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拡大する戦争でアメリカは軍事支援が限界に!

アメリカが進める中東和平は、サウジとイスラエルの和平会談が進む中で、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスのイスラエル奇襲攻撃は、パレスチナ問題を置き去りにして中東和平はあり得ないことを実力で示した。

ハマスは大規模攻撃を始めた7日朝、戦闘員らがガザを取り囲むフェンスを重機などで破壊し、バイクやトラックのほかパラグライダーなどでイスラエル領に侵入した。また、ガザとの境界付近で開かれていた野外音楽コンサート会場を襲撃、現場周辺では約260人の遺体が発見された。

戦闘は継続しており情勢は悪化の一途で、すでにイスラエル軍の反撃が始まっており、イスラエルのガラント国防相は9日「ガザ完全包囲を命じた。電気や食料、燃料を遮断する」と宣言、現在イスラエル空軍のガザへの空爆が始まっており、双方の憎しみはますます増幅している。イスラエル側がガザへの侵攻を行えば大虐殺が起きる可能性が出てきている。

バイデン米大統領は8日、イスラエルのネタニヤフ首相と電話会談し、イスラエルへの武器輸送を開始したと表明した。イスラエル側は砲弾の供与などを求めたと伝えられている。しかしアメリカもウクライナ支援で軍事的余力が低下している。アメリカの支援が減少すれば、ウクライナ軍は反転攻勢どころか停戦を選択することになりかねない。

中国の習近平国家主席は9日、米上院民主党トップのシューマー院内総務が率いる超党派議員団と北京の人民大会堂で会談し、米中関係について「世界で最も重要な2国間関係だ。中米両国がどのように付き合うかは人類の前途と運命を決める」と述べた。中国国営中央テレビが伝えた。またシューマー氏は会談で、イスラム原理主義組織ハマスによるイスラエルへの攻撃を巡り、「卑怯(ひきょう)で悪質な攻撃を非難するよう求める」と述べた。ロイター通信が報じたところでは、中国がイスラエルへの支持を表明しなかったことにアメリカ側が「失望」を表明している。

米CNNテレビの報道によると、アメリカ政府はイスラエルに備蓄していた砲弾をウクライナ支援に転用しており。英BBC放送も今月、北大西洋条約機構(NATO)高官が「(ウクライナ支援用の)弾薬箱の底が見えてきた」と述べたと伝えた。
アメリカ政府ではウクライナ支援に反対する共和党強硬派の妨害で予算案が議会を通過しない事態が生まれており、今回のイスラエル支援が重なると、ウクライナ支援の継続が難しくなる可能性が出てきた。

アメリカ・NATOのウクライナへの武器支援が限界に近付くと、台湾や中印国境紛争など他の戦線に火が付く可能性が高まる。軍需産業の国アメリカがウクライナ極右政権を使いロシアを挑発して始めたウクライナ戦争が、ナゴルノカラバフ紛争からパレスチナ戦争へ、次々戦争を拡大する事態を生み出しつつある。戦争が朝鮮半島や世界各地の領土紛争に飛び火する危険が生まれている。アメリカの一極支配の限界が露わになってきた。

戦争は追いつめられた力の弱い側が奇襲攻撃を行う、ゆえに誰が初めに攻撃したかは、戦争の正義と不正義を決める判断基準とはならない。領土を奪われたパレスチナ人民の側が正義の闘いであり、イスラエル側が侵略したことは歴史的に見て明らかであり、欧米諸国がイスラエル側支持を表明しているのは、世界の金融をユダヤ人が支配しているからに過ぎない。日本政府は双方に停戦を呼びかけるとともに、パレスチナへの人道支援の継続を発表すべきである。
#パレスチナ戦争
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アメリカのサウジとの関係改善は困難だ!

