ウクライナ戦争がもたらす変化について
セルゲイ・エイゼンシュテイン監督の映画「戦艦ポチョムキン」は、帝政ロシア時代の1905年に起きた戦艦ポチョムキン兵士の反乱を描いた映画である。この映画の「オデッサの階段」と呼ばれるオデッサの市民を虐殺する場面は、映画史上有名なシーンの一つである。つまりオデッサのあるウクライナは昔ロシア領であった。
ロシア軍のウクライナ侵攻は、ロシア政府にすれば旧ソ連時代の同胞が裏切り、敵であるNATO加盟を阻止するという大義名分があり、したがってロシア軍は領土占領欲から侵攻しているのではない。ウクライナにはロシア人も住んでおり、同胞への攻撃を強めている極右政権への反撃、安全保障という大義名分がある。それゆえアメリカが企んだプーチン政権の打倒は難しいのである。独裁国家は情報戦に強いのである。
アメリカはプーチン政権をNATO加盟で挑発し、侵攻したロシア軍戦車部隊を、準備していた携帯ミサイルとドローンで攻撃、撃破することには成功したかもしれないが、それは今後ロシア軍の近代化への動機づけをしたに等しい。プーチンにすれば交渉でウクライナの中立を勝ち取れば目的は達成したわけであり、したがってプーチンの支持率は今後上がるであろう。ロシア軍のウクライナ侵攻は旧東欧諸国を震え上がらせたので、これら諸国はNATOの中距離核ミサイルの配備が出来なくなるであろう。
欧州諸国がNATOへの依存を強めたが、ロシアの中国依存も強化した。世界の分断は国際経済への打撃となる。世界の覇権争いから見れば中国が「漁夫の利」を得て、アラブ連合やインドやアルゼンチンや、多くのアジア・アフリカ諸国が、ロシア・中国・イラン連合の支持もしくは中立の立場を表明したことは、アメリカの戦略的失敗を意味している。
ロシア、中国、イラン陣営の方が資源を押さえているだけに戦争の長期化には強いのである。今後も原油高は続くであろう。世界経済の分裂はアメリカ側の戦略的後退を意味している。多極化は世界通貨のブロック化でもあり、ドル支配は後退を余儀なくされる。アメリカはアフガニスタンに続きウクライナを見捨てたことで、同盟国の信頼を失うこととなった。アメリカはウクライナに派兵する気がないなら、ウクライナを「捨て駒」のように扱うべきではなかった。
特にロシア軍は、対携帯ミサイル、対ドローン対策を今後強化するであろう。このロシア軍の近代化は中国軍にも波及するので、アジアは重大な戦略的変化に見舞われるであろう。対携帯ミサイル、対ドローン対策として電磁波兵器が急速に研究開発、普及するであろう。
アメリカのバイデン政権が中国重視といいながら、実はそうではなくユーロ圏のロシアへの拡大を阻止するのが、今回のロシア挑発の狙いであったことが今後はっきりしてくるであろう。バイデンの戦略観点の欠如が、今後アメリカの政界で問題となるであろう。今後アメリカの覇権を奪うために対峙するであろう中国は、プーチンとは比べようのない戦略的巧妙さを持ち合わせていることを指摘しておかねばならない。
#ウクライナ戦争
ロシア軍のウクライナ侵攻は、ロシア政府にすれば旧ソ連時代の同胞が裏切り、敵であるNATO加盟を阻止するという大義名分があり、したがってロシア軍は領土占領欲から侵攻しているのではない。ウクライナにはロシア人も住んでおり、同胞への攻撃を強めている極右政権への反撃、安全保障という大義名分がある。それゆえアメリカが企んだプーチン政権の打倒は難しいのである。独裁国家は情報戦に強いのである。
アメリカはプーチン政権をNATO加盟で挑発し、侵攻したロシア軍戦車部隊を、準備していた携帯ミサイルとドローンで攻撃、撃破することには成功したかもしれないが、それは今後ロシア軍の近代化への動機づけをしたに等しい。プーチンにすれば交渉でウクライナの中立を勝ち取れば目的は達成したわけであり、したがってプーチンの支持率は今後上がるであろう。ロシア軍のウクライナ侵攻は旧東欧諸国を震え上がらせたので、これら諸国はNATOの中距離核ミサイルの配備が出来なくなるであろう。
