アメリカと中国の貿易戦争激化!

アメリカ政府は15日、知的財産権の侵害など不公正な通商慣行を理由に、計約500億ドル(約5,5兆円)分の輸入品に25%の関税を上乗せする措置を発表した。これに中国政府は直ちに報復を表明した。これに対しトランプ大統領が18日2000億ドル分(約22兆円)の製品に10%の関税を上乗せする案を新たに検討するよう指示した。これに対し中国政府も「強力な報復を行わざるを得ない」(中国商務省)と強行であるが、両国はアメリカが500億ドル分に関税をかける7月6日まで交渉を続けると見られる。

アメリカの中国からの輸入は5056億ドルで、中国のアメリカからの輸入は1539億ドルとアメリカの方が3倍以上で、貿易赤字となっている。トランプは選挙中の公約で、中国がアメリカの雇用を奪っているとして、貿易赤字の削減を公約として掲げ、その政策を現在実行している。

アメリカ議会上院では20日公聴会が開かれ、トランプ政権が発動した関税による輸入制限に身内の共和党議員から激しい批判が突きつけられた。関税によって「アメリカの農家が報復対象にされている」「あなた方はアメリカの雇用を危機にさらし、アメリカ企業にとっての国内・海外市場を破壊している」(共和党ハッチ議員)「実際は違うのに、国家安全保障を理由に関税を課すのはやめてほしい」(共和党トゥーミー議員)。

アメリカ経済は現在は好調だが、中間選挙を秋にひかえ国内からも批判が上がり、また貿易戦争でアメリカ経済が失速すれば、トランプ政権には中間選挙で致命傷になりかねない。したがって中国側がアメリカからの輸入を増やしたり、輸出を自主規制して7月6日までに妥協が成立する可能性もある。
アメリカは欧州(EU)との間でも関税の報復合戦になっており、中国との間の貿易戦争が本格化すると世界経済への悪影響は避けられない。(米商務省は日本等から輸入する鉄鋼製品42品目についてはアメリカ国内では製造できないとして、高い関税の対象外とすると発表した。)トランプ政権も中間選挙を前に成果が欲しいところであり、妥協したいところだが中国も強行で、双方とも国内経済が打撃となる結果を避けたいが、その妥協ラインが難しいし、反作用も心配される。
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米の保護主義が世界の戦略関係を変える!

アメリカのトランプ政権は5月31日、EU(ヨーロッパ連合)とカナダ、メキシコに対して適用を猶予していた鉄鋼・アルミの輸入制限を1日から発動すると発表した。すでに日本を含むほとんどの国には3月から発動されている。

これに対しEUの執行機関であるヨーロッパ委員会のユンケル委員長は31日「到底受け入れられない」と強く反発し、対抗措置を取る考えを示した。カナダやメキシコも報復措置に踏み切る方針だ。トランプ政権の「アメリカ第一主義」の政策が、アメリカの同盟国を制裁合戦に向かわせている。

この先にあるのは報復合戦であり、貿易戦争であるだけでなく世界経済のブロック化を促すことになる。ブロック化は世界貿易を縮小させ、世界恐慌を招く可能性が高い。米・欧・日・カナダ・メキシコが保護貿易主義に進むと、アメリカの同盟国(=先進諸国)が4分5裂になる。

トランプ政権が既に世界の警察官役を果たさない事を表明している下で、先進国の分裂、経済恐慌は地域覇権主義の独裁国家=中国・ロシア・イランなどの地域覇権国には戦略的チャンスが生まれる。歴史が教えているように、経済のブロック化が遅れて発展した諸国を資源と市場獲得の侵略戦争へと導いたように、遅れて発展した諸国を一層軍事拡張主義へと向かわせる可能性が高い。