アメリカのブリンケン国務長官が6~8日、サウジアラビアを訪問した。サウジの国政を実質的に取り仕切るムハンマド皇太子と会談したほか、アラブ諸国の外相会合にも出席。アメリカは中東で主導権を握り始めた中国を警戒しており、この地域への継続した関与を印象づけ、近年対立することの多いサウジとの関係改善の糸口を探っているようだ。

ブリンケン国務長官は「アメリカはこの地域にとどまる。そして、可能な限り明るく強い中東の未来を築くため、みなさんとの連携に深い努力を続ける」サウジの首都リヤドで7日、ペルシャ湾岸6カ国でつくる湾岸協力会議(GCC)の外相会合に参加したブリンケン氏はこう強調した。会合では、安全保障や経済面での協力拡大が話し合われた。

イラン政府は6日、長年対立してきたサウジアラビアにある自国の大使館を7年ぶりに再開させた。イランの国営テレビなどが報じた。イランは、冷え込んだ状態が続いてきたエジプトとの関係改善も模索しており、中東各地で緊張緩和の動きが続いている。

 イランとサウジは3月、中国の仲介により外交関係を正常化し、双方の大使館を2カ月以内に再開させることで合意していた。報道によると、両国の間では現在、直行便の復活やビジネスの再開に向けた検討が続いている。サウジにはイスラム教の聖地メッカがあり、イラン側にとっては、外交正常化により、巡礼に必要なビザの取得が容易になるメリットがある。

サウジは、アメリカと対立する中国・ロシア・イランとの関係を改善することで、矛盾を外交的に利用しようとしている。それによりアメリカを譲歩させたり、要求を聞き入れさせたりしようとしているようだ。バイデン米政権はサウジの実力者で、アメリカの意に沿わない外交政策を取るムハンマド皇太子を何とかコントロールしようとしている。

しかし、世界が多極化している中では、アメリカとサウジの間が、以前の友好的関係に戻ることはない。アメリカが目指すのはサウジをアメリカと対立する中国・ロシア・イラン関係の中立に立たせることであろう。中東産油国プラス1(=ロシア)の関係は、原油の価格維持という経済的利益でつながっており、アメリカの関係改善はたやすくはない。

アメリカは大統領選の時期に入りつつあり、原油価格を上げるための産油国プラス1の原油の減産はアメリカ経済を悪化させる。バイデンにとり大統領選挙で不利となる事態を避けることも、関係改善の狙いであり、そのための経済面での協力なのである。
#米・サウジ関係

OPECプラスの原油減産はアメリカへの挑戦!?

サウジアラビアは4月2日、5月から2023年末にかけて日量50万バレルの原油を自主的に減産すると発表した。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」で協調するとし、ロイター通信によると合計で約115万バレルの減産となる。

OPECプラスが昨年11月から続けている日量200万バレルの減産に加えて供給を抑えることで、低下気味の原油相場を上げる狙いだ。他の産油国も同調し、ロイターによるとイラクは21万1千バレル、アラブ首長国連邦(UAE)は14万4千バレル、クウェートは12万8千バレルを自主的に減産する。サウジのエネルギー省は「石油市場の安定を支えるための予防的措置」だと発表した。

石油輸出国機構にロシアを加えた「OPECプラス」は、原油価格が低下しはじめたのを高値に戻そうとしており、これはアメリカのFRBが金利上昇を続けることで物価を下げようとする努力を無にしかねない敵対的な行動である。アメリカ経済は物価の上昇で住宅ローンが焦げ付き、住宅ローン債権が暴落すると大金融危機に陥る可能性がある。アメリカが銀行の倒産が起きても、金利上げをやめられないことは、深刻な金融危機の可能性があるからだ。

バイデン米政権は2日の声明で「石油輸出国機構(OPEC)プラス」に参加する主要産油国が自主的に原油を減産すると決めたことに強く反発した。「市場の不確実さを踏まえると、このタイミングの減産は賢明ではない」と断じた。