欧州諸国がNATOへの依存を強めたが、ロシアの中国依存も強化した。世界の分断は国際経済への打撃となる。世界の覇権争いから見れば中国が「漁夫の利」を得て、アラブ連合やインドやアルゼンチンや、多くのアジア・アフリカ諸国が、ロシア・中国・イラン連合の支持もしくは中立の立場を表明したことは、アメリカの戦略的失敗を意味している。
ロシア、中国、イラン陣営の方が資源を押さえているだけに戦争の長期化には強いのである。今後も原油高は続くであろう。世界経済の分裂はアメリカ側の戦略的後退を意味している。多極化は世界通貨のブロック化でもあり、ドル支配は後退を余儀なくされる。アメリカはアフガニスタンに続きウクライナを見捨てたことで、同盟国の信頼を失うこととなった。アメリカはウクライナに派兵する気がないなら、ウクライナを「捨て駒」のように扱うべきではなかった。
特にロシア軍は、対携帯ミサイル、対ドローン対策を今後強化するであろう。このロシア軍の近代化は中国軍にも波及するので、アジアは重大な戦略的変化に見舞われるであろう。対携帯ミサイル、対ドローン対策として電磁波兵器が急速に研究開発、普及するであろう。
アメリカのバイデン政権が中国重視といいながら、実はそうではなくユーロ圏のロシアへの拡大を阻止するのが、今回のロシア挑発の狙いであったことが今後はっきりしてくるであろう。バイデンの戦略観点の欠如が、今後アメリカの政界で問題となるであろう。今後アメリカの覇権を奪うために対峙するであろう中国は、プーチンとは比べようのない戦略的巧妙さを持ち合わせていることを指摘しておかねばならない。
#ウクライナ戦争
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アメリカはウクライナをロシアに渡したいのか?
アメリカ政府の、ロシア軍がウクライナに侵攻するというバカ騒ぎで、ウクライナの米大使館なども放棄して首都から立ち退き、アメリカ人に退避を勧告している。ウクライナはもともと旧ソ連領であり、ウクライナにはロシア人もたくさんいる。親ロシア勢力も強い。
アメリカとロシアが双方とも産油国であり。ウクライナ情勢が緊迫することで原油が高騰することでアメリカもロシアも経済的利益を享受できる。中東の産油国はアメリカの兵器売却の顧客である。原油の高騰はアメリカ政府にはいいことずくめといえる。またロシアも原油高騰でぼろ儲けしている。ウクライナの軍事的緊張状態を作ることでアメリカとロシアは結託しているように見えるのである。しかし現在のウクライナ危機はそれだけではないように見える。
地政学的にアメリカがウクライナを守るのは、アフガニスタンと同じで不可能だ。アメリカ政府はアフガニスタンとは違うやり方でウクライナから撤退しつつあるように見える。つまりアメリカはウクライナを餌に、ロシア軍を侵攻させて、あるいはウクライナ政権を親ロシア派に握らせて、その対抗措置として、対ロシア経済制裁を強化し、そのことで欧州とロシアの経済的結びつきを断ち切ろうとしているように見える。
アメリカ政府が侵攻が始まってもいないのに、ウクライナの大使館を引き揚げ、アメリカ人の国外退去を進めるのは、ウクライナの親米勢力にとっては見捨てられるに等しい。つまりウクライナにおけるアメリカの影響力は今後消えていくことが避けられないのである。
少なくともバイデン政権の動きはウクライナをロシアに引き渡したいのか?と思えるほど逃げ腰なのである。今後ウクライナ政府が、親ロシアに変節することもあり得るであろう。
バイデン政権のこうしたウクライナ政策に対し、フランスとドイツが、ウクライナとロシアの4か国で今後の和平を話し合う方向を追求しているのは、欧州とロシアをウクライナ問題で分断するアメリカの戦略に反対しているからであろう。欧州はユーロ経済圏をロシアまで拡大したいのである。そうなればユーロはドルに並ぶ世界通貨の地位を手に入れることになる。
