fc2ブログ

世界情勢の現局面の特徴とその注目点

世界情勢の特徴は、アメリカが自国の国益を優先し、中国封じ込めのために自らが提唱したTPP(環太平洋自由貿易協定)に参加せず、逆に中国が開かれた自由貿易を提唱していることだ。アメリカは国内に対立と分断が激化し、国内産業を保護しなければならず、逆に中国は内需の市場経済化が、社会主義的所有制と矛盾し、したがって外需中心の経済政策を追求せざるを得ないので、結果として米中の矛盾した政策が現出している。

中国の韓正国家副主席は国連総会の一般討論演説で、中国を世界に一段と開放すると表明した。国営の新華社が21日夜に報じた。韓氏はまた、中国は独立した外交政策を取り、国家の主権と領土の一体性を守る決意も表明した。
「全ての国の合法的な安全保障上の懸念に対処すべきで、全ての国の主権と領土一体性も尊重されるべきだ。相違や紛争は対話と協議を通じて平和的な方法で解決しなければならない」と述べた。この中国の国家副主席の発言の裏には、アメリカが軍事介入して今も内戦や混乱が続くリビアやシリア、イラク、アフガン、さらにはウクライナなどの状況が念頭にある。

アメリカ経済は産軍複合体の国家であり、武器市場に依存する経済であるがゆえに定期的に戦争を必要とする。しかしイラク戦争とアブガン侵攻で、精神障害の兵士が多く出て、その保障が巨額で、当面は米軍を投入した戦争はできない。それゆえウクライナを捨て駒にして代理戦争をやらせているのである。

ウクライナ戦争の真の狙いは東に拡大するユーロ経済圏に打撃を与えるために、ロシアと欧州の経済的結びつきを分断する点にあった。ゆえにアメリカはすでに戦争目的を達成している。ロシアのプーチン体制を打倒することは、より過激な政権が生まれることであるので、アメリカは戦争を拡大したくないのだが、ウクライナのゼレンスキーは、軍事援助が欲しいので戦争拡大を追求している。

ロシアがウクライナの穀物輸出を、自国の穀物も輸出できるようにすべきであると、阻止したことで、ウクライナは穀物を鉄道と河川輸送で欧州に輸出しようとして、自国の農民を保護したい東欧諸国との矛盾を深めることになった。

21日の ロイターによれば、ポーランド政府報道官は21日、ウクライナに対して新たな武器の供給を行わない考えを示した。ポーランドはこれまでロシアの侵攻を受けるウクライナを強力に支援してきたが、ウクライナ産穀物の欧州への輸入規制問題を巡り同国と対立を深めている。 モラウィエツキ首相は20日、ウクライナへの武器供与を止めて、自国の軍備を増強すると発言した。

ゼレンスキーは19日の国連総会演説で、ウクライナは穀物輸出のための陸路保全に努めているが、一部の欧州連合(EU)加盟国が偽りの連帯を示し、実際にはロシアを間接的に手助けしているとポーランド政府を批判した。

バイデン大統領も再選を目指し、中国との関係改善に乗り出しており、大統領選までにできればウクライナの停戦を行いたいところである。今のところ欧米の武器支援にもかかわらず、ウクライナの反転攻勢は成功していない。このまま武器支援国が減少していけば、ウクライナは朝鮮半島型停戦を余儀なくされることになる。

資本主義の不均等発展の法則で世界は多極化しつつあるが、中国は世界を分断する気はなく、アメリカとの経済的依存面が大きいので、アメリカの側も先端技術面での隔離だけで収めようとの方針である。したがってすぐに世界経済が欧米日と中ロの市場へと分断することにはならない。

アメリカは国内的分断と対立を抱え、中国は経済的困難の最中にある。米中ともに国内的な問題を抱えているので、国際市場をすぐに分断することはできないのである。しかし世界が多極化しつつあるのは経済法則上の趨勢である。

中国の韓正国家副主席が「国家の主権と領土の一体性を守る決意」を表明したが、台湾問題は中国の国内問題と主張しているので、中国軍の台湾侵攻の可能性は残っている。来年の台湾の総統選までは、中国は台湾の平和的統一を画策するが、それが失敗した時に侵攻を決断する可能性が出て来るであろう。
#世界情勢
スポンサーサイト



ロシア北朝鮮の「窮地の同盟」のもたらすもの

4年半ぶりとなるロシアのプーチンと北朝鮮の金正恩の会談は、経済制裁で追い詰められた2つの独裁国家が、やむをえず手を握った「窮地の同盟」である。ロシアはウクライナ戦争で弾薬不足、北朝鮮は食料不足でミサイル技術も欲しい。互いに相手が必要とするものを大量に持っている。

ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩総書記の首脳会談は、極東の宇宙基地を舞台に、「蜜月」を演出した。ともに国際社会から経済制裁を受け、軍事的脅威に直面する両国の首脳は「宇宙開発」の名のもと、弾薬・食料・技術支援など幅広い協力を進めることになる。北朝鮮はミサイル実験で失敗を重ねているので、この面でのロシアの技術支援が欲しいところだ。

金氏は「ロシアが今、覇権主義勢力に対抗し、主権と安全を守るため正義の偉業を繰り広げている」とウクライナ侵攻を続けるロシアの姿勢を支持し、ロシアは国連での北朝鮮制裁を認めないことを約束した。

中国は、過去に北朝鮮の中国外交官を手なずけて影響力を拡大しようとしたが、金正恩が親中国派官僚を全員銃殺したことで、中国は北朝鮮の核・ミサイル開発には協力しなかった。ただアメリカとの約束で半島の緩衝地帯として現状維持を図っただけであった。中国政府は欧米日と経済の依存面が深く、ウクライナ戦争でもロシアには経済的に支援はするが、表だって武器支援を行わなかった。

しかし台湾・尖閣問題が軍事的緊張を高める中で、最近はロシア・北朝鮮との関係を改善しつつあった。ロシアと北朝鮮の同盟強化は、中国にとりウクライナにおける消耗戦が長引けば、自国に戦略的に有益であるので、中国はロシアと北朝鮮の同盟強化は歓迎しているであろう。

ウクライナ戦争は消耗戦となり、双方が弾薬不足となっている。アメリカは貯蔵していた弾薬が底をつき始め、日本に朝鮮戦争時の特需とおなじように、弾薬生産と供給を期待していたが、岸田首相が武器以外の支援にとどめたため、アメリカ政府の岸田評価が急落したと言われている。欧州諸国も援助疲れが出始めている。

ロシアが弾薬不足を北朝鮮からの供給で解決すれば、ウクライナの反転攻勢が膠着状態を打破できず、冬の季節に入れば、ウクライナの戦線は降雪で泥沼になり、戦争継続は難しくなる。ウクライナ側もロシア側も停戦の声が高まる可能性がある。そうした意味で北朝鮮のロシアへの軍事支援の規模が今後のウクライナ戦争行方のカギを握ることになるであろう。

アメリカのバイデンも、大統領選が始まるまでに停戦したいところだが、共和党がバイデンの次男のウクライナ汚職で弾劾訴追を行う姿勢を示しているので、再選を果たすためには、ウクライナ戦争の出口を探りたいところではある。もしウクライナ戦争が泥沼になれば、共和党のトランプが選挙戦で優位になる可能性があるだけに、消耗戦を続けるのか、停戦するのかの、バイデンの判断が注目される。
#ウクライナ戦争 #ロシアと北朝鮮

G20で強まる発展途上国の発言力

インドの首都ニューデリーで開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)は2日間の日程を終え10日、閉幕した。サミットではアフリカ連合(AU)の参加が正式承認されたことで「グローバルサウス(GS)」と呼ばれる新興・途上国の発言力が増すことになった。多極化が進む世界の現実を反映した。

今後は意見集約がさらに困難になるのは必至。バイデン米政権は、米国が議長国となる2026年に向け、G20を先進国とGSをつなぐ場と位置づけて関与をいっそう強める構えだ。「経済回廊を築く」バイデン大統領は官民のインフラ投資を通じてGSへの関与を深め、先進諸国との経済的な結びつきを強めるとする考え方を述べた。

その具体化として、インドと中東、欧州を結ぶ鉄道・港湾網でつなぐ構想を発表し、関係国・地域と覚書を交わした。アフリカ中部のコンゴ民主共和国とザンビアをアンゴラのロビト港と結ぶ回廊構築への支援強化も約束した。いずれも、中国やロシアが影響力を強めようとしているGSを西側につなぎ止める政策である。

G20サミットは、08年の世界金融危機を受けて生まれた、アメリカをはじめとする先進7カ国(G7)の相対的な地位低下を象徴する枠組みだ。世界規模の問題を協議する場である一方、近年は米中対立が強まる中で、国際社会の足並みがそろわない傾向も増した。今回の首脳宣言は、ウクライナ侵略を続けるロシアを名指しして批判することすら避けた。

