習近平禍で中国からの資本の引き上げの事態
中国は、秋に開催予定の党大会(中国共産党第20回大会)を控えており、習近平は3期目を目指している。通常、政治的に重要な年は経済運営面でなにより安定が重視されるのが中国だが、習近平は「ゼロ・コロナ」戦略による都市封鎖を図る強硬策をとっている。
2021年後半以降の中国の低成長は、一部の地域において新型コロナウイルスの感染が広がり、これを抑えるために政府が経済活動への制限を強化したことを反映している。中でも、1,300万人の人口を有する西安は12月23日から1ヵ月にわたって都市封鎖が実施され、天津、寧波、深圳といった主要都市においても、一部の工場や港湾施設の閉鎖が相次いだ。中国のゼロコロナ政策は、コロナ禍ではなく習近平禍と呼ばれる事態なのである。
長春は一カ月を超えるロックダウンが続き、上海も封鎖が続く。超大型工場を持つテスラから巨大リゾートを展開するディズニーまで、多くの多国籍企業が上海を拠点にしている。しかし、人口2600万人超の上海で、ロックダウンの措置を次々と実施し、ふだんは活気あふれる上海の金融センターが、停止状態に陥っている。
世界銀行が中国の今年の経済率成長の予想を4月5日の段階で5.4%から5%に引き下げたが、同時に、このまま新型コロナ感染の影響が継続すれば、これが4%代にまで低下する可能性にも言及した。
オランダのING銀行が4月頭に出したリポートでは、かりに上海で目下のような封鎖が4月中続いたとするとその経済損失は上海全体のGDPの6%、中国全体のGDPの2%に相当するとの予測を出している。上海市の半導体の工場は、封鎖管理方式と言う従業員を工場内から一歩も出さない形の稼働を継続している。しかしアメリカや日本、台湾の企業の工場が停止しており、当然輸出も止まっている。
今年1月の中国への直接投資額(FDI)は前年同期比11.6%増だが、前月比では2.7 %減の1022.8億元。別の金融機関が発表した2月のFDI前月比19.8%減と急激に減少している。中央国債登記所のデータによれば、2022年2月の国外投資者保有の中国国債は354億元減少し、2021年3月以来初めての減少に転じた。
国盛証券の株式市場流動性月報によれば、外国の機関投資家と個人投資家が購入した中国内企業株額は昨年12月は正味890億元だったのが、1月には168億元に減り、2月には40億減にまで減っている。ウォールストリートジャーナルによれば、3月1日から24日までの間で、外国投資家たちが投げ売りした中国国内企業株は95億ドルで、これは2020年3月以来、最大の外資流出月となった。
エネルギー、資源価格の値上がりも中国には打撃となる。中国政府の権力的価値規定で国内市場への値上げの全面波及が緩和されるとはいえ、それも限界がある。
今の中国経済はこうして習近平禍で需要の収縮と工場の停止の上にウクライナ戦争の経済制裁で中国経済の最大の貿易相手先が欧州であることから、先行きへの暗雲もあり外国資本の引き上げが始まっている。この中国からの資金流出は空前のものだが、それはウクライナ問題でロシアに協調していることへのリスクも影響している。
11月に人事の党大会を控える習近平には、コロナブーメランで都市封鎖の強硬措置が経済的打撃となり、資源価格の上昇もあり、外資の流出、経済の低迷は避けられなくなった。
#中国経済
2021年後半以降の中国の低成長は、一部の地域において新型コロナウイルスの感染が広がり、これを抑えるために政府が経済活動への制限を強化したことを反映している。中でも、1,300万人の人口を有する西安は12月23日から1ヵ月にわたって都市封鎖が実施され、天津、寧波、深圳といった主要都市においても、一部の工場や港湾施設の閉鎖が相次いだ。中国のゼロコロナ政策は、コロナ禍ではなく習近平禍と呼ばれる事態なのである。
長春は一カ月を超えるロックダウンが続き、上海も封鎖が続く。超大型工場を持つテスラから巨大リゾートを展開するディズニーまで、多くの多国籍企業が上海を拠点にしている。しかし、人口2600万人超の上海で、ロックダウンの措置を次々と実施し、ふだんは活気あふれる上海の金融センターが、停止状態に陥っている。
世界銀行が中国の今年の経済率成長の予想を4月5日の段階で5.4%から5%に引き下げたが、同時に、このまま新型コロナ感染の影響が継続すれば、これが4%代にまで低下する可能性にも言及した。
オランダのING銀行が4月頭に出したリポートでは、かりに上海で目下のような封鎖が4月中続いたとするとその経済損失は上海全体のGDPの6%、中国全体のGDPの2%に相当するとの予測を出している。上海市の半導体の工場は、封鎖管理方式と言う従業員を工場内から一歩も出さない形の稼働を継続している。しかしアメリカや日本、台湾の企業の工場が停止しており、当然輸出も止まっている。
今年1月の中国への直接投資額(FDI)は前年同期比11.6%増だが、前月比では2.7 %減の1022.8億元。別の金融機関が発表した2月のFDI前月比19.8%減と急激に減少している。中央国債登記所のデータによれば、2022年2月の国外投資者保有の中国国債は354億元減少し、2021年3月以来初めての減少に転じた。
国盛証券の株式市場流動性月報によれば、外国の機関投資家と個人投資家が購入した中国内企業株額は昨年12月は正味890億元だったのが、1月には168億元に減り、2月には40億減にまで減っている。ウォールストリートジャーナルによれば、3月1日から24日までの間で、外国投資家たちが投げ売りした中国国内企業株は95億ドルで、これは2020年3月以来、最大の外資流出月となった。
エネルギー、資源価格の値上がりも中国には打撃となる。中国政府の権力的価値規定で国内市場への値上げの全面波及が緩和されるとはいえ、それも限界がある。
今の中国経済はこうして習近平禍で需要の収縮と工場の停止の上にウクライナ戦争の経済制裁で中国経済の最大の貿易相手先が欧州であることから、先行きへの暗雲もあり外国資本の引き上げが始まっている。この中国からの資金流出は空前のものだが、それはウクライナ問題でロシアに協調していることへのリスクも影響している。
11月に人事の党大会を控える習近平には、コロナブーメランで都市封鎖の強硬措置が経済的打撃となり、資源価格の上昇もあり、外資の流出、経済の低迷は避けられなくなった。
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