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トランプ政権の特徴と多極化について!

トランプ大統領は自分が不動産業の中で会得した「デール」(取引)の手法を外交に使っている。だから現象的に見るとトランプ大統領があたかも多極化を進めているように現象するが、事実はそうではない。評論家の一部にトランプがあたかも隠れ多極主義者であるかの論さえ生まれている。

トランプは貿易交渉で同盟国に譲歩を迫るために、しばしば強硬なスタンスを取る。だから現象的にはあたかも同盟関係を傷つけ、破壊する孤立主義であり、多極化を目指しているかのように見える。シリアから米軍を撤兵させ、ロシアに中東の主導権を渡すかのように見える。またトランプはアフガニスタンからも撤兵したがっている。これらはトランプが経済人出身らしく、アメリカを経済的に立て直そうという表れであり、トランプ大統領は多極化を目指しておらず。むしろ強いアメリカの復活を目指している。国際情勢をみる上で重要なのは現象を分析することであり、現象を本質と見間違えないようにすることである。

世界の多極化は資本主義経済の不均等発展の結果であり、世界が経済的に発展し、中国が経済的力を高め、世界に占めるアメリカの経済比率が相対的に弱体化している表れであり、誰かが主導的に世界の多極化を進めているわけではないことを知らねばならない。重要なのは「見える」という現象と本質は違うということだ。トランプを多極主義者などと現象しか見ないで決めつける評論家を信用してはいけないのである。

トランプはアメリカの巨大な市場の力を使い外交でのデールで貿易関係を有利にし、アメリカの特権的力(それは世界通貨としてのドル支配の回復でもある)を回復し、軍事力を強化し、同盟国にアメリカ製武器を売り込むことでもある。つまりトランプは対中国外交を見てもアメリカの先端産業の優位を維持するためファーウェイ(華為)製品を同盟国に買わないよう圧力を加え、、中国の2025による先端産業戦略による市場支配に打撃を与えようとしている。トランプの「アメリカファースト」という、アメリカ第一主義は決して多極化を進めるものではない。むしろ資本主義の不均等な発展の結果である世界の多極化で失われつつあるアメリカの一極支配を維持しようとするものに過ぎない。

こうして一時的にアメリカ経済が支配的地位を延命させたとしても、資本主義経済の不均等な発展の法則は揺るがず、アメリカの相対的地位の低下は続くのである。トランプの強いアメリカの復活は淡い願望に似ている。この冷戦後のグローバル化が生みだした世界経済の発展は、必然的にアメリカの相対的地位の低下を促すのである。つまり多極化はグローバル化が生みだした世界経済の発展の結果であり、誰か政治家の多極主義者がいて陰謀をおこなっているのでは決してない。政治を経済の上部構造として見ることが重要なのである。
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トランプはなぜゴラン高原の領有を認めたのか?

アメリカのトランプ大統領は、3月21日イスラエルが占領しているゴラン高原をイスラエル領として認めるべきだと発言した。アラビ連盟は3月31日トランプのこの発言を中東の緊張を高めるとして非難した。中国は「事実を変える一方的な行動に反対する」と批判し、ロシアも一方的措置を批判した。トランプのこの発言はどのような意図で行われたのか、どうして国際社会がこの発言を批判しているのかを明らかにすることが重要である。

オバマ前大統領は、イスラエルのネタニヤフ首相がゴラン高原を手放すことはないと宣言した事について、2016年に国連安保理の懸念表明決議に賛成票を投じている。ところでトランプ大統領は就任以来オバマの政策をことごとく覆している。トランプの娘婿のクシュナー大統領上級顧問はユダヤ人であり、トランプが再選を勝ち取るにはユダヤロビーの支持がいるゆえである。

さらに重要な事は、軍事占領による国境線の変更=領土拡大を認めると、世界の火薬庫である中東の戦争が激化することになる。既にアメリカは世界一の産油国であり、中東での戦争は原油価格高騰でアメリカ経済は潤うことになる。国際世論がイスラエルのゴラン高原併合に反対しているのは、これを認めるとロシアのクリミア占領を認め、中国の南シナ海占領を認めることになり、韓国の竹島占領も認めることになる。つまり武力による国境線の変更は世界を戦乱に巻き込むゆえに国際世論が反対しているのである。日本の北方領土の主張も、北方領土が日本の固有の領土である故であり、武力による領土拡大を認めないのが戦後の国際的合意なのである。

