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北朝鮮の「ムスダン」失敗は戦略転換の好機!

北朝鮮は射程距離3000キロ~4000キロの中距離弾道ミサイル「ムスダン」を実戦配備し日本やグアムまで届く、しかも移動用の発射台だ、というので日本にとっては軍事的脅威だった。ところが4月15日に1発、同28日に2発、発射したがいずれも失敗している。

今回5月31日は4回目の実験だったが発射台上で爆発しケガ人も出ているという。一度も実験しないで実戦配備する神経が理解出来ない。韓国は役に立たない潜水艦を作り続け、さらに大きなミサイル潜水艦を建造するという。北朝鮮と韓国は同じ民族だけに体質までよく似ている。3代目の偉大な委員長はさぞお怒りと推察するが、技術的に完成していないものを、ハッタリで軍事パレード用に配備していたにすぎないのであろう。

この分では水爆もハッタリで、原爆は事実でも運搬手段がないのではないか?国の安全保障にかかわる兵器でこのようなお粗末な事態にならないよう自衛隊は「他山の石」にしなくてはいけない。軍事恫喝のミサイル実験のつもりが、敵国を安心させる結果になるとはお粗末もいいところだ。こんな技術レベルでよく挑発外交・瀬戸際外交ができるものだ。

金正恩委員長が北朝鮮の戦力の実際を認識することは悪いことではない。北朝鮮は強がりを止め、平和路線に転換した方がいい。拉致問題を解決して日本から戦争賠償金を受け取り近代化の道を進む方が体制の延命のためにもいい。国民が飢えているのに無駄なミサイル実験ばかりして、失敗し続けてどうしょうというのか?

今回の「ムスダン」4回失敗を機に北朝鮮の外交路線が転換する可能性に注視したい。核・ミサイル開発の資金を経済再建に使う方がよほど国防力に役立つであろう。偉大な委員長は国防力は経済的基盤に依存することを理解した方がいい。先軍政治が北朝鮮の経済力を疲弊させた誤りを知るべきであろう。「ムスダン」失敗を先軍政治の転換につなげるよう求めたい。
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オバマ大統領の幼稚な核廃絶論の欺瞞!

オバマが広島を訪問し核なき世界を訴える「広島演説」を行った。彼は言う、なぜ私達は広島を訪れるのか?「恐ろしい力に思いはせるため訪れる。」オバマは「原子の分列を可能にした科学の革命には、道徳上の革命も求められます。」と広島と長崎は道徳的に目覚める始まりとオバマは言う。

オバマ大統領は広島に核兵器の発射ボタンの黒いカバンを持参した。彼は戦争が国際法を踏みにじって民間人をも攻撃対象にする帝国主義の残虐性を語るべきだった。今もアメリカは、核兵器を相手が持たない場合は使う可能性があることを語るべきであった。アメリカの核政策が「自分は保持するが他国には保持させない」ものであることはイランやイラクへの政策を見れば明らかだ。

原子爆弾が悪いのではなく、世界の覇権を握るために、あらゆる武器を誇示する帝国主義が悪いとオバマは語るべきだった。オバマの演説を聞いていると観念的で、幼稚で、核兵器の使用はまるで道徳の問題であるかのようだ。オバマ大統領が核廃絶を語るなら、アメリカがまず率先して自分の核兵器をすべて放棄すべきであった。自分は核のボタンを持参しながら、観念的に核廃絶を語ることで得られるのはノーベル平和賞ぐらいなのもだ。あまりにも空虚で観念的で幼稚である。

イラクは大量破壊兵器=核を持っていなかったので侵略され、北朝鮮は核を持っていたので侵略されなかった。これでは小国が帝国主義の侵略を逃れるためには核を保持しなければならないと言っているようなものだ。オバマが核廃絶を語るなら「アメリカは核を最初には使用しない」となぜ宣言しないのか?オバマの論では人々が道徳に目覚めれば核廃絶が可能であるかのようだ?あまりにも幼稚で馬鹿げている。

実際には、世界中の国ぐにが全て核を保持し、核が使えなくなるまで核の廃絶は不可能なのだ。つまり核兵器を無くするには核兵器を保持しなければならないのである。これが現実なのだ。日本はアメリカの従属国であり、アメリカの核の傘の下でいるのに観念的な「核廃絶」の運動をする人達は間違っている。日本が対米自立し、核兵器を保持することで核の廃絶の主張が可能になることを知らねばならない。それが政治の現実なのだ。自分はアメリカの核で守られながら(=支配されながら)観念的な核廃絶の運動は綺麗ごとのごまかしなのだ。

中国や韓国のように過去の戦争賠償を要求するものは歴史報復主義であり、戦争勢力であることを指摘しなければならない。過去戦争賠償が次の戦争の火種となった歴史の教訓を忘れてはいけない。毛沢東がなぜ田中角栄に戦争賠償を放棄すると明言したのか、それは中国走資派が必ず戦争賠償を持ち出し、日本に戦争を仕掛けるであろうことを読んでいたからである。

オバマの観念論に騙されてはいけない、アメリカは引き続き侵略勢力なのであり、ただ今は息継ぎの和平の局面にあるにすぎないのだ。

サミットが安倍首相に教えていること!

安倍首相が現在の経済状況を「リーマン・ショック前に似ている」との発言並びに提案した「財政出動」はドイツ・イギリスの首相に否定された。サミット参加国のメデアは、安倍首相の考えについて「消費税の増税を先送りさせようとするサインだ。と解説し「おそらく日本の有権者に向けたもの」(ウォール・ストリート・ジャーナル)と指摘した。

ドイツのメルケル首相は東ドイツ出身なのでおそらく資本論を読んでいる。(=経済が分かっている)ドイツでは今もストライキで一定の賃上げを認めているので経済成長率は高い。資本主義の拡大再生産に必要な起動力としての労組の役割を、労組の「家畜化」で失い、長期に深刻なデフレに嵌っている日本とは、ドイツやイギリスは違うのである。

オバマ大統領が「雇用回復等のため、各国が必要な措置を取り続ける」ことでまとめたのは経済の分かっていない安倍を擁護したものである。日本経済が賃上げを必要としていること(=個人消費の拡大が必要なことで)は異論がない。安倍はこれを社会政策的に追求せざるを得ないところに失敗を繰り返す根源がある。重要なのは「労組の家畜化」を止めることなのだが、資本家の利益代表の安倍にはできないことである。従って日本はいつまでも「財政出動」(=人為的市場創出)から抜け出せず、国債の赤字が1000兆円を超えても公共事業(=土木資本主義)から抜け出せない。

