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NATO拡大は欧州の対立を拡大する

NATO本部でフィンランドの加盟式典が開かれた。フィンランドのサウリ・ニーニスト大統領は「非軍事同盟の時代は終わり、新しい時代が始まった」と強調した。NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は「フィンランドはより安全になり、NATOはより強くなる」と期待を示した。

アメリカのバイデン大統領は4日の声明で「我々はかつてないほど結束している。最も新しい同盟国のフィンランドによって強化され、共にNATOの領土の隅々まで守り続け、直面するあらゆる課題に対応していく」と歓迎した。スウェーデンの早期加盟に期待を示し、トルコとハンガリーには遅滞なく承認手続きを終えるよう求めた。

NATOへの中立国フィンランドの加盟で、本当にフィンランドはより安全になるだろうか?集団的自衛権を有するNATOの拡大を阻みたいロシアのプーチン大統領にとってNATOとの国境線の拡大は大きな脅威となる。NATO加盟国とロシアの国境は計約2600キロ・メートルに倍増し、双方は安全保障上の戦略再構築を本格化させざるを得ない。双方が軍事的備えをしなければならず、それは脅威の増大、緊張の激化であり、より危険性を増すことではないのか?

タス通信は、ドミトリー・ペスコフ露大統領報道官が4日、「ロシアの国益と安全保障を侵害するもので、状況の悪化と見ている。戦術的、戦略的に対抗策を講じざるを得ない」と述べていることが軍事的緊張の激化を示している。中立国フィンランドが緩衝地帯としての安全な地位をみすみす捨てたことは危険を増すことなのだ。

なぜならウクライナはNATO加盟の意思を表明したことでロシアを挑発し、ロシア軍の侵攻を招いたのである。バイデン政権はNATO拡大でロシアを追い詰めて、欧州に緊張状態を作り上げた。これは軍需産業の国アメリカには経済的利益をもたらすが、欧州は安全保障上の対立を激化させ、軍拡競争を招き、ユーロ経済圏の東への拡大も頓挫することになった。つまり経済的側面の戦略的不利益が欧州の人たちには見えていない。

かって植民地獲得で先行した英・米帝国主義と、新興の帝国主義国=独・伊・日の三国同盟が戦争への道を突き進んだように、軍事同盟は戦争への道である。しかもロシアは核大国であり、軍事的に打破するには核戦争が不可避である。つまり欧州の人たちは、NATO拡大がアメリカの覇権維持に利するだけだということに早晩気付くであろう。したがってバイデンのNATO拡大外交は、NATOの終わりの始まりと言えなくもない。

外交というものは不思議なもので、欧州の出来事を、遠く離れたアジアで見ると真相がよく見えることがある。欧州の人たちはウクライナ戦争が、誰が戦争に導いた真の首謀者かが、今は見えていない、しかし欧州の人たちが真相にたどり着くのは時間の問題である。ロシアのプーチンが、やすやすと挑発に乗ったのは、アメリカと欧州の経済的対立の側面が見えていなかったからである。

国際経済において、ドル支配を維持したいものと、ユーロ経済圏を拡大したいものの矛盾がプーチンには見えていない。戦争は経済的対立の延長であるので、ウクライナ戦争の背後にある経済的対立を、ロシアは外交で利用しなければ、戦争の長期化で経済的に消耗することになるであろう。プーチンは情報畑の出身なので、経済的側面から国際情勢を分析できない弱点が表れているのである。
# NATO拡大
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EU離脱・エネルギーの高騰で英国経済は危機に!

欧州連合(EU)離脱で英国経済には年1000億ポンド(約16兆円)の損失が生じている。企業の投資減少や人材不足など、あらゆる局面にEU離脱の影響はマイナスとなる。イギリスのエコノミストによると、イギリスの現在の国内総生産(GDP)はEUを離脱しなかった場合と比べ4%縮小しているという。企業投資が大きく低下したほか、EU出身労働者が減少したことによる労働力不足が広がっている。

ブルームバーグ・エコノミクス(BE)はEU離脱後3年間のイギリス経済を分析。見えてきたのは、保守党政権によるEU離脱で損失を被った暗い姿だった。国際通貨基金(IMF)は31日に発表した世界経済の改訂見通しの中で、イギリス経済が先進国の中で唯一、マイナス成長となるとの見方を示した。

IMFによると、イギリスの国内総生産(GDP)は今年、0.6%縮小する見込み。前回見通しで示していた、0.3%のプラス成長からマイナスに転じた。今回の見通しはEU離脱に加え「液化天然ガスへの依存度が高い」ことなどから、エネルギー価格の高騰で「イギリスが非常に厳しい環境にある」ことが反映されている。

昨年秋、減税政策を掲げたイギリスのトラス首相は、在任1か月半という異例のスピードで辞任に追い込まれた。継いで登場したスナク首相はイギリス金融資本に増税を求められているが、今増税すれば経済がさらに落ち込むことになる。