問題はロシアのプーチン政権が、ウクライナを勢力圏として確保し、それで支持率の回復を目指すのか?それとも欧州との経済圏を大事にするのか?という選択である。プーチンは軍事力という形ではなく、ウクライナのNATO加盟を阻止しつつ、欧州との緊張緩和を図るのではないかと思える。つまりバイデンの策にはのらない可能性が強いのである。プーチンにとっての経済的利益は天然ガスの売却先の欧州にある。アメリカとの関係を改善してもロシアの利益にはならない。原油の高騰では利害が一致するが、欧州とロシアの経済関係を遮断することはプーチンは避けるであろう。
つまりバイデン政権のウクライナ政策は、アフガニスタンとは違う撤退戦略で終わる可能性がある。ウクライナ問題での主導権はロシアと欧州の側にあるといえる。アメリカの世界覇権が相対的に衰退し、多極化の中での緊張状態は、大国間の不可解な合従連衡の時代なので、分かりにくい外交戦が繰り広げられるのである。事態は第2次世界大戦前の政治状況に酷似している。
#多極化の中での外交戦
アメリカとロシアが双方とも産油国であり。ウクライナ情勢が緊迫することで原油が高騰することでアメリカもロシアも経済的利益を享受できる。中東の産油国はアメリカの兵器売却の顧客である。原油の高騰はアメリカ政府にはいいことずくめといえる。またロシアも原油高騰でぼろ儲けしている。ウクライナの軍事的緊張状態を作ることでアメリカとロシアは結託しているように見えるのである。しかし現在のウクライナ危機はそれだけではないように見える。
地政学的にアメリカがウクライナを守るのは、アフガニスタンと同じで不可能だ。アメリカ政府はアフガニスタンとは違うやり方でウクライナから撤退しつつあるように見える。つまりアメリカはウクライナを餌に、ロシア軍を侵攻させて、あるいはウクライナ政権を親ロシア派に握らせて、その対抗措置として、対ロシア経済制裁を強化し、そのことで欧州とロシアの経済的結びつきを断ち切ろうとしているように見える。
アメリカ政府が侵攻が始まってもいないのに、ウクライナの大使館を引き揚げ、アメリカ人の国外退去を進めるのは、ウクライナの親米勢力にとっては見捨てられるに等しい。つまりウクライナにおけるアメリカの影響力は今後消えていくことが避けられないのである。
少なくともバイデン政権の動きはウクライナをロシアに引き渡したいのか?と思えるほど逃げ腰なのである。今後ウクライナ政府が、親ロシアに変節することもあり得るであろう。
バイデン政権のこうしたウクライナ政策に対し、フランスとドイツが、ウクライナとロシアの4か国で今後の和平を話し合う方向を追求しているのは、欧州とロシアをウクライナ問題で分断するアメリカの戦略に反対しているからであろう。欧州はユーロ経済圏をロシアまで拡大したいのである。そうなればユーロはドルに並ぶ世界通貨の地位を手に入れることになる。
問題はロシアのプーチン政権が、ウクライナを勢力圏として確保し、それで支持率の回復を目指すのか?それとも欧州との経済圏を大事にするのか?という選択である。プーチンは軍事力という形ではなく、ウクライナのNATO加盟を阻止しつつ、欧州との緊張緩和を図るのではないかと思える。つまりバイデンの策にはのらない可能性が強いのである。プーチンにとっての経済的利益は天然ガスの売却先の欧州にある。アメリカとの関係を改善してもロシアの利益にはならない。原油の高騰では利害が一致するが、欧州とロシアの経済関係を遮断することはプーチンは避けるであろう。
つまりバイデン政権のウクライナ政策は、アフガニスタンとは違う撤退戦略で終わる可能性がある。ウクライナ問題での主導権はロシアと欧州の側にあるといえる。アメリカの世界覇権が相対的に衰退し、多極化の中での緊張状態は、大国間の不可解な合従連衡の時代なので、分かりにくい外交戦が繰り広げられるのである。事態は第2次世界大戦前の政治状況に酷似している。
#多極化の中での外交戦

解体の危機にあるNATOは再生できるか?!