サミット参加国の内、経済的に縮小を続けているのは日本ぐらいなものであり、その根源を解決しない以上、日本の資本家たちは自分で自分の首を絞める構図は変わらないのである。安倍が今必要としているのは消費税増税の先送りの口実であり、サミット参加国は安倍がその為に経済状況が「リーマン・ショック前に似ている」などと政治的発言をしたと見ているのである。つまり消費税増税をしては総選挙を闘えないので、それを先送りしたのであり、そのことは安倍が夏の衆参ダブル選を回避したということになる。つまり安倍は先手必勝のチャンスを放棄したのである。これには沖縄の米軍属の殺人事件が影響していると見るべきだろう。

資本主義経済は資本家と労働者が「対立面の統一の関係」にあり、強い労組を法的枠組みで保障することは、継続的賃上げが個人消費の拡大を促し、消費財生産分野を成長させ、生産財生産分野も成長する。日本のように何年も実質賃金が低下し続け、個人消費が縮小する市場に誰が投資するだろうか?日本経済はこうして縮小再生産の負のサイクルに嵌っているのである。経営者・大金持ちの強欲が招いた事態なのである。

金持ちは海外で儲けるからそれでもいい、しかし日本の勤労国民は貧困化のサイクルに苦しむことになっている。今日本に必要なのは富の再配分であり、賃上げなのである。選挙が行われても野党第1党の民進党(前民主党)には消費税増税で国民を裏切った菅や野田がいる。大多数の国民は投票するところがない。経済の分からない政治家が多すぎる。日本の大学がマルクス経済学を教えなくなった付けが回ってきている。経済学が日本経済の成長を導けなくなっているのである。

サミットホスト国日本を恫喝した中国!

中国外交部の華春ホウ副報道局長は25日の定例記者会見で中国による南シナ海の軍事拠点化について、主要国首脳会議の議論に「強い関心を持っている」と述べた。また華氏はサミットホスト国の日本が「南シナ海問題でたえず騒ぎ立て、緊張を誇張している」と非難し、「G7だけでなく地域の平和と安定のためにならない」と恫喝した。

中国は南シナ海の暗礁を勝手に埋め立て軍事拠点化しながら、南シナ海問題は「当事国同士の対話解決」を都合よく吹聴している。自分で他国の領土に軍事拠点を一方的に作りながら、サミットでは南シナ海の問題には触れるなという脅しである。これこそ軍事拡張主義の「砲艦外交」というべきであろう。

こうした中国の鼻息の荒さに怯えたのが隣国の韓国大統領のパク・クネである。彼女は安倍首相からサミットへの招待状が届くと、中国の意向を無視して出席するわけにいかないので、急遽フランスとアフリカ訪問の外交日程を入れて逃げた。パク・クネは支持率が最低の31,5%に下がり、訪日すればこれがさらに下がるので訪日を避けたと見られている。

中国がなぜ小国日本を疎ましく思うか?を読まねばならない。中国が西太平洋を含むアジアの覇権を確立する上で、経済的に他のアジア諸国を合わせただけのGDPを持つ日本が政治的・地政学的障害となる。日本列島が中国の海洋進出をふさぐ位置にあるので何とかしたいのである。

中国は既に社会帝国主義に転化しており、ナチスのように全体主義的な官僚独裁が危険な拡張主義を性格付けている。中国が国内のテレビで日本が今も軍国主義であるかの「反日」「抗日」宣伝を行っているのは将来の戦争を想定しているからである。

日本は次期アメリカの大統領の可能性の強いトランプが、アメリカ第一主義であることも考慮して、対米自立して、自分の国は自分で守るようにしなければならない時期に来ていることを指摘しなければならない。今の中国は内的脆弱性ゆえに、外への軍事的暴走に転化する危険極まりない政権なのだということを、サミット参加国の首脳は理解しておくべきである。

格差社会へ導く歪んだ構造を是正せよ!

新聞赤旗によると、国際通貨基金(IMF)は5月11日に世界の汚職に関する報告書を公表している。それによると毎年1兆5000億~2兆ドル(約160兆円~220兆円)がワイロになっているという。これは世界の国内総生産(GDP)の2%に相当するという。

この莫大なワイロが経済成長を阻害し、税収減、貧困、格差社会につながることになる。汚職は政治家が国益よりも自分の利益を追求することから起きる。オリンピックを誘致するのも多額のワイロが渡っていたのである。

また世界のヘッジファンド運用者の高所得者上位25人が昨年1年間に得た報酬は総額130億ドル(約1兆4100億円)に上る。こうした人達が払っている税金は労働者の支払う税金よりも少ないという。つまり投機(=トバク)の莫大な報酬に対する税率が極めて低く設定されているのである。
こうした税率の不公平が富の再分配を阻害しており、こうした歪みへの怒りが、アメリカ大統領選でのトランプ候補の人気や、サンダース候補の人気となって表れていると見るべきであろう。こうした歪みの構造は、欧州や日本も同様で消費税増税と法人税減税で空前の格差社会が生まれている。

日本で見るとアベノミクスの3年間で大金持ち400人の資産が2倍になっていることが示している。結局のところ冷戦が終わって以後のサミットで打ちだされたグローバル化による強欲の資本主義は空前の格差社会を生みだしたのである。

必要なのは投機家(=大金持ち)への重い課税で富の再分配を行うことであり、あらゆる格差社会をもたらしている歪みの構造を是正することが伊勢志摩サミットの主要議題であるべきだと思う。この間の金融緩和とは巨大な投機資金を供給し、大金持ちと多国籍企業を大儲けさせただけなのである。今日の世界的不況は富の偏在から生じているのであるから、それを是正する措置をサミットで打ちだすべきであろう。この点を注目したい。

ベトナムへの武器輸出を解禁したオバマの狙い!

