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外資の中国投資が73%も急減した背景

外資の中国投資が低迷している。2022年下半期(7〜12月)の対中直接投資は18年ぶりの低水準だった。米中対立の激化や改革後退の懸念が投資リスクを高め、急速な少子高齢化で国内の消費市場も成長が鈍る恐れがある。資本流入の停滞が中国の経済成長に影を落としている。中国国家外貨管理局がまとめた国際収支統計によると、外国企業が中国で工場建設などに投じた対内直接投資が22年下期に最大73%減となっている。

中国の国家発展改革委員会は、外資の中国投資が急減を受けて、外国企業による投資対象分野の新たなリストを公表した。製造業への外資流入を促しサプライチェーンを強化をするため前回から519業種を対象とし、20年の480業種から39業種を追加したのは中国政府の危機感が表れている。

中国への外資の投資が78%も急減した背景は以下の理由である。

(第一)に米中の覇権をめぐる対立が、先端産業への隔離政策となり、先端産業への対中投資がアメリカ政府の制裁対象となったことが大きい。

(第二)に、中国政府の行き過ぎたゼロコロナ政策の影響で、中国からの部品の供給ができなくなるなど、中国投資を控えざるを得ない外国企業が増えていること。

(第三)に、中国における少子高齢化の進行で、労働力の不足と賃金上昇圧力がたかまり、また中国政府の行き過ぎた外国企業への技術開示要求などが、先進国の企業が中国投資へのリスクを高めていることがある。

(第四)に、習近平の国有企業重視、民間企業抑圧の政策が、中国政府の改革開放路線へ見直しへの懐疑を生んでいる。特に習近平の「共同富裕」のスローガンは、富の再分配の政策であるとして、中国人金持ちが資産を国外に持ち出し始めていることが、外国企業が中国投資を控える理由である。

(第五)に習近平政権の超大国願望と、個人独裁強化が強すぎ、その強国外交が「戦狼外交」として先進各国の危機意識を強めており、あまりのリスクの大きさから新たな投資を控える傾向が目立ってきている。

以上の事から、高度経済成長を続けてきた中国経済は、明らかに曲がり角に来ており、もはや外国企業にとって、中国は、安定した輸出基地としての価値を失いつつある。とりわけアメリカの先端技術からの隔離政策は、中国を以前の雑貨中心の輸出経済へと後戻りさせかねない。

中国は今後IC生産機械をオランダや日本から輸入できなくなり、自国で生産できなければ経済成長は難しくなることは避けられない。とりわけウクライナ戦争で、世界の経済が二つに分割されつつある事態は、先進国の輸出基地としての中国の存在意義を否定するものであり、中国経済は深刻な経済危機に直面している。今後習近平政権がアメリカとの協調を選択するのか、それとも世界の分割。覇権争いへと進むのか、その選択が注目される。

経済の延長が政治であり、政治の延長が戦争でもあるので、中国経済の危機が、今後政治や戦争にどのように対立・展開していくのかが注目点となっている。はっきり言えることは、旧社会主義の資本主義化が、普通の民主的資本主義になるのは不可能であり、どうしても官僚独裁から、個人独裁のファシスト政権になり、欧米型の民主主義政権との軍事的対立へと進むことである。外資の中国投資が73%も急減した事実が、今後中国の経済危機が政治危機へと発展し、内的矛盾を外的矛盾に転化する動き(=軍事侵攻への動き)を警戒しなければならなくなった。
#中国の経済危機
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コメント

No title

 中国は経済危機に陥るのでは?
 習近平政権は経済が分かる人物がいないといわれています。
 軍事的暴走が心配されますね。
 日本はファシスト政権の戦争に備えるべきです。

No title

 中国は戦略上有利になりましたね。バイデンは失敗したと思います。
 世界市場を分割したら、アメリカは覇権を失うかもしれませんね。国内が分裂と対立で、バイデンの再選は難しいと思う。

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