官僚独裁と資本主義の対立は不可避か?
現在のロシアや中国の現状を見てみると、この2国は資本主義経済が発展していない、弱い環であり、その遅れた経済から社会主義国になった。冷戦は資本主義陣営と社会主義陣営の並列する時代の事であり、この分裂と対立は軍拡競争となったことで、ロシアも中国も官僚独裁が強まり、労働者農民の権力は、官僚の権力へと変質することになった。
遅れて発展した社会主義国が兵器生産にまい進すれば、当然にも人民の生活は後回しになる。官僚の利権が拡大していくと、国家資本主義への変質が始まり、官僚独裁から、ファシスト政権へと変質する。資本主義の道を歩み始めた旧ソ連は共産党を解散したが、今も当時の官僚支配が事実上続いている。
ロシアの経済的支配勢力=オリガルヒとは、ソビエト連邦の崩壊に続く、ロシアやウクライナなど旧ソ連諸国の資本主義化の過程で、主に国有企業の民営化(=国有財産の横領)の中で形成された政治的権力と結びついた新興財閥であり、1990年代に急速に富を蓄積したロシアの大富裕層のことである。
中国は、未だ一党支配を維持しているが、内実はロシアとほとんど変わらない。官僚独裁化で市場経済化を進めたが、それは外国企業への場所貸し経済であり、内陸部の市場経済化はロシアと同じで所有制と市場経済が矛盾し、価値法則は貫徹せず、その資本主義化は限界があり、結果独裁政権がファシスト政権に変質することが分かってきた。言い方を変えれば社会主義革命の成果は何も失われておらず、その成果が官僚独裁の走資派権力を経済危機に追い詰めているのである。
つまりアメリカがもくろんだ旧社会主義国を普通の資本主義の国にするという目的は、達成が難しいことが分かってきた。ロシアや中国の資本主義化を進めることは、世界の覇権を握るアメリカには、自らの敵対的競争相手、すなわちファシスト政権を生み出すことになった。
ロシアを解体するために、ウクライナの極右にクーデターを行わせ、NATO加盟でロシアを挑発し戦争に持ち込んだことで、アメリカはロシアを中国の側に追いやり、同盟を強めさせ、世界の資源産出国がロシア・中国の側に付き始めた。つまりウクライナ戦争の長期化は、中国の覇権獲得戦略に有利に働き始めた。そうした視点で見るとアメリカの戦略的失敗は明らかである。
ただでさえアメリカ国内は産軍複合体を中心とする金融資本(=バイデン陣営)と、重化学工業や農村を中心とする、経済発展から取り残された白人層(=トランプ陣営)の分裂と対立が激化し、アメリカは国内的困難の中にある。
つまり世界は、ロシア・中国の側も、欧米の側も経済危機の中で、戦争への動きが急速に進行している危険な政治局面が生まれている。経済的危機が政治的困難を生み、政治の形を変えた延長が戦争なので、現局面が世界大戦の再発になる可能性が強まっているのである。
このアメリカと中国の覇権争奪は、冷戦崩壊後のグローバル経済の不均等発展の結果であり、資本主義の不均等発展の法則が世界を多極化したのである。米中の対立は戦争へと進まない可能性もある。なぜなら双方が核大国であり、戦争は破滅を意味するからである。つまり権力維持では米中は相互に妥協する余地があるので、新たな冷戦となるのかもしれない。しかし局地戦の起きる可能性は高いので、双方が新たな軍事同盟を模索し始めたのである。
#米中対立 #官僚独裁と市場経済化
遅れて発展した社会主義国が兵器生産にまい進すれば、当然にも人民の生活は後回しになる。官僚の利権が拡大していくと、国家資本主義への変質が始まり、官僚独裁から、ファシスト政権へと変質する。資本主義の道を歩み始めた旧ソ連は共産党を解散したが、今も当時の官僚支配が事実上続いている。
ロシアの経済的支配勢力=オリガルヒとは、ソビエト連邦の崩壊に続く、ロシアやウクライナなど旧ソ連諸国の資本主義化の過程で、主に国有企業の民営化(=国有財産の横領)の中で形成された政治的権力と結びついた新興財閥であり、1990年代に急速に富を蓄積したロシアの大富裕層のことである。