トランプは中東を戦乱に巻き込むことで、中東を支払い能力あるアメリカの武器市場にしようとする野望もある。アメリカは中東の原油に依存していないからこそ取り得る政策なのである。武力併合は違法とする国際法の原則を崩せば、世界は戦乱のちまたとなるであろう。トランプの取る外交は、一方でアメリカの国際的介入を拒絶しながら、他方で世界を戦乱に巻き込みかねない危険な狙いがある。

ゴラン高原は、シリア南西部の約1200平方キロの高地で、シリアの首都ばダマスカスはここから東に60キロの位置にある。また西にはイスラエルを見下ろす軍事的要衝で、現在約30のユダヤ人入植地が建設されている。トランプの無神経な発言が世界を戦乱へと巻き込みかねない危険を含んでいるのである。安倍首相がこのトランプの無神経な発言に沈黙を守っている事は情けないことである。

台湾統一の習近平の戦略課題と米の動き!

トランプ大統領の対中国貿易戦争が、中国の日本への敵対的態度を変えた。中国政府は国交回復後のの本の無償・有償援助について国内で報道し、反日感情の是正に踏み切った。今年1月には習近平国家主席が台湾問題に関する演説で、武力行使による中台統一を示唆した。習近平は国内的な経済危機の中で、アメリカとの覇権争いに直面し、当面の戦略的重点を決めた、それは台湾問題を解決し毛沢東がなしえなかった問題の解決で、永世主席の地位を固めようとして、台湾海峡での軍事演習を強化している。

米国防総省の情報機関であるアメリカ情報局(DIA)は今年1月15日、中国の軍事的な目標や能力を分析した報告書「中国の軍事力」を初めて公表した。その内容は、台湾問題が中国軍近代化の主な動機と分析し、中国が最新技術を駆使した軍事兵器開発を進めている事に強い警戒感を示した。
こうしてアメリカは台湾への武器売却を行う方向を発表し、台湾の潜水艦国産化に向けた技術支援を決め、台湾海峡に軍艦2隻を派遣するなど中国軍をけん制している。

台湾の蔡英文総統は、女性だが学者出身で04年に当時の陳総統に誘われて民進党に入党したが、台湾独立運動には距離を置いて、中国を刺激しない態度を取ってきたが、習近平の武力行使による中台統一を示唆した発言に対し、「圧力と威嚇を持ちいて台湾人民を屈服させる企てだ」「絶対に受け入れられない」と激しく反発し、台湾の民衆に好意的に評価されている。

台湾は2020年1月に総統選挙がある。アメリカ国内でも蔡氏を応援する動き広がりつつあり、米共和党有力議員6名が、総統選挙前に蔡氏をアメリカに招待し、議会で演説させる動きも表面化している。今年3月27日には、蔡英文総統は太平洋諸国を歴訪する途中でハワイを訪問し、インターネットでアメリカの政策研究機関「ヘリテ―ジ財団」のワシントンでのイベントで演説した。蔡氏はその際、中国が台湾に「一国2制度」の受け入れを強要し、軍事的圧力を強めていることを指摘し、トランプ政権にF16戦闘機66機とM1主力戦車108両の供与を要請した事について、「台湾軍の地上戦と航空戦力の能力を高め、士気向上にもつながる」とトランプ政権への期待を表明した。

もしアメリカが蔡台湾総統を招待し米議会で演説させれば米中間の矛盾が激化することは確実で、今後台湾への武器支援と蔡氏招待に向けたアメリカの動きが注目される。

ロシア疑惑を乗り越えたトランプ再選戦略は!

3月24日、アメリカのトランプ政権をめぐるロシア疑惑の捜査報告書(4ページ)の概要が公表された。焦点だった大統領選でのトランプ陣営とロシアの共謀については「証拠は見つからなかった」として認定しなかった。また、大統領による司法妨害については「大統領が罪を犯したとの結論には至っていないが潔白ともしない」として結論を出さなかった。バー司法長官は「証拠が不十分だ」と結論づけた。

これを受けてトランプ大統領は「私を引きずり降ろそうとした、違法な試みは失敗した。完全に無罪が証明された。共謀も司法妨害もなかった」と述べた。トランプ大統領は「アメリカは地球上で最高の場所だ」と上機嫌だった。この捜査報告書の概要はまさに政権に追い風となりそうだ。

