世界の多極化を認め、多国間競争を受け入れた米政権!

トランプ大統領が選挙期間中に対ロシア外交の改善を掲げていたが、この公約だけは実行されす。先に発表された米戦略報告ではロシアと中国を「修正主義」として競争相手と位置付けた。公約を誠実に実行を目指すトランプ大統領が、対ロシア政策だけは公約と逆の政策を進めている。

ここには覇権国のアメリカがもはや多極化した世界を認めざるを得ない事が反映していると見なければならない。特にアメリカが画策したウクライナのクーデターに、クリミヤ半島の併合という軍事的な国境線の変更という「軍事的荒技」に出たロシアを、地政学に目覚めた地域覇権主義と認識したということであろう。

こうした点は、南シナ海や東シナ海で軍事活動を進める中国の地域覇権主義に対しても同じことが言える。アメリカは多極化した世界で「強いアメリカ」の力を構築しなければ競争相手のロシアと中国に軍事的同盟に対抗できないと考えたのである。こうした点は政権内に軍出身者を多く抱えるトランプ政権の特徴が表れている。

こうした戦略方向と矛盾する政策が同盟国への2国間交渉で貿易均衡を求めるトランプ政権の経済政策である。ロシアと中国の同盟に対抗するには同盟国の欧州や日本、カナダやメキシコの協力が要るのに、アメリカは北米自由貿易圏の解体、およびTPPの離脱の政策が、軍事戦略と矛盾することを指摘しなければならない。トランプの頭の中では軍事戦略では同盟国であっても、経済戦略では同盟国ではない、ということで納得しているのかもしれないが、世界で外交で孤立して、果たしてアメリカは競争相手に勝てるのであろうか、疑問である。

これを解決するには、アメリカは軍事的に巨大な力を世界に示さねばならない。しかしこの点には財政上の制約がある。23日のトランプ大統領の北朝鮮への制裁強化は、オリンピック後のアメリカの軍事力の展開に向けた強い決意を背景にしており、トランプの軍事パレードは巨大な第7艦隊の展開として、日本海で行われる可能性がある。

トランプは多国間の戦略競争を、強いアメリカを再建し、示すことで、その覇権を維持しようとしている。トランプの頭には、経済的にもアメリカの産業をよみがえさせられることも計算に入っているのかもしれないが、アメリカは金融大国であり、産業国家への回帰は不可能だ。だからいたずらに同盟国との経済摩擦を強めるのは得策ではないのである。貿易問題で同盟国を痛めつけて、アメリカの戦略への協力を求めてもそれは筋違いというものだ。
世界の多極化はさらに進むと見なければならない。
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世界の既存の秩序が崩れ始めた!

欧州に大量のイスラム難民が流れ込んで、大きな変化が生まれた。まずイギリスがEU離脱を決め、ドイツ連邦の下院にいきなり92もの議席を持つ極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が生まれた。この極右とイスラム難民が「反ユダヤ主義」でつながっていると言われる。また東欧各国のファシズム的政権、ロシアのクリミア併合に特徴的な地政学的動き。これらは欧州の政治的流動化を促している。EUの軍事面でのアメリカ離れも重要な動きである。

さらには覇権国アメリカのトランプ極右政権の「アメリカ第一主義」が、資本主義の同盟関係を解体へと促している。またアジアでは中国覇権主義が世界覇権の「中国の夢」実現に向かって急速に軍拡を推し進め、世界戦略を展開し始めた。アジアにおけるアメリカの覇権はいまや危機にある。

中東ではロシアが警察官役を手に入れ、シリア内戦を契機にしたクルド族の台頭とトルコの侵攻。イランとイスラエルの対立の激化。など中東もこれまでの秩序が崩壊し始めた。アメリカの貿易の不均衡の是正を2国間交渉で目指すトランプの外交が、北米自由貿易圏の解体を促しつつある。

日本をめぐる軍事環境は中ロの同盟化、北朝鮮の核・ミサイル開発で非常に厳しい状況になった。アメリカが日本に市場開放を求める中で、日本は軍事的に単独で2正面戦略を迫られる不利な状況にある。全世界的に古い秩序が変わり始めた中で、日本はどのように国防戦略を再構築するのか、この選択を間違えれば日本は再び「亡国への道」をたどることになるであろう。

戦後72年経って、日本の対米自立の時が来たことを見て取らねばならない。いつまでもアメリカ追づい一辺倒ではいけない事は明らかだ。国会で討議すべきは憲法改正ではなく、対米自立の事であるべきだ。世界の古い秩序が崩れる時に差し掛かっている。アメリカの1極支配はもはや過去の事なのだ。世界中がいまや合従連衡の時代なのである。

オリンピック後の半島情勢に激変があり得る!

在日アメリカ軍の戦闘機やヘリ、オスプレイ等の訓練が激化している。このためヘリの不時着事故やF16がエンジン火災から、燃料タンクを湖に投棄するなど、事故が多発している。アメリカ軍はオバマ大統領の8年間、予算の削減で満足な訓練ができていなかったが、ここにきて在日米軍の訓練が激化していることが注目される。

現在極東海域に空母打撃軍が3つ、海兵隊の空母型上陸強襲艦3隻等が集決しており、これらはオリンピック・パラリンピック後の米韓軍事演習に備えたものか、それともアメリカの北朝鮮への先制攻撃がありうるのか?注目を集めている。

北朝鮮はアメリカをなめ切り、挑発的な核実験やミサイル実験を繰り返してきたが、アメリカは米本土に届く核ミサイルの保有を北朝鮮には絶対に認めないので、武力行使は避けられないと見られている。