中国は、未だ一党支配を維持しているが、内実はロシアとほとんど変わらない。官僚独裁化で市場経済化を進めたが、それは外国企業への場所貸し経済であり、内陸部の市場経済化はロシアと同じで所有制と市場経済が矛盾し、価値法則は貫徹せず、その資本主義化は限界があり、結果独裁政権がファシスト政権に変質することが分かってきた。言い方を変えれば社会主義革命の成果は何も失われておらず、その成果が官僚独裁の走資派権力を経済危機に追い詰めているのである。
つまりアメリカがもくろんだ旧社会主義国を普通の資本主義の国にするという目的は、達成が難しいことが分かってきた。ロシアや中国の資本主義化を進めることは、世界の覇権を握るアメリカには、自らの敵対的競争相手、すなわちファシスト政権を生み出すことになった。
ロシアを解体するために、ウクライナの極右にクーデターを行わせ、NATO加盟でロシアを挑発し戦争に持ち込んだことで、アメリカはロシアを中国の側に追いやり、同盟を強めさせ、世界の資源産出国がロシア・中国の側に付き始めた。つまりウクライナ戦争の長期化は、中国の覇権獲得戦略に有利に働き始めた。そうした視点で見るとアメリカの戦略的失敗は明らかである。
ただでさえアメリカ国内は産軍複合体を中心とする金融資本(=バイデン陣営)と、重化学工業や農村を中心とする、経済発展から取り残された白人層(=トランプ陣営)の分裂と対立が激化し、アメリカは国内的困難の中にある。
つまり世界は、ロシア・中国の側も、欧米の側も経済危機の中で、戦争への動きが急速に進行している危険な政治局面が生まれている。経済的危機が政治的困難を生み、政治の形を変えた延長が戦争なので、現局面が世界大戦の再発になる可能性が強まっているのである。
このアメリカと中国の覇権争奪は、冷戦崩壊後のグローバル経済の不均等発展の結果であり、資本主義の不均等発展の法則が世界を多極化したのである。米中の対立は戦争へと進まない可能性もある。なぜなら双方が核大国であり、戦争は破滅を意味するからである。つまり権力維持では米中は相互に妥協する余地があるので、新たな冷戦となるのかもしれない。しかし局地戦の起きる可能性は高いので、双方が新たな軍事同盟を模索し始めたのである。
#米中対立 #官僚独裁と市場経済化
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ウクライナ軍の反転攻勢の失敗と戦争の拡大は?!
ウクライナ軍は反転攻勢を6月上旬から大規模に始めている。東部ドネツク州のバフムト周辺やドネツク州の西部、南部ザポリージャ州の西部の3つの戦線で行われている。当初、地雷原を突破しようとしたウクライナに供与した欧米製の戦車などが、次々に攻撃を受けたと伝えられるなど、ロシア軍が築いた分厚い防衛線を前に苦戦を強いられている。
アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズは、ウクライナ軍は、反転攻勢の開始から最初の2週間で戦場に送った兵器の2割を失ったと報じ、この中にはドイツの主力戦車「レオパルト2」も含まれるとしています。
最前線で戦っている兵士たちの聞き取り調査によると、反転攻勢が成功しないのは、戦力の投入と戦術のまずさ、部隊間の連携不足、官僚的なお役所仕事、旧ソビエト流の考え方、そしてロシア軍の粘り強い抵抗によるようだ。またウクライナの動員兵の能力が低く、年齢が高いため、部隊の質に問題が生じているという。
ウクライナ側はロシア軍が築いた地雷原と防衛線を前に歩兵による戦闘を強いられており、このため機動力が低下し、部隊はキロ単位ではなく、メートル単位でしか前進できていないという。さらに歩兵を支援する機械化部隊は地雷を除去する装置や防空ミサイル、それに対戦車ミサイルのような機動性を向上させる装備が不足し、ほとんど展開できていないという。
中国・ロシア陣営の、欧米をウクライナで長期に消耗させる戦略が成功しつつあるように見える。アメリカは派兵していないが、これまでに6兆円以上の軍事援助を行っており、ベトナムの二の舞にハマりつつある。欧州には援助疲れが出始めており、ウクライナのジェレンスキー政権は追い詰められている。
もともとジェレンスキー政権が、アメリカの指示を受けてNATO加盟でロシアを挑発して始めた無意味な戦争であるので、動員されたウクライナ国民にすれば戦場で死ぬことは無駄死にとなる。動員兵士の士気が上がるはずもない。
