北朝鮮軍事解決が及ぼす北東アジアの激変とリスク!

アメリカも中国もこれまで朝鮮半島の対立の現状固定化に利益を見出してきた。中国は自国とアメリカの勢力圏の緩衝地帯として北朝鮮を位置付け、アメリカは韓国・日本を従属下に置くため、38度線の軍事的脅威を必要とした。ところが北朝鮮の核ミサイルがアメリカの脅威となるに及んでこれ以上北朝鮮の核・ミサイル開発を容認できない事態となった。

もし米・中が北朝鮮の核武装を容認すれば韓国と日本は核武装に踏み切るであろうし、これは両国の政治軍事的自立であるので米・中は必ず避けるであろう。そうすると北朝鮮の現政権を潰し、中国・アメリカが容認できる穏健な政権を打ち立てる可能性が一番強いのである。

南・北の統一は米・中は共に避けるであろうから、北朝鮮の親中政権樹立が一番可能性が強い。つまり金正恩体制の変更なら中国はアメリカの軍事介入を容認する可能性が強い。北朝鮮のような軍事独裁国家は最高指導者が死ねばたやすく崩壊する。それはイラクのフセイン体制の崩壊や、リビアのカダフィ政権を見れば明らかだ。

北朝鮮問題が複雑なのは北朝鮮へのアメリカの軍事介入は、中国の容認の範囲であれば限定的で可能であろう。北朝鮮は中国の支持なしには継戦能力はない。ロシアも欧米の経済制裁下ではアジアで戦争を支援する余裕はない。

アメリカにとっての問題は、中国が北朝鮮とアメリカの戦争を意図的に泥沼にし、アメリカの経済的衰退を画策しないか?という危険である。中国は「一帯一路」の覇権戦略を持っており、北朝鮮の力を利用してアメリカに出血を強いることでアジアの覇権を手に入れようとしないか?これはアメリカが最も警戒しており、だからトランプは日米の同盟を最も重視しながら北朝鮮対応を進めなければならないのである。トランプの軍事介入の後に戦争費用の負担を日本と韓国に求めることは確実なのである。戦費負担を日本は覚悟しておくべきだ。対米従属の下では避けられないであろう。

トランプの困難は軍事介入が在日米軍や在韓米軍、さらには日本と韓国の核被害を招くことだ。少ない被害で北朝鮮の体制変換をやれるかどうかが軍事介入の戦術的カギなのである。これはトランプの政治的・軍事的リスクである。
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インド洋方面への出口探る中国の戦略的弱点!

中国がアメリカに西太平洋の管轄権を主張したのは彼らの野心の大きさを示すだけでなく、同時に中国が太平洋に出るには南シナ海と東シナ海から日本からフィリピンの列島線を突破しなければならない。とりわけ日本の南西諸島が地政学的には障害となる。

彼らが南シナ海を岩礁を埋め立てた軍事基地で囲い込もうとしているのは原潜の安全な遊弋海域を確保する狙いがあるが、同時に南シナ海から太平洋への出口を確保する意味がある。習近平の「中華民族の偉大なる復興」には海への出口が東しかないことが地政学的・軍事的弱点となっている。

なぜ中国がインドのカシミール地方の侵略に力を入れているか?今年6月にはインドの東部地方と接するブータンのドクラム高地に中国軍が道路建設を始めたのは、この地を押さえればインドの東の部分が断ち切られ、中国はバングラデシュからインド洋への出口を切り開くことができる。

また中国軍はカシミールを通ってパキスタンのインド洋岸に軍港を建設しつつある。中国のインド包囲網は海上と、地上は東西からインドをうかがう勢いで、今年8月の北載河での会議では保守派や軍からブータンからの「インド軍強制排除」の強行意見が出たという。

つまり中国が南シナ海や東シナ海で軍事的動きを派手に行っているのは、言わば陽動で、本当の狙いはインド洋への出口なのである。中国が模索しているインド洋への出口は、一つは雲南省からミヤンマーの港への出口。二つ目はブータンからバングラデシュ経由、三つ目はカシミールからパキスタン経由であり、これらが実現して初めて「真珠の首飾り」と言われるインド洋の中国の港湾建設が軍事的意味を持つのである。