オバマ米大統領が伊勢志摩サミットの前にベトナムを訪問し、ベトナムへのアメリカの武器売却を解禁した。この狙いが中国の南シナ海埋め立てと軍事基地化に対応する布石であることは明らかだ。しかしオバマのアジア重視とは何だったのか?分かりにくい。

中東へのアメリカの狙いを見ると、イランの経済制裁を解禁し、「アラブの春」を利用した独裁政権の打倒と、その後の混乱を利用して宗派対立を煽り、中東を永続的武器市場とし、オイルマネーの還流を狙うことである。このために同盟国のイスラエルやサウジやエジプトはアメリカに裏切られたという思いを強めている。

こうした視点でアジアを見ると、アメリカは中国のアジアにおける地域覇権主義を容認しつつ、アジア諸国に中国の軍事的脅威を利用して武器を売ろうとしているように見える。アジア重視とは武器の市場化の事かもしれない。安倍政権は東シナ海の脅威が高まる中で大量のアメリカ製武器を購入した。北朝鮮の脅威と直面する韓国も同様である。

アメリカがウクライナのクーデターを支援し、ロシアを地政学に目覚めさせクリミアを併合させたのも、ロシアを地域覇権主義へと追いやることが狙いだったと見ることができる。オバマは軍事介入を控えながら自国の軍需産業の市場作りを着々と進めているように見える。

覇権国アメリカが内政重視に転換したことで、中国・ロシア・イランの地域覇権主義が力を持ちつつあり、世界は多極化の様相を強めている。実際に軍事力で国境線の変更が進み始めたことは世界が流動化していることの証明である。

世界資本主義が経済的行き詰まりとなって、先進国全てが不況になり、中国経済のバブル崩壊で世界経済は機関車役もいない、大恐慌の崖っぷちにある。政治的リーダー役の国もない状況になりつつある。とりわけアメリカの次期大統領に孤立主義のトランプの可能性が強まる中で、世界の流動化が一気に強まる可能性がある。世界情勢が示しているのは、世界的な軍事力増強の大競争が始まりつつあることを指摘しなければならない。

こうした中での伊勢志摩サミットが開かれる。必要なのは通貨切り下げ競争を規制することではなく、世界の軍拡競争を規制する事である。とりわけ中国覇権主義の大軍拡をサミット主要国が抑制する方向性が示されるか注目したい。

人民日報が文革に言及した理由!

5月17日に中国共産党機関紙人民日報が、文化大革命を批判する記事を掲載した。報道によると、人民日報は記事の中で「文化大革命は指導者によって誤って発動されたもので、党や国家、各民族に甚大な災害となった内乱である。」文革は「完全に間違ったもの」で「歴史が証明している」などとした。

現在中国では株式市場が統制下に有り、バブルの崩壊を統制で押しとどめている。しかもその下でバブル経済が膨れ上がっている。また共産党幹部が腐敗し、「トラもハエも退治する」という習近平ですらタックスヘイブンに姉婿の名義で1500億円を隠匿していたことが明らかになり、江沢民派との争いが激化している。こうした中で人民の中に毛沢東の文革が共産党からの奪権の予行演習だったのではないか、との見方が広がりつつあることが走資派指導部の危機感を高めているのである。

中国民衆の間では共産党幹部の腐敗を見るにつけ、毛沢東の文革の狙いが将来の走資派指導部を打倒するやり方を民衆に予行演習させる狙いがあったことを理解し始め、民衆の間で再び毛沢東信仰が高まっていることが人民日報の文革批判の記事となったと理解できる。

中国走資派指導部は大衆の世論を誘導するために「5毛党」(1書き込みの報酬が5毛からそう呼ばれている)を雇用し、年間4億8800件のネット上の書き込みを行わせて世論誘導していることが明らかとなっている。(香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト)走資派指導部はパナマ文書の事も報道統制で覆い隠し、大衆に情報を封じ込めることで経済的・政治的危機を切り抜けようとしている。

しかしインターネット時代ではこの情報封鎖は一時的であり、早晩経済は崩壊し、大衆が腐敗した走資派指導部の打倒に決起することは避けられそうもない。その時彼らは毛沢東の「継続革命」の批判の嵐にさらされることになる。文革の歴史的評価が実践で試されるのはこれからであり、その時中国人民は毛沢東の偉大さを再認識することになるであろう。

安倍首相はサミットで対ロシア外交の制限受け入れるな!

安倍首相が欧州を訪問した時、ドイツのメルケル首相が、日本のNATO加入を打診したことが注目される。安倍首相がメルケルに打診した財政出動は、土木資本主義の日本らしい提案だったが、欧米諸国は反対派しないが相手にしないであろう。

日本がプーチン大統領の訪日を要請しているのを見て、ドイツは対ロシア制裁中に日本にロシア市場を奪われるのではないか?と疑心暗鬼になっているのである。日本は中国覇権主義の矛先が向いている中で中国とロシアの2正面は避けなければならず。どうしても対ロシア外交を前進させなければならない。

この問題の焦点は、内政重視のオバマ大統領が安倍の対ロシア外交を容認するか?という問題である。とりわけ次の大統領になる可能性の高いトランプが孤立主義的であるので、オバマの対応が注目される。オバマが広島訪問で日米同盟重視を目指しているが、沖縄の米軍属の女性殺人事件で日本の(特に沖縄の)反米思考は高まり、日米関係も岐路にあるといえる。

アメリカの対中国戦略であったTPPも、肝心のトランプ・クリントンも反対を表明している。条約の批准ができないまま新大統領に持ち越すことになりそうである。そうなると地域覇権主義の中国やロシアやイランにとって戦略的チャンスであり、アメリカの同盟国の日本・エジプト・サウジ・イスラエル等が戦略的危機に陥る可能性が出てくる。

アメリカの「息継ぎの和平」がいつまで続くか?次の大統領がトランプになるのかで、世界は一層の流動化が予想される。安倍首相はこうした世界の流動化の中で日本の外交的戦略的選択肢を保持し続けることが重要である。

アメリカの次の大統領候補がいずれも内向きであることが世界の流動化の主要な面を形作っている。伊勢志摩サミットは、こうした各国がバラバラの中で合意できることは限界があり、せいぜい経済政策が大枠で合意できればいい方だ。欧州は対中国政策で寛容でり、ロシアには厳しい。日本は対ロシア外交重視で中国に厳しい外交を取るほかない。安倍首相が対ロシア外交で枠をはめられないようにするのが日本にとり最重要課題となる。

伊勢志摩サミットで話し合うべきこと!

今回のサミット(G7)で何が話されるのかネットで調べたがよくわからない。鉄鋼の過剰生産の調整が話し合われる、との主張もあれば、財政出動が議題だという向きもある。しかし報道では話し合うべき議題が明確に提起されていない。そこで話し合ってほしいことを書くことにした。

(1)アメリカの大統領選で明らかになった「アメリカ第一主義」のトランプが大統領になるのか?その場合、アメリカの外交と経済政策はどのように変わるのか?

(2)アメリカの非介入主義の結果、台頭したロシア・中国・イランの地域覇権主義にG7はどのように対応するのか?

(3)パナマ文書で明らかになった税金のがれの莫大な隠匿資金への課税による富の再分配をどのように進めるか?