EU離脱で関税がかけられるのだから物価が上がるだけでなく、EUへの輸出も減少する。当然企業の設備投資が伸びるわけもない。そこにコロナ禍とウクライナ戦争でエネルギーや食糧価格が高騰し、国民の生活が立ちいかなくなる。今イギリスではストライキが続発し、生活苦からセックス業界に既婚の女性が続々と参入しているという。今やイギリスは欧州最貧国になったと言われている。

誰もがEU離脱が間違いだったことを理解し始めたが、国民投票で決めたことを、今更再加入を言うわけにいかない。増税を果たすとトラス首相は短期で退任すると言われている。増税を行っては選挙に勝てない、保守党政権は政権を維持できない可能性が出てきた。経済的混乱は政治危機となる。イギリスの混乱は続くとみられる。
#イギリスのEU離脱 #英国経済の危機

ウクライナ戦争を拡大すべきではない!

アメリカが呼びかけている対ロシアへの経済制裁は、戦争を拡大する可能性を一段と強めている。プーチン大統領は10日、ロシアから撤退を決めた外国企業の資産国有化方針を了承した。プーチンは経済制裁は宣戦布告と同じだと語ったことがある。戦争プロパガンダに騙されて経済制裁に参加すれば報復を招くことが多いのである。

米ウォールストリート・ジャーナルは13日、ロシアの検察当局が現地に進出する欧米企業に対して、政権を批判する経営者の逮捕や、撤退した場合に資産没収を行うと警告していると報じている。既に米ファストフード大手マクドナルドを含む個別企業や経営者らにロシア当局が警告したとしている。

ウクライナには国軍と極右の二つの部隊がある。このうちの極右の部隊にはアメリカの傭兵会社が派遣している兵士が多数いるといわれている。ウクライナのキエフからロシア軍が撤退したあと、どちらの部隊が虐殺したのかもわからないのに、うかつに宣伝にのせられてはいけない。戦争プロパガンダに騙されてはいけないのである。

スウェーデンやフィンランドをNATOに加盟させようとしているが、これ以上NATO拡大をすればロシアを刺激するだけだ。また欧州に対立を持ち込み、欧州経済を破たんさせるというバイデンの狙いにのせられるだけなのだ。ウクライナ政府(=米のかいらい政権)のプロパガンダに騙されて、軍事援助を強化しプーチンを追い詰めすぎると、ロシアは得意の焦土戦術に出る可能性がある。独裁国家の戦前の日本が、アメリカの経済制裁で真珠湾攻撃に踏み込んだように、独裁国家のロシアがウクライナにNATOの基地を作らせないために核兵器を使用することもありうるのである。核兵器は保有していない相手には使える兵器なのだ。

アメリカの中央情報局(CIA)のバーンズ長官は14日、ウクライナ侵攻で苦戦するロシアが戦局を一変させるために戦術核や低出力核兵器を使用する可能性を「軽視すべきではない」と警告したのは、その可能性が高まっているからである。

欧州での戦争の拡大は、軍需産業の国アメリカには莫大な利益となる。それはアメリカの覇権の回復につながるかもしれない。とりわけ今年11月に中間選挙のあるアメリカのバイデン大統領には、ウクライナ戦争の長期化と拡大は、願ってもないことなのだ。それゆえアメリカはウクライナへの軍事援助を拡大している。バイデンの狙いはプーチンの失脚だが、それは危険な火遊びというべきである。戦争の拡大の陰謀を阻止すべきである。
日本政府はいつもアメリカ言いなりだが、戦争の拡大には反対であることをキチンと表明すべきである。
#ウクライナ侵攻

米のウクライナ侵攻のカラ騒ぎは成功しない!

 シャーマン米国務副長官は26日、北京冬季五輪が来月4日に開幕するのを前にロシアがウクライナに侵攻した場合、ロシアのプーチン大統領を開会式に招待した中国の習近平国家主席も「大喜びはしないだろう」と述べ、ロシアをけん制した。(しかし中国はウクライナ問題を台湾問題と重ねており、欧州で戦争が起きることに戦略的利益を見出していることは明らかだ。)
 シャーマン氏は「プーチン氏が軍事力を行使しようとするあらゆる兆候がある。今すぐにでも、2月中旬にも起こり得る」と述べ、侵攻の危機が差し迫っているとの見方を改めて示した。(しかしウクライナ軍の国防相はロシア軍は侵攻の体制にはないと表明している。)

 一方、ドイツのランブレヒト国防相は26日、ロシアとの緊張が続くウクライナに対し、自己防衛を支援するため、軍用ヘルメット5000個を供与すると発表した。ウクライナへの兵器支援を拒むドイツに対し、国内外から批判が出ていたのに応じた措置だが、駐独ウクライナ大使は「単なるジェスチャー。バケツの1滴で、慰めにならない」と失望感を示した。ドイツ政府は、米英とのウクライナ危機への認識のズレをかえって意図的に表面化させたといえる。つまりドイツはNATOの役割は終わりつつあると認識している。
 ドイツの中道左派のショルツ政権は特に武器輸出に慎重で、ウクライナには「殺傷兵器は送らない」と表明しており、対話による緊張緩和を目指す姿勢を示している。
 