秋になるとウクライナの戦場にはロシアの最大の「支援者」である冬将軍が訪れる。そうなるとジェレンスキーの「反転攻勢」の失敗が明らかになる。しかし欧米はウクライナを見捨てることは、旧ソ連圏諸国(ポーランドやバルト三国など)が動揺する。つまりウクライナ戦争は延々と続くことになる。
そうなると国内経済政策の失敗で内政面の危機にある中国の習近平政権が、苦し紛れに台湾進攻を開始する可能性が高まる。日本の軍事関係者たちは台湾の防衛力と台湾海峡が障害となり、中国軍には台湾を占領する力がないと主張する者が多いが、中国軍は台湾海峡の対岸地域に約2000発の中距離高速ミサイルを並べており、アメリカの空母機動部隊の接近を許さない対策をとっている。
中国軍が台湾周辺で行っている軍事演習をみると、台湾を空港と港湾の閉鎖を長期に行い、台湾を経済的に疲弊させる戦略が予想される。中国軍はすでに多くの工作員を台湾内部に送り込んでおり、内部からかく乱する戦術もとれる。つまりウクライナでロシア軍が進行に失敗した正面からの侵攻はとらないであろうから、中国軍の得意とする持久戦が効果を発揮する可能性がある。
アメリカは来年大統領選がある。その時にウクライナで無意味な消耗戦が続いていると、ウクライナに政治利権を持ち資金獲得を行ってきたバイデンの息子を使った不正も追及される。つまりアメリカが朝鮮半島方式の停戦をウクライナに提案する可能性が出て来るであろう。
ウクライナ戦争の焦点は、戦争がアジアに波及するのか、それとも欧米が停戦を提案するのか、に絞られてきたようだ。しかしウクライナのジェレンスキーは、領土の占領を容認して停戦するわけにはいかない。ジェレンスキー政権と欧米の矛盾が激化する可能性がある。ウクライナと旧ソ連圏のNATO加盟国が敗北を阻止するために戦線を拡大する可能性も出て来る。つまり事態は流動的である。
#ウクライナ戦争
アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズは、ウクライナ軍は、反転攻勢の開始から最初の2週間で戦場に送った兵器の2割を失ったと報じ、この中にはドイツの主力戦車「レオパルト2」も含まれるとしています。
最前線で戦っている兵士たちの聞き取り調査によると、反転攻勢が成功しないのは、戦力の投入と戦術のまずさ、部隊間の連携不足、官僚的なお役所仕事、旧ソビエト流の考え方、そしてロシア軍の粘り強い抵抗によるようだ。またウクライナの動員兵の能力が低く、年齢が高いため、部隊の質に問題が生じているという。
ウクライナ側はロシア軍が築いた地雷原と防衛線を前に歩兵による戦闘を強いられており、このため機動力が低下し、部隊はキロ単位ではなく、メートル単位でしか前進できていないという。さらに歩兵を支援する機械化部隊は地雷を除去する装置や防空ミサイル、それに対戦車ミサイルのような機動性を向上させる装備が不足し、ほとんど展開できていないという。
中国・ロシア陣営の、欧米をウクライナで長期に消耗させる戦略が成功しつつあるように見える。アメリカは派兵していないが、これまでに6兆円以上の軍事援助を行っており、ベトナムの二の舞にハマりつつある。欧州には援助疲れが出始めており、ウクライナのジェレンスキー政権は追い詰められている。
もともとジェレンスキー政権が、アメリカの指示を受けてNATO加盟でロシアを挑発して始めた無意味な戦争であるので、動員されたウクライナ国民にすれば戦場で死ぬことは無駄死にとなる。動員兵士の士気が上がるはずもない。
秋になるとウクライナの戦場にはロシアの最大の「支援者」である冬将軍が訪れる。そうなるとジェレンスキーの「反転攻勢」の失敗が明らかになる。しかし欧米はウクライナを見捨てることは、旧ソ連圏諸国(ポーランドやバルト三国など)が動揺する。つまりウクライナ戦争は延々と続くことになる。
そうなると国内経済政策の失敗で内政面の危機にある中国の習近平政権が、苦し紛れに台湾進攻を開始する可能性が高まる。日本の軍事関係者たちは台湾の防衛力と台湾海峡が障害となり、中国軍には台湾を占領する力がないと主張する者が多いが、中国軍は台湾海峡の対岸地域に約2000発の中距離高速ミサイルを並べており、アメリカの空母機動部隊の接近を許さない対策をとっている。