ロシアのラブロフ外相は、20サミットについて、ウクライナを議題にしようとする西側諸国の試みは失敗したと主張。グローバルサウスと呼ばれる新興・途上国の力が強まって「内部改革が進んでいる」とし、「西側諸国は覇権を維持できなくなるだろう」との見解を示した。またアフリカ連合(AU)のG20参加に言及し、アラブ連盟や中南米カリブ海諸国共同体、ユーラシア経済連合(EAEU)などの将来的な参加を支持した。

冷戦崩壊後のグロバル化がもたらした資本主義の不均等な発展は、世界を多極化し、中国・ロシア・北朝鮮の独裁連合と欧米日先進国の対立が深刻化する中で、第三極としての発展途上国(アジア・アフリカ・中東・中南米)の国際社会における地位を有利にし、発言力を強化したと言える。

もはや世界の覇権は、分有の時代であり、文字通り合従連衡の時代が到来したといえる。バイデン米大統領が先進国と発展途上国を結ぶ回廊構築の経済戦略を打ち出したことが、資源を握る発展途上国の国際的発言力が増していることを示したといえる。

世界の多極化は、アメリカの一極支配の終焉であり、かってなかった3極体制の時代が来たという事だ。日本は対米従属をいつまで続けるのか?それが問われる外交の時代でもある。アメリカにそそのかされて戦争を挑発し、アメリカの捨て駒になり、自国の荒廃を招いたウクライナのてつを踏んではならないのである。
#世界の多極化

ウクライナ戦争がもたらした世界情勢の流動化

ウクライナ戦争は、もともとアメリカがユーロ経済圏の拡大を阻止する目的で、欧州を分断する狙いで、ウクライナの極右政権を使いロシアを挑発し始めた戦争だが、この戦争が作用して世界情勢を流動化と再編へと促している。

アメリカはウクライナ戦争でドル支配の維持を狙ったのであるが、結果はロシアを中国側に追いやり、世界はアメリカ経済圏と中国・ロシア経済圏に分化し始めた。

資本主義の不均等発展で、経済成長し始めたアジア・アフリカ・中南米の諸国においては、アメリカ経済圏から離れて新興の勢力である中国・ロシア勢力圏へという流れが起きている。中東産油国のように石油輸出国機構プラス(ロシア)を維持するために、中国・ロシア圏に外交的比重を移す動きも起きている。資源輸出国の多くが中国・ロシア圏に接近していることは、アメリカの世界支配の相対的後退であり、世界は多極化への動きを急速に強めている。

とりわけ中東・アフリカではロシアや中国の影響力が大きくなっている。アメリカがシリアのアサド政権を打倒しようとしたが、ロシアが介入しアサド政権を守ったことが、中東の既存政権をアメリカから離れる動きを生んだ。アフリカでは欧米の旧宗主国に反発する政権がロシアのワグネルの武力に依存し、また中国の経済支援に取り込まれつつある。

ウクライナ戦争で最も打撃を受けたのは欧州である。安いロシアのエネルギーが断たれて欧州経済は物価の高騰で大きな打撃を受けた。しかもウクライナへの軍事支援の負担もバカにならない。欧州では極右が台頭しはじめており、フランスでは若者の暴動が激しくなるなど治安が崩壊し、欧州では既存の政権が政情不安で危機に直面している。

経済的に見ると、欧州と中国経済が深刻な状況で。習近平ファシスト政権が親欧米派の外務大臣を更迭したことが、外交面での激変を生む可能性が出てきている。中国の経済危機は深刻で新型コロナの都市封鎖が終わった後も個人消費が回復せず、若者の失業者が30%といわれるほどで、習近平政権が内的矛盾を外的矛盾に転化する可能性が心配されている。

当初習近平は2027年ごろ台湾への軍事侵攻を始めると言われていたのが、ウクライナ戦争でNATOが手いっぱいである内が台湾進攻の好機であること、とりわけアメリカの半導体封鎖、先端技術からの隔離政策が、半導体産業が世界一の台湾への侵攻を早める可能性が極めて高くなっている。

重要なことは、第2次世界大戦が欧州から始まり、それがアジアへ飛び火して世界大戦へと拡大した図式が繰り返されようとしていることを見て取るべきである。このような世界情勢の流動化と勢力圏の囲い込みと、軍事的緊張の激化の下では、観念的平和主義はむしろ戦争を促す可能性が高いことを知るべきである。

アジアでの戦争を抑止するには、習近平ファシスト政権の軍事的暴走に対抗する、強力な軍事的備えが必要であり、侵略勢力となったファシスト政権と闘う覚悟が必要であることを指摘しなければならない。戦争の悲劇を訴えるだけの観念的平和主義では平和を守ることはできないことを日本のマスコミは報道するべきである。
#世界情勢の流動化 #世界の多極化

社会現象は経済的基礎から見なければならない!

