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米中対立と戦争で欧州経済は危機に!

ウクライナ戦争は、エネルギーをロシアに頼る欧州経済を直撃した。対ロシア経済制裁は欧州経済を窮地に陥れた。物価高騰に揺れる欧州ではデモとストが続発し、極右が台頭している。ウクライナ戦争と米中対立がグローバル経済を分断しつつあり、欧州経済は危機に直面している。最近の欧州経済をめぐる報道を並べると以下の通りである。

ドイツのこれまでの経済成長モデルが破綻した。「ロシアの安いエネルギー」「アメリカに頼る低コストの安全保障」「巨大市場である中国への輸出」という3本柱の成長戦略がロシアのウクライナ侵略と米中対立で行き詰まっている。

ドイツ連邦統計庁が30日発表したドイツの2022年10〜12月期の実質国内総生産(GDP)は速報値で前期比0.2%減だった。明確なマイナス成長は7四半期ぶり。ウクライナ危機に伴う資源高でインフレ率が高止まりし、企業や家計に逆風が強まった。市場予想の成長率はゼロ%だった。独ソフトウエア大手SAPは26日、全従業員の2.5%に相当する約3000人を今春までに削減すると明らかにした。ドイツでは極右が台頭しており、クーデター計画までもが露見した。

ハンガリー、オルバン政権が猛烈なインフレで揺れている。スタンドに長い行列ができ、スト中の教師が首都ブダペストの街頭で賃上げ要求を叫び、小規模事業者が増税反対デモに繰り出す。ハンガリーの経済的な混乱と、それに対する国民の反発は、右派政権を率いるオルバン首相にとっては想定外の展開で、補助金の支払い凍結を巡る欧州連合(EU)との対立激化を招く恐れがある、と報道されている。

オランダのヘルスケア大手フィリップスは30日、新たに約6000人の従業員を削減する方針を明らかにした。ロイ・ヤコブス最高経営責任者(CEO)は同日開いた2022年12月期の決算記者会見で「厳しい状況で、さらに抑制が必要になる」と語った。22年10月発表分と合わせ、人員削減は全従業員の13%に相当する計1万人に上る。

フランス内務省は19日、政府の年金制度改革案に反対して国内各地で同日行われたデモの参加者が計約112万人だったと発表した。地元メディアが伝えた。改革案は、年金の支給開始年齢を62歳から64歳に引き上げることが柱。デモが100万人を超す規模となったことで政府への逆風が強まった。

スイス東部で開催中の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)は17日、ロシアのウクライナ侵攻による経済への影響が主要議題となった。欧州各国は防衛増強とエネルギーの脱ロシアを相次ぎ表明したが、財政や家計の負担は一段と増す。地政学リスクの高まりで安全保障と経済が不可分になり、欧州経済は危機を深め、社会的に極右が台頭している。

英国の欧州連合(EU)離脱から31日で3年になる。離脱が物価高騰を招いたとの見方があり、世論調査では5割超が「離脱は間違いだった」と答える。通関手続きが複雑になり、貿易の伸びも主要7カ国(G7)で最低だ。それでも政界は混乱を恐れ、与野党ともEU再加盟には否定的だ。
英自動車工業会は26日、2022年の自動車生産台数が前年比約10%減の約77万5千台だったと発表した。6年連続の減少で、1956年以来66年ぶりの低水準に落ち込んだ。英国と大陸欧州をつなぐ高速鉄道ユーロスターは、英国の欧州連合(EU)離脱後の国境管理協定が招いた混乱のために、朝のピーク時に座席を3分の1以上空にして列車を走らせることを余儀なくされている。

欧州の大手金融機関が世界金融危機以来となる大規模な人員削減に動き出している。背景には、投資銀行部門の落ち込みを受けて、経営者がコスト削減を迫られていることがある。
既にアメリカのIT企業の大リストラが始まっており、中国の経済も、ゼロコロナ政策の失敗で経済成長が鈍化している。とりわけひどいのが欧州経済であり、戦争と米中対立の影響をもろに受けることになった。ウクライナへの軍事援助疲れも出始めており、今後欧州の極右台頭と、新しい経済成長モデルを作れるのかが注目点とされている。
#欧州経済の危機
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危険な欧州各国での極右の台頭!