中国軍が台湾周辺で行っている軍事演習をみると、台湾を空港と港湾の閉鎖を長期に行い、台湾を経済的に疲弊させる戦略が予想される。中国軍はすでに多くの工作員を台湾内部に送り込んでおり、内部からかく乱する戦術もとれる。つまりウクライナでロシア軍が進行に失敗した正面からの侵攻はとらないであろうから、中国軍の得意とする持久戦が効果を発揮する可能性がある。
アメリカは来年大統領選がある。その時にウクライナで無意味な消耗戦が続いていると、ウクライナに政治利権を持ち資金獲得を行ってきたバイデンの息子を使った不正も追及される。つまりアメリカが朝鮮半島方式の停戦をウクライナに提案する可能性が出て来るであろう。
ウクライナ戦争の焦点は、戦争がアジアに波及するのか、それとも欧米が停戦を提案するのか、に絞られてきたようだ。しかしウクライナのジェレンスキーは、領土の占領を容認して停戦するわけにはいかない。ジェレンスキー政権と欧米の矛盾が激化する可能性がある。ウクライナと旧ソ連圏のNATO加盟国が敗北を阻止するために戦線を拡大する可能性も出て来る。つまり事態は流動的である。
#ウクライナ戦争

多極化が中国の台頭と侵攻を招く!
官僚独裁から社会帝国主義に変質していた旧ソ連が崩壊し、世界は単一の市場となった。グローバル化は、世界通貨ドルを持つアメリカに莫大な富を獲得させたが、同時に資本主義の不均等発展の法則が中国やインドなどの経済的台頭を招くことになった。
いわば世界の多極化は、ブローバル経済の産物であり、新しく台頭した中国やインド並びにグローバルサウスの国々が自国通貨で貿易を行いたいと考えることは当然のなり行きであり、同時にそれは世界通貨ドルを持つアメリカが、莫大な通貨発行益を失うことである。
つまりドル圏と元圏の世界経済界の2大勢力が、世界の覇権をめぐり対立することは必然であり、古い帝国主義(=アメリカ)と新興の帝国主義(=中国)の覇権闘争へと導くことは避けられず、世界は二大陣営への分裂と対立の時代へと移行しているのである。
戦後のアメリカを中心とした資本主義圏とソ連を中心にした社会主義圏の対立=冷戦を第一段階とするなら、旧ソ連が崩壊し、アメリカの一極支配のブローバル化の時代が第二段階であり、現在はアメリカのドル圏と中国・ロシアの元圏の両陣営の覇権争いの第3の段階に入ったといえる。
問題は、覇権争いの一方の雄である習近平の中国が進める「中国の特色ある市場経済化」の政策が、社会主義的所有制と矛盾し、内陸部の市場経済化が進展せず、構造的経済危機に直面していることである。
習近平はこの経済危機を軍需生産で国営企業を救い、公共投資による「内需の拡大」と外国企業の輸出基地としての外需の「双循環政策」を進めたが。この結果地方政府は莫大な財政赤字(=借金)を持ち、しかもゼロコロナの反動で、個人消費が冷え込んで、中国経済は現在危機的な状況にある。
こうした困難を前に習近平は「反腐敗」を口実に反対派閥を粛清し、個人独裁を強化し、息も詰まるファシスト支配を強めている。これは内的矛盾を外的矛盾に転化する場合、すなわち中国拡張主義が外への戦争政策に転ずる場合、避けられない国内戦争体制強化なのである。
最近、習近平政権が、親欧米の外務大臣を更迭したのは、もはやアメリカとの話し合いによるグローバル経済の維持が不可能と判断した可能性が高いのである。つまりアメリカの半導体封鎖、先端技術封鎖に習近平の中国が、軍事的対立を決意した可能性が強いのである。これが中国政府が外務大臣更迭の理由を公表できない理由である。
中国経済の深刻さは、社会主義的所有制(=全人民所有)が障害となり、市場経済化には限界があるということである。中国の地方政府は、国有の土地の使用権を売却することでその予算を獲得してきたが、彼らが開発した産業都市は廃墟の「新鬼城」と呼ばれる廃墟となった。