ところで、トランプの保護貿易主義的政策がアメリカ経済を回復させるであろうか?アメリカが既に金融国家であり、鉄鋼やアルミの産業部門が復活するわけがなく、同盟国からの商品に高い関税をかければ、アメリカ国民が高い商品を買うだけになる可能性があり、アメリカ経済が回復するというのはトランプの「有り得ない夢」なのだ。トランプのイランの核合意からの離脱、制裁強化の強行方針は原油価格を高騰させ産油国のアメリカはぼろ儲けしたが、欧州や日本は原油価格の高騰で大損した。
その結果は世界経済の先行きの暗さを招くであろう。

中国・ロシア・イランなどの地域覇権国は、トランプの中間選挙での勝利と大統領選での再選は、自己の地域覇権戦略に有利に展開するので、トランプの選挙の勝利に協力するであろう。米朝首脳会談がその最初の動きとならない保証はない。アメリカの保護貿易主義が世界の戦略関係を一撃のもとに変える事になる事を外交政策関係者は見ておくべきであろう。

トランプの「税制改革」が招くもの!

トランプ大統領が経済政策の柱として公約に掲げてきた税制改革の法案が議会で可決された。トランプ大統領は「これはわが国で最も大きな減税だ」と成果を強調した。「減税と潰れた制度を直すことで、我々の経済のエンジンにロケット燃料を注入している。アメリカは再び勝ち始め、これまでにない成長を遂げる。」との声明を発表した。

法人税率を今の35%から21%に引き下げることや、個人の所得税の最高税率を39,6%から37%に引き下げること等が含まれています。減税規模は10年間で1,5兆ドル(約170兆円)である。経済成長による税収増を加味しても、財政赤字が今後10年間で1兆ドル(113兆円)に膨らむとの試算もあり、トランプの言うように、雇用の創出や賃金の上昇が起きるとは限らず、アメリカ経済が成長するとは限らないのである。

アメリカ国民の間では大企業や富裕層への減税を批判する声が多く、トランプ政権初の公約の実現が来年の中間選挙に追い風になる可能性は低い。トランプはカナダのアメリカ向け輸出に高い関税をかけ始めたが、これは自国の企業の保護につながるが、同時にこうした保護貿易は自国の国民に高い物価を強いることでもある。オバマケアについても個人の参加を強制ではなく、自由にしたことで無保険者が激増することも予想される。こうした政策が中間選挙での民主有利を招く可能性は強いと見られる。

一方で大減税をしながら、「力による平和」で米海軍の大増強を進めると言うのだから財政上の制約はトランプの「戦略」実践をも難しくするに違いない。トランプ政権はこれまで公約の重要法案を一つも成立させられずにきたが、唯一「税制改革」の法案が成立したことが中間選挙の与党敗北を招き、財政赤字を深刻化させることになるのだから皮肉な話である。

アメリカ経済を再建するトランプの「税制改革」は、「息継ぎの和平」から戦争路線に転換する「国家安全保障戦略」にとっても財政上の制約を一層深刻化し、その埋め合わせに日本等同盟国に経済的分担の圧力が強まることは確実で、トランプは世界中で孤立していく可能性が強い。

中国が仕掛ける世界漁業資源の根こそぎ略奪!

日本では、さんまが獲れないので「さんま祭りが開けない」「イカが食卓から消える」と漁業資源枯渇問題と取られているが、事の本質は中国の略奪的漁業にある。

中国政府が2011年から2015年の5年間で220億ドルもの国内漁業に補助金を出し、地方政府も同様に補助金を出した結果、中国の遠洋漁業船団は約3000隻もの規模に膨れ上がり、今や地球規模で略奪的漁業を繰り広げている。

先年、日本の小笠原近海に200隻ものサンゴ獲りの中国船団が押し掛けたように、中国漁船は他国の領海であろうと遠慮することはない。今年8月、エクアドル当局はガラパゴス近海で違法操業していた中国漁船を拿捕した。昨年の3月にはアルゼンチンの警備船が中国の漁船と交戦状態になり撃沈させた。昨年5月には南アフリカ政府は中国漁船を拿捕した。インドネシアでは中国漁船が違法操業を繰り返すので昨年だけで3回も発砲した。中国船団の違法操業が最もひどいのは沿岸警備が貧弱な西アフリカ沿岸国だ、中国漁船の乱獲でセネガル・シエラレオネなどでは被害が年間数千億円規模で、アフリカ漁民が生活を破壊され、西アフリカ全域に経済難民が増加し、欧州に難民となって流れているといわれる。