(4)中国経済の統制強化をどのように理解し、社会帝国主義に転化した中国の危機の中での、軍の再編と外への軍事拡張主義の危険性について、どのように対応するのか?

これらは世界が抱える深刻な安全保障上の問題である。オバマの広島訪問は政治的には大きな問題ではない。オバマの政治的遺産作りに他ならず、トランプが大統領になれば日米関係は激変するであろう。つまり伊勢志摩サミットは覇権国アメリカの内向きの結果、世界が流動化し、国境線の変更すら起こり始めたことが議題であるべきだ。

安倍首相は議長国として、流動化の世界情勢の中で、是非この4点を議論してほしい。

全野党は連合して衆参同日選に備えよ!

韓国との間で懸案の慰安婦問題を解決した安倍政権は、中国との外相会談もやり、安倍がロシアに足を運び、日露関係もプーチンの年内訪日が実現しそうになった。

国会で匿名ブログの「保育園落ちた日本死ね!!!」のブログについての追求で、安倍首相が「誰が書いたか分からない」と答弁し、若いお母さんたちを激怒させ、赤ちゃんを連れて厚生労働大臣に直談判に駆けつける騒ぎになり、また国会でのTPP関連法案の審議で、黒く塗りつぶした交渉経過の資料を開示しながら、特別委員会の西川委員長がTPP交渉の「内幕本」を出す準備をしていたことが暴露され、国民の反自民の声は高まるばかりだった。

ところが熊本の地震騒ぎで、失敗続きの国会対策の失点は吹き飛び、メデアでの安倍首相の活躍が露出度をまし、震災優先で国会審議は先送りで自民の危機は救われた。新聞各紙は「震災対応優先」を理由とした「衆参同日選見送り」の報道を加速させた。

今月26・27日にはG7伊勢志摩サミットが開催され、議長役の安倍首相は一層マスコミに露出する。またその後には被爆地広島にオバマ大統領と共に訪問する。こうして安倍首相の活躍が大々的に報じられた後で解散総選挙と参院選の同日選挙となれば、資金面で準備の無い野党側は窮地に陥る。安倍首相は同日選に勝って憲法改正を目指す腹積もりであることは明らかだ。

衆院解散を見送れば、来年春には消費税増税がある。経済がマイナス成長になってから解散しても勝利できないことは明らかだ。どう考えても夏の同日選の可能性が高いのに、産経新聞も日経新聞も朝日新聞までもが「同日選見送り」を報道するのが怪しい。意図的に安倍首相筋が「死んだふり」を決め込んでいる可能性が高いと見るべきである。

こと衆院解散については首相は嘘をついてもいいことになっている。大新聞が「解散見送り」を振りまくところがみそで、安倍が抜き打ち解散で野党の連合を分断し、改憲議席を獲得する戦略を持っていると見た方がいい。野党は戦争法反対と同時に対米自立=平和主義を掲げ、国民に政権交代を訴えるべきである。どう見ても決選の夏が迫っているのである。全野党は団結して同日選に備えるべきである。

軍事力の公開が全て裏目に出る北朝鮮のお粗末!

3代目の王朝指導者・金正恩をいかに偉大な指導者に粉飾するかが北朝鮮の最大の政治課題であるようだ。核兵器とその運搬手段の実験を公開するのも偉大な指導者の大げさな権威づけのためなのだが、それらがことごとく裏目に出ているのはお粗末としか言いようがない。

核実験の小型化と「水爆実験」は、その爆発力から失敗したと国際的に判断されている。北朝鮮が初めて発射した「ムスダン」は(射程3500キロ)何回も失敗し、文字どおり張り子のトラであることを自ら暴露した。公開した核弾頭の「大気圏再突入実験」は温度はせいぜい1700度で大気圏再突入時の温度は6000度~7000度で、お粗末な実験公開は、北朝鮮がまだ再突入技術を保持していないことを確認させるものとなった。

潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に姿を現した潜水艦はあまりにも小型で古い船体でとてもミサイル潜水艦にはならない。本当に潜水艦から発射したとも思えない。水中の固定発射台から発射したと見られる。

国際社会の反対を押して、核開発とミサイル開発で自ら孤立する戦略は、墓穴を掘るに似ている。アメリカと中国が半島の現状固定化で合意していることを、自ら孤立路線で後押しする必要が何処にあるのか?理解出来ない。

北朝鮮は金王朝とも言える個人独裁の奴隷制国家であり、その体制維持が至上命題なのだが、その為の軍事的脅しがことごとく失敗したのであるからお粗末としか言いようがない。これでは脅しにもならない。ムスダン50基の実戦配備は日本や韓国には大きな脅威であったのが、実験の失敗で、実は完成には程遠いことが分かった。

北朝鮮はアメリカや中国の現状固定化を崩す外交路線に転換した方がいい。今のまま制裁が強化されれば「偉大な指導者」の偶像も、実は「裸の王さま」だったということになりかねず、体制崩壊を招く可能性もある。ミサイルで恫喝する「砲艦外交」を北朝鮮がやるにはあまりにも技術的に低すぎ、出るのはボロばかりなのである。軍事恫喝が実は自分でそのお粗末さの馬脚をあらわした事に、若い指導者が早く気付くように側近が配慮すべきであろう。

しかし暗殺が怖くて誰も告げられないところが個人独裁の北朝鮮の悲劇(=喜劇)なのである。

漂流する世界と台頭する独裁政治の危険!

アメリカが覇権国としての世界の警察官役を放棄して、世界は流動化し、独裁政権が各地で台頭している。世界経済は中国のバブル崩壊の中で機関車役不在となり、アメリカも欧州も日本もデフレが進行している。各国が自国通貨安誘導競争を行い、世界は対立と分裂の傾向を強めている。

欧州は難民・移民をめぐり右翼勢力が台頭し、アメリカでは反移民のトランプが圧倒的支持を集め、世界各地で暴言を吐くトランプ型候補が勝利している。中国覇権主義や北朝鮮王朝型個人独裁政権、トルコのイスラム型独裁政権、ロシアの民族政権など、独裁政権が世界に拡大している。またイスラムの宗派対立も激化している。

中国経済の破たんで資源輸出国=発展途上国も未曾有の不況となり、中東は内戦と宗派争いで戦場となり、オイルマネーの還流を狙いとした中東の武器市場化が進んだ。世界の分裂と対立は商品としての武器市場を拡大し、武器商人が笑いが止まらない時代となった。