中国内陸部には投資資金の蓄積がない、つまり中国内陸部は社会主義的自給自足経済であり、習近平政権は資本主義の経済が分かっておらず、公共投資という彼らのやり方では中国の市場経済化は、所有制の壁にぶつからざるを得ないのである。つまり今の中国経済は強権的ゼロコロナ政策の反動で消費が冷え込み、回復しない、そのうえ不動産不況と、「一帯一路」に基づくアジア・アフリカへの貸し付けの焦げ付きもあり、中国経済は大破綻に直面している。
習近平が経済危機を政治危機にしないためには、台湾を口実に反米の戦争をしかけるしか方法がない。しかもヨーロッパで戦争が起きている時が、台湾侵攻の好機なのである。ゆえに世界は今、第3次世界大戦の寸前にあるといえる。経済危機が政治危機を招き、政治の形を変えた延長が戦争なのである。
今日本が必要なのは戦争への備えであり、防空壕や防衛兵器の生産(対空ミサイルや対艦ミサイルなど)であり、軍事的備えである。自衛隊は1週間分の弾薬しか保持していない現状は「平和ボケ」というしかない。必要なのは軍事同盟や協定ではなく、自国の軍事的備えなのである。自立した防衛力無しに、自立した外交は展開できないのである。日本の政治家はウクライナのようにアメリカの「捨て駒」にされない外交に務めるべきである。
#世界戦争の危機
いわば世界の多極化は、ブローバル経済の産物であり、新しく台頭した中国やインド並びにグローバルサウスの国々が自国通貨で貿易を行いたいと考えることは当然のなり行きであり、同時にそれは世界通貨ドルを持つアメリカが、莫大な通貨発行益を失うことである。
つまりドル圏と元圏の世界経済界の2大勢力が、世界の覇権をめぐり対立することは必然であり、古い帝国主義(=アメリカ)と新興の帝国主義(=中国)の覇権闘争へと導くことは避けられず、世界は二大陣営への分裂と対立の時代へと移行しているのである。
戦後のアメリカを中心とした資本主義圏とソ連を中心にした社会主義圏の対立=冷戦を第一段階とするなら、旧ソ連が崩壊し、アメリカの一極支配のブローバル化の時代が第二段階であり、現在はアメリカのドル圏と中国・ロシアの元圏の両陣営の覇権争いの第3の段階に入ったといえる。
問題は、覇権争いの一方の雄である習近平の中国が進める「中国の特色ある市場経済化」の政策が、社会主義的所有制と矛盾し、内陸部の市場経済化が進展せず、構造的経済危機に直面していることである。
習近平はこの経済危機を軍需生産で国営企業を救い、公共投資による「内需の拡大」と外国企業の輸出基地としての外需の「双循環政策」を進めたが。この結果地方政府は莫大な財政赤字(=借金)を持ち、しかもゼロコロナの反動で、個人消費が冷え込んで、中国経済は現在危機的な状況にある。
こうした困難を前に習近平は「反腐敗」を口実に反対派閥を粛清し、個人独裁を強化し、息も詰まるファシスト支配を強めている。これは内的矛盾を外的矛盾に転化する場合、すなわち中国拡張主義が外への戦争政策に転ずる場合、避けられない国内戦争体制強化なのである。
最近、習近平政権が、親欧米の外務大臣を更迭したのは、もはやアメリカとの話し合いによるグローバル経済の維持が不可能と判断した可能性が高いのである。つまりアメリカの半導体封鎖、先端技術封鎖に習近平の中国が、軍事的対立を決意した可能性が強いのである。これが中国政府が外務大臣更迭の理由を公表できない理由である。
中国経済の深刻さは、社会主義的所有制(=全人民所有)が障害となり、市場経済化には限界があるということである。中国の地方政府は、国有の土地の使用権を売却することでその予算を獲得してきたが、彼らが開発した産業都市は廃墟の「新鬼城」と呼ばれる廃墟となった。
中国内陸部には投資資金の蓄積がない、つまり中国内陸部は社会主義的自給自足経済であり、習近平政権は資本主義の経済が分かっておらず、公共投資という彼らのやり方では中国の市場経済化は、所有制の壁にぶつからざるを得ないのである。つまり今の中国経済は強権的ゼロコロナ政策の反動で消費が冷え込み、回復しない、そのうえ不動産不況と、「一帯一路」に基づくアジア・アフリカへの貸し付けの焦げ付きもあり、中国経済は大破綻に直面している。
