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オバマの外交はどこかおかしい!

オバマの外交の基本は内政重視の「息継ぎの和平」であり、これは非介入主義と言い換えてもいい。だから中東が内戦・宗派争い・パレスチナの戦乱とドミノ倒しのように戦火が広がってもアメリカが介入する事は無い。

オバマは11月の中間選挙までは経済重視でいくのだと思っていた。ところがロシアへの制裁の強化に欧州を巻き込んでいる。プーチンを怒らせてウクライナが戦乱になればアメリカは見殺しにするしかない。プーチンは明らかにウクライナの親ロシア派の問題は、話し合いで自冶権を認めれば解決する姿勢であった。それをオバマは、わざわざウクライナに「反テロ戦争」を仕掛けさせた。

アメリカがそそのかして欧州にロシア制裁を強めさせる狙いが分からない。経済制裁は世界の貿易を縮小させ、ブーメランのように欧州や中国経済に打撃を与える。ロシアへの経済制裁で打撃を受けるのはロシアだけではないのである。オバマはEUとロシアの経済関係を断ち切りたいのであろうが、それは間違いで、しかもプーチンを追いつめることにもならない。

世界情勢で最も危険な存在は1年に軍艦を50隻以上も生産し、大軍事大国になろうとしている中国拡張主義の存在である。ところがオバマは中国にはとても寛大だ。「アメリカは同盟国間の争いのどちらか一方を支持しない」と言って中国の砲艦外交を放置し、アジアの国々を中国の従属国化することを容認しているように見える。

オバマはナチスの東方への侵攻を容認した当時の英首相チェンバレンの役割を果たしているように見える。その政権の危険性を見るならエネルギー輸出国のロシアより、大軍拡を進める中国拡張主義の方がはるかに危険なのである。

中国は不動産バブルが崩壊し始めており、国民の反腐敗の反乱も拡大している。内的脆弱性が外への凶暴性に転化することをオバマは理解していない。当分の間オバマは海外派兵をする気は無い。それなのにウクライナで内戦を煽るのは明らかに間違いだ。イスラエルのパレスチナ虐殺もオバマは支持している。

オバマの戦略なきお粗末外交で世界は戦争の危機を強めているのである。オバマが「息継ぎの和平」をやるなら徹底するべきで、中途半端な外交は世界に混乱を招くだけなのだ。
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プーチンを欧州の敵に見せかけたいアメリカ!

ウクライナ東部では親ロシア派とウクライナ政府の間で6月20日から停戦が成立していた。これを機にロシアのプーチン大統領はウクライナ国内へのロシア軍派遣を認めた国会の事前承認を取り消し、EUとウクライナ・ロシアの話し合い解決へと舵を切った。

ところがウクライナのポロシェンコ大統領は話し合いの最終局面で停戦を打ち切り、「反テロ作戦」を開始したのである。これは明らかにアメリカの意向を受けてのことである。アメリカの狙いは欧州とロシアの関係を断ち、ウクライナを内戦の泥沼にし、プーチンを窮地に追い込むことに有る。プーチンはこのことを理解している。

プーチンはその直後の演説で、ウクライナのポロシェンコ大統領が「紛争激化に対する責任を自ら負った」「ロシアは国際法の枠内にあり続けながら、ウクライナ及び世界中にいるロシア語系市民の利益を擁護するだろう」とのべ、またアメリカに向けてプーチンは「世界の一極モデルは成立しなかった。西側が、この地球を世界の兵舎に変えようと、他の国ぐにに自分たちの原則を押し付けるのを止めるよう望む」と警告した。

これに対しアメリカ政府は、7月28日、ロシアが中距離核戦力(INF)廃棄条約に違反したとの声明を発表した。1987年に当時のソ連が署名した条約とは射程500~5500キロの核弾頭搭載可能な巡航ミサイルの保有や生産、試験を禁止する条項に違反したというものである。今の時期にこれを発表したのは、「マレーシア旅客機撃墜事件」を受けロシアに難癖を突きつけ、欧州とロシアを戦略的敵対関係に持ち込むことに狙いがある。

アメリカは今後北大西洋条約機構(NATO)としてロシアが条約を守っていないことを口実に欧州に対ロ追加制裁を迫ることで、EUがロシアを経済圏に取り込み、北米自由貿易圏よりも大きな経済的力を持つことを阻止しようとしている。

オバマは世界の紛争に介入しないと言いながら、プーチンを愚弄するかの軍事挑発は、主に欧州に矛先が向けられているのである。世界経済が微妙な時期に対ロシア制裁に踏み切れば世界の貿易が収縮に向かい、プーチンの言うように「ブーメランのように」欧米が経済的打撃を受けることになる。その打撃の規模は欧州の方が何倍も大きい。ロシアがエネルギーを欧州に供給し、ロシアが欧州から機械などを購入する経済関係は、アメリカの戦略的脅威になり得るのである。

また日本がロシアとの戦略的関係を築く方向へと動きつつあることもオバマは阻止したいので、ことさらロシアとの関係をウクライナを内戦の泥沼に巻き込むことで、西側との敵対的関係に持ち込もうとしているのである。

つまりウクライナをめぐるアメリカの反プーチン的挑発は、多極化の流れの中でアメリカの覇権を維持しょうとするオバマの悪あがきと見てよいのである。

日韓関係の改善は現状では難しい!

アメリカのオバマが日韓関係の改善を求めても、韓国側が慰安婦問題で「日本側が具体的な解決策を示すべきだ」と日韓の局長級会議で強硬な姿勢を示している。またパククネの側近の、韓国の駐日大使が「慰安婦問題では「1ミリの譲歩もしない」と語っている姿勢から関係改善は難しい。

日本は慰安婦問題では国交正常化時に個人賠償を含む多額の賠償金を支払い、さらに河野談話時に慰安婦一人500万円を支払って、すでに解決積みと考えているのだから、韓国政府がいかに謝罪と賠償を求めてもこれ以上支払ういわれが無いのである。

パククネ大統領は旅客船「セウォル号」事故で指導力が減退し、引責辞任した首相の次の人事でも2転3転し、あげく引責辞任した前の首相が就任するという呆れた事態もうまれ、パククネ政権は支持率を60%から40%台に低下している。