アメリカの先制攻撃は、始めに北朝鮮の通信網とレダー網を使えなくしてから攻撃を加えるので、北朝鮮の組織的反撃が何処までできるかは不明である。もし北朝鮮が日本や韓国にミサイルを発射すれば北朝鮮への核攻撃の可能性もあるであろう。北朝鮮がアメリカ軍の先端兵器をどの程度理解しているかは分からないが、報道を見る限り今回の瀬戸際外交はあまりにも無謀で、明らかに米軍の力を見くびっている。

アメリカは資本主義の不均等発展で相対的な力が低下しているからといって、未だにその軍事力は世界一であり、その凶暴性に変化はない。中東や東欧でロシアとの勢力圏をめぐる矛盾が激化しており、アメリカは世界覇権を維持するため、軍事的力を誇示しなければならない局面にある。トランプ大統領が「軍事パレードをやりたい」と言い出したのは、それを必要とする世界情勢が反映していると捉えるべきであろう。

トランプ米政権が昨年北朝鮮を攻撃しなかったのは、米軍の訓練が不足していた為で、準備が整えばアメリカは北朝鮮に反撃を許さないほどの攻撃力を見せるであろう。オリンピック後の米韓軍事演習をめぐり、半島情勢が一触即発の事態を迎える可能性が高いのである。アメリカ軍の極東での力の誇示が、中東や東欧のロシアとの勢力圏争いに決定的影響を与えるであろう。オリンピック後に朝鮮半島の緊迫した局面が生まれるのは不可避である。

トランプ政権鉄鋼輸入品に関税案を検討!

ロス米商務長官は16日鉄鋼やアルミの輸入品について輸入制限案を公表した。それによると全ての国の鉄鋼製品に24%の関税をかける案や中国や韓国等12カ国に最低53%の関税をかける案等3つの案を提案した。4月半ばまでにトランプ大統領が最終判断するという。

トランプ政権は、今秋の中間選挙の前に、公約であった貿易赤字の削減でラストベルト(錆びついた工業地帯)の労働者への公約である輸入制限を実行に移す意思を示したものである。これに対し鉄鋼メーカーは輸入制限を支持するものの、鉄鋼を使う自動車メーカー等は鉄鋼価格が上がるとして反発している。

この制裁案に対し中国商務省の王賀軍・貿易救済調査局長はアメリカが既に国内産品を過剰に保護している、として「中国側は必ずや必要な措置をとり、自身の正当な権利を守る」として報復措置をとることを明言した。

アメリカが全ての国の鉄鋼製品に24%の関税をかけた場合、日本や欧州など同盟国とも貿易摩擦が広がる可能性がある。また鉄鋼をたくさん輸出している中国・韓国・ブラジルなど12カ国に53%の関税をかけると、関税の報復合戦になり、世界貿易が縮小に向かう可能性がある。また鉄鋼・アルミ製品のアメリカ国内価格が高騰し、アメリカの消費者に経済的打撃となる可能性もある。

トランプ政権にとっては自分の支持基盤への公約であるが、関税の53%もの課税を実施したら逆にアメリカ経済に打撃となる可能性がある。また関税の報復合戦は世界貿易への縮小作用として働き世界的不況を招く可能性もある。また日本や欧州との同盟関係も傷つけかねないのであるが、トランプ政権の特徴は内政重視、外交軽視なので、この面は無頓着に実施される可能性が強い。今回の輸入制限が国際情勢とりわけ世界貿易に重大な打撃を与える可能性は極めて強いのである。

矛盾を深める中東と東欧の政治的変化!

イランのドローン(無人機)がイスラエル領内で撃墜され、その報復でイスラエル機がシリア領内を空爆、そのイスラエル機がシリアに撃墜される事態が起きている。またパレスチナ自冶区付近でイスラエル兵4名が仕掛け爆弾で負傷し、イスラエル軍がガザ地区各地を空爆し緊張が高まっている。
中東ではトランプ米大統領がイスラエルの米大使館をエルサレムに移転を発表後反米的動きが激化し情勢が流動化している。

また東欧ではポーランド・ハンガリー・チェコ・スロバキア・ブルガリアなどで小型独裁者等が指導権を握り、「ミニプーチン」による「ファシズム」の波が起きている。いずれも民主化に逆行し、言論統制や、政敵排除の動きが激化している。こうした東欧諸国の不満は、EUの発展から取り残されていることがあり、EU内の言わば「南北問題」が政治的逆流現象を生みだしている。

ロシアや東欧の現象を見るとこれら旧社会主義国は、政治体制が官僚支配から資本主義へと変化したが、力を持つのは「オルガルヒ」(新興財閥)であり、土地が国有化されている社会では力を持つのは旧官僚と旧諜報機関であるので、簡単に普通の資本主義にはなりにくいのである。

こうした中東と東欧の政治的変化の中でアメリカのトランプが対ロシアへの軍事的備えから欧州に軍事費のGDP2%への増額を要求し、NATOの強化を求めているのに対し、欧州はアメリカに依存せず、EUの自律的防衛を目指していることから、アメリカと欧州の対立が表面化している。EUはアメリカの対イラン核不拡散をめぐる政策や、エルサレムへの米大使館移転問題でもアメリカの政策に批判的で、いまやNATOは分裂的傾向を強めつつある。こうした時、EUが「欧州の火薬庫」と言われるバルカン半島への拡大の政策を出した事は、事態を一層流動化させる可能性がある。

こうした情勢の変化の下で、ロシアが中東で巧みに外交を行い、いまや中東の警察官役を手にいてた感がある。また東欧に対してもプーチンが外交攻勢をかけるであろうから、いまや中東も東欧も欧米とロシアの狭間で矛盾が激化しているのである。これはまるで世界大戦前の政治情勢と極めて似ていることを指摘しなければならない。いまや世界の政治情勢の焦点は、西の中東と東欧、東の中国・北朝鮮なのである。
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