旧ソ連が解体し、NATOは東欧に拡大したが、同時に敵がなくなったNATOは内部矛盾を拡大した。アメリカが同盟国に防衛の負担を求め、NATO離脱を口にし、フランス大統領が「NATOは脳死状態だ」と口にするまでになった。
NATOの中核を担う米・仏・英・独の間でさえ認識の共有を図れなくなっているといわれている。ドイツはロシアから海底パイプラインを引いて天然ガスを購入し、その売却代金でロシアへの機械の輸出を企んでいる。しかもロシアのクリミア半島併合で東欧諸国が動揺し、中国が北欧とバルカン半島への浸透を強めている。
NATO加盟国のトルコは、アメリカ第一主義にならい、地中海の天然ガス田の占拠を狙いギリシャと対立し、地域覇権主義を強め、シリアに進出し、アゼルバイジャンに派兵し、影響力を拡大し、ロシアから対空ミサイルシステムS400を導入し、アメリカの怒りを買い、経済制裁を受ける身となった。
アメリカはF35を共同開発してきたトルコに、F35ステルス戦闘機100機の売却を中止し、ポンペイオ米国務長官は「ロシアとの防衛・情報分野の重大な取引は容認しない」と語り、経済制裁を発表した。トルコはNATO加盟国であるが、いまや敵国扱いだ。
ロシアのクリミア半島併合に経済制裁しか手を打てなかったことは、結果としてロシアを世界覇権を狙う中国の側に追いやり、トルコとイラン、ロシア、中国の巨大な連合が出来つつある。
アメリカのバイデン新政権が「NATOは脳死状態だ」といわれるNATO同盟国との関係を改善するのは簡単ではない。アメリカが、ロシア・中国陣営に対するどのような世界戦略を提起するのか注目される点である。
トランプ政権が行った「アメリカ第一主義」で、世界に戦略的空白が生まれた。トルコはオスマントルコ帝国の復活を夢見て地域覇権主義に走り、ロシアは旧ソ連時代の勢力圏再興を夢見ている。中国覇権主義の野心はもっと大きく世界支配を夢見ている。流動化した世界情勢はコロナパンデミックと経済危機の混乱の中で、1930年代と似た混乱期を迎えつつある。
アメリカが中国とロシアの間にどのようなくさびを打ち込むのか?中東と欧州でアメリカが戦略的主導権を回復できるのか、注目される点である。またこれと関係して中国よりも対ロシア戦略を重視するバイデン政権が、どのようなアジア戦略を提起するのかも重要な注目点である。
#NATOの再生
NATOの中核を担う米・仏・英・独の間でさえ認識の共有を図れなくなっているといわれている。ドイツはロシアから海底パイプラインを引いて天然ガスを購入し、その売却代金でロシアへの機械の輸出を企んでいる。しかもロシアのクリミア半島併合で東欧諸国が動揺し、中国が北欧とバルカン半島への浸透を強めている。
NATO加盟国のトルコは、アメリカ第一主義にならい、地中海の天然ガス田の占拠を狙いギリシャと対立し、地域覇権主義を強め、シリアに進出し、アゼルバイジャンに派兵し、影響力を拡大し、ロシアから対空ミサイルシステムS400を導入し、アメリカの怒りを買い、経済制裁を受ける身となった。
アメリカはF35を共同開発してきたトルコに、F35ステルス戦闘機100機の売却を中止し、ポンペイオ米国務長官は「ロシアとの防衛・情報分野の重大な取引は容認しない」と語り、経済制裁を発表した。トルコはNATO加盟国であるが、いまや敵国扱いだ。
ロシアのクリミア半島併合に経済制裁しか手を打てなかったことは、結果としてロシアを世界覇権を狙う中国の側に追いやり、トルコとイラン、ロシア、中国の巨大な連合が出来つつある。
アメリカのバイデン新政権が「NATOは脳死状態だ」といわれるNATO同盟国との関係を改善するのは簡単ではない。アメリカが、ロシア・中国陣営に対するどのような世界戦略を提起するのか注目される点である。
トランプ政権が行った「アメリカ第一主義」で、世界に戦略的空白が生まれた。トルコはオスマントルコ帝国の復活を夢見て地域覇権主義に走り、ロシアは旧ソ連時代の勢力圏再興を夢見ている。中国覇権主義の野心はもっと大きく世界支配を夢見ている。流動化した世界情勢はコロナパンデミックと経済危機の混乱の中で、1930年代と似た混乱期を迎えつつある。
アメリカが中国とロシアの間にどのようなくさびを打ち込むのか?中東と欧州でアメリカが戦略的主導権を回復できるのか、注目される点である。またこれと関係して中国よりも対ロシア戦略を重視するバイデン政権が、どのようなアジア戦略を提起するのかも重要な注目点である。
#NATOの再生

中国覇権主義に対抗する戦略が必要!
