fc2ブログ

中東で起きた地殻変動と米戦略の破たん!

イランとサウジアラビアが3月、外交関係の正常化で合意した。この仲介役は、これまで中東に影響力を行使してきたアメリカではなく中国だった。中国がアメリカを出し抜くことができたのはイラク戦争の負の遺産である。イラクの人々がでっちあげの大量破壊兵器を口実にアメリカ軍の侵攻で200万人も殺されたことが、中国政府が中東で外交的主導権を握るきっかけになった。

その後、サウジアラビアとシリアの両外務省は9日、相手国での外交使節団の業務再開を決めたとそれぞれ発表した。両国の国営通信が伝えた。大使館などの再開時期には触れていない。アラブ連盟が7日内戦への対応で国際的に孤立してきたシリアに対し、連盟への復帰を12年ぶりに認めた。

サウジは11年以降のシリア内戦当初、反体制派を支援したが、急速にアサド政権との関係を改善している。サウジ外務省は、シリアでの外交業務再開は地域の安全と安定を強める狙いがあるとし、アラブ連盟の決定も考慮したと説明し,今月19日に首都リヤドで開くアラブ連盟首脳会議に、シリアのアサド大統領を招待する方針と伝えられている。

アメリカはイスラム教のシーアー派(=イラン)とスンニ派(サウジなど)の対立を利用して、アラブ世界を分断し、支配する戦略を行ってきたが、中国外交がこれを破たんさせ、中東が中国・ロシア陣営に接近することとなった。このことはイラク戦争を機に、OPECプラス(=中東産油国とロシア)が世界の原油価格を高騰させる好機につながった。

この中東における外交的地殻変動は、イスラエルの国防戦略にとって危機的なことであり、イスラエルがウクライナへの対空ミサイル網の提供を拒否する理由となっている。今後イスラエルは中東に影響力を増しているロシアと中国に配慮しなければならなくなった。このことは、アメリカの戦略的失敗で、同盟国が安全保障上の窮地に陥るいい実例となった。

中東の人々は、欧米各国のウクライナ人難民の好意ある受け入れの報道に対し、自分たちが戦乱のたびに多くの中東難民が捨て置かれたことを思い出し、アメリカの分断して支配する戦略が、アラブ世界に多くの悲劇を生み出したことを自覚したのである。この点を中国の習近平がうまくアラブ世界を非米へと誘導することに繋がったのである。

ウクライナ戦争は欧米がウクライナを支援し、中国・中東(イラン)など発展途上国がロシアを支持する、世界の分断が明確になっている。ウクライナ戦争が長引くのは避けられず、その結果は資源を握る方が優位になる。欧米諸国は物価の高騰が続く中で金融危機を深めており、世界大恐慌の危険が迫っている。中東で起きた地殻変動が、世界情勢に大激動を招きつつあるといえる。
#中東で起きた「地殻変動」
スポンサーサイト



コメント

No title

 中東でアメリカは戦略的失敗をしたのですね。
  アラブ世界が団結して非米禍したとは知りませんでした。
 確かに産油国がアメリカの増産の要請を受け入れませんでしたね。
  たしかに世界情勢が多極化し、アメリカが衰退し始めたようです。

コメントの投稿

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

SEO対策:政治