韓国では支持率の下がった政権が支持率を巻き返すには反日を強める以外の手は無い。パククネが日本の法的責任を明確にする謝罪や、国家予算による慰安婦女性への賠償などを要求している以上、公娼制度が合法で有った時代の売春業であり、性奴隷制度ではではなかったとの立場の安倍が受け入れるわけがない。

解決済みの賠償問題を何回も持ち出す韓国、誘拐した人質で援助金を得ようとする北朝鮮、朝鮮人のパクリ体質は李王朝500年の中国から学んだ強請りたかり体質からきており、しかも今回のパククネの手法は諸外国に日本の性奴隷制度をでっち上げた上での「告げ口外交」という手法をとっている。とても日本政府は認められないのである。

韓国に戦争個人賠償を認めると中国の賠償裁判が続出する可能性もある。パククネのパクリ手法を何度も認めるわけにはいかないのである。日本を必要としているのは韓国であり、韓国の企業が日本の部品等を買わねば製品を作れないことは明らかだ。日本は特別韓国を必要としていないのであるから韓国の中国との反日共闘に屈する必要はないのである。

すでに韓国は中国に取り込まれており、米日韓の軍事同盟はすでに崩壊している。韓国の最大の貿易相手国は中国であるが、韓国は日本の技術なしには立ちいかない。中国にはパクルべき技術が無いのが韓国の弱点であり、日本は竹島を奪った相手に何度も謝罪するわけにはいかないのである。

アジアで誰が富国強兵を進めているのか?

日清戦争開戦120年にあたる7月25日、中国の各紙は「歴史を鏡に警笛を鳴らそう」などと主張する社説を掲載した。国営通信の新華社は「侵略の歴史」に絡め安倍政権の集団的自衛権容認への警戒を呼び掛けた。それによれば日清戦争時の情勢が、安倍政権の「積極的平和主義」による富国強兵政策が120年前を彷彿とさせる、というのである。

中国走資派指導部はあたかも今も戦前の日本軍国主義政権が続いているかの宣伝を行っている。その点では韓国の間違った歴史認識と同じで、単に戦前の日本軍国主義の蛮行を利用して、現代の日本を貶めているのである。これは自国の国民をだまし、自国の富国強兵の政策を覆い隠し、海軍力の増強を正当化する為のものである。

現代の日本は、アメリカ占領軍の戦後改革で、軍国主義の基盤を徹底的に解体された。財閥は解体され、地主階級は農地改革で消滅した。労働組合の合法化など民主化も進めた。靖国神社は国家神道で無くなり、普通の神社になった。何より天皇制度は形骸化され、象徴天皇となった。こうした民主的日本になったから、毛沢東は日本人民も日本軍国主義の犠牲者であるとして、戦争賠償の請求権を放棄し、その事は田中と周恩来の間で結ばれた日中共同声明に書き込まれた。

日ごろ歴史認識を口にし、歴史を尊重せよと繰り返す中国走資派指導部こそが、その実際の歴史を学ぶべきであろう。日清戦争を都合よく解釈し中国海軍を1年で50隻以上の軍艦を連続して建造して、かってのナチスの大艦隊以上の大軍拡を正当化しようとしているのである。

中国走資派指導部が日清戦争の教訓を学ぶべきは、清の北洋艦隊が明治の日本海軍に惨敗した真の理由をこそ掘り下げるべきであった。当時の清朝政権は腐敗していたからこそ近代日本に負けたのである。つまり国家財産を横領する中国走資派指導部が、腐敗を取り除けない以上、いかに海軍力を増強しても、ふたたび日清戦争の二の舞になるほかない、ということだ。

ただし中国走資派指導部が闘う相手は、日本を支配しているアメリカ軍であることを指摘しておくべきであろう。安倍首相は親米派であり、集団的自衛権の容認はアメリカの要請である事を中国指導部は見ようとしないのである。日本をGDPで追い越したと言っても、国民一人当たりでの経済力は日本の10分の1以下なのである。しかも中国経済は外国企業への場所貸し経済であることを彼らは都合よく忘れている。

アメリカが1党支配の中国共産党政権を、いつまでもその存在を許すとでも思っている、と思うなら、おめでたいと言うしかない。

米のウクライナ政策はEUとロシアの分断が狙い!

世界の紛争に介入しないと宣言したオバマが、何故かウクライナには積極的だ。ウクライナの反政府勢力に資金援助し、武装クーデターをやらせた。当然ロシアが黙っていない。クリミア半島とウクライナの東部への影響力を行使する。ウクライナが対ロシア攻撃の拠点になりかねないのだから当然である。

ウクライナのクーデター政権の「政府軍」は、アメリカの傭兵会社の私兵と米特殊部隊だと言われている。今回のマ―レシア機撃墜もわざと誤射するように演出した可能性が強い。アメリカにはそれをやる力も動機もある。

統一欧州と資源供給国のロシアが経済的結び付きを強めれば、EUはアメリカの「北米経済圏」を上回る経済規模になる。欧州を対ロシア経済制裁に引き込みEUとロシアの間を分断したい、というのがアメリカの戦略的狙いである。フランスのロシアへの上陸強襲艦売却も阻止したい。その為にウクライナを内戦状態にする必要があった。

オバマには、日本の安倍政権がロシアとの関係改善に進むのも阻止したいという狙いもある。だからオバマはロシアへの制裁を強化しているのである。ロシアとの経済関係を強めたい欧州が対ロ制裁に進むようオランダ人が多く搭乗したマ―レシア機を標的にしたのである。

世界中の旅客機撃墜の多くにアメリカが絡んでいる事実を忘れてはいけない。問題はロシアのプーチンが難題を背負わせられている事だ。ウクライナの親ロシア勢力を見捨てればプーチンの支持率は急落する。欧州との関係も断ちたくない。アメリカは欧州がロシアから天然ガスを買うことも阻止したいのである。ロシアとEUの経済関係をみると、欧州が支払う天然ガスの代金はロシアを支払い能力ある市場にする。

欧州とロシアの経済圏の強化は、アメリカの世界覇権を奪う力に成長するかもしれない。この恐怖がアメリカの中国政府への弱腰外交となっているのである。本来のアメリカなら共産党の一党支配を覆すのが戦略的課題で有るのだが、それさえも放棄するオバマ外交が、混迷するアメリカ外交の姿をさらしている。

こうして見るとTPPに消極的なオバマが、何故かウクライナに固執し、対ロシア制裁を強化する戦略的動機が存在するのである。ドイツやフランスはアメリカの戦略的狙いを見て取るであろうから、オバマの陰謀は成功しないであろう。

安倍首相は米国内の支持率の低いオバマ政権の、対ロシア孤立化戦略に加担せず。北方領土の解決に全力を傾注するのが正しい態度なのである。

軍事力の行使がたやすく行える情勢になった!