中国の習近平主席は台湾の武力解放を公然と口にしている。いまや空母2隻を保有する中国の前に台湾は風前の灯火ともいえる危機にある。
ところが中国政府が香港に「国家安全維持法」を施行させたことで事態は台湾に追い風となった。アメリカの政界で「台湾を守るべき」との声が高まっているのだ。アメリカ上院には「台湾防衛法案」が提出され。下院には近く「台湾進攻防止法案」が提出される。
中国社会帝国主義は現在世界最大の戦争勢力となっており、「中華民族の偉大な復興」「中国の夢」を実現すべくアメリカの覇権に挑戦している。中国はハワイ以西の西太平洋を自己の管轄海域とすべく、現在海軍力の増強に取り組んでいる。この中国拡張主義に台湾や日本やフィリピンやベトナムが一国だけで対抗するのは不可能だ。
アジアの各国が国防費を大きく増やすことなく中国拡張主義を抑え込むには、中国の戦国時代の西の大国、秦に対抗すべく蘇秦が考え出した6か国(燕・斉・趙・韓・魏・楚)の「合従の策」しかない。
現在の国名で上げれば米・日・韓に台湾・フィリピン・ベトナムを加えた6か国の民主主義連合を構築する以外、中国拡張主義に対抗するすべはないように見える。中国政府は経済力を背景に一国ごとに「連衡」する戦略であるので、東アジアに中国の戦国時代と同じ「合従連衡」の戦略関係が現出しようとしている。
今のところアメリカは「台湾防衛法案」にみられるだけの動きであるが、それはトランプ政権に戦略がないからであって、中国覇権主義の暴走が確実な情勢が明白になれば、中国覇権主義に対抗するアメリカを中心にした6か国連合=「合従の策」がアジア戦略として、現実味を持つようになるであろう。
軍事費を倍増せずに、一戦も交えずに中国覇権主義を押さえこむには「合従の策」をアジア戦略として、アメリカ政府に戦略提起するしかないであろう。この「合従の策」の柱は日米同盟になるのは避けられない。「闘わずして勝つ」これが官僚独裁国家=中国覇権主義に対抗する最も安上がりな戦略なのである。
#国家安全維持法 #「合従連衡」の戦略関係
ところが中国政府が香港に「国家安全維持法」を施行させたことで事態は台湾に追い風となった。アメリカの政界で「台湾を守るべき」との声が高まっているのだ。アメリカ上院には「台湾防衛法案」が提出され。下院には近く「台湾進攻防止法案」が提出される。
中国社会帝国主義は現在世界最大の戦争勢力となっており、「中華民族の偉大な復興」「中国の夢」を実現すべくアメリカの覇権に挑戦している。中国はハワイ以西の西太平洋を自己の管轄海域とすべく、現在海軍力の増強に取り組んでいる。この中国拡張主義に台湾や日本やフィリピンやベトナムが一国だけで対抗するのは不可能だ。
アジアの各国が国防費を大きく増やすことなく中国拡張主義を抑え込むには、中国の戦国時代の西の大国、秦に対抗すべく蘇秦が考え出した6か国(燕・斉・趙・韓・魏・楚)の「合従の策」しかない。
現在の国名で上げれば米・日・韓に台湾・フィリピン・ベトナムを加えた6か国の民主主義連合を構築する以外、中国拡張主義に対抗するすべはないように見える。中国政府は経済力を背景に一国ごとに「連衡」する戦略であるので、東アジアに中国の戦国時代と同じ「合従連衡」の戦略関係が現出しようとしている。
今のところアメリカは「台湾防衛法案」にみられるだけの動きであるが、それはトランプ政権に戦略がないからであって、中国覇権主義の暴走が確実な情勢が明白になれば、中国覇権主義に対抗するアメリカを中心にした6か国連合=「合従の策」がアジア戦略として、現実味を持つようになるであろう。
