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戦略的空白であったインド洋を誰が握るのか!

オバマ政権は「戦略的重点をアジアに移す」といいながら、中国海軍のインド洋進出を8年間も放置した。その間中国は「債務の罠」でスリランカを手に入れ、パキスタンの港と北アフリカのジブチの基地を手に入れた。いわゆる「一帯一路」の戦略構想と、それを具体化するインド洋の軍事港湾の拠点化を目指す「真珠の首飾り」と呼ばれるインド洋支配である。
インド洋は世界の海上エネルギーの3分の2の輸送路であり、コンテナ輸送の半分が通っている戦略輸送路である。このシーレーンを支配するために中国は昨年1年間で駆逐艦9隻、コルベット艦など計23隻を建造した。軍事力再建を進めるアメリカでさえ昨年8隻を建造したに過ぎない。

昨年11月のスリランカの大統領選で、親中国派のゴタヤ・ラージャパクサ氏が勝利した。スリランカには昨年アメリカの艦船が18隻寄港した。重要な拠点が中国に奪われることになりかねない。中国はミヤンマーから雲南省へのパイプラインを建設しつつあり、ミヤンマーの港は日本の援助で建設したのだが、中国が使用することになった。またパキスタンから中国へのパイプライン建設の計画もある。

中国は南シナ海を軍事封鎖されることを前提に、インド洋戦略を進めていると思われる。日本やアジア諸国やオーストラリアにとっては、中国にインド洋を支配されるとエネルギーを絶たれることになる。

インド洋覇権をめぐるアメリカの対抗策は、アメリカ、インド、オーストラリア、日本の「4か国戦略対話」で、インドを取り込もうとしているが、インドは今でもロシア製の兵器が大半であり、中国とロシアの「上海協力機構」にも参加している。

つまりインドはアメリカ側と中国・ロシア側と等距離外交を堅持しているのである。トランプ大統領が、最近インドを訪問したのも、今年1月にアメリカ国務省のアリス・ウエルズ主席副次官がスリランカを訪問したのも、アメリカの外交的巻き返しのように見えるが、同じ時期に、中国の外相とロシアの外相がスリランカを訪問している。スリランカは中ロに戦略的に囲い込まれたと見るべきである。

こうして中国海軍の艦船や潜水艦がインド洋を支配下に収めつつある。アメリカがトランプのインド訪問で、インドに対潜ヘリなどの売却に応じたのは、中国海軍のインド洋支配に対抗するものといえる。
アメリカが対イランのホルムズ海峡防衛の「有志連合」に、日本や韓国の艦艇などの派遣を求めたのも、真の狙いはインド洋戦略にあることは明らかである。米中のインド洋の覇権をめぐる争いは両国の建艦競争にも表れている。この面では財政的に中国が優位にあり、アメリカは同盟国に頼るほかない。

オバマ政権からの9年間、アメリカがインド洋に無関心で、戦略的に無策であった点を中国に付け込まれたといえる。ポンぺオ国務長官はヘリテージ財団の総会で演説し、中国のインド洋支配に対抗する「4か国戦略対話」に触れ「我々は9年間も休眠したままだった」と、インド洋戦略を放置したことを反省気味に指摘した。

安倍首相はトランプ米政権の求める、同盟国への駐留米軍費用5倍負担は「大事の前の小事」であり、戦略的視点で同盟国への対応を考えるよう求めるべきである。インド洋覇権をアメリカ一国だけで軍拡競争するのではなく同盟国で協力し、対応すれば、中国は軍拡競争でつぶれたソ連と同じ道を進むことになる。逆にアメリカが同盟国と対立を深めれば、それは中国を利するだけであることを理解させるべきであろう。
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