温暖化による大規模自然災害は2015年の数字で198件発生し、約9000人が死亡し、約50万人が家を失った。自然災害と格差社会の広がりが、世界の人民の貧困化を促し、大規模なシリア難民なども膨れ上がるばかりだ。大衆の不満は高まり、大衆受けする法螺吹き政治家が増える事となった。

世界の指導者であるはずのアメリカの大統領は、空虚な「核廃絶」に酔いしれ、初の広島訪問で政治的レガシー(遺産)つくりに熱中している。アメリカの大統領が非介入主義を表明し、アメリカの政治が内向きとなって、世界は分裂と対立と混迷へと突き進んでいる。

情勢はかってのナチスのような独裁政権が軍事的暴走をしかねない政治局面を生みだしている。日本はもはやアメリカに国家の安全を従属・依存することは不可能な局面を迎えている。日本は対米自立し中国覇権主義の侵略への備えを進めるべきであり、自分の国は自分の力で防衛するほか道がないことを知るべきである。いつまでも憲法9条の法的観念論で国家が守れると考える幻想を捨てなければならない。

アメリカの介入で混乱するブラジルの政治危機!

リオデジャネイロ・オリンピックを前にブラジルが揺れている。対立しているのは白人富裕層を中心とする旧支配層と非白人の左派政権の対立だ。海底油田の収入を国営石油う会社「ペトロブラス」に全て管理させて、その収入を貧困層の支援に使う左派政権に白人富裕層がアメリカの支援を受けて反対し、大統領の弾劾を仕掛けているのである。

白人富裕層を中心とする旧支配層の後ろにいるのはブラジルの巨大な石油資源の権益を狙うアメリカである。エドワード・スノーデン元CIA職員によるとルセフ大統領と国営石油う会社「ペトロブラス」に対する盗聴活動が大規模に行われている。ブラジルの石油資源から締め出されたアメリカの多国籍企業群がブラジルを再び親米国にしようと旧支配層の白人富裕層に働きかけて、ブラジルはオリンピックを前に大混乱となった。

さらに事態を深刻化させているのは麻薬カルテルと治安機関の対立が激化していることである。ブラジルでは殺人が2014年で年間約6万人が殺害された。このうち黒人など非白人層が犠牲者の8割を占めている。治安部隊は白人支配層が握っており、麻薬組織と治安部隊の対立を利用して、旧支配層が暗躍しているようである。

ブラジルは左派政権が13年も続いているのに治安機関を変えることができなかった。無実のルセフ大統領が贈収賄の証拠もなく、不当に弾劾されようとしている。その背後にいるのはブラジルの巨大な石油資源を狙うアメリカの企業群である。ブラジルで左派政権が続く限り旧支配層とアメリカ企業の利権の回復は有り得ない。そこで陰謀で左派政権を追い落としにかけようとしている。

こうしてオリンピックを前に、大政治的混乱がブラジルを巻き込んでいるのである。しかもこれに麻薬戦争まで加わり、白人旧支配層と黒人など多人種派の左派政権の壮烈な対立が激化している。アメリカのブラジルにおける利権の回復がなるのか、その陰謀の結果が注目される。

打倒習近平の江沢民派にパナマ文書の援軍!

「ハエもトラも退治する」とは反腐敗を掲げて敵対する長老たちの勢力を追い落とし、絶対的権力を握ろうとする習近平のスローガンである。ところが公開されたパナマ文書に習近平の姉の夫の名が出て、1500億円の隠し資産があることが明らかとなった。「ハエもトラも退治する」と叫んでいた幹部が、実はトラであったのだから、習近平は今パナマ文書で最も怯えている指導者であるのは間違いないことだ。

習近平は江沢民派の幹部を反腐敗で追い落としてから、反対派の暗殺に震える日々を送っている。天津の大爆発は反対派の陰謀であったというのが今や当然のように理解されている。習近平は暗殺を恐れて地方視察もできな事態となっており、この事態を打破するために地方幹部に「習近平総書記を核心と呼ぶ運動」を起こさせて「踏み絵」を踏ませるなど孤立をさけるために躍起となった。

習近平はパナマ文書について報じた共産党系の社説まで削除し、パナマ文書の情報を全て封鎖することに躍起となった。この情報封鎖が江沢民が国家の金を不正に隠匿していることが事実であることの馬脚をあらわしたものと理解されている。習近平を追い落とすために死力を尽くしている江沢民派にとっては「パナマ文書」はまさに「追い風」「神風」と言えるものである。

中国の走資派指導部たちは国有企業の利益を自分に上納させる特権を持っている。これを利権の「利益輸送」という。中国の幹部たちのタックスヘイブンにおける目的は節税ではなく資産の海外隠匿・資金洗浄が目的と見てよい。月刊誌「選択」5月号によれば「黒いカネ」を「白いカネ」に交換する代理人の事を「白い手袋」と中国では言うらしい。この「白い手袋」が習近平の場合は姉の夫であった。

主要幹部の内でパナマ文書に名前の出ないのは李克強首相だけであるので、党内の主導権が李克強に移りつつあるといわれる。夏の党長老や最高幹部たちの会議「北載河会議」が習近平の追い落としの決選になる、と見られており、既に党長老の大部分が反習近平で結束しているといわれ、党中央宣伝部(=江沢民派)がこれら長老たちの宣伝を行っているようだ。

自分が掲げた「ハエもトラも退治する」スローガンが、まさか自分への攻撃のスローガンになるとは習近平には思いもよらない事態となった。中国走資派指導部内の対立の場となる夏の「北載河会議」の動向が注目される。

打つ手なしの崖っぷちの韓国経済の深刻度!

技術の日本、人件費安の中国の狭間で、韓国経済が「断末魔」とも表現される深刻な状況になっている。韓国経済は中国への依存度を強めたため、チャイナショックの影響は日本の比ではない。
海運・造船・鉄鋼・電子機器・機械等が中国だけでなく、新興国経済の後退を受けて韓国の全企業の4割がソンビ企業と言われるほどの無残な状況となっている。パク・クネはロケット技術で北朝鮮の後塵を拝し、ジェット戦闘機の開発をアメリカからの基幹技術の供与をあてに約18兆円のプロゼクトで航空機産業の育成をもくろんだが、アメリカ政府にはねつけられた。

4月の韓国の40歳代の就業者が5万2000人も減少したのは、各産業で「構造調整」=リストラが始まったことを示している。パク・クネ大統領は今年1月に「経済の非常事態」を宣言したがその後の韓国経済は工場を中国からベトナムにシフトするほかは目立った成果はない。サムスンが6000人、銀行が2800人のリストラなど、空前の首切り旋風が吹き荒れている。