 ドイツ政府は、ロシアからの天然ガスパイプラインをバルト海に敷設しており、天然ガスの代金でロシアへの機械などの輸出を計画している。アメリカはこのドイツのロシア経済取り込みに反対しており、ロシア軍にウクライナ侵攻をやらせ、欧州に冷戦構造を作ることでNATOを維持し、ユーロ経済圏の東への拡大を阻止したいのである。

 ロシアのプーチンは、ウクライナ問題で緊張を演出することで、旧ソ連圏へのNATO軍の配備を阻止しようとしているだけで、その狙いは東欧の緊張緩和であり、ドイツ政府と共通している。したがってアメリカの「ロシア軍の侵攻」のカラ騒ぎは成功しそうもない。
 ウクライナはもともと旧ソ連圏であり、今もウクライナには親ロシア派が力を持っており、ロシアは軍事侵攻なしで、親ロシア派政権を作ることができる。現在の親米政権はアメリカがドル紙幣を段ボール箱に詰め、ウクライナ野党に送り、クーデターをやらせたゆえの親米政権であり、もともと政権基盤は弱い。

 アメリカは、地政学的・軍事的にウクライナの防衛は不可能であり、ただユーロ経済圏の拡大を阻止し、NATOの存続を図るために利用しているだけである。小国ウクライナは大国アメリカの「捨て駒」に過ぎない。
#NATO #ユーロ圏

米のウクライナ問題はEUとロシアの分断策!

 ウクライナとロシアの国境にロシア軍が集結しつつある問題で、バイデン米大統領とロシアのプーチン大統領は7日、オンライン形式で2時間協議した。
焦点だったウクライナ情勢を巡り、バイデンはロシアが軍事侵攻すれば欧州の同盟国と「強力な経済措置で対抗する」と伝えた。

 ロシアから見れば、ウクライナ問題はソチオリンピックの最中に、アメリカがクーデターを行い、旧ソ連圏のウクライナを奪い取ったわけで、プーチンがクリミア半島を取り返した行為にロシア国民は拍手喝采した。プーチンの支持率が低下している中では、ロシアのウクライナ介入の可能性は極めて高い。

 米ロの首脳会談では、、プーチンロシア大統領は「北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大を排除する信頼ある法的に定められた保証」を求めた。ロシアはウクライナがNATOに加盟すれば、勢力圏を大きくそがれ、対立する米欧中心のNATO軍がロシアに接近して自国の安全保障が損なわれると懸念している。

 アメリカはクリミア半島の併合への経済制裁の一環としてロシアからドイツへのガスパイプライン「ノルドストリーム2」を稼働させないようドイツに迫っている。プーチンは逆にドイツにガスパイプラインの早期稼働を認めるよう求めている。つまりウクライナ問題は、アメリカが欧州のロシア経済の取り込みを阻止する口実でもある。

 バイデン大統領がロシアのウクライナ侵攻に「強力な経済措置で対抗する」と伝えたことは、軍事的に対抗しない、というメッセージであり、アメリカはロシアにウクライナを侵攻させたいのである。そうすればドイツなどのロシア市場の取り込みを阻止できるからである。

 EU市場は、以前は世界市場の30%を占めていたが、アジア経済の発展もあってEUの世界市場に占める比率は現在は15%に縮小している。EUはユーロ経済圏をロシアを含めた東欧諸国に拡大したいのである。アメリカはロシアにウクライナに侵攻させて、EUとロシアの経済的結びつきを、経済制裁を口実に阻止したいのである。地政学的に見てロシアのウクライナ侵攻を軍事的に阻止する力はアメリカにはない。

 バイデン政権が未だに対中国戦略を確立していないのは、EUの肥大化を阻止することを優先しているからに他ならない。対中国戦略を優先するなら、ロシアを中国側に追いやることはしないはずである。つまりバイデンはEUの東への拡大阻止を戦略的に重視しているのである。

 EUはポーランドなどの加盟国の安全保障のためには、ロシアのウクライナ侵攻を認めるわけにはいかない。しかしロシアからエネルギーを輸入し、その代金で工業製品をロシアに売リわたしてロシア市場を取り込みたい、という野心もある。アメリカはドル支配を維持するにはユーロ経済圏のロシアへの拡大を阻止したいのである。ゆえにアメリカはドイツのロシアとの海底パイプラインを閉鎖させたいのである。

 歴代のアメリカ民主党政権は親中であり、アジア重視は口先だけで、実際には欧州重視であった。バイデンのアメリカは覇権争いの2正面作戦を挑んでいるのである。危ういとしか言いようがない。アメリカと欧州・ロシアの三角関係で利益を受けるのは習近平ファシスト政権なのである。
# ウクライナ問題
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