覇権国のアメリカが「息継ぎの和平」に戦略転換したことが、世界中で戦争・内戦・紛争の起きる原因である。ウクライナの野党ににアメリカが資金援助し、武装クーデタ―をやらせたことが、ロシアのクリミヤ半島併合の機会を与えた。

ウクライナ東部の新ロシア派と「ウクライナ政府軍」=アメリカの傭兵との争いは、ウクライナを反ロシア勢力の拠点にするかどうかの米・露の争いである。アメリカは得意の偽装空爆で旅客機まで撃墜させた。

イラクは宗派争いが激化し国土分割もありえる内戦状態となった。シリアは以前から内戦状態だし、イスラエルとハマスの軍事衝突も、イスラエル軍のガザのパレスチナ人民への無差別空爆から地上軍投入でパレスチナは大量殺戮の様相を呈している。

リビアは欧米によるカダフィ暗殺で事実上武装勢力の割拠する内戦状態となっている。経済危機でアメリカも欧州諸国も軍事力の大幅削減を行っている。こうした状況を好機として中国覇権主義が大規模な軍事力の増強にまい進し、周辺諸国を砲艦外交で恫喝し、南シナ海と東シナ海を自己の管轄海域として奪い取ろうとしている。

アフリカはイスラム勢力が拡大し、部族間の内戦も拡大している。中南米は深刻な経済危機に直面し、階級矛盾は激化している。世界が軍事力による国境線の変更の時代に突入した事は疑いないことである。

「憲法9条は日本の宝」という、非武装で平和が守れるというおめでたい観念的平和主義が、現状の世界情勢の下では「亡国路線」であることは間違いないことである。アメリカのオバマは中間選挙があるので現状は経済重視の非介入主義を続けるであろうが、その事が世界を軍事力がモノ言う世界に変えていることを噛みしめるべきである。

中国経済がバブル崩壊の様相を強めつつある。つまりは経済危機から政治危機に向かう中で、中国拡張主義の対日開戦の時期が迫りつつあることを見て取るべきである。日本はアメリカが戦略転換している下では、自分の力で国土と国民を守るほかない。

戦争は相手国がそれを求めている以上、自国だけが観念的に平和を求めてもそれは叶わぬ夢である。ウクライナや中東の人民が否応なく無慈悲な戦争に巻き込まれているのを見ても、日本は民族の存亡の時に直面しているのである。アメリカに頼るのではなく対米自立で、自分の防衛力で侵略に対処しなければならないことを知るべきである。

中国経済のバブル崩壊は戦争の危機に直結する!

鉄鋼などの過剰な生産設備、地方政府の財政破綻、30%も価格低下した不動産、シャドーバンキングの破綻の危機。上がり続ける労働賃金これが中国経済の深刻な現状だ。アメリカのメデアが「中国経済は歴史的破綻の淵に」と報じたとのニュースが中国バブル崩壊が近いことを示している。中国や香港の不動産投資家が不動産を売り始めたとのニュースも目立つようになった。中国走資派指導部の幹部が横領した資産を海外に移し始めた、との報道も目につく。

アメリカの金融緩和が中国からの資金の引き上げにつながるのか、アメリカ企業や日本企業が中国からの撤退の動きと取れる動きが目立つ。北京での今年の不動産販売件数は前年同期比で8割も減少している。日本企業の中国への直接投資実行額が、前年比47.2%も減少している。中国の人件費上昇に伴い日本企業の中国ばなれが急速に進み始めたようだ。

世界の経済学者の多くが、中国経済が長期不況に入ったと見てとり始めたようだ。このような中で中国の経済路線の最高指導部「中央財経領導小組」の組長に習近平が就任した。これまでは首相が就任していたポストである。中国は部品素材産業の強化と高付加価値産業育成を進めて危機を乗り切ろうとしている。

欧州が日本と同じデフレ経済に陥り、アメリカ経済も本格的回復とは言えない。アベノミクスも消費税増税後勢いを失いつつある。もし中国経済がバブル崩壊となると、中国経済に深入りしている韓国は深刻な打撃を受けるであろう。日本も中・韓の経済破綻の影響を受けかねない。

中国経済の破綻は、中国国内の階級対立を深刻化し、人民の反腐敗の暴動に火がつく可能性がある。そうなると中国走資派指導部が尖閣諸島を口実に対日戦争を開始する可能性が強いことを見ておくべきであろう。現在の習近平政権は軍内の対日強硬派を基盤にしているので、中国経済の危機は即政治危機・戦争の危機に転化するのである。

その日の為に中国走資派指導部は反日世論を炊きつけてきたのであり、しかもアメリカが「同盟国の一方には支持しない」「同盟国の争いに巻き込まれたくない」(オバマ)と語っている以上、日本は単独で祖国防衛の戦争に直面しかねない。今重要なのは集団的自衛権でアメリカの「番犬国家」になることではなく、自分の防衛力で祖国を守る決意を固め、直ちに軍事的準備をすることである。

中国の新大国関係はオバマの戦略転換を睨んだ一時的なもの!