中国の戦略である「一帯一路」は、中央アジアの経済力は小さく、重要なのは南シナ海からインド洋、さらにはアフリカへの経済圏拡大なのである。そのためには中国はどうしてもインド洋への出口獲得が地政学的・軍事的に重要となり、それはインド洋の大国インドとの対決なしに成し遂げることはできない。

日本は戦略的にインドを外交・軍事上重視して中国覇権主義の拡張を許さないようにしなければならない。中国のインド洋進出を封じ込めることが戦略的に重要となる。アメリカが国内重視のトランプ政権であるだけに、日本は率先してインドを支援することが必要である。

習近平独裁体制下の経済危機の深刻化!

秋の北載河の会議は共産党の一党支配を守るために、結局秋の党大会に向けた人事は討議されず。習近平の「反腐敗」路線が認められ、「習近平思想」による党の核心としての独裁的地位が確立されるようだ。

習近平の誤算は「一帯一路」がユーラシア大陸を貫く大経済圏を目指すものだが、実際には中央アジアの市場規模は小さく中国の過剰生産を満たすほどの市場はない。また南シナ海からインド洋にかけての海洋覇権もインドが阻止に立ちあがるため、思うようにいかない。このためネパールやスリランカ、さらにはカシミールをめぐってインドと中国の軍事力のにらみ合いが激化している。

習近平の経済政策もうまくいっていない。中国の今年の上半期の成長率は6,9%と昨年を上回っているが、これは習近平が作った「幻想」=水増しで、実際には中国経済は需要が先細りで、有力企業は何処も国内投資はせず、資産の海外移転に精を出していおる。つまり習近平独裁体制に反比例するかのように中国経済は年末に向け不況を迎えると見られている。需要が減退しているのだから設備投資等望むべくもない。中国の有力企業70社のうち国内投資を進めるのはわずか2社と言われる。

経済不況を切り抜けるための「一帯一路」が計算どうりには運んでいないのである。これでは資産の海外移転=資金流出を止められるわけがなく、また経済の軍事化も止めるわけにはいかない。中国は巨大な産軍複合体が形成されており、「習近平の夢」の実現を目指す軍事拡張主義は、覇権国アメリカとの争いの危険が増していると言える。

北朝鮮への経済制裁を抑制している中国へのトランプ政権の経済制裁が噂されている。中国の弱点は派閥争いや人事ではなく、経済的危機だということが、今年の年末には明らかとなるであろう。中国は内陸部の経済開発プロゼクトの多くが失敗している。莫大な投資額がゴーストタウンのゴミとなった。経済的に行き詰った軍事独裁国家の危険を指摘しなければならない。

日本は中国軍の侵攻に備え防衛力の強化にまい進しなければならない。重要なのは航空・海上さらには抑止力としての巡航ミサイルの配備である。攻撃兵器と弾薬を持たない現状のアメリカ依存の防衛力を急ぎ強化すべきだ。

反腐敗の習近平路線を進まざるを得ない中国走資派指導部!

文革派、継続革命派の「4人組逮捕」で、中国の資本主義化は始まった。トウ小平は当時「白ネコでも黒ネコでもネズミを捕るネコがいいネコだ」として金を儲けることを奨励した。また「一部の人が先に金持ちになることも」奨励した。

土地が国有の中国では、土地の払い下げで党幹部に利権が集中する。ワイロが集まるのは当然で、それは本質は国家財産の横領なのだが、当時は「白ネコ黒ネコ」論で正当化された。こうして党幹部とその家族が新興ブルジョア階級を形成した。

党幹部達とその家族はワイロの獲得、利権の払い下げに狂奔した。地上げで土地を失った大衆が地方で暴動・反乱・デモに何十万と立ちあがることとなった。「造反には道理がある」文革の悪夢を思い出した走資派指導部は、腐敗した共産党政権の延命を模索した。

