、日本は中国の侵攻に備えなければならないのである。4つの戦争の発火点の主導権は中国の側に有る。日本はロシアとの関係改善で最悪の危機を回避できるのである。ここはアメリカ政府が反対しても対ロシア外交を前進させなければならないのである。アメリカの反対で、安倍首相が日和見を決め込まないことを期待するしかない。

ハイテク企業を爆買い中の中国企業を警戒せよ!

中国企業がドイツのハイテク企業を買いあさっている。産業ロボットの「ク―カ―社」はインターネット技術、産業用ソフトウエア、3Dプリンター、産業用ロボットの中核技術を持つ第4次産業革命の中心的企業であるが、中国の家電大手「美的集団」に45億ユーロで買収された。

中国は昨年39のドイツ企業を買収し、今年もほぼ同数の企業を買収した。それも半導体製造装置の「アイクストロン」や重機器製造の「クラウス・マッファイ」と言ったトップ技術のハイテク中堅企業を集中的に買収している。

ドイツ政界では欧州の将来に重要な企業をなぜ中国に売るのか?」との批判が出ている。ドイツのメルケル首相は中国企業が欧州で企業買収しているのと同程度の優遇措置を欧州企業にも認めるべきだと要求した。外国企業には市場を閉ざし、中国が一方的にハイテク企業を買収することが中国政府のいう「ウィン・ウィンの関係」なのである。

中国政府が産業スパイやハッキングによって欧米や日本の技術をパクルことに力を入れるだけでなく、ハイテク企業の買収に乗り出しているのは、中国製造業の弱点が高度技術に有ることを自覚しているからである。特に中国製造業が高度技術化する前にバブル崩壊が始まり、中国政府が危機感を持ち経済戦略として欧州やアメリカや日本から高度技術を持つハイテク企業を買収し始めた事を示している。

中国政府は、「中国製造2025」と呼ぶ新計画を立て、「新生産システム」「知能化」人工知能で25年までに「製造強国」とし、35年までに中堅水準の「製造強国」にする計画を立てている。高い技術を持つ日本の中小企業も中国企業に狙われていると見るべきである。中国人が爆外しているのは日本の古美術品だけではないのである。日本政府はきちんと把握するべきだ。

日本政府は中国の戦略的な日本のハイテク企業の買収に警戒し、何らかの法的規制をした方がいい。そうしないと新幹線技術と同じことがあらゆるハイテク分野で起きるであろう。中国覇権主義は地球上で最も危険な侵略勢力であり、中国への技術の流失は、即安全保障上の危機につながることを忘れてはいけない。

世界の戦略関係の激変に備えよ!

アメリカが「息継ぎの和平」の内政重視=非介入主義に転換して以後、ロシア・中国・イランの地域大国が上海協力機構として戦略的台頭を遂げている。ロシアの黒海から地中海へ、中国の「一帯一路」=シルクロード構想・海洋大国化構想は、中央アジアと、東アジアにおける戦略関係を完全に覆した。

東アジアを見ても、北朝鮮の核保有と東シナ海と南シナ海の中国の内海化で台湾は完全に包囲された。中国は第1列島線内を軍事的にほぼ制圧した。これに対する覇権国アメリカの戦略的動きは無きに等しい。

オバマのアジア重視は口だけで、今もアメリカはアフガン・イラク・シリア重視だ。アメリカがイスラム原理主義に気を取られているすきに、ロシア・イラン・中国が上海協力機構という戦略的同盟関係を強化し、アメリカの同盟国はいずれも安全保障上の危機に直面している。中央アジアの国々が上海協力機構になびき、フィリピンでさえ中国にすり寄り始めた。

アメリカの戦略であったTPPは「職を奪うもの」として批判の対象となり、アメリカは戦略を実践できない体たらくとなった。これでは経済戦略でも中国のアジア・インフラ投資銀行がアジアの小国家を従属国化していくことになる。

朝鮮半島・尖閣諸島・台湾・南シナ海の全てで、中国側の戦略的優位が確立しつつある。日本は北にロシア、南に中国の2正面に敵を迎えることになりかねない。安倍首相のロシアとの交渉は東アジアにおける戦略関係の変化を受けて、ロシアを取り込まないと日本の安全保障は無いことを自覚しての事である。

もはや中国覇権主義が沖縄以南の日本の島々を軍事的に奪い取る諸条件が生まれつつある。日本は単独で軍事的に中国軍の侵攻に備えなければならない。アメリカは当面戦略的動きは期待できないのであるから、日本は対米自立目指し、防衛力強化を急がなければならない。世界は覇権国アメリカの衰退で戦国時代の様相を示している。軍事力による国境線の変更の時代を迎えたと言える。

中国の権力闘争が激化し習近平派が苦境に!

