トランプ政権は「アメリカ第一主義」を捨てよ!

トランプ政権が国内の成長から忘れられた人々の救済を行うのはいいことだ。だが「アメリカ第一主義」では、アメリカは世界戦略を持てない。外交も満足にやれない。覇権国アメリカは「世界の利益」を大義として掲げるから戦略を持てるのだ。自分の国の利益しか追求しない大国が世界から尊敬され、世界の指導者として敬われるわけがない。

トランプが「アメリカ第一主義」にこだわれば、アメリカの覇権は中国拡張主義に奪われるであろう。「アメリカ第一主義」を掲げる大統領に誰が協力するだろうか?欺瞞でもいい、アメリカは世界経済の成長、世界の大義を掲げるべきだ。そのことと軍事介入を控えることは矛盾しないのだ。アメリカ経済が「息継ぎの和平」を必要としていることは理解できる。だがそれを「アメリカ第一主義」と表現するのは間違いなのだ。

トランプ政権は「アメリカ第一主義」「保護貿易主義」と言いながら、アメリカのドル支配に攻撃を加えている。これはアメリカが世界通貨のドル発行益と、貿易黒字国に国債を売却することで対価なしに貿易黒字国を搾取する仕組みをトランプが全く理解していないことを示している。

このままではアメリカは巨大な軍事力を維持できなくなるであろう。どの先進国も世界市場に依存しているのに、保護貿易主義ではアメリカは同盟国を全て失う可能性がある。これは世界の覇権を狙う新興の社会帝国主義の中国には願ってもないことなのだ。

トランプ政権の「アメリカ第一主義」が世界のブロック化を促し、一極支配から世界の多極化を促し、世界は軍事力による国境線の変更の時代を迎えたことを指摘しなければならない。トランプ政権の「アメリカ第一主義」は百害あって一利なしなのである。トランプ大統領は、選挙の宣伝と世界戦略を区別する時だ。
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北朝鮮の瀬戸際外交の限界とトランプ政権!

マスコミが金正恩とトランプの「ののしり合い」を面白・おかしく報道している。トランプは政敵を激しくののしることで勝利し大統領になった。世界の覇権国として韓国や日本を従属下に置き続けるには半島の非核化をアメリカは保持しなければならない。北朝鮮は冷戦が終わり、大国に依拠して国を守ることができなくなり、核保有で戦略的生き残りを目指している。

この対立を、話し合いで解決するにはどちらかが屈服しなければならない。金正恩は世界でも珍しい奴隷制国家の大王であり、屈服を認めると体制を維持できない。トランプは大統領になったものの、議会の反対で公約を実行できない。このうえ北朝鮮に虚仮にされては大統領としての権威はなくなる。逆に戦争になれば伝統的に議会は大統領を支持する。

経済制裁は中国・ロシアが反対するので効果は期待薄で、これは、もはや戦争以外の解決策はないように見える。北朝鮮の金正恩体制は緊張状態が続けば政権は安定する、だから北朝鮮は瀬戸際政策をこのんで作りあげる。アメリカは油田もない北朝鮮に戦争してペイするとは見ていない。しかし今回は戦争費用を日本や韓国に請求できるので巡航ミサイルを数千発使ってもペイする可能性がある。

問題は北朝鮮の攻撃から韓国や日本の被害をアメリカ軍が抑止できるかであり、それが可能ならアメリカの先制攻撃は大いにあり得るであろう。北朝鮮が核の非拡散と言う国連の意向に反して、思うさま国連決議違反を続けているだけでなく、拉致や偽札、麻薬の販売など「ならず者国家」であるので、アメリカの北朝鮮攻撃は国際的支持を受けるであろう。

可能性として、アメリカが北朝鮮を核保有国として認めると、イランに核・ミサイル技術が売却されイスラエルが存亡の危機に陥ることになる。アメリカはユダヤ人を見捨てることはできない。後は北朝鮮が核・ミサイルを放棄し、北朝鮮の安全保障をアメリカや中国が保障できるか?であるが、そもそもそのようが合意が生まれる信頼関係が相互に皆無だ。

つまり問題は経済制裁で決まる問題ではない。どう考えても武力衝突まで行く可能性しかない。トランプにとっては国際的支持の下で攻撃できる環境を整備するだけであろう。マティス国防長官が「軍事的選択肢はたくさんあり、中にはソウルを重大な危険にさらさずに実行できるものもある。」と語ったことである。これが事実なら北朝鮮に継戦能力があるとも思えないので、アメリカは攻撃するであろう。

北朝鮮を軍事攻撃をできないトランプの弱さ!