と小平の「改革開放」の市場経済化は、中国を資源多消費型の経済に変えた。沿海部を中心とした外国企業の誘致は、外国企業の場所貸し経済を発展させた。内陸部の経済特区がゴーストタウンとなっているのを見れば中国経済の成長はすでに壁に直面している。

習近平は、アメリカも欧州も不況に陥ったことから大型の公共事業の人為的市場創出策で切り抜けようと大規模な軍備=海軍艦船などを一度に数十隻も建造している。海外に資源を依存する中国経済は海洋覇権の道を進みつつあるといえる。これはいずれアメリカの覇権とぶつかることになる。

アメリカのオバマ政権が「息継ぎの和平」に戦略転換し、軍事力削減で財政を再建する内政重視を続けざるを得ないのであるから、これを見て中国は「中米の新大国間係」を盛んに強調するようになった。その目的はアメリカに対抗する軍事力を整備する時間的余裕を得るためである。

ユーゴスラビア解体の実験から、旧ソ連の解体、そして残る中国の一党支配の解体はアメリカの長期的戦略課題なのである。しかし反テロ戦争があまりにもアメリカ経済と社会を疲弊させた。内政重視にアメリカが転換し、世界の動乱に介入できない今が中国覇権主義の軍事的巨大化の時間的好機なのである。

中国の弱点は人民の反腐敗の闘いに直面していることである。走資派指導部が国家と全人民の財産を横領している以上、人民の造反に恐れに慄くことになる。走資派指導部は国民の目を外にそらすために「反日」を煽り、日本軍国主義の戦争の脅威を煽って、内的矛盾を外的矛盾にすり替えることが、彼らの保身のための「戦略」なのである。

アメリカの隙をついて、中国走資派指導部はアジアの各国を武力による支配従属関係に取り込もうとしている。中央アジア諸国を自己の市場に取り込む布石も勧めている。軍が中国経済の三~四割も工場を握っている以上、解放軍は軍拡と同時に軍閥化が進んでいるのである。加えて中華思想が人民の大国意識と結びついて、大拡張主義となって暴走しようとしている。その最初の標的はかって中国を侵略した日本が最適なのである。

アメリカが「息継ぎの和平」で力を回復すれば、米中の覇権争いが火を吹く事は避けられない。アメリカが日米同盟を重視するのは、将来の中国を睨んでいるにすぎない。つまり現在の中米の「新しい大国関係」とは相方が相手を倒すための「癒し」(アメリカ)と「準備」の為の一時的関係なのである。

日本は対米自立し、近い将来の米・中の対立に巻き込まれないようにし、自分の力で自国を守れるように防衛力を強化しなければならない。

極東情勢の流動化で誰が得をするのか?

韓国のパククネ政権の、従軍慰安婦などの反日外交は日本国民の中に強烈な嫌韓感情を巻き起こしている。あれだけ韓流ドラマに夢中になった日本の女性達が確実に韓国嫌いになっているのは驚くほどである。

実は韓国国民の中に現在反米機運がかってないほどに盛り上がっている。その背景に有るのは在韓米軍兵士による窃盗やセクハラ事件が増えている事だ。2007年から5年間で米軍兵士2000人が摘発されている。だが拘束されたのはわずか4人に過ぎない。日本と同じ地位協定があるからだ。韓国政府は基地周辺に「安全地帯」を設置する計画を進めている。

アメリカ政府が安倍首相の集団的自衛権行使容認への動きを歓迎したことが、韓国では「深刻な対米不信」が広がっているという。韓国のマスコミは「アメリカの背信」という言葉まで使っているという。集団的自衛権は韓国の防衛に有益と思えるのだが、不思議な事に今や韓国国民の同盟者は中国なのである。

アメリカと韓国の間には2015年末に「戦時作戦統制権」を韓国軍に返還する問題がある。韓国は延期を求めているが、アメリカは延期の代償としてミサイル防衛(MD)への参加を韓国政府に要求している。韓国政府のパククネは現在中国の{妾}のような存在で、習近平の怒りを恐れてミサイル防衛への参加を先送りしている。米日はパククネに「振られた」形になっている。

パククネの中国へのすり寄りと、反米反日が極東情勢を激変させた。中国と韓国の蜜月に腹を立てた北朝鮮は、自国の中国系人脈を多数処刑し、「隣国(中国)は悪い国」と呼び始め、日本との関係改善に踏み出した。韓国がアメリカが提供したパトリオットミサイルを中国に提供して、結果中国海軍のイージス艦の性能が向上したことでアメリカは激怒している。

こうして極東情勢は流動化し、米・日・韓の軍事同盟は半ば崩壊しつつある。この情勢変化で韓国の防衛が危機に有ると思えるのだが、パククネは中国の力を強く読み過ぎて、その危険さえ理解していないように見える。

北朝鮮が南に軍事侵攻した場合、非介入主義のオバマが韓国を守るであろうか?日本が反日のパククネを守るであろうか?はなはだ疑問である。パククネに言わせれば中国が韓国を守ってくれると思っているのであろうが、支配従属関係を認めパククネが習近平に膝を屈する事ができるのであろうか?

自国を大国と誤認している韓国が、客船沈没で実は発展途上国であったことを認識したなら、中国の経済大国が実は外国企業の場所貸し経済に過ぎないことをも、自覚すべきである。アメリカの「息継ぎの和平」への戦略転換が生み出した極東の流動化が戦争まで進むのか?全ては中国覇権主義の腹一つなのである。

世界情勢が教える国防の法則!

世界には国家を持てない民族がある。パレスチナ人は国家も軍隊もないのでイスラエルの無差別空爆にもなすすべもなく、流民化している。クルド族も国家を持たないので絶えず戦乱の犠牲になっている。

経済が崩壊して軍隊が衰退していたウクライナは、欧米の資金援助で親欧米派がクーデターに成功したが、ロシアにクリミア半島を奪われた。軍事力で国境線の変更が進み始めたのである。

東南アジアのベトナムやフィリピンは軍事大国の中国に大きな領海と領土を奪われた。チベットとウイグルは中国覇権主義の植民地支配の状態で、信教の自由と民族の自決権すら失っている。

日本は戦後70年近くもアメリカの従属国として、アメリカの国債を大量に買わされ搾取を受けてきた。憲法9条は日本に米軍が駐留する為のもので、自衛隊は攻撃兵器を持たされていない。自衛隊のF15は爆弾を搭載できないのである。

日本は長年米軍の為に「基地受け入れ国支援」として米軍基地の莫大な地代以外に「思いやり予算」の名で多額の金を負担させられた。そのアメリカが深刻な財政危機で内政重視に戦略転換し、「同盟国の争いに巻き込まれたくない」(オバマ大統領)と言うまでになった。

日本は集団的自衛権でアメリカの「番犬国家」になっても、中国の侵略からアメリカが日本を守る保証は無いのである。必要なのは対米自立して、自分の国を自分の力で防衛できる軍事力を持つことである。

憲法9条は従属条項であり、それを「日本の宝」とうそぶく連中を私は絶対に信用しない。日本の戦後の平和は、アメリカ軍が支配しているところを侵略する国が無かったからであるに過ぎない。世界情勢が教えているのは、自国の防衛を他国に依存する民族は平和を守れないということである。

アメリカが世界の覇権を握りながらも財政危機で世界の騒乱を抑えられない状況下で、世界はドミノ倒しのように内戦・戦争・動乱に巻き込まれつつある。日本は自立し、小さくとも強力な軍事力を持ち、平和・中立の日本を築かねばならない。「非武装中立で平和を維持する」という観念的平和主義(=9条教)は亡国路線に他ならないのである。

中国走資派指導部の「一国二制度」は支配の為の一時的方便だ!