日本には1600兆円の個人金融資産があるが、韓国は国民全体が浪費体質で、15年末の家計の借金が123兆円に達し、失業を貯金でしのぐこともできない。全産業の4割のゾンビ企業が8万人のリストラをすれば、韓国は政治的にも大混乱となる可能性がある。

韓国は技術のパクリ体質のため、研究費が投入できず、産業の高付加価値分野へのシフトに成功していない。各産業分野のすべてで研究開発を行うのは無理で、しかも対中国に依存し過ぎてチャイナリスクをもろにかぶり、その上北朝鮮の開発特区の閉鎖もあり、韓国経済は四面楚歌の状況にある。

パク・クネは反日をやり過ぎて日本企業から技術をパクルことも難しくなっている。このままだと来年の韓国大統領選は、国民の反発・怒りを代表したアメリカのトランプのような人物が登場する可能性が高い。日本からの高度な部品に依存しながら、それを忘れ反日をやり過ぎ、韓国経済にとって日本との経済関係の重要性を忘れた付けが、いま韓国経済を追いつめていることを指摘しなければならない。

経済が破産状態の韓国は、やり過ぎた反日の付けで、日本政府=安倍右翼政権に膝を屈し、救済を求めることもしにくい(=支持率が下がる)のである。経済危機が政治危機に発展する可能性に注目しなければならない。

醜い官僚独裁を民主化できずに孤立する中国!

今中国の世界での振る舞いが至るところで摩擦を起こしている。南シナ海で岩礁を埋め立て軍事拠点にする。フィりピンやベトナムに対する砲艦外交。尖閣諸島の周辺で(日本の領海で)の侵犯を繰り返す中国の巡視船。世界中で領海を犯す略奪的漁業。世界中で、モラルを持たないためひんしゅくを買う中国人観光客。

外国企業の本国への送金の停止。株式市場の官僚的凍結。人権弁護士の逮捕投獄。中国市民を助けようとする外国NGOへの弾圧。習近平に批判的な香港書店主らの拉致・逮捕。チベットや新疆ウイグルでの強権的民族浄化。産業の過剰生産によるダンピング輸出で世界経済を揺さぶる行為、など世界の大国では考えられない強権的政治。

4中全会が謳った「中国の特色ある社会主義」とは、官僚独裁の統制経済であり、決して市場経済ではないことを、今では世界中が認識するようになった。世界第2位の経済大国が「ルールを守らない国」としてみられ、技術やデザインのパクリを恥じらいもなく繰り返す。

官僚の宣伝機関であるマスコミは「抗日」「反日」を繰り返すが、世界は日本を秩序ある国として尊敬しているが、中国は今や世界中から軽蔑される国家となった。習近平は2014年の4中全会で「法治」を約60回も使用したが、彼の言う「法治」とは民主主義の事ではなく、その正反対の官僚独裁の事なのだ。

中国走資派指導部が実権を握って以後、中国は社会帝国主義に変質し、覇権主義の野心を燃やすようになった。覇権主義の中国は今や全世界人民と国家の打倒対象となった。習近平の「中国の夢」とは、第1に軍事強国を建設する。第2段階でアジアの覇権を握る。第3段階で経済・軍事面でアメリカに追いつく。第4段階で米・中の2G体制で世界を分割支配する。第5段階で中国がアメリカに代わり世界の覇権を握る、というものである。

しかしその夢も、独裁政治の汚さに世界中から非難され、民主化を求められて、いまや世界の孤児となりつつある。経済は破綻に直面し、官僚統制が万能と考える中国走資派指導部は、愚かにも全ての危機を統制・独裁で押しとどめられると考えている。

「中国の特色ある社会主義」とは、すなわち独善的官僚支配に他ならず。それでは民主主義の国家を追い越すことなどできないし、それは強そうでいて、実は脆弱性を持っている。内的脆弱性ゆえに中国覇権主義は世界で抜きんでた凶暴性を持っているのである。このことを世界の指導者が認識することが重要な局面が生まれていることを指摘しなければならない。

オバマの広島訪問の目的は政治的遺産作り!

かってオバマ大統領はプラハ演説で「核兵器を使用したことがある唯一の核保有国として、アメリカは行動する道義的な責任がある。」と語って、ロシアとの間で核削減を進めた。しかしこれもウクライナ問題でロシアとの関係が悪化し、核削減は道半ばで挫折した。

しかし重要なのはトランプ候補のアジアから引き揚げるかの発言や、日本や韓国の核武装を容認するかの発言があること、アジアで中国の拡張主義的動きが激化している中で、アメリカは日米同盟の強化を図らねばならないが、今のアメリカは金がない。そこで大統領の初の広島訪問で日米同盟を強化し、世界に見せつける必要がある。

AP通信は「オバマ氏は原爆犠牲者に敬意を表するために広島に行く」と報じ、ホワイトハウス高官は「原爆投下の決断については振り返ることはしない」として謝罪外交ではないことを指摘している。核廃絶はオバマの政治的遺産であり、大統領としての最後の仕事として広島で核廃絶への呼びかけを行うことで自分の大統領としての政治的遺産を残すことに主要な狙いがある。

トランプ候補の同盟国への高負担を求める発言は、日本を自立へと向かわせるので、日米同盟(=支配従属同盟)を寄りかためるためにオバマは広島に行くのである。日本の歴史認識を問題にしてきた中国・韓国がいずれもこの報道で「日本が加害国ではなく、被害国」を装うかの懸念や「間違ったメッセージ」を与えると報道していることが象徴的である。

歴史的問題で言えば、アメリカと日本の戦争はどちらから見ても、帝国主義同士の植民地をめぐる(強盗同士の)不正義の戦争であり、日本と中国との戦争は日本の侵略戦争であり、オバマの広島訪問が日本を加害国から被害国に変えるという性質の問題ではない。

日本は占領軍の戦後改革で軍国主義の階級的基盤を解体された。地主階級は土地改革でなくなり、財閥は解体され、日本は民主国家として生まれ変わった。中国政府や韓国政府は日本が今も軍国主義で侵略国家であるかの報道を行い、自分たちの軍国主義を覆い隠し、強請りたかり外交を行っている。

アメリカが国際法違反の非道な原爆を広島と長崎に投下した歴史的事実は、たとえ帝国主義同士の戦争であっても道義的責任は逃れようがない。アメリカの核政策は、自分は保持するが他国には持たせない、というものである。オバマが真に核廃絶を言うなら、核を唯一使用したアメリカが、まず率先して核兵器を全廃すべきであり、それなしの「核廃絶」は欺瞞的なものでしか無いのである。

「軍=情報複合体」を形成したアメリカの政治!