習近平が経済危機を政治危機にしないためには、台湾を口実に反米の戦争をしかけるしか方法がない。しかもヨーロッパで戦争が起きている時が、台湾侵攻の好機なのである。ゆえに世界は今、第3次世界大戦の寸前にあるといえる。経済危機が政治危機を招き、政治の形を変えた延長が戦争なのである。
今日本が必要なのは戦争への備えであり、防空壕や防衛兵器の生産(対空ミサイルや対艦ミサイルなど)であり、軍事的備えである。自衛隊は1週間分の弾薬しか保持していない現状は「平和ボケ」というしかない。必要なのは軍事同盟や協定ではなく、自国の軍事的備えなのである。自立した防衛力無しに、自立した外交は展開できないのである。日本の政治家はウクライナのようにアメリカの「捨て駒」にされない外交に務めるべきである。
#世界戦争の危機

様変わりする国際的戦略関係
2022年12月の中国の習近平の3日間のサウジ訪問の内容が明らかになるに及んで、世界の政治地図の急変が、報道で明らかとなりつつある。
報道によれば、この習主席のサウジ訪問でサウジは中国政府の核開発への協力の約束を取り付けたという。サウジ訪問中、湾岸協力会議(GCC)と中国の首脳会議後の共同声明でイランの「地域を不安定にする活動」を批判したことは衝撃的であった。共同声明は、イランのテロリスト支援や、弾道ミサイルの拡散、ドローン輸出などの、イランの行いを強く批判したのである。
中国はまた、イランとアラブ首長国連邦(UAE)が領有権を争うペルシャ湾の3つの島の領有権についてUAEの「問題の平和的解決を目指すUAEの努力を支持」したことである。これによって中国の反イランのスタンスが明確になった。イラン外相は駐イランの中国大使を召喚し、強く問い詰めたという。
世界最大の原油産出地帯である中東は、イランのシーアー派とサウジなど湾岸諸国のスンニー派の2大勢力が対立している。核開発を進めるイランは、ウクライナ戦争を闘うロシアにドローンを供給して関係を強め、湾岸諸国雄のサウジは、中国の支援で核開発を進めることになった。
つまり中東は、ロシアと中国が2大勢力を同盟国としたということである。かってはアメリカとサウジの関係は緊密であったが、今やアメリカとサウジの関係は最悪といえるほどで、アメリカは基本的に中東を失ったといってもいい。イランとサウジが、ロシアと中国寄りとなったことで、右翼政権となったイスラエルは、ウクライナが求める対空ミサイル支援を無視し、ロシアに接近し始めた。安全保障上そうするほかない力関係の変化が生まれているのである。
中東産油地帯をロシアと中国が押さえたことは、世界戦略上で見るとロシア・中国の独裁連合がエネルギーを押さえたことで外交的優位を確立したように見える。エネルギー価格高騰で経済的打撃の大きい欧州、国内の分裂と対立を深めるアメリカは、ウクライナに欧州の戦車を供給することで軍事的な挽回を図っているのである。
欧米の、ウクライナ戦争での消耗でロシアのプーチンを失脚に追い込む、という戦略は、覇権獲得へ向け、着々と布石を打つ中国の戦略的優位を促すものになりつつある。ロシアと中国は分担して中東の産油国をアメリカの影響下から外交的に奪い取っり、戦略的な優位を確立したと見ていい。
国際的な協力関係の変化は、欧米対中ロの2大勢力の勢力圏囲い込みの段階から軍事的対立の段階へと進みつつあると見るべきである。ウクライナへのイギリスの戦車チャレンジャーや、世界一といわれるドイツのレオパルト2戦車のウクライナへの供給・支援は、外交上の戦略的損失を、ウクライナ戦争の挽回で反撃するものであり、それが軍事的対立の拡大を促す可能性がある。2大勢力の対立は、一つの布石が別の戦線の変化を促すのである。戦略を持ちえない中小国は大国の外交に翻弄されることになる。
#戦略的変化
報道によれば、この習主席のサウジ訪問でサウジは中国政府の核開発への協力の約束を取り付けたという。サウジ訪問中、湾岸協力会議(GCC)と中国の首脳会議後の共同声明でイランの「地域を不安定にする活動」を批判したことは衝撃的であった。共同声明は、イランのテロリスト支援や、弾道ミサイルの拡散、ドローン輸出などの、イランの行いを強く批判したのである。