米国家安全保障会議(NSC)の報道担当者は声明で「全ての生産者や消費者と協力を継続し、エネルギー市場が経済成長を支えてアメリカの消費者にとって価格が下がるように取り組む」と言及した。ホワイトハウスは22年10月にもOPECプラスが大幅減産を決めると「バイデン大統領は目先のことしか見ていない決定に失望している」と批判していた。

バイデン政権は、ウクライナのクーデターでできた極右政権を使い、ロシアを挑発してウクライナ戦争を始め、対ロシア経済制裁を実施したが、これは欧米にとってもエネルギー価格の高騰を招き、欧米経済に打撃を与え、金融危機寸前にまで追い詰めることとなった。バイデン政権の連続的な金利上げで、エネルギー価格が下がり始めるやOPECプラスが、昨年10月に続き、今回の5月からの原油の減産を決めたことは、アメリカの金融危機回避策への挑戦であり、今後のアメリカの巻き返しが注目される。

アメリカは物価を下げるため、さらに金利を上げれば、景気後退は避けられず、景気が悪化すれば失業が増大し、住宅ローンの焦げ付きが増大し、住宅ローン債権が暴落する。シリコンバレー銀行の倒産は金利上げに伴う債券価格の暴落が原因である。アメリカはウクライナ戦争でロシアを経済的に疲弊させて、プーチン政権の打倒を画策したのだが、今や逆にアメリカの金融危機を心配しなければならなくなりつつある。

アメリカ政府が中東に派遣している空母の撤退をやめたのは、中東の主導権がロシア・中国陣営に移りつつある中で、またイランとサウジの関係改善を中国が主導したことで、イスラエルが安全保障上の危機に直面し、中東の軍事情勢が流動化していることと無関係ではない。今後中東情勢から目を離せなくなった。
#OPECプラス #米金融危機

米軍の親イラン組織空爆の軍事的狙い!

アメリカ国防総省は23日、米軍がシリア東部で親イラン組織を空爆したと発表した。同日に過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討を目指す米軍など有志国連合の拠点が受けた無人機攻撃への対抗措置で、バイデン米大統領が指示した。アメリカは無人機攻撃を行った組織がイランの最高指導者ハメネイ師に直属するイラン革命防衛隊とつながりがあるとしている。

イランメディアは26日、シリアにあるイラン関連拠点への米軍の攻撃について、最高安全保障委員会の報道官が「イランは迅速に対応する」と語ったと報じた。23日に米軍がシリアの親イラン系組織への空爆を実施しており、対抗措置を警告してけん制する狙いとみられる。
イランのタスニム通信によると、報道官は「米政府は意図的に危機をつくり出し、うそをついている」と指摘した。イラン国営通信によるとイラン外務省報道官もアメリカによる攻撃を非難し「アメリカはシリアに違法に駐留している」などと主張した。

米軍は24日にシリア北東部の駐留拠点がロケット弾で攻撃を受けたと発表。米軍による23日の空爆への報復攻撃とみられている。バイデン米大統領は24日、カナダの首都オタワで開いた記者会見で「勘違いしないでほしい。アメリカはイランとの紛争を模索していない。しかし我々は人員を守るため強力な行動をする用意がある」と語った。新たな対抗措置を辞さない構えを示した。

先に中国の仲介でサウジとイランが外交関係を改善している。この関係改善でイスラエルの安全保障は危機に直面している。アラブ産油国を含むアラブ諸国は全体がいまやロシア・中国陣営に立っており、シリア東部に駐留する米軍が、イラン系の軍事組織への空爆に踏み切ったことは、明らかに外交的敗北への巻き返しの軍事的狙いがある、と見るべきであろう。