しかし野党の民主党は、今回のロシア疑惑の捜査報告書概要に納得しておらず。「中立的ではない」としてバー司法長官を批判し、今後も議会として捜査を進め、世論に訴えていくものと見られている。今回のロシア疑惑の捜査報告書概要で、トランプ大統領の弾劾の可能性はほぼなくなったと見られる。

今後トランプ政権は再選戦略を進めていく有利な立場を確保したと言える。対中国との貿易戦争や技術戦争で外交的得点を重ね、今後ベネズエラの反米政権を打倒すればトランプの支持率が上がることは確実で、北朝鮮問題が決裂してもトランプには痛くも痒くもない。唯一心配なのが中国経済や、その影響での日本経済、EU離脱のイギリス経済が不況になれば、アメリカ経済も安泰ではなく、国際経済が大不況にならない限り、トランプの大統領再選は有力となった。

トランプの再選が確実視されると、トランプ政権の対日貿易交渉も日本経済の動向を見て、対日圧力が軽減される可能性が出てきた。トランプの再選で国際経済の動向が唯一の心配の種となった。後はトランプはメキシコ国境の壁建設と、ベネズエラの反米政権を打倒することが内外政策の重点となるであろう。対中貿易戦争も当面は中国経済を考慮して、妥協がありえるかもしれない。またアメリカの対ロシア外交に変化が現れる可能性がある。元々トランプは大統領選の時から、対ロシア関係の改善を掲げていた、しかしロシア疑惑で、この関係改善策は棚上げとなっていた。今後のトランプの対ロシア外交が注目される。

アメリカの戦略的重点と当面の標的!

アメリカ議会の超党派の諮問機関、米中経済安全保障再考委員会は昨年11月、中国のハイテク技術がアメリカの安全保障上のリスクになるとの報告書を公表した。この報告書は今後のホワイトハウスの対中国政策を決める重要な指針となる。

この報告書は、次世代技術の覇権争いで「中国がアメリカを追い抜こうとしている」と指摘した。中でも次世代通信技術「5G」とIoTで中国が先行すれば、「中国政府がアメリカの情報を収集する広大な権限を与えることになる」と警鐘を鳴らし、「中国の軍事戦略を強め、サイバー攻撃に道を開く」とまで明記している。

報告は、中国の軍事戦略について「中国が2035年までにインド洋や太平洋の全域で米軍に対抗できる能力を備える」と強い懸念を示した。また小笠原諸島から、サイパン、グアムをつなぐ中国の防衛ライン「第2列島線」では中国軍が陸海空それぞれで米軍に対坑する能力が既にある。と断定している。また中国の「一帯一路」を名目とする港湾建設は軍事転用が可能だとし、「冷戦後に確立したアメリカの軍事面での覇権が脅かされている」と警戒感を示している。報告はまた台湾について「自己防衛に必要な能力を維持できるよう支援すべきだ」としている。

つまりアメリカの戦略的重点は対中国との覇権争いにある。しかしアメリカの当面の軍事的標的はベネズエラである。トランプ大統領は3月19日ブラジルのボルソナロ大統領と会談後の記者会見で、ベネズエラに対し「必要に応じて制裁を強化していく」とのべ、同時に「全ての選択肢が検討されている」とのべて、軍事的な介入も排除しない方針を改めて強調した。トランプ政権は既にベネズエラ国営石油会社を制裁対象にしているが、米財務省は19日、あらたに国営金鉱山会社ミネルベンを制裁対象に追加した。

ブラジルのボルソナロ大統領は、記者会見で「ベネズエラに自由と民主主義をもたらすために準備は整えている」と述べ、アメリカに協力していく姿勢を明らかにした。ブラジルの協力を取り付けたことでアメリカ軍のベネズエラ軍事介入が近いことが明らかとなった。ベネズエラの西側のコロンビアには米軍基地が6つあり、今回のベネズエラの南側のブラジルの協力を取り付けた事は、軍事介入が近いことを示している。当面のアメリカの課題は中国とロシアと関係の強いベネズエラの反米政権を打倒することなのだ。それはベネズエラの石油権益を担保にした中国政府の現政権への資金援助を打破することでもある。つまりアメリカにとっての予想されるベネズエラへの軍事介入は、中国との覇権争いの前哨戦なのである。
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