中国漁船の活動域は太平洋からカリブ海・アフリカ沖まで全地球規模で、魚を乱獲するので各国の漁業が採算割れで衰退している。日本の遠用漁業は衰退する一方で遠洋漁業船数は中国の10分の1にまで減少している。中国の漁獲数は数年前の数字で6000万トンを突破し、世界の漁業漁獲量の3分の1以上を占めている。まさに略奪的な漁業で、しかも各船には海上民兵が武装して乗船しており、各国の警備艇と公然と闘うのが特徴である。

中国の沿岸漁業は乱獲と汚染で魚が取れず、そこで政府が補助金を出して地球規模で他国の漁場を荒らすことになっている。米海軍の退役提督のジェイムズ・スタヴエリディス氏(元欧州連合軍最高司令官)は、この中国の仕掛ける漁業戦争を「ハイブリッド戦争に他ならない」と警告している。このハイブリッド戦争とは、漁業戦争で各国漁民の生活基盤を破壊し、各種インフラ崩壊により国内騒乱を引き起こさせ、それに乗じ侵攻する複合的戦術のことであり、単なる食糧の略奪だけではないのである。

このまま中国の侵略的・略奪的漁業を許せば地球上の漁業資源は枯渇する可能性がある。また国際的な紛争になれば中国の約3000隻の大型漁船に民兵が武装して乗船し、占領目的に押し寄せることも日本など各国は想定しておく必要がある。

イギリスEU強行離脱の世界経済への影響!

¥イギリスのメイ首相は欧州連合(EU)を強行離脱し、移民流入制限の権限回復を優先する考えを示した。イギリスがEU加盟国と無関税で貿易できるEUから離脱することで、イギリスをEU市場への生産拠点としてきた日本企業への影響は非常に大きい。

既にアメリカのトランプ政権がアメリカ市場を睨んだメキシコへの工場建設を許さず。高額の関税をかけることを公言しており、ここでもメキシコをアメリカ市場への輸出拠点と位置づけた日本企業の打撃は大きい。

イギリスとアメリカがこぞって移民問題に取り組み、保護貿易主義に転換することが明白となった。今後こうしたグローバルリズムの逆転現象がどれだけ広がるかにもよるが、世界貿易が縮小に向かうのは避けられず。世界経済が不況に向かう可能性が強まった。

トランプのアメリカ国内への投資を促す政策でアメリカ経済が一時的に好況になっても、全体としては世界の貿易は縮小に向かい、世界同時不況が避けられないと見るべきであろう。事態が深刻化しないうちにトランプ大統領を説得することが求められる。今のままでは世界は関税をめぐり保護貿易主義が蔓延ることになるであろう。

世界通貨のドルにとっても世界的な保護貿易主義はマイナスであり、世界経済が不況になればイギリスもアメリカも深刻な経済危機を迎えることになるであろう。イギリスもアメリカも2国間の貿易交渉で解決できる、と考えているのだが、2国間の貿易交渉は力関係で決まる可能性が強く、世界的に貿易交渉への不満を拡大するであろう。

世界的に格差社会が拡大しており、この不満と移民問題が民族排外主義を世界的に拡大している。事態は第一次世界大戦の次期とよく似ており、世界が一極支配から多極化の傾向を強めていることも事態を複雑化している。世界的な経済危機が主要国、とりわけ米中の覇権争奪を激化し、第3次世界大戦の可能性も高めている。

欧州連合・北米自由貿易圏という経済のブロック化が解体に向かうのか?それとも主要国の資源と市場の囲い込みが新たな形で現れるのか?注目される点である。明らかとなったグローバルリズムの反転が世界情勢をどのように流動化かさせるのか?大衆の怒りが呼び起こした保護貿易主義が人民大衆の幻滅を呼ぶことになるのは避けられないであろう。
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