中東では米軍のイラク進攻がでっちあげの大量破壊兵器を口実に行われたこと、これと今回のウクライナ戦争を重ねて見ることで、世論が反米色を一段と強めている。当時のイラクがアメリカの挑発に乗り、クェートに侵攻したことと、ロシアがウクライナのNATO加入の挑発に乗り、ウクライナ侵攻に踏み切ったことが、双方ともアメリカの陰謀であったと見るのが中東の人々の戦争観なのである。また欧米の中東とウクライナ双方の戦争難民への扱いの格差が、中東の世論の反発を高め、反米色を促している。

アメリカがこうした中東の世論を覆すことは難しく、当面はシリア国内でのイラン系軍事組織への攻撃で、サウジとイランの関係改善で、動揺しているイスラエルの安全保障の意思を明確にすることが、今回のシリア国内のイラン系軍事組織への米軍の空爆の主要な狙いである。中国の仲介による、サウジとイランの関係改善は、アメリカの同盟国を危機に陥れるほどの外交的な敗北といえる。
#サウジとイランの関係改善

中東の主導権は中国・ロシアが握った

イランとサウジアラビアが、7年に及ぶ断交を解消し、外交関係を正常化させることで合意した。アメリカの中東への影響力の低下が指摘されるなか、合意を橋渡しした中国の目的は、どこにあるのかが注目されている。

今回、3カ国が連名で発表した共同声明には「サウジとイランの友好を支持する習近平(シーチンピン)国家主席の積極的な提案に両国が応じた」とわざわざ記され、中国の役割が強調された。合意後、王氏は中国メディアに「重要な成果が得られた。対話の勝利、平和の勝利だ」と勝ち誇った。

中東の地域大国であるサウジアラビアとイランが外交関係の正常化で合意したことは、イスラム教シーアー派とスンニ派を対立させ、イランを孤立させるというイスラエルとアメリカ中東戦略にとって、外交的敗北といえる。中国の狙いは、スンニ派アラブ諸国とイスラエルの関係改善を進め、イランを孤立させるというアメリカの中東外交の破綻にあったといえる。

アメリカ国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報担当調整官は10日、記者団に「地域の緊張を緩和するあらゆる努力を支持する」と述べて合意を歓迎しつつ、アメリカは「直接関与していなかった」と語った。カービー調整官は合意の効果が続くかどうかは「様子見だ」としつつ、「イランが本当に合意を守るかまだ分からない。イランは通常、約束を守るような政権ではない」と牽制した。

アメリカとサウジは長年、同盟国であったが、バイデン政権下で関係がぎくしゃくしている。特にウクライナ戦争では、中東産油国がロシア・中国陣営に立ち、その非米色が目立っている。ウクライナでのロシアの非道を欧米のメデアが宣伝するたびに「中東では非道が通常の事であった、イラクやアフガンではアメリカ軍は200万人も殺したではないか?」とのサウジ王家からの批判が出ていた。

報道によれば「イスラエル史上最も右寄り」とされる対パレスチナ強硬派のネタニヤフ政権が昨年12月末に発足した後、イスラエル軍はパレスチナ人約80人を殺害した。このため、パレスチナ独立国家の建設をイスラエルとの関係正常化の条件に掲げるサウジ政府が反発し、態度を硬化させて、サウジがイスラエルよりもイランとの和解を優先したとみられている。つまりサウジとイランの関係改善は、アメリカとイスラエルの外交的敗北といえるものである。バイデンの戦略観点の無さが露わになったといえる。

今回のイランとサウジアラビアの関係改善は2022年12月7日から10日まで、中国の習近平国家主席が、サウジアラビアを公式訪問し、中国サウジアラビア首脳会談、中国GCC(湾岸協力会議)サミット、そして初開催となる中国アラブ連盟サミットなど重要な首脳会談に参加したことが布石であった。

世界のエネルギーを握る中東の主導権は、アメリカ側から、サウジに接近した中国と、シリアと連携するロシアの側に移行したことは明らかだ。今後アメリカとイスラエルの側の巻き返しとしての、サウジ・イラン関係を破壊する陰謀・工作が激化するであろう。
#サウジ・イラン関係改善
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