(1)世界情勢はアメリカの一極支配が揺らぎ始め、世界は多極化しつつある。多極化をアメリカの多極主義者の仕業だと説明する人もいる。

(2)アメリカは国内で対立と分断が激化し、治安が崩壊しつつある。フランスも若者の暴動が続発し、治安は崩壊状態だ。マクロン大統領は暴動に参加した未成年者の親に「罰金」を強化する法整備を進め始めた。ドイツでは極右が台頭しクーデター未遂事件まで起きた。欧米で普遍的に進む治安の崩壊はなぜなのか。

(3)日本経済は、いぜん縮小再生産の負のサイクルを続け、デフレ経済から未だに脱却できないでいる。日本経済は12年ほど前に中国にGDP世界第2位の地位を奪われたが、今では日本のGDPは中国の3分の1である。その結果日本は格差社会となり、詐欺師が横行し、犯罪が激増した。

これら(1)~(3)は、経済的基礎から見なければ、社会現象の本質は見えにくいのである。経済的基礎から見るには、米ソの冷戦後の政策から見なければならない。
米ソの2大陣営の対立、すなわち冷戦は世界市場を2分割し、資本主義と社会主義の、双方の陣営は自分たちの政治体制の正しを誇示するため、福祉に力を入れ、野蛮な搾取を控えた。

官僚独裁の旧ソ連が崩壊し、冷戦後の先進国首脳会議(G7)は、世界市場のブローバル化の中で、「平和の配当」を追求する方針を決めた。社会主義の脅威がなくなり、いわゆる強欲の資本主義の政策で、際限のない利益追求が可能になったと考えた。表現を変えれば「野蛮な搾取」を追求することを決めた。この政策方針が先に書いた「平和の配当」の政策であり、その結果諸現象を生み出したのである。

グローバル市場の誕生は、世界資本主義経済を発展させた。つまり資本主義経済の不均等発展が、EUの拡大、中国・インドの経済成長を生み、相対的にアメリカの世界支配の経済的地位を低下させただけでなく、日本経済をも衰退させることになった。つまり(1)の世界の多極化はアメリカの多極主義者の仕業ではなく、資本主義経済の「不均等発展の法則」の結果なのである。

欧米(2)におけるの治安の悪化や、日本(3)の経済の衰退は、冷戦崩壊後の強欲の資本主義の政治の結果であり、資本主義経済は、労働者と資本家の分配率のバランスが、経済成長には不可欠であるが、「平和の配当」の旗印の下で、欧米も日本も、強欲の資本主義の野蛮な搾取政策に転じた結果、労働者の貧困化が進み、先進国は総じて階級間の収入格差が拡大し、階級矛盾が激化したのである。

プロイセンの軍事家であったクラウゼヴィッツは「戦争が他の手段を以ってする政治の延長」(「戦争論」)だとのべた。政治は経済対立の延長であり、戦争は政治対立の延長である。すでに説明したように、アメリカの一極支配が終わり、世界が多極化することは、資本主義経済の不均等発展の法則の結果であり、誰かの画策の結果ではない。

旧ソ連の崩壊で、東欧諸国をユーロ経済圏に飲み込んだEUは、ロシアの安いエネルギーに依存して、その経済圏を拡大し、アメリカのドル支配を脅かす存在となりつつあった。アメリカは旧ソ連の「柔らかい下腹」と評されたウクライナの、極右勢力をテコ入れし、クーデターで親ロシア派政権を打倒し、このジェレンスキー政権にNATO加盟を表明させてロシアを挑発した。こうして始まったウクライナ戦争は、ユーロ経済圏には大きな打撃となった。

つまりウクライナ戦争は経済的劣勢となったアメリカの、一極支配維持への反撃という側面があった。しかしこの戦争が、中国の世界戦略の上での優位を生み出したのであるから皮肉というほかない。世界はアメリカと中国の覇権争いを激化させることになった。

ロシアを中国の側に追いやったことで、ロシア・中国陣営に中東産油国が付いたことで、世界のエネルギー価格と食糧価格が高騰した。このインフレが欧米や日本の労働者の貧困化を深刻化し、治安の悪化が世界的に進行したのである。

世界情勢の変化は、経済的基礎から見るべきであり、経済の延長線に政治の変化があり、政治の延長が戦争なのである。ゆえに戦争を見る上では、誰が初めに攻撃したかではなく、重要なのは誰が画策した戦争なのか?が重要なのである。
#先進国の治安の悪化 #強欲の資本主義 #格差社会
SEO対策:政治