 党内の「反腐敗」キャンペーンで「トラもハエも叩く」と標榜し政敵を追い落としてきた習近平派は党内に多くの敵を作ってしまったようだ。先の北載河会議で習近平の腹心グループ=「之江新軍」と呼ばれるグループ(=習の地方時代の手下)の隊長クラスの黄興国天津市代理書記が失脚したのである。

 この結果次の党大会で政治局常務委員の過半数を握る予定だった習近平の目算は外れた。自分の後継者が失脚したことは習近平が力を失っていく可能性が強まったのである。次期政治局常務委員会は李克強の共青団派が多数を握ると見られている。

 失脚した黄興国天津市代理書記は習近平の後継者と目され、習近平を「党の核心」とする運動を進めていた。ところが習近平に反対する派閥(江沢民派か?)に昨年天津での大爆発事件を引き起こされ、その責任を取らされ代理書記のままとなった。今回10年も前の地方時代の不正を調べ上げられ失脚したので有るから、習近平は足をもがれた状態となった。つまり習近平は「反腐敗」の攻勢から一転して守勢に回ったと言える。

 北載河会議以後、中国のマスメディアから、習近平を「党の核心」と表現する言葉が消え、「習近平同志を中心とする党中央」との表現になったのは、習近平派の敗北を示しているのである。中国は再び集団指導体制へ戻ったと言えるのである。後継者を失った習近平がどのように巻き返すのか、それとも共青団派や江沢民派がどのように習近平派の幹部を追い落とすのか?党大会に向けて権力闘争の激化は避けられない。

 中国は現在経済危機にあるが、国営企業のリストラは利権がらみなので進められず、過剰な生産設備の削減でさえ政争がらみで、こう着状態にある。経済的危機の深刻化の中で政争が激烈化する事態となった。走資派指導部内の権力闘争が経済的危機をさらに激化させる可能性がある。中国拡張主義は内的矛盾を激化させて自滅の道を転がり落ちつつある。「物事は極まれば反転する」とは毛沢東の言葉である。中国の反転の時が近づきつつある。

アメリカでメディアへの信頼が急速に低下!

月刊誌「選択」の10月号情報カプセルで注目すべき情報が掲載されている。調査会社ギャラップのが9月に発表した数字ではテレビや新聞といったマスメディアを「信頼する」と回答した人が昨年より8ポイント低下し32%にとどまり、1972年の調査開始以来最低を記録したと言う。

最高値だったのはベトナム秘密文書の暴露やウォーターゲート事件が報じられた76年の72%だった。従って50代以上では信頼する人が比較的多く、18歳~49歳までの層は「信頼する」と答えたのは26%だった。

支持政党別では共和党支持者の信頼度が昨年の32%から14%に急低下している。これは「ヒラリーに好意的」との点から大統領選の報道が反映している。アメリカでは「メディアの90%が6社の超巨大企業に買収され、報道や論説の独立性が消滅した」のが理由と見られている。

この記事が示しているのはアメリカのメディアが報じる「クリントン有利」は信頼できず。ネット社会のトランプ有利の方が信頼できるということである。それほど大衆が金融資本や大資本家に反発し、現状変更を求めている事を示している。

日本政府は米大統領選でトランプが勝利する可能性が高いことを前提に対策を取るべきである。トランプは同盟国の安全保障よりも、同盟国からいかに金を絞り取るかに関心があり、守ってほしいなら金を出せ、との事なので、日本は対米自立をめざし、バランスの取れた防衛力を装備=強化していかねばならない。

アメリカでは、もはやマスコミによる世論誘導もままならないほど大衆が変化を求めており、それゆえトランプの「アメリカ第一主義」が勝利する可能性が高いのである。

内的矛盾の激化で覇権戦略実行でないアメリカ!

オバマ大統領の対アジア「ピボット政策」とは軍事的にアジアに6割の軍事力を展開し、経済戦略として環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を結ぶことで台頭する中国覇権主義を抑止するものであった。

このアメリカのアジア重視戦略は実際には機能していない。アメリカは今も中東重視であり、戦争の民間委託の形で今もアフガン・イラク・シリアで戦争が続いている。

アメリカはロシアを中国の方に追いやり、中国・ロシアの同盟は強固になった。ロシアはウクライナと黒海を支配し中東に進出し、中国は東シナ海と南シナ海で軍事的拠点化を進め、インドの東部と西部への侵略を試みている。

アメリカのアジアへの「ピボット政策」とは危険な拡張主義の中国の矛先を東へ(アジアに向け)。アジアを巨大な武器市場にする狙いを持つものであった。ところがアメリカ国内での格差社会の拡大がこうした戦略を破綻させている。

TPPは経済戦略として出されたものであるが、アメリカ国民は「雇用を奪うもの」としか認識できず。民主・共和の大統領候補がTPPに反対する事態の中で、オバマ政権はTPPを批准出来なくなっている。

アメリカ海軍の「航行の自由」作戦は極めて控えめで、どちらかと言うとロシア・中国の両海軍の艦隊の共同演習の方が規模も大きく目立ったのである。今やアジアは北朝鮮の核武装と中国の海洋支配の前に、フィりピンのように経済的に中国になびく事態が生まれている。TPPが比準できないまま、中国のアジアインフラ投資銀行が勢力を拡大することは避けられない。

アジアで戦略を展開できないアメリカ、しかもトランプは日本や韓国、サウジなどを守りたくない、守ってほしいなら費用を負担せよ、と叫んでいる。アメリカの大統領選は現状への不満を代表するトランプが断然有利なのである。

アメリカのオバマ外交はヒトラーの矛先を東に向けたチェンバレン英首相のごとく中国覇権主義をアジアでのさばらせるだけであり、とりわけ東北アジアは、北朝鮮の核武装の脅威、中国の侵略の脅威に直面している。アメリカが覇権戦略を実行できない国内的弱さの下で、日本は亡国の危機に有ると言ってもよい。

オバマのよろめくような日和見的覇権行使の放棄は、中国拡張主義の凶暴さを一層浮き彫りにするであろう。日本は対ロシア外交と防衛力強化を急がねばならない。
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