香港における「一国二制度」の下で認められるはずの「高度な自冶」がなし崩しにされつつある。2017年に実施される行政長官選挙で中国政府が親中派しか立候補できない仕組みを押し付けようとしている事に、香港の民主派人民が反対に立ちあがっている。

7月1日、香港で行われた反中デモには約50万人もの民主派人民が参加した。またこれに先立ち香港行政長官選挙の改革を求める住民投票も有権者の約二割を占める約80万人が投票した。このままでは走資派指導部による民主的な自冶がなし崩しに奪い取られることへの人々の危機感が表れているといえる。

6月10日に中国政府が発表した「一国ニ制度白書」は党中央が香港に対する全面的な管轄権を持つと強調したことが香港人民の不安を一層増大させた。また同白書は裁判官が政府の一部であると主張し、司法の独立を破壊しょうとしていることである。香港に対する走資派指導部の「一国二制度」は、香港の経済を自分達のものにする為の一時的方便であったことは明らかだ。

中国政府は経済大国の中で唯一普通選挙や民主的権利のない独裁国家である。しかも一党支配の中国は人民の走資派指導部に対する国家財産の横領や腐敗に対して、農村で抗議の大衆闘争が巻き起こっている。いまや走資派指導部は香港を例外扱いする余裕もなくなっている。彼らは香港の民主的デモが自分たちの支配下の中国人民に飛び火することを恐れおののいているのである。

中国との「一国二制度」で巨大な中国市場に希望を見出している台湾の統一派ブルジョアにも香港の民主的権利の剥奪が影響する事は避けられない。国家財産を横領し人民の共有財産をかすめ取ることを生きがいにしている中国走資派幹部にとって「一国二制度」は支配の為の一時的方便だったのである。

世界第二位の経済大国が人民の民主的権利を奪いつくす一党独裁を本質とする以上、彼らの「一国二制度」は所詮ごまかしでしかなかったのである。中国には信教の事由も無く、チベット仏教とウイグル族のイスラム教を弾圧する姿は、彼らの反動的本質を示している。彼らが国家神道から普通の神社になった日本の靖国神社参拝に執拗に反対するのは、自分たちの反動的姿を誤魔化すためでしかない。

米の弱腰を浮き彫りにした米中「戦略・経済対話」!

7月9日に始まった米中「戦略・経済対話」で習近平国家主席はアメリカに対し「自らの意志を相手に押し付けるべきではない」「広い太平洋には2つの大国を受け入れる十分な空間がある」として「互いの領土主権を尊重し、対立を避けて歩み寄るべきだ」と呼びかけた。また「両国は協力を強化し、対抗を避けるべきだ」と強調した。

これに対しアメリカのケリー国務長官は「アメリカは、中国を抑え込もうとは絶対に思っていないことを強調する」中国は「国際問題で責任ある役割を発揮するよう」求めた。

中国の楊国務委員は東シナ海と・南シナ海での領土問題で「アメリカ側に客観的かつ公正な立場でどちらの肩も持たないよう」要求し、ケリー国務長官は「アメリカはどちらの肩も持たないが、法に基づいて国際秩序を保つ重要性を強調した」このように米中戦略・経済対話は中国の強硬姿勢・アメリカの弱腰が際立ったものとなった。

米下院のロジャース情報特別委員長(共和党)は10日、ワシントンで講演し中国の南シナ海での石油掘削等の一方的行動を「貪欲で、露骨に攻撃的だ」と強く批判したが、中国との経済関係を優先するオバマ政権が、中国に足下を見透かされ、領土問題で「どちらの肩も持たない」ことを約束したのはオバマ政権の弱腰外交を象徴している。

中国覇権主義の、領土問題での軍事的攻勢を容認する事は、中国とアジア諸国の関係を支配従属関係にすることを容認するに等しい。アメリカは国際法を守れと中国に言うが、国際海洋法条約をアメリカは批准していないのであるから説得力がまるで無いのである。

アメリカが日本を従属国にし、非武装の憲法を押し付けたのは米軍が日本に居座る為であったが、今その事がアジアにおける中国の覇権確立に好都合な環境を形成している。アメリカが内政重視に戦略転換している中では、自衛隊は攻撃兵器を持たない為、中国軍の肥大化と横暴を抑止する軍事力がアジアには無い状態になっている。つまりアジアに戦略的空白が生じているのである。

このことが韓国が中国になびく原因であり、中国の横暴に北朝鮮が怒って離反する原因でもある。北朝鮮は核兵器を保持しているため、中国覇権主義に離反しても国の安全を保てるが、核兵器を保持していないアジアの小国は中国の支配従属関係に組み込まれることになる。オバマ政権がこうした中国覇権主義の横暴を容認している弱腰の下では、日本は対米自立し、国防力を早急に強化しなければならないのである。

中国が隣国の海域・領土を奪い取る口実!