現在闘われているアメリカ大統領候補の各陣営は軍事とサイバーの分野の人材が安保政策を担当していると言う。共和党のトランプ候補の陣営はキース・ケロッグ陸軍中将(退役)や元国防省高官のジョウジー・シュミッツらが担う。ケロッグは軍事技術会社「CACIインターナショナル」の上級副社長だという。この会社は戦場における情報収集・指揮系統の防衛」と言った軍事サービスを提供している。

民主党のクリントン陣営も「影の国家安全保障会議」を築いており、民主党政権下の外交安全保障担当の実務家をそろえている。ジェイク・サリバンはクリントンの国務長官時代の部下で頭の回転が図抜けていると言われる。ローラ・ローゼンバーガー、トム・ドロニン(元部下・次席補佐官)、カート・キャンベル(元国務次官補)、レオン・パネッタ(元国防長官)らがいる。このクリントンの頭脳の下に数百人の安保・外交専門家が日夜政策メモを作っているという。

以前のアメリカは「産軍複合体」と呼ばれていたが、現在では「軍=情報複合体」(または軍=インターネット複合体」と呼ばれており、いまやこの組織がワシントンの最深部で外交や通商政策を作成していると言われている。世界中の膨大なインターネット・データを監視しするというこのアメリカの情報支配がアメリカの覇権を維持していると言える。アメリカには機密情報関連企業の職員が今や百万人いるのである。

フランスやドイツもこうした諜報機関や人材を持っているとはいえ、アメリカのように民間の軍事・情報会社がいくつもあるというわけではない。つまりアメリカを「軍=情報複合体」として見れば、まだ世界の一極支配が存続していると言える。

スイスやケイマン諸島などのタックスヘイブン(=租税回避地)を潰し、自国内のタックスヘイブンへ世界の有休貨幣を集約し、ドル支配を継続しょうとしているのを膨大な情報収集で支えているのがアメリカの「軍=情報複合体」なのである。

アメリカ共和党の大統領候補にトランプがなり、クリントンとの本選でもトランプの優位が確実視される中でトランプ陣営は「軍=情報複合体」の人材を再構成する可能性が強い。男性層と若者の支持率が低い、さらには私的メールアドレス問題という弱点を持つクリントン陣営は、本選で苦戦が予想される。日本政府はトランプ政権への備えを進めた方が良い。

トランプは日本等の同盟国に高負担を求めてくるアメリカ重視・アメリカ優先の政治なので、日本は「対米自立」で自分の国の防衛は自分の力で行う決意を固めるべき好機である。

核開発と経済発展の「並進路線」掲げた金王朝!

朝鮮労働党機関紙によると第7回朝鮮労働党大会は、金第一書記を党の「最高位」と位置付け、事業総括通り、核開発と経済改革を同時に進める「並進路線」を「恒久的に堅持」し「自衛的な核武力を質、量的に強化していく」ことを明らかにした。

核開発を進めるなら、国連の経済制裁が強化され、経済建設で人民の生活を向上させることは難しくなるのは明らかだが、北朝鮮の最高指導者はこの「並進路線」が矛盾に満ちていることが理解できていない。分かりやすく言えば「2兎を追うものは1兎をも得ず」と言う諺が理解できていない。

アメリカと中国が朝鮮半島の現状固定化を希望しているから、いかに愚劣な政権でも存続出来ていることが分かっておらず、核の力で政権が存続出来ていると信じ切っているのである。中国の影響下にあることを拒否した北朝鮮は、アメリカが現状維持政策であることを信じておらず、中国がアメリカとの緩衝地帯として半島の現状維持政策であることも信じていない。大国のはざまで生かされているのに、核開発で経済的に疲弊し、金王朝の存在基盤を弱体化している様は墓穴を掘るに似ている。

金第一書記は、アメリカに対し、制裁を中止し、敵対政策を撤回するよう要求し、朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に転換し、在韓米軍を撤収するよう要求している。これはアメリカ大統領選で有力候補のトランプが、日本と韓国の駐留米軍を撤兵することをちらつからせて、米軍費用の負担の増額を要求していることを考慮したものと見える。

また金第一書記がエネルギー問題を解決するため「原子力発電所の建設推進」と「原油を始め重要資源の積極的開発」を語ったのは制裁がこたえている反映である。しかし北朝鮮には原発や油田開発の資金も技術もないのである。ミサイル開発や核開発は多額の資金がいるので「並進路線」は成功するわけがない。

世界中から150人もマスコミ関係者を入国させながら、党大会を公開できなかったところに北朝鮮の体制的脆弱性が表れている。元々北朝鮮は中国のような1党支配ではない、金王朝の個人独裁の奴隷制国家であるので、民主主義をまねることは出来ない。マスコミに公開すればするほどぼろが出るのである。

36年ぶりの党大会で金正恩最高指導者の権威付けを行うこと以外の目的は今のところ見いだせない。

亡国の政府雇用助成金制度!

日本には企業に対する手厚い助成金制度がある。私の知り合いの方が事業を起こし5人の従業員を新たに雇用したら、政府から助成金が年300万円3年間支給されたという。

本来ケアを事業目的にする訪問介護や病院などでいじめが多く、退職に追い込まれる看護士が多いのは、経営者が自己退職に追い込み、新たに人を雇うことで多額の政府助成金を獲得しょうとしているのである。

雇用調整助成金の予算(概算要求)は平成25年度で1950億円で、他に労働移動支援助成金がある。安倍政権が新たに何十万人の雇用が生まれた、という綺麗ごとの背後に、同数の嫌がらせによる退職強要があることを忘れてはいけない。

ある訪問看護の経営者は、訪問看護の患者数に比べ、雇用している看護師の数が多い会社もある。次々雇用し、その後パートなど非正規にに切り替えて多額の助成金を手にしているのである。雇用を新たに増やしても非正規なら出来高賃金なので負担よりも助成金が多いのである。

大学の講師が次々解雇されたり、病院の看護士が次々嫌がらせで退職に追い込まれる背後には政府の助成金制度があることを指摘しなければならない。普通の会社でも嫌がらせで自己退職に追い込む手法が増えている。退職届を書け、書かないと懲戒解雇すると脅す企業が非常に多いのは、動機として政府助成金狙いが隠されているのである。自己退職と懲戒解雇なら助成金は引き続き支給されるからである。

こうして日本社会にパワハラが蔓延する事になる。この大人社会の汚さが、子供の社会に反映して子供のいじめまでもが増加することになる。日本の労働者の中にうつ病患者が増え社会的経費が増加しているのも企業経営者の強欲と、それに答える政府の助成金ばら撒き政治が影響している。結果日本の社会がハラスメント社会になり日々劣化しているのである。まさに亡国の政府助成金制度と言う他ない。
          新世紀ユニオン 執行委員長 角野 守

パナマ文書漏えいはアメリカの金融戦略だ!