中国はまた、イランとアラブ首長国連邦(UAE)が領有権を争うペルシャ湾の3つの島の領有権についてUAEの「問題の平和的解決を目指すUAEの努力を支持」したことである。これによって中国の反イランのスタンスが明確になった。イラン外相は駐イランの中国大使を召喚し、強く問い詰めたという。
世界最大の原油産出地帯である中東は、イランのシーアー派とサウジなど湾岸諸国のスンニー派の2大勢力が対立している。核開発を進めるイランは、ウクライナ戦争を闘うロシアにドローンを供給して関係を強め、湾岸諸国雄のサウジは、中国の支援で核開発を進めることになった。
つまり中東は、ロシアと中国が2大勢力を同盟国としたということである。かってはアメリカとサウジの関係は緊密であったが、今やアメリカとサウジの関係は最悪といえるほどで、アメリカは基本的に中東を失ったといってもいい。イランとサウジが、ロシアと中国寄りとなったことで、右翼政権となったイスラエルは、ウクライナが求める対空ミサイル支援を無視し、ロシアに接近し始めた。安全保障上そうするほかない力関係の変化が生まれているのである。
中東産油地帯をロシアと中国が押さえたことは、世界戦略上で見るとロシア・中国の独裁連合がエネルギーを押さえたことで外交的優位を確立したように見える。エネルギー価格高騰で経済的打撃の大きい欧州、国内の分裂と対立を深めるアメリカは、ウクライナに欧州の戦車を供給することで軍事的な挽回を図っているのである。
欧米の、ウクライナ戦争での消耗でロシアのプーチンを失脚に追い込む、という戦略は、覇権獲得へ向け、着々と布石を打つ中国の戦略的優位を促すものになりつつある。ロシアと中国は分担して中東の産油国をアメリカの影響下から外交的に奪い取っり、戦略的な優位を確立したと見ていい。
国際的な協力関係の変化は、欧米対中ロの2大勢力の勢力圏囲い込みの段階から軍事的対立の段階へと進みつつあると見るべきである。ウクライナへのイギリスの戦車チャレンジャーや、世界一といわれるドイツのレオパルト2戦車のウクライナへの供給・支援は、外交上の戦略的損失を、ウクライナ戦争の挽回で反撃するものであり、それが軍事的対立の拡大を促す可能性がある。2大勢力の対立は、一つの布石が別の戦線の変化を促すのである。戦略を持ちえない中小国は大国の外交に翻弄されることになる。
#戦略的変化

米と中・ロ首脳との会談の意味するもの
今週、バイデン・習会談が行われ、また米中央情報局(CIA)のバーンズ長官とロシアの対外情報庁(SVR)のナルイシキン長官が14日、トルコ・アンカラで会談した。この2つの会談は極めて興味深いものである。
バイデンと習は14日、インドネシア・バリ島での主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を前に、3時間超にわたり会談した。バイデン政権発足後、両首脳の対面での会談は初めてだった。アメリカ側は台湾問題での互いの「レッドライン」(越えてはならない一線)を探ることに主眼を置いたが、習氏は会談で「台湾問題こそが、最も越えられないレッドラインだ」と主張。議論は全くの平行線をたどった。
他方、 ウクライナ情勢をめぐり、米中央情報局(CIA)のバーンズ長官とロシアの対外情報庁(SVR)のナルイシキン長官が14日、トルコ・アンカラで会談した。ロイター通信などが報じたところでは、2月のロシアのウクライナ侵攻以来、最も高いレベルでの米ロ高官の会談とみられる。核兵器使用の脅しを繰り返すロシアに対して、バーンズ氏が「核使用の代償とエスカレートのリスク」を伝えることが目的だったという。
つまりアメリカ外交の直面する課題が、ウクライナ戦争でのロシアの核使用阻止と中国の早期台湾進攻を阻止したい、との2つであることを示している。ウクライナでの核使用はすなわち戦争のエスカレートを意味し、台湾進攻は中国とアメリカの経済関係の破たんを意味するだけでなく、世界大戦に繋がる戦略的問題である。
ロシアはウクライナ戦線で欧米の先端兵器の軍事援助で不利に立たされており、追い詰めているので「核は使うな」といっても、プーチンは他に打つ手がなければ戦術核兵器を使うことは避けられない。戦線を膠着状態に置き、停戦に持ち込む朝鮮半島方式は、最もあり得る戦術的選択なのである。