中国が隣国の領土を奪い取る理由は相手により使い分けている。例えば南シナ海では南沙諸島で「中国の古銭や壺が出てきた、何千年の歴史を尊重せよ」というのが中国の主張である。

東シナ海では日本は国際法に基づき中間線を主張しているが、中国は尖閣でも歴史を持ち出し「歴史を尊重せよ」というだけでなく「大陸棚は中国のもの」として沖縄のすぐそばの沖縄トラフまで自分の管轄海域と主張している。最近では沖縄も中国のものであった、との主張をし始めている、その口実は沖縄の王国が過去に中国に朝見していたことを口実にしている。歴史が彼らの口実だが、中国の現政権は戦後生まれたにすぎないのである。

韓国と中国の間の黄海では、韓国は中間線を主張しているが、中国はその国の国境線の長さと、周辺の人口の多さで決めるべきだと主張している。中国の漁船が韓国領海で多数操業しているのは中国政府の強欲な海域の「管轄海域」の論理からきているだけでなく、国防上の理由がある。

中国が黄海のほとんど全部を管轄海域としようとしているのは、アメリカの攻撃型原潜が黄海に進出すると首都の北京が巡航ミサイルの射程に入ることが影響していると見られている。南シナ海は日本のシーレーンであるだけでなく中国の核搭載原潜の安全な活動海域と位置付けている。東シナ海においては沖縄周辺の諸島が地政学的に中国海軍の太平洋への進出を妨げるから、占領を意図しているのである。

こうした中国拡張主義の外交や軍事挑発を見ていると歴史のある大陸国家の狡猾さが出ているだけでなく、アジア第一の経済・軍事大国であることの自信が肥大化している事が横暴な外交の背景に有る。特に日本に対しては尖閣周辺で軍事挑発を繰り返し、安倍政権が危機感から集団的自衛権の解釈変更を行うと、さらにそれを逆手にとって、「日本は再び戦争したがっている」「殺人者の手に再び刀が渡った」と戦前の軍国主義と同一視して宣伝するのである。(中国青年報)

中国走資派指導部内では軍の力が肥大化しており、軍強硬派は対日開戦の検討を始めている。中国の進める内陸部の経済開発特区は文革時の集団化が妨げになり、すべて失敗して「開発特区」は「新鬼城」と呼ばれるゴーストタウンとなっている。経済破綻が人民の蜂起となり指導部が打倒される前に、内的矛盾を外的矛盾にすり替えるのが彼らの大国的保身術なのである。つまり中国拡張主義の凶暴性は内的脆弱性に由来しているのである。

日本は憲法九条を宝と称し、後生大事にし、観念的に平和を希求しても相手が侵略を行う以上戦争は避けられないのである。中国は周辺国にとって主要な敵となっている。日本は自分の国を自分の力で守れる国に急ぎしなければならないのである。中国走資派指導部はアメリカが「息継ぎの平和」に戦略転換している今が軍事的チャンスであることを見抜いている。

ロシア外務省の「行動注視」の見解に注目せよ!

ロシア外務省は安倍政権が集団的自衛権の行使を認める為に憲法解釈を変更したことについて「私達は拙速な評価は下したくない、全ては今後の実践にかかっている」と指摘して安倍首相の「積極的平和主義」を注意深く見守る考えを示した。

また「日本の近隣諸国は、日本が平和的な外交政策を維持し、軍事行動の問題で自制的に対応し、第2次世界大戦の結果を全面的に認め、日本の軍国主義の犯罪を正当化するような試みを看過しないことを期待している」との考えを表明した。このロシア政府の見解は異例であり、日本に好意的である。

中国の習近平は7日盧溝橋で演説し「依然として少数の人が侵略の歴史を否定し、美化し、地域の緊張を引き起こしている。」と日本を批判した。中国メデアは「日本軍国主義復活」への警戒を煽る宣伝を強化しており、人民日報は「侵略の否定から靖国参拝、集団的自衛権の行使容認と平和憲法の空文化まで、現実は我々に警戒を呼び掛けている。日本の右翼勢力が拡大し、軍国主義が復活する危険がある。」と報じた事と、ロシアの集団的自衛権の解釈変更に対する控え目な見解を安倍首相は比べるべきである。

ロシア政府は日本の集団的自衛権の解釈変更が中国政府の軍事挑発が原因であることを見抜いているということである。安倍首相をはじめとした日本の右翼政治家が外交が未熟で中国政府にいいようにあしらわれていることをプーチンは見抜いているということだ。安倍が靖国や歴史見直しで愚かにも中国政府を世界的に有利にしていることをロシアは警告しているのである。

中国政府があたかも歴史を重視しているかのように振る舞いながら、毛沢東と周恩来が田中角栄と会談して「日本国民も日本軍国主義の犠牲者であること」「中国政府が戦争賠償請求権を放棄する事」を表明し、日中共同声明にも明記された歴史を中国政府(=走資派指導部)はきれいに忘れている。
安倍首相はロシアの好意的な見解を受け入れて中国政府の歴史を利用する外交に騙されないようにすべきである。日本は対ロシア外交に踏み切って、アジアで同時に中国とロシアを敵にしないようにロシアとの戦略的友好関係を築くようにすべきである。

プーチンが北方領土を「引き分け」で解決するよう呼びかけている事に応じて、対ロシアとの平和条約を締結し、シベリア開発に協力し、対中央アジア外交でも中国覇権主義の陰謀をくじくべきである。中国政府は歴史を弄びながら、自分は新疆ウイグルとチベットで地球上最後の植民地政策を行っている。誰が歴史に学んでいるのか平和主義を堅持している日本の方がはるかに歴史を尊重しているのである。

安倍の戦略なき政経分離外交の弱点!

アジアにおけるアメリカの覇権に中国が挑戦している。アメリカの進めるTPPは経済戦略的意味合いがあるが.秋の中間選挙に向けてオバマ民主党政権は自動車産業や牛肉業界の圧力で、オバマ政権自体がTPPに消極的だ。TPPを締結する力が今のオバマ政権にはない。中間選挙での敗北をできるだけ押さえるのがオバマの戦略だ。その為には中国がいかにアジアの同盟諸国に軍事圧力を加えようとアメリカは我慢するしかない。

こうしたオバマ政権の戦略的無策はアジアでは現状維持の消極的な戦略となる。これがアメリカの「リバランス」戦略に他ならない。半島の現状固定化としての6カ国会議はすでに破綻し、米・日・韓の軍事同盟はすでに崩壊し、中国の韓国取り込みが進んでいる。

世界経済が破綻と行き詰まりのもとでは半島国家(=北朝鮮と韓国)のゆすり・たかり外交は成果を得られない。北朝鮮は中国との同盟関係を破綻させ、韓国は見返り援助の期待できないアメリカから中国への乗り換えを策す始末である。いまや韓国における民衆の反米感情は頂点に達している。

こうして韓国は中国にすり寄り、北朝鮮は日本にすり寄るという奇妙な流動化が起きている。オバマのアジアにおける曖昧な「リバランス」戦略が同盟国の不信を呼び、アジアは中国が主導権を握りつつある。安倍首相はアジア各国を訪問し中国包囲網を目指したが、この戦略は外交上に限られていることが成果が少ない原因である。