トランプ大統領は内政重視だ。国務省は国務長官以下の官僚さえ任命されていない。北朝鮮は内政重視のトランプの弱さを読み切っており、引き続き核ミサイル開発を進めるであろう。

国連安保理のアメリカの制裁決議は、日本時間明日12日採決される。この決議案には原油の禁油は盛り込まれず、輸出量の制限に修正された。中国やロシアに譲歩したのである。しかし北朝鮮は制裁決議が採決されたら軍事挑発も辞さない構えを示している。

トランプ政権は既に軍事オプションを捨てており、むしろ北朝鮮の方が軍事挑発をしている。マイク・ポンぺオ米中央情報局(CIA)長官は8月13日「この政権は、実行する準備もできていないようなレッドラインを設けないことで立派に仕事をこなしている。」と語った。

金正恩とトランプの勝負は金正恩が勝ったということができる。日本のマスコミはソウル首都圏が火の海になる、とか日本が「ノドン」の集中砲火を浴びかねない、と騒ぎ立てているが、中国とロシアの協力が得られ、国連決議が可決されても北朝鮮を屈服させることは不可能だ。

中国とロシアを北朝鮮への原油の全面禁油に協力させるのは、日本の首相が「このままでは日本は核保有を検討するほかない。」と発言すればいい。中国とロシアが怖いのは日本の核保有だから、日本が「検討する」と発言するだけで国連安保理の制裁決議はより効果的なものとなるであろう。

ところが安倍政権はへなちょこトランプの言いなりでなにも独自の外交ができない。このままでは北朝鮮は思うさま核・ミサイル実験を行うことができる。しかもアメリカの経済制裁はイランから資金の援助が見込まれるので効果はない恐れがある。北朝鮮の核・ミサイルがイランに渡ってもアメリカは軍事攻撃しないのであろうか?これでは日米同盟の意義は無きに等しい。

非介入主義ではトランプはオバマと本質はなにも変わらない。日本は対米自立し核保有して自国の力で安全保障を勝ち取るほかない。北朝鮮はアメリカのトランプ政権の弱さを見抜いており、韓国と日本は安全保障が今のままでは危機に陥るであろう。

北朝鮮問題を放置できないアメリカのジレンマ!

北朝鮮の軍事大国化を導いたのは先代の金正日の「先軍政治」の結果である。しかしこの「先軍政治」の誤りは、軍事力は経済規模に規定されるということを理解していない点にある。今日のような総力戦の時代には先行する経済建設が、軍事力の規模を規定するのである。ところが北朝鮮の場合は万事軍優先のため経済が発展せず、したがって120万人の軍事力の通常兵器を更新できなくなっているのだ。

つまり北朝鮮の核・ミサイル開発は安上がりに国防を図る唯一の道なのである。従ってアメリカがいかに圧力をかけようと北朝鮮は核・ミサイル開発を止めることはない。止められないのである。かって北朝鮮は中国とソ連の支援で通常兵力で韓国を圧倒していた。しかし冷戦の崩壊で朝鮮半島の代理戦争の価値は喪失した。援助頼りの北朝鮮経済は危機に陥ったのである。おそらく北朝鮮の通常兵器は多くが劣化している状態なのだ。

体制の存続を目指す北朝鮮は国名の「社会主義」ではなく、奴隷制国家における大王としての金王朝であり、それゆえ後継をめぐり肉親間の暗殺が起きる、時代遅れの体制なのである。北朝鮮は油田があるわけではないので、アメリカは軍事的解決は引き合わない、と考えており、トランプの口先だけの強がりは、北朝鮮を一層大担にしている。

今年8月北朝鮮のナンバー2の金永南・最高人民会議常任委員会委員長がロシア経由でイランのテヘランを10日間訪問した。これまでも北朝鮮の核実験やミサイル実験にイランの軍事専門家が現場に招かれており、その事はCIAもつかんでいるという。この両者の関係は、北朝鮮は核弾頭製造技術をイランに提供し、イランは見返りに濃縮ウラン製造の遠心分離技術や、外貨を北朝鮮に提供する相互補完関係にあると言える。