イタリアの上下院の総選挙で右翼政党「イタリアの同胞(FDI)」が得票率で両院ともに26%を超え、戦後初めて「極右」のメローニ氏が首相に就くことになった。この勝利の背景には、高騰する物価高の中で有権者が物価高を解決してくれることを期待して「極右」を支持したことが明らかで、今後欧州全体にこの傾向が広がると言われている。

スペインの右翼政党「VOX」のアバスカル党首は、イタリアの同胞に対し「何百万人もの欧州の人々がイタリアに希望を託している。(メロー二氏は)誇りある自由な主権国家への道を示した」とほめそやした。

反EUのフランスの「国民連合」も、6月の総選挙で前回の10倍を超える議席を獲得した。「国民連合」は、「今回のイタリアの選挙結果を教訓にEUは謙虚になるべきだ」との主張をしている。重要なことは「国民連合」が移民反対と高物価反対でフランス政治の主流勢力になりつつあるということだ。

9月11日のスウェーデンの総選挙では移民排斥を訴えた「スウェーデン民主党」を含む野党右派が勝利し、中道左派政権のアンデション首相は辞意を表明している。オーストリアでも極右が力を持っている。

現在ロシアと戦争しているウクライナの政権も極右である。この政権はアメリカのクーデターで政権を獲得したので親米派だが、欧州各国で台頭している極右は親ロシア派が多い。総じて反移民・物価高騰反対で勢力を拡大しているのである。

今後冬にかけてエネルギー価格の高騰で、今後も欧州で極右の台頭が続くことは避けられず。しかも世界中で高物価で野党勢力が台頭していること、中国・ロシア・イランの独裁連合が反米の傾向を強め、世界を二分しつつある。

産油国プラスが価格カルテルで原油の高値維持を目指している中で、つまり物価高騰が今後も続く中で、欧州での極右の台頭は無視できない政治傾向であり、それが世界的な経済危機と、米中の覇権争いが絡むと、第3次世界大戦への流れを心配しなければならない。これまで二つの世界大戦が勃発した欧州で、極めて危険な流れが起きているのである。
#欧州での極右の台頭

欧州はアメリカを排除した形のウクライナ和平目指す!

 ウクライナ問題でのアメリカと欧州の戦略の違いが明白になってきた。オースティン米国防長官は12日、ウクライナに訓練目的で駐留する米兵160人に対し、他の欧州諸国に移動するよう命じた。ロシア国防省は12日、千島列島のウルップ島(得撫島)周辺での軍事演習中に米原潜を発見し、領海侵犯を理由に浮上を命じたが無視されたため、露太平洋艦隊に所属するフリゲート艦が「対応する措置」を取ったと発表した。アメリカは欧州への米兵の増派を一層進めている。アメリカは何が何でもロシアとの緊張状態を作り出そうとしているように見える。

 これに対し、欧州は対話による和平の維持を目指しているように見える。フランス大統領府の声明によると、マクロン大統領はプーチン氏との会談で、ウクライナ情勢や欧州の安全保障をめぐり、対話を続ける意思を確認。プーチン氏に対し、緊張が高まれば、誠実な対話はできないと伝えた。マクロンとウクライナのゼレンスキー氏との会談では、フランス、ドイツ、ロシア、ウクライナの4カ国による対話を継続する意思を確認した。フランスは、アメリカを加えない形で、フランス、ドイツ、ロシア、ウクライナの4カ国による和平協議を進め、緊張緩和を実現しようとしている。

 アメリカは、ウクライナへのロシア軍が侵攻した場合の経済制裁に対抗し、ロシアが欧州への天然ガス供給を止めた場合、日本が契約確保している天然ガスから約60万トン分を欧州に回すことを約束したと報道されている。日本はロシアから天然ガスの10%を購入している。ロシア制裁となると欧州に天然ガスを60万トンも回す余裕などない。アメリカは何が何でも対ロシア制裁を実施し、ユーロ圏のロシアへの拡大を阻止したいのである。

 しかしアメリカのこの欺瞞的なロシア軍のウクライナ侵攻のカラ騒ぎは、欧州とロシアに見抜かれている。アメリカが本当にウクライナを守るのなら、米兵をなぜウクライナに派兵しないのか?アメリカが最近アフガンスタン政府軍を見捨てたことは全世界が知っており、またアメリカ金融資本が最近中国への投資を増やしていることも知っている。バイデンの中国重視戦略は嘘であり、実際は欧州とロシアの間を分断することにアメリカの戦略の狙いがある。

 したがってドイツとフランスがウクライナ政府とロシア政府との話し合いで、アメリカを排除した形で緊張緩和を目指す方向なので、アメリカの戦略は失敗することが確実なのである。それゆえアメリカは極東の千島列島での、米原潜を領海侵犯させて対ロシアとの緊張激化を画策していると見るべきであろう。ウクライナ問題の主導権は欧州とロシア側にある。欧州は対ロシアとの冷戦は望んではいないのである。何よりもウクライナ政府が「ロシア軍は侵攻を行う配置は取っていない」と述べている。
 バイデン外交は分かりにくいだけでなく、同盟国の欧州の戦略的拡大阻止を狙うなど、対中国重視戦略とはとても言えないのである。
#バイデンのウクライナ外交の欺瞞 

アメリカはロシアのウクライナ侵攻を予想

 バイデン米大統領は19日、就任から1年の節目を前にホワイトハウスで記者会見を開き、緊迫するウクライナ情勢についてプーチン大統領の今後の判断について「彼は動くと予想する」と述べ、侵攻に出る可能性を指摘した。また侵攻すれば、「ロシアにとって大惨事となるだろう」とし、大規模制裁でロシア経済が打撃を受けることになると述べた。