政経分離ということでは韓国の竹島占拠や尖閣への中国の軍事挑発に有効に対抗できないのである。経済制裁が必要な時に「政経分離外交」では足下を見られることになる。韓国と中国の反日共同戦線に日本政府が、経済制裁をちらつかせることもできないのでは、集団的自衛権で国防に成果を期待できないのである。必要なのは解釈改憲ではなく、中・韓に経済制裁をちらつかせることである。

欧米が軍事力で介入する力もないのに、ウクライナを政権転覆させ、ロシアに漁夫の利(=クリミア半島)を得させた失敗に、こともあろうに足並みをそろえて日本がロシアを制裁する愚をやめるべきである。日本はロシアとの戦略的関係に大胆に踏み出すべき時である。日本はアジアで中国とロシアを同時に敵にはできないのである。

世界が第二次世界大戦後の国境線の軍事力による変更に突入し始めていおることを直視しなければならない。アメリカが「息継ぎの和平」に戦略転換し「同盟国の争いに巻き込まれたくない」(オバマ)と語っている時は、日本は対米自立し軍事力増強が進むまでは、当面経済制裁で対抗するしかない。米軍への受け入れ国支援の莫大な資金を日本は防衛力増強に向けた方がいい。中国覇権主義の危険性はヒトラー以上の危険な存在だということを認識すべきで、「憲法9条は日本の宝」という観念的平和主義が、安倍首相の「アメリカの番犬国家」路線と同様に日本を亡国に導きかねないことを指摘しなければならない。

行き詰まりと崩壊・流動化する世界秩序!

イラク北部とシリア西部に過激派のイスラム国が生まれ、イラクは国際テロ組織の拠点となりつつある。オバマはイラクに地上部隊は送らないことを決めた。中東は宗教戦争と民族戦争と過激派の騒乱でドミノ倒しのように内戦が拡大しつつある。世界の警察官のアメリカが匙を投げたのだから混乱は拡大するばかりだ。

アメリカは民主・共和の対立でオバマ政権は中間選挙前にレイムダック化している。オバマの支持率は下がり続け、アメリカ世論は戦争疲れで、民主・共和も内向きで、高まるヒラリー人気への対策で共和党はリビア・ベンガジの米外交官4人の殺害事件についての政府の責任追及の公聴会ばかりにこだわっている。アメリカが覇権を回復する経済的自信を持つまでには長い時間が必要な状況にある。

欧州は5月の欧州議会選で統合反対派が大躍進し、イギリスに続いてフランスが「反EU」に傾斜している。欧州統合が危うくなり始めたのはEU経済の不況が続き、日本の「失われた20年」と同じ状態になりつつあることが影響している。冷戦の崩壊後進めた「強欲の資本主義」が先進諸国を経済的に疲弊させ、停滞経済に巻き込んでいるのである。経済危機の下で欧州は極右が台頭し政治的流動化が進んでいる。欧州統合は危機に直面しているだけでなく、ウクライナの加盟希望についても、ロシアの怒りを前に介入を控えている。

アフリカや中南米の資源供給国は先進国の不況とエネルギー源の石炭から天然ガスへの転換、さらには資金供給の縮小で、経済危機は深化している。北アフリカはイスラム過激派の浸透と部族間の対立で内戦が拡大しつつある。中南米も貧富の拡大で政治危機が拡大している。

東アジアは中国覇権主義の砲艦外交で、東シナ海と南シナ海の海底資源をめぐる対立は激化している。アメリカの覇権の後退の隙をついて、中国の砲艦外交がこの地域の緊張を高めている。とりわけ中国走資派指導部は国内経済の行き詰まりの中で、自国の国民に「反日」教育を行い、尖閣周辺で戦争挑発を強めている。4月の米中国防相会議では中国側が「武力を使用する準備はできている」と公然とアメリカ側に強弁した。

覇権国アメリカの内向きへの戦略転換=「息継ぎの和平」が、世界情勢を流動化させているのである。世界は経済危機の中で戦争の危機を深めているのである。世界平和は観念的思考で維持できるのではない。平和を求めても、戦争の危機は必然的に起きることを知らねばならない。すでに軍事力による国境線の変更が進み始めた以上、日本は軍事的備えを急がねばならない。集団的自衛権で衰退するアメリカの「番犬国家」を目指しても国と民族を守れるとは限らないのである。必要なのは対米自立なのである。

奇妙な米中関係の戦略的均衡はいつまで続くか?

覇権国アメリカの中国に対する基本的戦略は、ユーゴスラビア解体で実験した教訓に基づき共産党政権を一掃する事である。しかしオバマ政権は現在「息継ぎの和平」に戦略転換している。つまりオバマのアジア重視とは、アメリカ経済の再建という内政重視のもとで中国との経済関係を維持する事である。つまりアメリカは今、帝国主義的忍耐の局面に有るということになる。

他方中国は経済的に見ると、GDPで日本をぬいて世界第2位になったが、内陸部の多くの経済開発に失敗し、経済特区は「新鬼城」と呼ばれるゴーストタウンが各地に生まれ、巨額の投資資金を注ぎ込んだ「影の銀行」が危機に直面している。中国走資派指導部は文革時の毛沢東の集団化の障害で内陸部の経済特区が全て失敗しているのである。

その結果年間何十万件もの暴動とウイグル族など少数民族の民族自決権をもとめる闘いに直面している。走資派指導部はこの危機を誤魔化すための反腐敗の粛清で切り抜けられないので、日本軍国主義を標的にして開戦準備を進め、内的矛盾を外的矛盾に転化することで切り抜けようとしている。

つまり中国経済の危機が背景にあって中国覇権主義の凶暴性が表れていることを見ておかねばならないのである。現在中国政府は政府資金で兵器生産に拍車をかけ人為的市場創出の経済政策を行っており、それはヒトラーの軍拡をしのぐ規模である。軍事力が巨大化すれば軍事的野心が巨大化することになる。