軍事費を倍増せずに、一戦も交えずに中国覇権主義を押さえこむには「合従の策」をアジア戦略として、アメリカ政府に戦略提起するしかないであろう。この「合従の策」の柱は日米同盟になるのは避けられない。「闘わずして勝つ」これが官僚独裁国家=中国覇権主義に対抗する最も安上がりな戦略なのである。
#国家安全維持法 #「合従連衡」の戦略関係

中国政府の強気外交を支える中ロイ独裁連合!
戦略観点を欠いた指導者が進める自国優先主義ほど始末に悪い外交はない。欧米のクリミア問題に端を発した対ロシア経済制裁は、ロシアを中国の側に追いやる結果となった。ロシアはコロナと対ロ制裁、さらには原油価格の暴落で経済が大打撃を受けた。
もともとの対ロ経済制裁は、東欧諸国をNATO拡大の好機として、またEU拡大の好機として欧米側が仕掛けたものに、ロシアが一大軍事基地として戦略的価値の高いクリミア半島を併合したものであり、ロシアからすれば防衛的な性格を持っものであった。つまり欧州方面だけを地政学的に見れば、NATO拡大で勢力圏を拡大した故に、結果としてロシアを中国の側に追いやることになった。
世界情勢を地政学的に見れば、上記のロシアを中国の側に追いやったことで、中国はロシアからの原油輸入を自国の原油輸入の20%から30%へ拡大し、経済的苦境のロシアを支援した。プーチン大統領は中国の習近平との電話会議で「ウイルスの発生源をめぐり中国の顔に泥を塗るやり方は受け入れられない」と語り、アメリカを批判した。両国は東シベリアから中国への2本目の天然ガスのパイプライン事業化で合意した。またロシアは次世代通信規格「5G」の通信機器で中国製を採用することを決めた。中国政府の強気の外交の背景に「ユーラシア連合」という戦略的優位があることを見て取るべきである。
トランプ大統領が欧州の反対を押し切ってイラン核合意を破棄し、イランへの経済制裁に乗り出したのも、世界戦略から見れば中国の「一対一路」戦略を側面支援することとなった。こうして中国・ロシア・イラン・東欧に至るユーラシア全体が中国の勢力下に置かれる事態を生み出した。ロシアの経済規模は中国の10分の1にすぎず、経済的影響は小さいとはいえ、軍事的に見れば中・ロ・イの3国同盟はアメリカに対抗しうる力となる。
また日本から見れば、欧米の戦略的愚策によって日本は南北に敵を持つ2正面の戦略的不利を背負うことになる。アメリカの戦略的視点のない自国優先主義が、日本の安全保障を危機に追いやっていることを自覚もせず、トランプに遂随する安倍首相の戦略観点のなさはどうしょうもない。
フランスのマクロン大統領が、ロシアに中国と距離を置くよう求め、欧州連合(EU)に対し、「北京主導の中ロ枢軸」を阻止するため、対ロ経済制裁緩和によるロシアとの関係改善を訴えたのは世界戦略を理解していて、さすがというべきだ。
世界を地政学的に見れば中・ロ・イの3国同盟の軍事的矛先は日本とEUが受けることとなる。日本政府の外交的無策は今に始まったことではないが、今こそ日本がロシアと中国の間にくさびを打ち込む外交を行うべきなのだ。日本は対ロ制裁から離脱してロシアの経済的苦境に手を差し伸べ、大胆にロシア支援を行うべきである。アメリカは中国との覇権争奪には日本との同盟が重要であり、アメリカの戦略から見ても中国からロシアを引きはがすことは、戦略的に重要な意味を持つのであるから、アメリカは反対しないであろう。