中国の台湾進攻は、習近平が内政で行き詰ったとき取りうる軍事的解決であり、この点での主導権は中国側にある。互いにデッドラインを主張し合うことは初めから分かっていた。会談後バイデンによれば「台湾侵攻は差し迫っていない」と指摘しているので、アメリカの首脳会談の狙いは、台湾侵攻の早期可能性を探るのが目的であったと見てよいであろう。
中国における習近平の個人独裁体制確立後の経済路線が失敗した3選の終わりごろ、つまり4年以上後ぐらいに侵攻の可能性が最も高いとみられる。しかし中国側にすれば、ウクライナ戦争で欧米が手を取られているうちがチャンスであり、戦争でロシアが疲弊し、プーチン体制が崩壊した後では、中国とロシアの同盟関係が続いている保証はなく、したがって引き続き早期の侵攻の可能性は高いとみられる。したがってバイデンの「台湾侵攻は差し迫っていない」との判断は気休めでしかない。
とりわけ中間選挙で明らかになった、アメリカの内政が対立と分断を深めている中では、中国側に台湾早期侵攻の好機との判断がありうる。国際情勢の特徴は極めて流動化しており、経済危機と戦争の危機が同時に進行する情勢下においては、政治家の予想や見通しなど、何らあてにはならないと思うべきである。
# 米と中ロ首脳との会談
バイデンと習は14日、インドネシア・バリ島での主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を前に、3時間超にわたり会談した。バイデン政権発足後、両首脳の対面での会談は初めてだった。アメリカ側は台湾問題での互いの「レッドライン」(越えてはならない一線)を探ることに主眼を置いたが、習氏は会談で「台湾問題こそが、最も越えられないレッドラインだ」と主張。議論は全くの平行線をたどった。
他方、 ウクライナ情勢をめぐり、米中央情報局(CIA)のバーンズ長官とロシアの対外情報庁(SVR)のナルイシキン長官が14日、トルコ・アンカラで会談した。ロイター通信などが報じたところでは、2月のロシアのウクライナ侵攻以来、最も高いレベルでの米ロ高官の会談とみられる。核兵器使用の脅しを繰り返すロシアに対して、バーンズ氏が「核使用の代償とエスカレートのリスク」を伝えることが目的だったという。
つまりアメリカ外交の直面する課題が、ウクライナ戦争でのロシアの核使用阻止と中国の早期台湾進攻を阻止したい、との2つであることを示している。ウクライナでの核使用はすなわち戦争のエスカレートを意味し、台湾進攻は中国とアメリカの経済関係の破たんを意味するだけでなく、世界大戦に繋がる戦略的問題である。
ロシアはウクライナ戦線で欧米の先端兵器の軍事援助で不利に立たされており、追い詰めているので「核は使うな」といっても、プーチンは他に打つ手がなければ戦術核兵器を使うことは避けられない。戦線を膠着状態に置き、停戦に持ち込む朝鮮半島方式は、最もあり得る戦術的選択なのである。
中国の台湾進攻は、習近平が内政で行き詰ったとき取りうる軍事的解決であり、この点での主導権は中国側にある。互いにデッドラインを主張し合うことは初めから分かっていた。会談後バイデンによれば「台湾侵攻は差し迫っていない」と指摘しているので、アメリカの首脳会談の狙いは、台湾侵攻の早期可能性を探るのが目的であったと見てよいであろう。
中国における習近平の個人独裁体制確立後の経済路線が失敗した3選の終わりごろ、つまり4年以上後ぐらいに侵攻の可能性が最も高いとみられる。しかし中国側にすれば、ウクライナ戦争で欧米が手を取られているうちがチャンスであり、戦争でロシアが疲弊し、プーチン体制が崩壊した後では、中国とロシアの同盟関係が続いている保証はなく、したがって引き続き早期の侵攻の可能性は高いとみられる。したがってバイデンの「台湾侵攻は差し迫っていない」との判断は気休めでしかない。
とりわけ中間選挙で明らかになった、アメリカの内政が対立と分断を深めている中では、中国側に台湾早期侵攻の好機との判断がありうる。国際情勢の特徴は極めて流動化しており、経済危機と戦争の危機が同時に進行する情勢下においては、政治家の予想や見通しなど、何らあてにはならないと思うべきである。
# 米と中ロ首脳との会談