中国軍の幹部がアメリカ太平洋軍の幹部に、ハワイ以東をアメリカが管理し、ハワイ以西を中国が管理する事を提案したのは、アメリカの「息継ぎの和平」を見据えているのである。つまり習近平国家主席の「中米の新大国関係」とはアメリカが当面中国との経済関係の維持を必要としている事に付け入った覇権の分有を指しているのである。

中国覇権主義は海外での資源開発のプロジェクトが95%失敗し、残るは東シナ海と南シナ海の海底資源開発に期待をかけるほかない状況に有る。国内階級矛盾からも資源開発の面からも周辺国を軍事的従属下に置く砲艦外交が必要な局面なのである。中国にすればアメリカが内政重視で経済的に中国との関係を断てない中で、このアメリカの「息継ぎの和平」の期間を最大限活用しなければならないのである。

こうしてアメリカと中国の戦略的都合で一時的に米中の新大国関係が成立しているのである。今年4月のヘーゲル米国防長官と中国の常万国防相の会談で、ヘーゲル国防長官が「日中間の係争においてアメリカは日本を守る」と語り、常万国防相が「武力を使用する準備はできている」と語った点に、この両国の「新大国関係」が実は相方の一時的・戦略的妥協の産物に他ならないことを示している。

それではアメリカと中国のこの奇妙な妥協はいつまで続くかというと、アメリカの方から見ると財政が好転するまでであり、中国の側から見ると尖閣戦争を必要とする経済的破綻と暴動が激化した時であり、または軍事的備えが整った時に、この両国の覇権をめぐる衝突が起きるのは避けようがないと見ておくべきである。

集団的自衛権で日本がアメリカの番犬国家になるのが「亡国路線」に他ならない事は明らかだ。日本は対米自立することで、米中間の戦争に巻き込まれない防衛戦略が必要な時なのである。

腐敗した政治家が目指すアメリカの番犬国家!

安倍政権が最も力を入れていた派遣法の改悪、残業代ゼロ法案、限定正社員制度導入、家事サービス分野の外国人労働者の解禁、等の労働分野の規制緩和は、ASKAの薬物問題と謎の女との出会いの場として明らかになったパソナ「迎賓館」=仁風林での政治家の美人接待が明らかになって、労働分野の規制緩和は次期国会に先送りとなった。

月刊誌「選択」7月号はこのパソナ「迎賓館」で防衛省・自衛隊の幹部達も接待を受けていたことが情報カプセルで報じられている。パソナは自衛隊の再就職支援業務を年間1億6千2百万円で請け負い、防衛省からの天下りも受け入れていたという。

日本の政治家は腐っている。美女接待で政治を左右するのである。集団的自衛権の憲法解釈の変更は日本を(=自衛隊を)アメリカの番犬国家にするものだが、安倍首相はアメリカからどのような接待を受けたのであろうか?安倍首相もパソナの「迎賓館」に行っていたそうだから美女を抱かされて集団的自衛権の容認に突き進んだのであろうか?パソナの「迎賓館」には政財界のボス達が出入りしており、いずれも美人接待を受けていたと言われている。

パソナ「迎賓館」=仁風林とはまるで北朝鮮の「喜び組」と変わらない役割を果たしていたのである。次期内閣改造では田村厚生労働相と小野寺防衛相の更迭が確実と言われるのは、国会でパソナ「迎賓館」=仁風林での政治家の美人接待問題を追及されるのが困るからである、と見られている。

アジア情勢が中国の拡張主義で緊張しているのは事実だが、集団的自衛権の解釈を変えたから日本の防衛が確かなものになるわけではない。アメリカが要求しているのは世界の警察官役のアメリカの番犬役を自衛隊に求めているにすぎない。日本が戦後固く守ってきた平和主義を投げ捨てて、対米従属の番犬国家にする政治家は少しは恥を知るべきだ。

日本が必要としているのは対米自立であり、外国の軍事基地を撤去し、自分の国は自分で守る独立・自主・平和・中立の日本であるべきだ。権力にこびる連中は恥知らずで、密室の談合で国のあり方さえも簡単に変える、それも他国の番犬国家にする為にだ。そこにはあるべき国家像もなければ戦略もない。アメリカの従属支配に何処までも屈した売国的政治家の恥知らずな姿があるのみだ。

集団的自衛権に見る与党協議のお粗末!

自民と公明の12時間の協議を報道で見ていると、その議論の内容がお粗末としか言いようがない。戦後70年近くたって、日本の平和主義を転換する歴史的論議であるのに、日本をどのような国家にするかの議論が欠けているのである。お粗末としか言いようがない。

日本の防衛をアメリカ頼みでしか考えられない対米従属派(=自民党)は、アメリカに気にいってもらうため、集団的自衛権を合憲と解釈を変えるというのだ。そこには日本国の将来像をどうするかの戦略的議論が欠けているのである。

世界が多極化の趨勢を強めており、ウクライナ情勢を見ても、東シナ海と南シナ海の情勢を見ても分かるように、軍事力による国境線の書き換えが現実のものになりつつある中で、日本の安全をどう保つのか、という点の戦略構想が欠けているのだ。(1)つまり対米従属を続けるのか?(2)それとも対米自立し、武装中立の日本でいくのか?(3)それとも一部の野党の「憲法9条は日本の宝」という観念的平和主義でいくのか?

我々はアメリカの戦争に加担する(1)も、非武装で日本の安全をアメリカに頼る(3)も亡国路線であると考える。日本はこの機会に対米自立し、自分の力で国防を果たすようにすべきであると考えるものである。

公明党が「平和の党」の看板を捨てたことは非常に残念なことである。多くの国民が公明党に日本の平和主義を守ってもらいたかったのである。安倍政権の集団的自衛権の解釈改憲は、アメリカのオバマ政権が「息継ぎの和平」に戦略転換している下では、実は空論なのである。

アメリカのオバマが「アメリカは同盟国の争いに巻き込まれたくない」と語っているのであるから、中国拡張主義が対日開戦に踏み切った時に、アメリカが日本を守る保証は無いのである。だから日本は平和主義を堅持する為にも、自立と武装・中立の日本を目指すべきなのだ。

先に書いた(1)も(2)も対米従属路線であるので我々はこの二つは「亡国路線」だと考えている。どちらも日本を戦乱に巻き込むことになるのである。中国社会帝国主義の侵略性を絶対に軽視してはいけないのである。日本は自分の力で国土と国民を防衛する力を持つべきである。
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