 またブリンケン国務長官は19日、ウクライナを訪問してゼレンスキー大統領らと会談し、緊張が続くロシア軍への対応に一致して取り組むことを確認した。ブリンケン氏は「非常に短期間のうちに、ロシアがウクライナに攻撃的な行動をとることも可能になる」と強い警戒感を示した。

 つまりアメリカ政府は、ロシアのウクライナ侵攻を予測しながら、米軍は派遣せず経済制裁を行うと言っているのである。つまりアメリカはロシアにウクライナ侵攻をさせたいのである。そうなればEUの東へのユーロ圏拡大は阻止され、EUのロシア経済取り込みは破綻する。

 バイデン政権はアジア重視といいながら、実際には欧州重視であり、ユーロ圏拡大を阻止し、世界通貨としてのドルの地位を保ちたいのである。そのためにはウクライナ問題を利用して、EUとロシアの対立を決定的にしたいということだ。ウクライナへのロシアの侵攻で、EUはNATOへの依存を強めざるを得ない。

 中国はウクライナ問題が、台湾問題と重なるので、ロシアのウクライナ侵攻は台湾進攻の好機である。ロシアのウクライナ侵攻は欧州との関係を重視する中国政府には表向きには支持できない、しかし本音は大いに期待しているとみてよい。アメリカとの覇権争いを考慮すれば、ロシアと中国の同盟強化は習近平にとって「棚からぼた餅」なのである。

 プーチンは、ウクライナ侵攻の脅しでEUを揺さぶっている。ユーロ圏の東方への拡大の願望を、ウクライナ侵攻で破たんさせるぞとの脅しで、ロシアは欧州に妥協を迫っているのである。NATOはトルコの裏切りと、ロシアの揺さぶりで解体の危機に直面している。

 日本にすれば中国とロシアの同盟強化は、2正面戦略であり絶対に避けなければならない。ゆえにロシアを中国側に追いやるアメリカの戦略は、亡国につながるほどの安全保障上の危機なのである。

 世界の多極化は、複雑で不可思議な合従連衡の局面に入っているということであり、米中対立で、ロシアと日本の戦略的地位が高くなっているのである。ゆえに日本の政治家は対米自立を目指し、日本の安全保障を担保する独自の戦略を持つ心構えが最も重要となることを指摘しなければならない。
#ロシアのウクライナ侵攻

日産ゴ―ン逮捕劇は国策クーデターだ!

日産自動車を立てなおした1番の功労者であったカルロス・ゴ―ン会長とその側近グレック・ケリー氏逮捕は有価証券取引書の虚為記載という名目だ。しかしこの虚為記載は脱税ではなく、「自分の報酬を大きく見せたくなかった」から年10億円を積み立てて後払いにしたもので悪質なものではない、というのが一般的な見方であり、専門家の間には公判が維持できるのか危惧する向きもある。このことがこの事件の背景を詮索させることになった。

ゴ―ン氏のルノ―CEO職は2018年までであった。ルノーの最大の株主はフランス政府であり、フランス政府はゴ―ン氏のルノ―CEO職を4年延長する条件として、高利益を上げる日産をフランスの会社にするためにゴ―ンに「ルノーと日産の関係を後戻りできない不可逆的なものにする」との条件を付けた。ゴ―ン氏はこの条件を受け入れた。

これを知った日産側がゴ―ン氏の追い出しのクーデターを画策した。しかし9名の取締役の内ゴ―ン派が5人を占めているので日本の政権幹部に相談し、司法取引で検察を巻き込んだというのがあらましの筋書きのようだ。ゴ―ン会長とグレック・ケリー氏は容疑を否認して争う姿勢であるので、今後の焦点は会社の私物化、背任罪が立証できるのかが焦点になる。ルノーは日産の株式を43,4%持ち、日産はルノ―の株を15%持っている。このままでは日産はフランスの会社になるところだった。現在のルノ―は落ち目で日産の利益に依存する側面が強く、ルノ―はフランスで雇用を維持するためには日産を完全支配下に置き、日産の車をフランスで生産するしかない。

日産側にすればルノ―との研究陣を統合し、日産の優れた技術者が次々やめていく中で危機感が強まり、高い報酬を奪うかのような強欲なゴ―ン会長に反発が強まり、今回のクーデターとなったようだ。今後の焦点は臨時の株主総会でゴ―ン会長とグレック・ケリー氏の取り締まり役を解任できるのか?ルノーは日産の株式を43,4%持ち、最大の株主であり、解任には50%以上の株主の支持がいる。またルノーの最大の株主がフランス政府なのであるから、ゴ―ン・ショックは政治問題となる可能性がある。

一部に「ゴ―ン・ショックの後ろにアメリカがいる」アメリカは中国に軍事技術を売るフランスが気にくわない。とりわけマクロンはトランプを批判している、という「アメリカ黒幕説」は今のところ定かではない。
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