少なくともアメリカの金融資本と産軍複合体はトランプ再選阻止で一致したようなので、次期大統領のバイデン政権は、中国の戦略的孤立化を追及するであろう。安倍政権は対ロシア外交と、中国経済依存の克服へと外交を転換すべき時である。
#中国の戦略的優位 #中ロイ三国同盟 #北京主導の中ロ枢軸
もともとの対ロ経済制裁は、東欧諸国をNATO拡大の好機として、またEU拡大の好機として欧米側が仕掛けたものに、ロシアが一大軍事基地として戦略的価値の高いクリミア半島を併合したものであり、ロシアからすれば防衛的な性格を持っものであった。つまり欧州方面だけを地政学的に見れば、NATO拡大で勢力圏を拡大した故に、結果としてロシアを中国の側に追いやることになった。
世界情勢を地政学的に見れば、上記のロシアを中国の側に追いやったことで、中国はロシアからの原油輸入を自国の原油輸入の20%から30%へ拡大し、経済的苦境のロシアを支援した。プーチン大統領は中国の習近平との電話会議で「ウイルスの発生源をめぐり中国の顔に泥を塗るやり方は受け入れられない」と語り、アメリカを批判した。両国は東シベリアから中国への2本目の天然ガスのパイプライン事業化で合意した。またロシアは次世代通信規格「5G」の通信機器で中国製を採用することを決めた。中国政府の強気の外交の背景に「ユーラシア連合」という戦略的優位があることを見て取るべきである。
トランプ大統領が欧州の反対を押し切ってイラン核合意を破棄し、イランへの経済制裁に乗り出したのも、世界戦略から見れば中国の「一対一路」戦略を側面支援することとなった。こうして中国・ロシア・イラン・東欧に至るユーラシア全体が中国の勢力下に置かれる事態を生み出した。ロシアの経済規模は中国の10分の1にすぎず、経済的影響は小さいとはいえ、軍事的に見れば中・ロ・イの3国同盟はアメリカに対抗しうる力となる。
また日本から見れば、欧米の戦略的愚策によって日本は南北に敵を持つ2正面の戦略的不利を背負うことになる。アメリカの戦略的視点のない自国優先主義が、日本の安全保障を危機に追いやっていることを自覚もせず、トランプに遂随する安倍首相の戦略観点のなさはどうしょうもない。
フランスのマクロン大統領が、ロシアに中国と距離を置くよう求め、欧州連合(EU)に対し、「北京主導の中ロ枢軸」を阻止するため、対ロ経済制裁緩和によるロシアとの関係改善を訴えたのは世界戦略を理解していて、さすがというべきだ。
世界を地政学的に見れば中・ロ・イの3国同盟の軍事的矛先は日本とEUが受けることとなる。日本政府の外交的無策は今に始まったことではないが、今こそ日本がロシアと中国の間にくさびを打ち込む外交を行うべきなのだ。日本は対ロ制裁から離脱してロシアの経済的苦境に手を差し伸べ、大胆にロシア支援を行うべきである。アメリカは中国との覇権争奪には日本との同盟が重要であり、アメリカの戦略から見ても中国からロシアを引きはがすことは、戦略的に重要な意味を持つのであるから、アメリカは反対しないであろう。
少なくともアメリカの金融資本と産軍複合体はトランプ再選阻止で一致したようなので、次期大統領のバイデン政権は、中国の戦略的孤立化を追及するであろう。安倍政権は対ロシア外交と、中国経済依存の克服へと外交を転換すべき時である。
#中国の戦略的優位 #中ロイ三国同盟 #北京主導の中ロ枢軸