月刊誌「選択」5月号によればアメリカこそ最大の租税回避地だという。「選択」の記事によるとワシントンとニューヨークのどちらからも車で2時間で行けるデラウェア州の都市ウイルミントンの「ノース・オレンジ・ストリート1209番地」のビルには世界の28万社以上が本社所在地として届けているという。デラウェア州の優遇税制(法人地方税と個人住民税がない)と守秘規定で莫大な資金が集まっているのである。アメリカにはネバダ・ワイオミング・サウスダコタが租税回避地として知られているという。

アメリカ国内にも租税回避地があるとは知らなかった。アメリカはブッシュ・アバマ政権時にスイスの租税回避地を「守秘を貫くならアメリカで商売をさせない」と攻撃し、スイスに数千億円の「和解金」を支払わせ、スイスの租税回避地を解体したという。自国内のタックスヘイブンに資金を還流させるのが狙いである。

今回のケイマン諸島のパナマ文書が流出したのも自国のタックスヘイブンへの資金の還流を狙ったアメリカの陰謀との見方もある。内部告発サイト「ウィキリ―クス」はパナマ文書について「ジョジ・ソロスと米国際開発局が背後にいる」との見方を発表している。イギリスのNGO「タックス・ジャスティス・ネットワーク」の12年の報告書ではタックスヘイブンの資金は「21兆~31兆ドル」との数字を上げている。世界のGDP約76兆ドルの3分の1が租税回避地(タックスヘイブン)に(何処にも税金を支払わずに)隠匿されていると言うのだから驚きだ。

グル―バル化の中で世界中に有休貨幣が溢れ、それが何処にも税金を支払わず隠匿されていること、アメリカはこの資金でドル支配を行っているのである。ソ連崩壊後アメリカが提唱した強欲の資本主義は、税金ゼロ・守秘義務の米国内のタックスヘイブンに資金を集め、スイスやケイマン諸島のタックスヘイブンを潰し、有休貨幣を自国に還流させるアメリカの金融戦略だったのである。

こうした事実は日本の大新聞やマスコミで報道されることはない。アメリカでも報道されない。大統領選でも取り上げられることはない。それはどの候補もこうしたタックスヘイブンを利用しているからである。こうして世界中の多国籍企業と大金持ちが税金を払わないで多額の資金を隠せるようにして、世界中の有休貨幣を集めるアメリカのやり方は汚いと言うしかない。

「選択」によれば、09年に東京国税局が、アマゾンの日本国内での販売に関して03~05年分について140億円の追徴課税を申し渡した事件で、アマゾン側は「日本にあるのは倉庫であって販売事業ではない」との論理で支払いを拒否、アメリカ政府が出てきてこの追徴は取り消しとなった。つまり多国籍企業はタックスヘイブンを使い、ある時は政治力で課税を逃れているのである。

これでは日本国内で税金を支払っている企業が競争で勝てるわけがない。アメリカ企業が世界市場でのさばるのも理解できる。租税を払わないアメリカ企業はもとより公平な競争条件ではないのである。TPP交渉など馬鹿げている。

覇権主義を覆い隠し始めた中国政府の欺瞞!

周辺国に侵略の牙をむいて、露骨に侵攻の姿勢を見せていた中国が、経済危機の中で外交を転換し始めたように見える。地域覇権主義を隠そうともしなかった中国が、4年前の第2次安倍政権発足いらい一貫して避けてきた日中外相会談を4月末に行った。

中国の王毅外相と岸田外務大臣の会談では、王外相が「日中関係は絶えずぎくしゃくし、度々谷間に陥ってしまったが、。原因は日本側が一番よく分かっているのではないか」「あなた方が誠心誠意を持ってきたのなら我々は歓迎する」と強硬で傲慢な挨拶を行った。

中国外交部の発表によると中国側は日本側に以下の4つの要求をした。(1)歴史を真摯に直視し反省する。(2)中国脅威論・中国経済衰退論をまきちらすな。(3)経済について中国を平等に扱うこと。(4)中国への対抗心を捨て地域の平和に協力すべきだ。

4月29日に日本の超党派議員団と会見した中国の劉雲山政治局常務委員は「我々は覇権を唱えて他国の脅威になるつもりは毛頭ない」とのべた。しかし大軍事力増強や中国の海洋覇権主義は口先では覆い隠せない。

中国覇権主義のこうした言い草はあきれるほかない。尖閣諸島の周辺領海に公船を進入させ、南シナ海で人工島の軍事拠点化を進めているのは中国である。漁船を200隻も小笠原周辺に進入させ赤サンゴを乱獲したのは中国だった。中国が海洋進出と称して、ベトナムやフィリピンの諸島を奪っていることは誰の目のも明らかだ。日本人は誰よりも戦前の日本軍国主義を反省している。戦後中国がチベットや新疆ウイグルやインドやシベリア(現ロシア)やベトナム等を侵略したが、日本は戦後一切侵略していない。日本の戦前の軍国主義を批判することで、自国の侵略を覆い隠そうとしているのは中国の方である。

中国経済が幹部の腐敗が原因で経済が危機になると、昨年夏以来日本企業の本国への送金を停止し、資本の移動を妨害しているのは中国政府である。日本企業に差別的扱いをしておきながら、平等に扱えとか、中国経済衰退論を振りまくな、とは笑わせる。中国への対抗心を捨てよとは、安倍政権がベトナムやフィリピンに巡視船を援助していることが気に食わないのである。

中国経済が崩壊寸前なのも、外交が失敗続きなのも、日本のせいだと言うのは外因論であり、間違いなのである。中国の危機の原因は中国社会帝国主義に中国が変質したことに有る。つまり中国は社会主義から官僚独裁支配の国家資本主義に変質したのが原因である。それを日本のせいと言うのは走資派指導部の逃げ口上であり、間違いなのである。

口先で中国走資派指導部が覇権主義を言い逃れし始めたのは、経済の破綻が深刻化しているからに他ならない。日本に厳しい発言を中国指導部が重ねているのは、近い将来に内的矛盾を外的矛盾に転化する(=軍事侵攻の)ためであることを日本政府関係者は忘れてはいけないことを指摘しなければならない。
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