だからイランと北朝鮮の潜水艦やミサイルは形が驚くほど似ているのである。つまりアメリカは北朝鮮の核・ミサイル開発を容認すれば、その技術はイランに渡り、イスラエルやサウジなどの親米国家が危機に直面することになる。

トランプ大統領は口では「イラン核合意破棄」を度々公言している。この発言は、北朝鮮とイランにはアメリカとの合意は意味がなく、何が何でも核・ミサイル(=核抑止力)を保持する決意を高めさせているのである。北朝鮮とイランの関係者はロシア経由で行き来しており、この両国の核・ミサイル開発の協力を分断することはアメリカにはできない。

中国もロシアも本気で北朝鮮への制裁をやる気はなく、今のアメリカは戦争する経済力がなく、ましてや2つの国を同時に攻撃することなどできない。ゆえにアメリカが北朝鮮の核・ミサイル開発が終わらぬうちに北朝鮮を攻撃し、核拡散を防止する可能性があると言える。問題は国内で支持率の低いトランプが戦争の犠牲の大きい北朝鮮への全面攻撃に踏み切るか?それとも核のボタンを握る人物の暗殺だけを行うか?いずれかを選択すると見られる。

トランプの手でアメリカの覇権が崩されつつある!

トランプ政権には世界支配の戦略がない。有るのは「アメリカ第一」の産業資本家的思考の保護貿易主義だ。TPPから抜け、北米自由貿易も再締結交渉でアメリカの同盟国との相互依存関係は崩れつつある。欧州連合は脱アメリカを志向し始めた。

金融国家のアメリカに、産業資本家の政策等もはや必要ないのだが、トランプは真面目に公約を実現しようとして金融大国としてのアメリカ経済を破壊している。彼のアメリカ人の雇用優先政策は他国からの優秀な人材を吸収するIT産業や大学の研究所が、外国から人材を受け入れることができなくなって、アメリカの先端産業界の打撃は将来深刻となる。もはやアメリカには最先端の研究に従事する優秀な人材はいないのに、この面でもトランプは「アメリカ第一」なのだ。

何よりもトランプの貿易黒字の削減策は、財務省証券(=国債)を貿易黒字国に売り付けることで貿易黒字国から対価なしに莫大な上前を撥ねる事を難しくする。つまりトランプの保護貿易主義の政策はアメリカのドル支配に攻撃を加えているのである。国際通貨としてのドル発行益と、貿易黒字国を搾取する仕組みが打撃を受ければ、アメリカは強力な軍隊を維持できなくなるであろう。

地球の陸地の3分の1をユーラシア大陸が占め、人口の7割がこの大陸にすむ。ゆえに世界覇権を狙う国はユーラシア大陸支配の戦略を持つ事を歴史は教えている。中国の「一帯一路」戦略はまさに世界覇権を睨んだ地政学的覇権を狙うものである。しかしトランプ政権の外交での関心は北朝鮮の核・ミサイル開発だけである。トランプに世界戦略的発想があれば、同盟国との経済相互依存関係を破壊する「アメリカ第一」の保護貿易主義は「百害あって一利なし」と分かるのだが、内政しか関心のないトランプにユーラシア戦略の重要性等理解出来ない事は明らかだ。

1党独裁の、新手の社会帝国主義=中国覇権主義にとってはトランプ政権は誠にありがたく、自己の軍事力増強とユーラシア経済圏構想を実行する貴重な時間的余裕を得ることとなった。安倍首相はアメリカを同盟国と言うなら世界戦略を持つことの必要性をトランプに教えた方がいい。

このままトランプが任期4年を務めるなら、アメリカの戦略上の打撃は計り知れないものになる。次期大統領選でトランプが敗北するにせよ、それまでに世界が多極世界の時代になることは避けられない。多極化の時代は合従連衡の時代である。日本は戦前の3国同盟の戦略的選択の誤り(新興の帝国主義を同盟相手に選んだ)を犯していけない。今後起きるであろう米中の覇権をめぐる軍事対立に巻き込まれないような外交が必要になる。しかも北にロシア、東に中国と言う2正面の愚を避ける戦略的外交が必要になるだろう。

トランプのアメリカがもはや安全保障の上で頼りにはならない事は明らかだ。日本は対米自立し、中国覇権主義の侵略に備えるため防衛力の強化を急がねばならない。時代は経済危機と戦争の時代を迎えつつあるのだ。
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