一党支配を守るためには「腐敗問題」を解決しなければならない。「トラ狩り」(高級幹部)「ハエ叩き」(中級幹部)「あり探し」(下級幹部)のほか、海外に資金を持ち出して逃げた「キツネ狩り」まで行われるようになった。2256人の幹部が外国で逮捕され連れ戻された。この間逮捕された幹部は20万人とも30万人とも言われる。

中国の習近平政権がトラもハエも退治するのはもちろん権力の敵対派閥を叩く狙いがあるが、中心は一党支配を維持するためなのだ。今年の北載河の会議と秋の党の人事が、習近平体制の独裁人事となるのは第2文革を阻止し、共産党の一党支配を維持するためには避けて通れないので、党の古参幹部が習近平を支持するのは当然のことなのだ。

習近平は、陳重慶市党委書記を2段跳びで最高指導部に入れ、自己の後継者とし、秋の党大会で党規約を改正し「習近平同志の治国理政の重要思想」を天まで持ち上げ「習近平思想」を「毛沢東思想」と同列にすることで一党支配を維持しようとしている。習近平は毛沢東のように終身指導者になろうとしているのである。

一党支配の中国で資本主義化を進めれば腐敗はなくなりはしない。従って反腐敗も絶対に終わりのない課題なのである。危険なのは習近平が過剰な生産設備を削減せず。巨大な軍需生産で需要に応えていることだ。巨大な産軍複合体化が進んでおり、中華思想を根底とした世界覇権の夢が軍事的暴走を招く可能性は強い、「一帯一路」は世界の覇権戦略であるので中国共産党は腐敗で倒されるか?それとも覇権戦争で倒されるかの、いずれかであることは疑いないことである。つまり中国は革命か、戦争かの岐路にあると言える。

中国の北載河の会議がどうなるか気になる!

北朝鮮の核ミサイル開発で朝鮮半島が緊張し、中国の東シナ海と南シナ海での軍事的威嚇の中で中国の内部では習近平が「反腐敗」を口実に反対派を次々摘発し、中国国内に独裁体制を着々と固めている。習近平は自己の神格化にも取り組み、取り巻きに「習近平思想」を高く評価させている。

8月3日の新聞報道では幹部が北載河に到着し会議が始まったと見られる。共産党の中央政治局の定年制で今年の秋に幹部が多く定年を迎える。中央政治局で現在少数派の習近平は、この機会に多数派を形成したいところである。

中国共産党の老幹部達が習近平の独裁体制を認めるのか?それとも集団指導体制に戻すのか?どちらを選ぶかは、今後のアジア情勢を左右することになる。

また習近平の強引な「反腐敗」を口実にした反対派潰しは、陰湿な粛清であり、失脚した反対勢力内に憎しみを拡大しており、習近平はいつ暗殺されるか分からない状況にある。夏の北載河の会議で秋の人事の党大会の行方が決まると言われており、世界の関心が集まっている。

習近平は、最近では自分の後継者潰しにまで手を染め、その独裁体制の強化に狂気のようにまい進している。江沢民派や共青団派は独裁体制を押さえたいところである。現在の習近平の中国は大軍拡の中でインドと軍事対立を深め、南シナ海は今や中国の軍事拠点化している。国際的に経済援助を餌に中小国を引きつけてはいるが、外交面では孤立を深めている。習近平には一国の指導者としての風格や思想性に欠ける。ただ軍事大国化で世界の覇権を争う夢にかけているだけで、国民的人気があるわけでもない。

したがって習近平の独裁体制を党長老が認めれば、中国はアメリカとの覇権争いに突き進む可能性がある。中国社会帝国主義は世界で最も危険な拡張主義であり、中国は景気対策で軍事生産が拡大し、既に巨大な産軍複合体ができており、周辺国への領土的野心は軍事的暴走を招く可能性がある。

今年の北載河の会議がどうなるかが世界と、とりわけ日本の安全にとって極めて重要な会議となる。注目しないわけにはいかない。
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